『雫』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
【雫】
先月まで勤めていた店が数年前に移転した際、
お祝いに観葉植物を2鉢いただいた。
お店の癒しアイテムとして愛されてきたのだが、
閉店に伴って新たな貰い手を探すことに。
これがなかなか見つからず、最終的な結論として
我が家の植物担当である母の許可を得て
2鉢とも私が自宅へと持ち帰った。
もらったときに赤い花が一輪咲いていたから
「おはなちゃん」
トゲトゲしい緑の葉っぱが印象的だから
「みどちゃん」
どちらも、品種の名前がわからなかったので
ネーミングセンス抜群のこの私が命名した。
正しい育て方もわからず、おそらくだけど
水はやりすぎず陽の光は沢山浴びた方がいいと
南向きの出窓に置いて毎夜霧吹きでの水やり。
おかげさまで「おはなちゃん」の方には
小さくて可愛らしい花の芽が新たにお目見えした。
あらためてネットで調べてみたところ、
「おはなちゃん」はアンスリウム、
「みどちゃん」はサンスベリア、
という品種名であるらしいと判明した。
どちらの品種もちょうどこれからが
生育期らしいことも新たにわかった。
たくさんの光と水の雫がこの子達を育んでいる。
家族みんなで見守っているから、
どうかこれからも伸び伸びと育っていってほしい。
『雫』
「あっ」
聞こえた声に隣の友人の顔を見上げると、額に雨粒が1つ落ちてきた。
「え、うそ、雨?」
一歩踏み出していた駅の構内に舞い戻り、屋根の下でにわかに雨脚を強める空を見上げる。
「天気予報で雨なんて言ってなかったじゃん。ついてないな〜」
今日は、間の悪いことにいつも入れている折り畳み傘もバッグの中にない。前回使って入れ忘れたか。
痛い出費だが、コンビニでビニール傘を買うしかないか。雨は土砂降りに近い勢いで、この中を傘なしで帰るのは結構な難題に思えた。
困っている私をよそに自分のバックパックを漁っていた友人は、折り畳み傘を取り出して私に向かって放り投げた。
「ほれ」
「え、なに」
「使えよ。俺んち近いから、走って帰るし」
「はぁ!? あ、ちょっと待て!」
言い置いて走り出そうとした友人の上着を掴んで引き止める。何度も言うが土砂降りである。いくら友人が馬鹿でも、こんな雨に濡れて帰れば風邪を引きかねない。
「なんだよ、お前傘ないんだろ?」
「だからってあんたの傘横取りするみたいな真似出来ないでしょ。あんたもいくら家近いって言ってもこの雨の強さじゃ無茶だよ」
私のように傘を持っていない人々は、傘を買いにコンビニへ行くかタクシー乗り場に長い列を作り始めている。
「そう言っても傘は一本しかねぇからなぁ」
「……じゃあ、家まで送ってよ。そしたら、私も傘に入れるしあんたも濡れないでしょ」
私の家は、駅を中心にして友人の家の反対側にある。最寄りは一緒だが生活圏の被らない立地だ。
友人にはだいぶ遠回りになってしまうが、この雨の中走るよりはマシではなかろうか。うちもそんなに遠くないし。
私の提案に、友人は砂糖と思って食べたら塩だったような妙な顔をしている。
「……お前のことだから絶対言葉通りの意味なんだよなぁ」
「何だって?」
「なんでもねぇよ。送ってやるから行くぞ」
「やった。まぁ、お礼にコーヒーくらいなら出してやってもいい」
「お前はさー、すぐそういうことをさー」
「えー?」
濡れないように、折り畳み傘の狭い空間で身を寄せ合う。
口の中で何事かモゴモゴと悪態をついている友人に、ひっそりと笑う。傘に当たる雨粒の音が大きすぎて、きっと気付かれはしない。
ばかめ、気がなければこんな事言うわけないじゃないか。
折り畳み傘すら借りずに、「私タクシーで帰るから」で終わりだ。
見上げた顔の向こう、傘から滴る雫で濡れる彼の肩を見ながら、そろそろ「友人」じゃなくなってもいいかな、と考えるのだった。
2023.04.21
目の前に涙を流している少女がいる
其れは、とても苦しそうでいながら口元には微笑を浮かべていた
道化を演じるのを辞め、憔悴しきったような笑みに私は思えた
私は何故か手を差し伸べようとしていた
ほおって置けなかったようだ
だが、あと数cmの所で辞めた
遅すぎたからだ
目の前に居たのは鏡に写った
今日初めて涙を覚えた自分自身であった
#雫
空から降ってきたこの雨は
まるで君が今まで必死に隠してきた涙みたい。
♯雫
どんなにちっぽけな雫でも
乾き切った大地は縋ってしまうの
私は、こんなにあなたを愛しているのに
雰囲気づくりの女の子の方が好きなの?
