NoName

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 ひんやりした感触を腿に受け、私は目を覚ます。
 どうやら、雨が降るようだ。
 ベンチで眠っていた私は、膝で眠る親友を起こそうとする。
 後ろに結んだ彼女の髪はとても綺麗だ。
 今もなお、日の光を浴びて輝いている。
 そして気付く。
 空は雲一つない快晴。
 冷たい感触は今も広がり続けている。
 まさか。
 私の膝でうなされているとしたら、かなりショックだ。
 私は彼女の顔を覗き込むと__
 思いっきり頭を引っ叩いた。
「痛った」
 彼女は頭を抑えながら足元に転がり込む。
 私は無視してハンカチを取り出し、スカートの水溜りを拭き取る。
「何すんのよ」
 憤る彼女だがそれは私のセリフだ。
「何すんのじゃないわよ。あんたのよだれで染みができちゃったじゃない。」
 立ち上がった彼女はみるみる血の気が引いていく。
 視線の先にはど真ん中だけ色が暗い私のスカートがある。これではまるで…
「お、おもらs__」
「そんなわけ無いでしょバカ!」
 私たちの不毛な鬼ごっこは午後のチャイムまで終らなかった。

4/21/2023, 1:28:12 PM