『雪を待つ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
待つ……どころか降っている。しんしんと降り積もる雪に、明日は雪かきかな、と考えたくもないことを考える。
きっとこの雪が特別な雪になる人もいるのだろう。私からすれば毎年の厳しい冬の開幕を告げる白い悪魔だ。
雪が降る地域の人々は、どうか今年も、そして来年も転倒による怪我に気を付けてほしい。数年前にすっ転んで腰を痛めた、北の大地に住む私との約束だ。
私がまだ手を伸ばしても鉄棒に届かなかった頃、よく十数戸ほど離れた友人と遊んだ。車通りの多い国道が一本走る程度の都会だったが、幸い多少駆け回っても車に跳ねられた事はない。その日、大人では気にも留めないくらいの雪が降った。私は友人と窓を覗いては、積もればきっとお前が頭まですっぽり埋め尽くすほどの雪をかけてやるとはしゃいだ。しかしそれは私が帰るまでには到底叶わなかった訳で、終に友人の玄関を出る時には私はその事をすっかり忘れていたくらいだ。
やにわに陽を沈める冬の夕方、私は帰路に就く時にふと回り道をしようと閃いた。
もういいかい
まぁ…だだよ
もう…いいかい
まぁ…だだよ…
もう…いいかーい
まぁ、だだよー
かくれんぼしましょ
そう しましょ
もういいかい…
まぁ…だだよー
もう、いいかい?
まぁ、だだよ
あたり一面 まだ茶色
もう、いいーかーい
彼らの白さが まだないの
まーだだよー…
吹きすさぶ吹雪の音も聞こえない一面の銀世界。
ひとり佇む君の姿は袖のひとつも乱さずに、
ただ静かに君に見惚れた私を真っ直ぐに見た。
凍えそうな寒さも、凍てつきそうな冷たさも、
異常なほどの肌の白さに、輝きさえ見せる白髪に、
幻とも思える君は冬を誘(いざな)う女将軍だった。
私は毎年冬を待つ。雪を待つ。
―――…そして、君を待つ。
ただ一度の邂逅で私を魅せた君を求めるように。
身体が凍り、体温が下がり、感覚がなくなり、
目の前が霞み、指先ひとつ動かぬ身になろうとも、
再び君に会えるのならば極寒の地さえ楽園だろう。
【雪を待つ】
《雪を待つ》
帰り道
いつものコンビニでお弁当とお酒を2本
空から舞い降る白雪が街灯に照らされる
手を繋いで歩いたこの川路
心が揺れる白銀景色
貴方の事を思い出す
大好きだったこの季節
雪を待つ
雪が降るのを
これも雪だと
いまの雪を知る
雪が積ると大変で
雪だと知っていると
雪に備えれる
備えても雪も寒さもなんともならない
それでも少し楽になる
雪なんだから仕方ないと
それが出来るのは雪ではないからで
雪にはどうすることも出来ない
雪だからと雪がいいだしたら終わりだね
お互いがそれを理由に主張し
お互いがそれを解さない
ただの押し付けで
いつまでも折り合いがつかない
それを決めつけて
お互いがそれでのみ理解するなら
それは会話ではない
ただお互いに拒絶してるだけ
どちらが正しいにしても
それを解って貰うには素直に
だけど相手にも正直に
譲歩してみるしかない
それにはまず少しずつ話してみて
全体的に把握してみるしかない
まずは譲れるところから
だけど譲りたくないものは
相手に押し付けず
ただ自分で行なってみるしかない
そして結果は相手のペースに委ねる
相手にも自分がいるから
ただし相手にこれを強制してはならない
あくまで自分の為に取り掛かる
検討がついても
検討そのものをただ突き付けても
ほとんどの場合は拗れるだけだから
これらをする場合は
出来るだけ相手に合わせて挑戦する
だけどあくまで自分が主体
間違えいても改めてから
コミニケーションするといい
好き嫌いより
お互いが次の段階に進めていける
それが結果を左右すると
たけど相手に拘る必要はない
結果はその度に提示され
いづれは変わっていく
それが自分や相手を考慮すること
ダメなら誰かに任せたらいい
この誰かとは主に相手側にある
どうでも良かったら無視してもいい
いずれはその状況は瓦解する
しかしそれは相手次第でもある
これが譲歩である
相手を介して次に活用できるなら
それはあなたの財産となる
これはなんだと考えてみるとき
自分の主張に固執したら駄目だよ
相手があってからこそだから