だってその子ほんとは、、、
『雫』
雨、君たちは一体どこからやってくる。
ザーザーと音を立て、何十万と大群で。
空から来た君たちは、花や草木に挨拶をして、
またすぐ、地下へ居なくなる。
雨よ、次会うときは何時か?
題「雫💧」
〜詩〜
#雫#
他人の子ってなんだか可愛く見えてしまう
どうしてだろう
あの子が好きあの子がいい
なんて思ってしまうけど、
雫は何回見ても同じ色で同じ形だ
1回でもいい、あの子と姉妹、兄弟になってみたい
たったの1回でいい
あの子になってみたい
ただそれだけで、私はいい
たまに思う
どうして他人の子は可愛いのだろう
そう思うと、泣けてくる
他人だから、何回思っても一緒にはなれない
雫はいいな
だって雫には感情がない
だからなんだか尊敬する
あの子になりたい、あの子が好き
でも、でも、思いは叶わない
毎日そう思ってる
私がいる。
『雫』
ぽた、ぽた、雨戸から石の上にしずくが落ちる。
「ほらー、本ばっかり呼んでないで、少しは勉強しなさい!」
毎日毎日、母親というものは勉強への催促しか声掛けできないのだろうか。
そんなことを考えながら読んでいる本のページを進めた。読み進めていると、ひとつの言葉が目に止まった。
とたん、胸がドキリとした。
それからの僕の行動は一風変わった。
勉強も進んでやったし、志望校もレベルの高いところを目指した。
沢山勉強をした、朝起きたらまず今日の予習、帰ったらワークを進めて、夜には単語を覚える、休日には昼間復習も挟んだ。受験に向けてたくさん頑張ったんだ。
なんの取り柄のない、こんな僕でも。
でも、現実は優しくなくて、
「君、本当にこんなレベルの大学へ行くんですか?」
「は、はい、なにか……」
「少し厳しいことを言うけど、あなたの力でここはきついと思います」
数日前の放課後、先生とこんな会話をしてからはもっと勉強を詰め込んだ。
何事も努力、努力、努力
試験当日になった。
頭の良さそうな人達ばかりだ。倍率も高く、とても入りずらいところであるここは、試験開始まで時間があるにもかかわらず、ほとんど人が揃い髪をめくる音だけが聞こえていた。
正直、そこからの記憶はもうない。
張っていた糸がプツリと切れたように、何もする気が起きなくなった。
合格発表が怖い。
受かっていれば実力がちゃんと身についていたということ、
落ちていればそこまでだ。
やっぱりそうだ、
継続は力なり。努力はこんな僕にもできるものだった。
小さな積み重ねが明日への一歩を切り開く
僕の目に止まったひとつの言葉、それは
『雨だれ石を穿つ』
雨戸の下の石には深い穴が空いていた。
───
『』の中の意味、良ければ調べてみてください
雫には色々な雫がある。例えば、雨上がりの外を見ると葉の先に付いている雫は、太陽の光を浴び輝き綺麗に見える。だが、人が辛いとき、悲しいときに流す雫を見ると綺麗と言う感情は出てこない。このように雫には色々な雫がある。そして、自分が悲しくなるような雫は見ないようにしている。
【雫】
雨の日はとても良い日。
地面に映る水たまり。
花を開くように傘をパッとさして、傘に打ちつける音。
水たまりを歩く足の音。
いろんな音が聞こえてくる。
雨の日は自然の音楽祭なのだ。
外と中の境界に僕らはいた
お互いはとても小さいけれど
一つにくっつけば、大きくなれる
この小さな世界が僕らのすべて
みんなと一緒にビッグになるんだ
もっともっと
手を取りあって
周りを巻き込んで
もっともっと
誰かなんて関係ない
誰でも大歓迎さ
もっともっと
やったぞ!
