【雪を待つ】
「こっちは全然雪降らないね!」
君は言った。
窓を覗いて雪を待っている姿は可愛らしい。
男のくせに…
君は北海道出身だからそう思うのだろうか?
俺には、雪を待つ楽しさがよく分からない
不便になるだけじゃないか、
交通が止まるし、道は滑るし、転ぶし、最悪だ。
「…そうですか。あれ?先輩ってどこ出身でしたっけ?」
知っているのに、話したいから聞いた
「北海道だよ。そっから東京に一人暮らし。」
「はぁー」
俺も先輩につられて窓を見る
「雪ってさ、真っ白の雪とちょっと汚れた雪があるじゃん?」
「はい。」
俺は雪国出身ではないが、何となく想像できる
「僕、小さい頃真っ白な雪が大好きでさ…。とくに足跡がついていない雪に自分の足跡を残すのが好きでさ、雪が降るとあの頃を思い出すんだよね。あと、遠く離れた家族のことも思い出すよ笑」
笑いながら君は言った
「そうなんですね。想像つかないです。先輩冷静で静かな感じがするので……俺は雪国出身じゃないですが、確かに楽しそうですね。」
「…誰だって子供心はあるよ。」
ちょっと恥ずかしそうに先輩が答える。
先輩の意外な一面が垣間見えたような気がした
その姿に
雪も溶けてしまいそうなほど
心がほっこりした
先輩のためにも、俺も雪を待ってみる
これはまだ、俺が君に恋する前の話
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前回の番外編みたいになってしまった笑
この『同性恋愛』シリーズかなり好きです
12/15/2023, 2:50:02 PM