相手にとってそれがなんであるかが鍵
あーあちぃー。
もう、12月だというのに、着込んだコートの中で熱気が渦巻てやがる。
ネックウォーマーなんてすんじゃなかった。首元が妙な汗で蒸れて気持ち悪い。
風は冷てぇのに、体の中だけ南国の空気に包まれているみたいだ。
日差しに当たればさらに体温が上がって、風邪を引いてないのに熱っぽくなってきやがる。
これだから、暑いのは嫌いなんだ。
あーもっと寒くなんねぇかな。
とびっきりひんやりとした寒風を体に受けたい。
澄んだ寒空の下で肉まんに食いながら歩きてぇし、おでんの出汁を飲んで温まりたい。
そして、その空から降り下りる雪を待ち侘びてんだ。
どこかで、期待してしまう
私の歪な心の隙間に
雪でも降り積もってしまえば
何かを、望む暇もなく
目も、気持ちも、身体も冷めるだろう。
白く白く、埋まってしまいたい。
それなのに空は、濃い灰色。
…まだ、雪は降らない。
【お題:雪を待つ】
#雪を待つ
雪が俺らを迎えにきてくれる事を願い
今日もまた君の手をぎゅっと握りしめる
雪を待つ。小学生の時、天気予報をみてワクワクしてた。
なのに結局降らずガッカリ。
ちょっと降り出したから積もることを期待したのに、
地面はべちょべちょでガッカリ。
親は滑るだの雪かきが大変だのブツブツゆう。
毎年、きっと色んな家でこのやり取りが起こってる。
冷えきった身体を少し温める暖かい一場面。
【雪を待つ】
「こっちは全然雪降らないね!」
君は言った。
窓を覗いて雪を待っている姿は可愛らしい。
男のくせに…
君は北海道出身だからそう思うのだろうか?
俺には、雪を待つ楽しさがよく分からない
不便になるだけじゃないか、
交通が止まるし、道は滑るし、転ぶし、最悪だ。
「…そうですか。あれ?先輩ってどこ出身でしたっけ?」
知っているのに、話したいから聞いた
「北海道だよ。そっから東京に一人暮らし。」
「はぁー」
俺も先輩につられて窓を見る
「雪ってさ、真っ白の雪とちょっと汚れた雪があるじゃん?」
「はい。」
俺は雪国出身ではないが、何となく想像できる
「僕、小さい頃真っ白な雪が大好きでさ…。とくに足跡がついていない雪に自分の足跡を残すのが好きでさ、雪が降るとあの頃を思い出すんだよね。あと、遠く離れた家族のことも思い出すよ笑」
笑いながら君は言った
「そうなんですね。想像つかないです。先輩冷静で静かな感じがするので……俺は雪国出身じゃないですが、確かに楽しそうですね。」
「…誰だって子供心はあるよ。」
ちょっと恥ずかしそうに先輩が答える。
先輩の意外な一面が垣間見えたような気がした
その姿に
雪も溶けてしまいそうなほど
心がほっこりした
先輩のためにも、俺も雪を待ってみる
これはまだ、俺が君に恋する前の話
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前回の番外編みたいになってしまった笑
この『同性恋愛』シリーズかなり好きです
雪を待つ
空を見上げ白い息を吐く
今日は一段と冷え込んでいて
薄曇り色の空は
落ちてきそうに重たい
早く雪、積もってくれないかなぁ
足元に視線を落とすと
凍りついた道がてらてらと光る
この季節
なかなかまとまった雪が振らず
溶けたり凍ったりを繰り返している
よって
滑るし歩きにくい
ソロソロと歩きながら
なかなか降らない雪を待ち遠しく思う
はじめての雪に君はどんな顔をするのかな
まだまだ、はいはいの君だから
雪空が高く見えるんだろうな
うちは雪国じゃないから、弱い雪だよ
ふわふわで、ちょっと冷たくて
すぐに溶けちゃうんだよ
手を伸ばしてつかめたら、それは奇跡だよ
もう少し大きくなって、
珍しく積もったら一緒にみかんを冷やそう
そしてもっと大きくなって、
ちょうど雪が降った日には、お酒をさしとくよ
#雪を待つ
雪が降って、寒くなれば、貴方と手を繋ぐ口実になるでしょう。
だから。だから、はやく、降らないかしら。雪。
『次は、いつ逢えますか。』
『そうだな。雪が降る頃に又来るよ。』
「あなた。」
「雪の降る頃、約束通り迎えに来たよ。私の花嫁さん。」
「お待ちしておりました。」
「長い事、待たせてしまった…本当にすまない。」