これで僕らが一番の――
「ああ、落ちちゃった」
~雫~
雫ポタポタコンポタージュ
めっちゃ闇闇
完
【雫】
それはほんとに小さい1粒の水
なんにもならないはずなのに
僕の下には
水たまりがある
雫
雫を見るのは楽しい。
雨の中車で走ってて、
小さな雫が重なって大きくなって、
大きな雫が小さい雫を飲み込んでいく。
見ていてなかなか面白い。
雫
喫茶店から外に出たら、雨が降っていた。
雨宿りをしていたら、子供が雨宿りに走って入ってきた。
10分ほどで雨は止んだ。
屋根から雫が落ちてきて、冷たっと子供が言った。
空を見てみると、虹がかかっていた。
6 雫
「給食のちゃんぽんの油のまるいのを、どうしても一つにしてみたくて、お箸でずっと雫を垂らしてたら、先生にすごく怒られちゃったの。小学校ってもっと楽しいと思ってたのに、つまんない」
「いやそりゃ怒られるだろ……給食の時間はちゃんと食べろよ…」
十二歳年下の妹ひなたが、庭でたんぽぽの綿毛を観察しながらぶつくさ言っている。
今月小学校に入ったばかりの我が妹は、俺に似ず知的好奇心が旺盛で頭がいい。気になったことがあるととことんまで観察したり実験しないと気が済まないたちだった。幼稚園の時は工作やら科学の絵なんやら、いろんな賞の幼児部門を総なめにしている。
今日は、通り雨で少し濡れた綿毛がどのくらい乾いたら自然に飛ばされていくのかを確かめたいのだという。飽きずにずっと、綿毛の白いところがふんわり開くのをまっている。
「ねえお兄ちゃん。どうしてちゃんぽんの油は、一つになりそうでならないの? どういう仕組み? キッズケータイで調べても出てこないの」
「……知らない」
なんだっけ? 油どうしは弾きあうんだっけ? 表面張力? 良くは知らない。俺は妹に似ず凡才で、中堅どころの私文にスベったしがない浪人戦士だ。ちゃんぽんの油より英単語の方が大切である。
「うーん。もっと大きな油で試したいな。四丁目の川でやってみようかな。あそこ、変な油でいつもぎとぎとしてるし」
「やめなさい。落っこちたら大変だから」
ひなたは探求心の塊で、確かめたいことを見つけると、一人でふらふらとどこにでも行ってしまう。物騒なご時世だ。共働きの両親から「あんたずっと家にいるんだから、ひなちゃんが変な事件に巻き込まれないようにちゃんと見てなさいよ」と命じられている。両親は年の離れた末娘であるひなたにメロメロなのだ。ああ浪人生というのは、かくも家庭内における地位が低いものだろうか。
「お兄ちゃん、明日はヒマ? わたし、川に行きたい」
「やだよ……お前と歩いてると誘拐を疑われて職質されんだもん……」
「それはお兄ちゃんの身だしなみがだらしないのが悪いのよ。仕事も学校も行ってないからって、さぼっちゃだめ」
「……」
小1ってこんなにかわいくないものだっけか。少なくとも俺の子供時代はもっと素直で愛らしかったはずだ。
はぁ、と小さくため息をついて、ひなたはたんぽぽの観察を再開した。
その顔が、ちょっと沈んでいる。
こいつは入学してからこっち、まだ一度も、放課後に友達と遊んでいない。まあ理由はだいたい想像がつく。給食のちゃんぽんに夢中で雫をたらす、知的好奇心の旺盛すぎるこまっしゃくれたクラスメイト。同級生だってそうそう声なんてかけられないだろう。どれだけ苦心して一つにまとめてもぷつんとはじき出されてしまう小さな油の玉みたいに、ちょっとクラスから浮いてたりするかもしれない。
「小学校ってもっと楽しいと思ってたのになぁ」
ひなたはさっきと同じセリフをもう一度言った。
「まあそのうち一人くらいは友達できるよ」
面倒くさいのでそう返しておく。俺には小学生女子のことなんて分からない。
「お兄ちゃん。わたし別に友達の話なんてしてないけど」
「あーそっか、ごめんごめん」
「十八年も生きてるのに、お兄ちゃんには本当にデリカシーがないよね」
「十八なんてこんなもんだよ」
