『雫』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
雫
小さな雫が 子うさぎの目に入った
子うさぎ たちまちもがき苦しんだ
大きな雫が 地に落ちた
たちまち 人々もがく間もなく 消えてった
雫を落とした 狐は 何を思ったか 泣き崩れた
誰も幸せにはならない 雫は 二度とこの地に落ちなかった。
雫が落ちる音が
あの子の涙の音と重なって思い出した
雫
その日の夜は雨が降っていた。
「天気は……」
今日も夕方に雨が降るおそれがあるらしい。
「いってきます。」
日に照らされ宝石のように輝いている草についた雫。
まだ、雨の香りが残っている空気。
今日は、何があるのだろう。
かすかに期待しながら歩いた。
その日は散々だった。
階段から落ちる、
お気に入りの物を無くす、
冤罪をかけられる、
陰口を聞く。
あぁ、今日は何をしてもうまくいかない日だ。
たまにはそんな日もあるけど、流石に、つらい。
ポツン
ザーッ
私の心を写したかのように雨が降り出す。
鞄から傘を探す。
「……あれ、ないっ、うそ。
もう、やだ。」
気付けば、涙が出ていた。
雨で、よかった。
泣いているのは見られたくないから。
ザッ、ザッ
雨が当たらなくなる。
振り向けば、
「傘忘れたの?」
と、いつもの調子で聞いてくる友達。
「うん」
「あれ?泣いてる?」
もう何に泣いているのかわからない。
「雨だからっ、雫だからっ。」
そうすぐにバレる嘘を並べながら歩き出す。
悪いことばかりで、失敗ばかりでも
案外、優しさはあった。
「ありがと。」
「急に?
まあ、どういたしまして。」
互いに笑いながら雨の中を歩いた。
家に近づく頃には雨は止んでいた。
「雫」
ぽとり。
雨かな、上から雫が降ってきた。
でも、雨は降っていない。
上を見上げると、少女が泣いている。
綺麗だ。
泣いてる人に向かって言ってはいけないと思う。
でも、綺麗だった。この世のものでは無いもののような、そんなものを見た感覚。
空は青く、澄んでいた。
「嫌い。」
君の目の下には綺麗な悲しみと怒りに満ちた雫が何滴も浮かんでいた。
走って逃げた君の通った道には雫の跡があった。
「…ごめん。好きだったんだ。」
今度君の目に浮かんだのは喜びに満ちた雫だった
[雫]
今だに、断水で家の蛇口から水が、雫もでない。
断水が解消になりますように…
私達の雫のような声は聞こえはないのか
毎日お風呂にはいれる
毎日、当たり前に日常が遅れる
私は幸せは満ち溢れる
被災地は幸せに満ち溢れる
赤い頬
黒い瞳に潤む白
青い吐息と結露の窓辺
/お題「雫」より
君の頬に雫が落ちるから
僕は君を守ってあげたいと思ったんだ
僕自身が助けを求めていたのに
気づかずに
君の前では強がっていた
限界だった
君も守られることに甘えて
変わってしまった
出会わなければ良かったね
雫
この雫に含まれる石灰分が
長い長い時をかけて
鍾乳石になって
柱のようになったりする
異なる時間がそこには存在しているみたい
(鍾乳洞の涼しさは夏のレジャーにピッタリですよ)
雫
しんだふり
ずうっとしてても
くまきづく
もうだめだend
―雫―
閉め切った蛇口から水滴が垂れるのを見る。
今、自分が何をしようとしていたか思案する時いつもそうしている。
水滴はぽとぽとと音を鳴らす。一人暮らしの寂しさを知らせるが如く。
1、2分かけそうしていると不意に思い出す。
ああそうか、歯磨きをしようとしていたのだった。
習慣である歯磨きでさえたまに姿を消すのだ。
私だって仕事から逃げても構わんだろう?
