『雫』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『雫』
ぱたり、ぱたりと雫が落ちる。
「……どうして」
彼女は当惑しながら僕に問いかける。
どうしてなんだろう、自分にもわからない。
だからもしかしたら、深い意味なんてなかったのかもしれない。
ぱたり、ぱたり
一定のリズムで落ちる雫。
砂時計の落ちる砂にも似ているな、と思う。
「何か答えてよ」
彼女は怒りを露わに僕に言葉を投げつける。
でも僕は何も言えない。
何を言っても言い訳にしかならない。
その言葉は余計に、彼女を怒らせる事にしかならないと知っているからだ。
「ごめん」
僕に言えるのは、ただそれだけ。
それさえも彼女には怒りの燃料にしかならないけれど。
「もう何度目だと思ってるの、小学1年の時からずっと遠足、社会科見学、運動会全部、雨!」
僕だって好きで降らせているんじゃないし、僕だって潰れたイベントは残念に思っている。
「この最凶雨男!」
彼女はそれだけ僕に怒りを投げつけると、走って行ってしまった。
ぱたりぱたり
傘から落ちる雫だけは変わらずに、まるで僕を慰めているようだった。
雫
雨の下
空から溢れた
無数の子ら
弾けては別れ
出会っては結ばれて
やがて空に帰っていく
雨より下で
雨よりも深く
この地に根ざしてる
雨よりも清い
そんな気がする
空よりも
地へと渡り
底へと沈むけど
私達を生かす
そのものの破片
私もまた破片かな
何処かに行くのだろう
『雫』
雫型の装飾品(アクセサリー)を「ティアドロップ(teardrop:涙の雫)」と呼ぶらしいです。
装飾品(アクセサリー)の形には意味があるとのこと。
ティアドロップは、乾いた大地に潤いを与える雨を「神々が流す涙の雫」とした言葉なので、「生きるエネルギー」という意味が込められ、また、「悲しいときや辛いときの涙が、感動の涙や喜びの涙に変わりますように」と、いう願いも込められているそうです。
ティアドロップのピアスやネックレスは、可愛いだけではなく、このような意味があったのですね。
プレゼントにも良いのかもしれません。
(創作します。)
ティアドロップのブルートパーズは
あなたがくれたネックレス
そして あなたの誕生石
わたしは身に付けない
あなたの支配欲が許せなくて
しまったままの涙の雫
心を閉ざした記念品
頬から大きな雫となって、伝うように落ちていく。
煙になって空に登っていってしまったあの人。
もう会えないのだと、やっと理解した。
『さようなら』って笑って欲しいと言っていたけど、そんなこと出来るはずもない。
見送るように煙を必死に見上げるが、零れ落ちる雫は止まらない。
必死に口元に力を込めるが、あの人には笑って見えるかな。
神様どうか雨を降らせてください。
そうすれば……
「涙って何で泣いてるかによって味が違うんだって」
「へえ、そうなんだ」
「確かめてみる?」
「もしかして私今何らかの方法で泣かされようとしてる?」
"雫"
雫って綺麗なんです
雨の後とか
葉っぱについた雫を見ると
キラキラしてる時があります
とても美しい
【雫】
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もし世界に1人残されたなら
あなたはどうしますか?
「僕は、きっと自害するね1人は嫌だから」
「私は地球の世界最後を見届けるよ」
「「別れたねwww」」
「..××はほんとに寂しがりだね」
「そりゃ、ね、」
寂しいは僕にとって
沢山の別れと同じくらい
苦しいもの、
【手段】
雫は儚い
ぽつり、落ちたらもう終わり
地面に染み込んでしまったり、他の水に紛れたり
でも、雫は美しい
朝露が瑞々しい葉に乗っているとき
雨の日に、窓ガラスをつうっとすべるとき
光を吸い込んできらきら輝く雫はとても美しい
雫は人間みたいだと思う
人波に紛れてしまうこともある
人間の生命は簡単に失われてしまう
でも、誰もがその人だけの輝きを持っている
ふとした瞬間に、きらきらと輝きを放つ
人間は、とても愚かで、儚くて
そして、とても美しい生き物だと、私は知っている
『雫』
ぽたりぽたりと
雫が落ちる
君の涙が
世界の涙が
あなたに悲しいと伝えるために
ぽたりぽたりと
落ちていく
お題『雫』
茹だる季節を 置き去り
蒼き虚しさ 旧き石の灰
君の項を 巫山戯るよう
幾千年 天へ滴る名残痕
一度 問うても応えなく
声 木霊して真偽もなく
頷く君の今を連れ出す
―――
(雫)
雫
自然と雫が垂れてきた
私のほうが上だと思っていたのに
先を越された屈辱
昨日は雫が頬を濡らしただけではなく、鼻水まで流して、先輩のシャツを楕円形に湿らせてしまった。
みっともないところを見せてしまったような気がして、アルバイト先の長身でイケメンの先輩に対して、目を合わせられなかった。
けれど気になってしまって仕事の合間に少しだけ見ていると、目があってしまい、少し口角を上げてにこっと笑った気がした。
あまりに自然な笑顔にホッとして心が落ち着いてきた。
これまで感情を吐露することは今までにない体験だったので、自分でも自分のことがよくわからなくなっていた。
ツンツンと脇腹に触る者がいたので、左を見たら、後輩が震えていた。
「ねぇ、今の見ました? 確実に女性のハートにダメージを浴びせるスマイル! はー幸せ」
とうっとりしていたので、
確かに昨日は少しぎゅっとされて
(距離感が零で、そうゼロで? え?)