「いいえ、構いません。あなたのお側に居れるなら、何年でも待ちます。」
「ありがとう。いつも、君の優しさに救われる。」
「これからも、末永く宜しくお願いします。」
「こちらこそ、これからも末永く宜しくお願いします。」
僕は、ぼんやり頬杖をつきながら、窓を眺めた。
ガラスを介してみる空はどんより重く、今にも落ちてきてしまいそうだ。しかし、雨は降っていない。
遠くでは厚着をした親と、その前を駆け抜ける比較的薄着の子供の姿があった。近くでは窓に結露している雫が見えた。部屋の空気は暖かいにも関わらず、指先は死体のように冷たい。試しに窓を開けて、息を柔らかく吐いてみた。暖かい息は白く可視化された。そのまま消えていった。そんな日だった。
元々こっちは雪の降る地方では無い。今流行りの異常気象によって、10年前から降るようになった。
僕は毎年、初雪を確認している。幼い頃に見れなかったからでも、雪が好きな訳でもない。
ただ、1人の女の子を思い出すために。
彼女の名は雪と言った。当時は17歳と言ったところか、まだ若いにもかかわらず病院で毎日を過ごしいた。雪のような女の子だった。肌はやけに白く、体も細かった。触れたら直ぐに消えてしまいそうで、儚さとも違う脆さがそこにはあった。
彼女と幼馴染という訳でもない。長年の付き合いという訳でもない。恋をしていた訳でもない。友人だった訳でもない。その日、初めて出会った。そしてそれ以来会うことは無かった。
目的は、クラスの配布物を渡すだけだった。雪はそれを貰うと静かに微笑み、僕にこう語りかけた。
「雪って、見た事ある?」
僕は静かに首を振った。
「否、ない。僕は生まれも育ちもここだからね。存在や形形状は写真で見たことがあるからわかるのだけれど、それがどのくらいの速さなのか、大きさなのか、冷たさなのか。まったく分からないんだ」
彼女はまた薄く笑った。
「そう、だよね。私も、雪って名前なのに雪を見た事がないんだ。でもね、今日は雪が降るかもしれないんだって」
彼女は4人部屋に居たが、彼女以外に人はいなかった。おかげで彼女は窓際のベットから外を眺められる。彼女はずっと窓の外を見ていた。
「せめて、死ぬ前には見てみたいな」
けれど、結局その願いは叶わなかった。その日に雪が降ることは無かったのだ。そして、数日後に雪は亡くなってしまった。
もうあれから10年が経つ。僕はまだ、雪を見る。
なんだか忘れてはいけないような気がするから。
窓のそば
温かい飲み物をはさむ
両手のひらが
ほんわかする
冷えてきたなぁ
ちらちら
白いものが
冷たい空を
舞い始めた
いよいよ始まったんだ
聖夜の予行練習
サンタの乗るソリが
素早く子供達の家を
移動できるように
事前に雪を降らして
トナカイさん達が
ソリをひく練習
寒い中
ありがとう
練習終わったら
イブまで
ゆっくり休んでね!
交通機関が乱れようが
恐ろしいほど寒かろうが
残念ながら関係ない。
一年でこの季節しか見れない
そんな景色を待たずにはいられない。
色も音もなくなる感覚。
心身と降り積もる姿は
雨より雹より美しく。
今はそれがもたらす
マイナスのことなんて考えられない
この季節だけの特権と美しさを
ただ待つのみ。
–雪を待つ–
生まれてからはじめての冬、わたしは風邪をこじらせて緊急手術を受けていた。その冬はとても寒く、滅多に雪の積もらない地元も夜には真っ白になっていて、母と私の帰りを家で待っていた父と兄は2人で雪だるまを作ったらしい。父母雪だるまと、兄雪だるまと、小さいわたしの雪だるま。朝になるとよっつの雪だるまはすっかり溶けていて、それを見た兄は「○○(わたしの名前)が消えちゃう」と一日中泣いていたそうだ。兄は当時5歳だったけれど、生まれたばかりの妹がもしかしたら...と不安だったのかもしれない。そのあと、兄はわたしが12歳の時に灰になって、わたしはメンタルクリニックに通いながら今もなんとか一人暮らしをしながら生きている。無口だった兄との思い出は数えるほどしかなくて、それでもわたしを思って一日中泣いてくれるような人がかつていたことは多分死ぬまで雪が降るたび思い出して、忘れられないんだろう。
みな雪の踏む夜に砕けたいはずで砥石が地金をまくる音