「ええー、わたしはもっと、思慮深い十八歳になりたいな」
「はいはい。がんばれがんばれ」
「またそうやって子供扱いして」
ふてくされるひなたと、たんぽぽの綿毛をじっと見下ろした。
天気雨で猫の毛みたいにしっとりしてしまったほわほわは、まだ完全には乾きそうにない。
「こいつはいつ飛んでいくんだろうな」
「それを今から確かめるんでしょ」
そして綿毛が飛んだら、ひなたはどこまでも追いかけていくのだろう。俺はそれについていかねばならない。あー、めんどくせ。
我が妹は本当に変わりもので落ち着きがない。
しょーがねぇなぁ、本当に。
ひんやりした感触を腿に受け、私は目を覚ます。
どうやら、雨が降るようだ。
ベンチで眠っていた私は、膝で眠る親友を起こそうとする。
後ろに結んだ彼女の髪はとても綺麗だ。
今もなお、日の光を浴びて輝いている。
そして気付く。
空は雲一つない快晴。
冷たい感触は今も広がり続けている。
まさか。
私の膝でうなされているとしたら、かなりショックだ。
私は彼女の顔を覗き込むと__
思いっきり頭を引っ叩いた。
「痛った」
彼女は頭を抑えながら足元に転がり込む。
私は無視してハンカチを取り出し、スカートの水溜りを拭き取る。
「何すんのよ」
憤る彼女だがそれは私のセリフだ。
「何すんのじゃないわよ。あんたのよだれで染みができちゃったじゃない。」
立ち上がった彼女はみるみる血の気が引いていく。
視線の先にはど真ん中だけ色が暗い私のスカートがある。これではまるで…
「お、おもらs__」
「そんなわけ無いでしょバカ!」
私たちの不毛な鬼ごっこは午後のチャイムまで終らなかった。
昨日の夜中から朝方にかけて、巨大な台風に襲われていた。窓がガタガタと揺れるぐらいに風は強く、家の壁を叩きつける雨の音がひどくて眠れたものじゃなかった。
昨日は残業で帰りが遅くなったこともあって、頭が回っていなかった。ベランダに置いたままのプランターを家の中にしまい忘れていた。
朝になって静かになった窓を開け放つと、秋の花がこちらを見上げていた。無事だったことに安心する。強力な風雨だったのにも関わらず、花は艶々と輝いていた。しゃがんで覗き込んでみると、立派な葉から雫がぽたりと落ちていく。
スマホのアラームが鳴り響いた。仕事の支度を始めなければならない。いつもならため息ついて、行きたくないとぼやきやがらスーツに着替える。だが、今日は違った。私の失態に対し、なにもなかったかのように輝いている花を見て自然と笑顔になる。
今日ぐらいは、上司のミスを押し付けられても寛容な心で過ごそう。
「行ってきます」
そう思いながら、家を出た。
ぼたぼたと落ちる感覚がした。あ、え、うそ。自分の表情は歪になったが目の前の男はさして気にしていないようで、べらべらとわたしの提出したデータの不備を言い連ねていた。
上司が満足気に自分のデスクへと戻ったあと、わたしもすぐさま修正のためにデスクに飛びついた。と、隣のデスクに座るゆうこさんがスルスルと近寄ってくる。彼女はとこか動きが鈍臭い。
「あの、何かありましたか」
「……生理が、来たっぽくて」
わたしは素直に話した。今現在、来ると思っていなかった生理のためにナプキンがなかった。今日は15パーセントオフのクーポン券があるから夜用と合わせてまとめ買いするつもりだったのだ。
ゆうこさんは「大丈夫ですか? 薬ありますか?」と心配そうに聞いてくる。わたしは恥をしのんでナプキンと痛み止めをもらった。
トイレでスカートをおろすと、自分の下着に赤い血痕がいくつもついているのが見えた。お気に入りだつたのに。
わたしはゆうこさんにもらったナプキンを取り付けて自分のデスクに戻った。テーブルの上にはチョコレートが置いてあった。ゆうこさんの方を見るとにっこりと笑っていた。
生理の時には甘いものはよくないらしい。でも、今日はその優しさだけで生きていけると思った。