鼻をくすぐる香りと温もりと体格の良さが伝わってきたのが蘇ってきて、
「先輩? 赤くなったりして、風邪でも引きました?」
さっき落ち着いた心がざわざわとして、(心臓がうるさいわ)
「あれ? 硬直してます? 彫刻みたい」
と後輩が訝しんで脇腹をツンツンしても動けなかった。
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「やっと終わったな」
「次の講義行こうか〜」
都心部にある伝統的な大学のキャンパスでは自由に歩いている学生が沢山居て、大学の最寄りの駅までは笑い声や物音で騒がしかった。
「なー、今日もバイト?」
と馴れ馴れしく友達が肩を叩いてきた。
「うん」
スマホをチェックしながら、歩いていたら友達が急に半眼になって、
「バイト、どう?」
と訊いてきた。
「え? 真面目にやってるよ」
「お前が怪我して以来、ラグビー辞めてさ、どうなるかと思ったらバイト始めて心配してたんだ」
と眉を寄せていたかと思えば、
「イケメン、長身、知性、スポーツ、何でも揃っているからバイト先でも騒がれてるじゃね」
と好奇心をのぞかせた顔で訊いてくる。
「彼女できた?」
何故か小声で訊いてくるので
「いや、できないよ」
とスマホから目を離して思わず苦笑してしまった。
「そうかー、お前でもまだか」
と若干嬉しそうな顔をした友達が言った。
駅に到着して、改札のところで
「ああ、これから定期通院しているところに行くからまたな」
というと、
「怪我が治るのはもう少し時間かかりそうなんだな」
とさらに心配そうにしているので、
いつも気遣ってくれる友達に対して本当のことを伝えようと決めた。
「うん、もうこの脚ではラグビーはできないんだ」
「そうか、そうなんだ。ごめん、言わせちゃって」
少ししゅんとしてしまった奴に、
「いや、気にするなよ」
と言って病院に向かった。
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※本日の2024年4月21日(日)テーマ(雫)で書かせていただいた掌編は、昨日の4月20日(土)テーマ(何もいらない)の続きとなっております。
こころは しずく
きみのこころを
しぼるように
僕の思いを
しぼりだすように
雫が垂れて私の額に当たる
私の方が良かったのに、
後悔しても戻ってこない。垂れてこない
雫はどんな場面でも綺麗と感じる
なんでだろう 不思議だ
僕は花弁の先から
落ちようとしてる雫が好きだな
君はどんな雫が好きなの?
お題『雫』
自分の一生において、何を後世に残せるのだろうか・・・
先日、庭の草木の手入れや剪定をした。ハイビスカスの爽やかな香りが鼻を潤す。
何気なく思う。草木や土が俺の生活というか、心身面を支えてくれているのだという。
朝の植物の雨粒?雫は尊い。だから・・・俺はキレイな雫を残していきたい。
−雫−
頬を流れ顎を伝ってつと落ちる 悔しさ隠さぬ君を見ていた
題-雫
300字小説
雨女の恋
「私、雨女ですの」
お嬢様はよくそう言って苦笑いされておりました。旅行、パーティ、お芝居見物など、お嬢様が楽しみにしている日には必ず雨が降ると。反対に運動の苦手なお嬢様の体育会や海水浴などの日は必ず雲一つない青空になりました。
他に雨が降る日と言えば、お嬢様が執事と出かける日でしょうか。髪が乱れて困るとちょっとおかんむりのお嬢様はとても愛らしかったです。
そんなお嬢様の御成婚の日。その日は朝から快晴でございました。高砂の謡が流れるなか、一度会っただけの見合い相手のもとに嫁ぐお嬢様はしばし執事を潤んだ目で見つめられてました。
真っ青な空の下、出ていかれるお嬢様。玄関先には一粒二粒、雫の跡がございました。
お題「雫」
「雫」
みんながみんなして、仲良さそうに群れる。
群れるのが当たり前。
集団は優先されて当然で、群れないお前は負け組。
そんな空気が嫌いだ。
本当は、群れの中で全員仲良しなんてそうそう無くて、
1人が怖くて必死に笑顔を作ってる。
馬鹿みたいじゃん。
確かに自分が流されて辛くても安心できるかも。
でも雫は、それだけで綺麗なんだよ。
雫は落ちると土に染み込み、蒸発して雨として降り、また雫になる。だから人間もそう人間として死に人間に生まれ変わる。その雫が決して落ちないことは無く、雫として綺麗に儚く誰も知らずに落ちていく。人間の理想はこれなんだ。
顔から滴り落ちた一滴の雫。それが2滴3滴と増えていき私はそれを止めることなどできず、ただ見ていることしか出来なかった。
もしそれを止める力があれば何か変わっていたのかもしれないね