だから私が取るべき行動は…
今、何を考えていたのだっけ。
閉め切った蛇口はただそこにある。
明日は仕事だから歯磨きしたらすぐ寝なくては。
定住民はつらいな。
ふと冷たい何かが頬を伝った。
行方を探ると、頭が濡れていた。
やべぇ!髪拭いてねえ!
藍色の夜の雨が止み夢から目覚める。
やがて太陽は新緑の輝きで大地を染める。
空が映し出すのは
夢の記憶をもたない小さな雫。
エメラルドの水玉が葉の上で煌めいている。
そしてその煌めきを太陽がまた空へと連れ去る。
「雫」
「雫」
ポロポロと流れる涙の雫
そんなに悲しまないで
つらいよね
心が痛いよね
私も一緒に泣いてしまう
思いっきり泣いたら
気持ちも落ち着ける
きっと大丈夫
大丈夫だよ
朝 目を覚ますと
頬を 涙の雫が ツーっと流れた
夢を見た
大好きだった祖母の夢
夢でもいいから また会いたい
ローズクォーツで飾った
手首のブレスレットは
懺悔の傷を隠す。
AM5時の陽が
わたしを見つけ出す
どうか、夜のままであってほしかった
罪人の朝が はじまる
『アイデンティティの根源に他者がいる』
そういうことを聞きたかった。そういうことを読みたかった。
人種主義、植民地主義、ヨーロッパ中心主義、わたしにとっては人間中心主義でもいい。異性愛主義でもいいし、男女二元主義(規範)でも。
『アイデンティティの根源に他者がいる』のだ。それらの主義は根底から考え直さなければならない。純粋さは幻想だ。しかも気分の悪くなる幻想。わたしのアイデンティティの根源に他者がいるなら、わたしのアイデンティティはあらかじめ傷つき欠けて不足しているなら、「わたしの」アイデンティティだと思っていたものの根源に他者がいるなら、「わたしの」根底にそもそも他者がいるなら、それはきらめくような希望の雫だ。
『雫』15/80
ぽつり、ぽつり。
ひとり、ぽつり。
じっとしたをみていたら、
いつしかぼくのかおがみえていた。
そのかおもみえたり、にじんだり。
ぼくはわるくなんかなくて、
ぜんぶあのこがわるいんだ。
ぽつり、ぽつり。
いまも、ぽつり。
あの頃は俺もガキだったから、
ずっと知らないフリしてたんだ。
水鏡に映ってたのは俺じゃなくて、
アイツの悲しむ顔が見えて苦しかったんだ。
ぽつり、ぽつり。
しずく、ぽつり。
もう、零すものか。
【雫】
涙
汗
血
唾液
それから
あれやこれや
***
生きている
を証明する色々な雫が
今日も世界中で
彼の目から溢れる雫は貴重なものだ。
普段から生真面目で秩序を重んじる彼には似合わないけど、僕がずっと望んでいるもの。
毎日弱みを見せまいと孤軍奮闘しているのに、空回っている彼が面白おかしくて、最初はずっと揶揄っていたっけ。いつのまにか僕の知らない顔を見てみたいと思うようになって、独占したくなって、皆にもおかしいと思われるくらい見つめてしまっていた。
密かに追い続けていた彼の過去を何気なく聞いた時、守ってあげたいと思った。そして一度も見たことのない彼の雫を僕が拭ってあげたいんだ。
雫
予定が終わり、ひとりの帰り道。
私の手元にふと、ぽたぽたと雫が落ちる。
雨?傘は持ってきていない。焦って空を見上げると、
晴れ。全く雲がない訳では無いが、
雨が降っている様子もない。
じゃあこの雫はなんなんだ?
我に返ってみると、
何故か立っていられなくて地面にしゃがみこんだ。
そこまでして、やっと認識できた。
今私の頬を流れている雫。
私は自分が泣いていることにも気づけなかった。
早く帰って休もうか。来週の予定は断って。