吹きすさぶ吹雪の音も聞こえない一面の銀世界。
ひとり佇む君の姿は袖のひとつも乱さずに、
ただ静かに君に見惚れた私を真っ直ぐに見た。
凍えそうな寒さも、凍てつきそうな冷たさも、
異常なほどの肌の白さに、輝きさえ見せる白髪に、
幻とも思える君は冬を誘(いざな)う女将軍だった。
私は毎年冬を待つ。雪を待つ。
―――…そして、君を待つ。
ただ一度の邂逅で私を魅せた君を求めるように。
身体が凍り、体温が下がり、感覚がなくなり、
目の前が霞み、指先ひとつ動かぬ身になろうとも、
再び君に会えるのならば極寒の地さえ楽園だろう。
【雪を待つ】
12/15/2023, 3:33:31 PM