『閉ざされた日記』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ホコリをかぶり、
色褪せた物があった。
手で払ってよく見ると
それは日記帳だった。
もう二度と書かないと
あの日閉ざされた日記。
私は物語を作るのが大好きで、
特に既に作った物語と
他の物語をそれとなく繋げるのが
本当に好きだった。
伏線を張っておくこともあれば、
思いつきで繋げることもあった。
物語を書いていたことは
ルーズリーフには収まらないくらい
幸せなひと時だった。
でも私も人だ。
どれだけ書きたいことが
頭に浮かんでも
上手く書き表せなかったり、
書きたいことすら浮かばなかったりと、
私はスランプになった。
あんなに物語を書くのが
好きだったのに
もうペンを握ることさえ
苦痛になっていた。
何を書いても
自分が納得する、
面白いと、
また書きたいと思えるような
満足いくものが書けなかった。
私の書いたものは
誰かに見せていたわけでは
なかったので、
私自身が満足しないと
意味が無かった。
好きだったことが
嫌いになりそうで、
好きなままでいたくて、
私は日記帳や
ルーズリーフに書いていた物語を
隠して閉ざしてしまった。
もう書かない。
いや、書けない、と。
"Good Midnight!"
ずっと忘れていた。
忘れようとしていた。
しかしいつも
頭のどこかで物語を作ろうとしていて、
切っても切れない
私の大切なことになっていた。
久しぶりに持つ
長時間書く用のペンは
何故かまだ感覚が手に馴染んでいた。
閉ざされた日記
親しかった友と、日記を交換していた時があった。
そこには、今日の出来事とか未来の事とか、たわいもない事を書いて交換していた。でも、親しいと思っていたのは、自分だけだったみたいだ。
事実を知ってからは、それっきり、日記も交換せず、話すことも無くなった。その時の日記は今も捨てられずにいて、見返すたび、あの日の記憶が昨日の事の様に蘇る。
閉ざされた日記
日記に日々の出来事を書いていた時期がある。映画を見た時の気持ち、喫茶店で食べたケーキの味、本を読んだ時に思い出したこと、友人と話したことの内容、夜に見た夢の情景。1日のことを短く書いていた。日記はただのノートで、6冊で500円くらいだった。なんの特別感もないけど、私の気持ちを書くには十分だった。大切にしていた。
ある時、勝手に部屋に入った母親が私の日記をこれまた勝手に読んだ。母親は私の文章の書き方、日記の付け方、私が日々感じること全てが気に入らなかった。私はあれから日記を書けていない。私の日記が閉ざされてしまったように、私の心も閉ざされてしまった。
ぼくのまいにちにっき!
7月18日(水)
今日ママになつやすみ用のにっきを買ってもらった!
これからまいにちにっきをかこうとおもう!
7月19日(木)
ママとパパとかきごおりをたべに行った!
めっちゃおいしかった!またたべたいな〜
7月20日(金)
おじいちゃんとおばあちゃんがいえに来た!
いっしょにあそんでくれてたのしかった!
でも...なんだかパパとおじいちゃんとおばあちゃんが
けんかしてた...ママはぼくのそばにいてくれたけど
なにかあったのかな...早くなかなおりできるといいな!
7月21日(土)
今日はおばあちゃんとおじいちゃんのいえに行った!
おばあちゃんがスイカ切ってくれてたべたの!
おいしかったな〜でもそのあとはまた
おじいちゃんとおばあちゃんとパパではなしてた
ぼくもお話にいれてって言ったらおこられちゃった...
今日はママもいっしょにはなしてたしそのときは
ちょっとつまんなかったな...
7月22日(日)
今日はしゅくだいしてた...やりたくないよ〜!
かんじとかめんどくさい!今日もだれもあそんで
くれなかったし...こうえんであそびたいよ!
7月23日(月)
今日はおじいちゃんとおばあちゃんとパパとママと
ちかくのかみさまがいるじんじゃに行った!
なんか...おはらい?っていうやつを
うけたんだけどぼくもよくわかんなかった!
でもね!なかがきんきらきんでたのしかった!
7月24日(火)
今日はぐあいがわるくてずっとげぇはいてた...
おばあちゃんとママがずっとせなかさすってくれたけど
ぜんぜんよくならなかった...でもびょういん
行かなくてよかった...!!ぼく大丈夫かな...
7月25日(水)
今日もずっとげぇはいてた...なんでかわかんないけど
きのうよりもぐあいがわるくなっちゃった気がする...
びょういん行ったほうがいいのかな...ちょっとこわい...
7月26日(木)
どんどんぐあいがわるくなってる...でもね!
きんきらきんなじんじゃにまた行けたの!なんかね
前とはちがうもっときょうりょく?なおはらい
みたいなのうけたの!おばあちゃんとおじいちゃんは
これでよくなるって言ってたけどほんとかな〜?
7月27日(金)
おばあちゃんとおじいちゃんのうそつき...
もっとわるくなってる...もう明日はにっきかけないかも...
ごめんね...早くなおったらいいのに...!
それから日記の続きが書かれることは無かった。
「これが精神病の男の子の日記ですか...読んでいて心が
苦しくなりますね...どんなに辛かったか...」
「あの...このきんきらきんな神社ってなんですか?」
「あぁ...それは多分精神科だね」
「精神科がきんきらきん?」
「これも精神病患者の症状の一つですよ幻覚ですね...」
「あぁ...なるほど」
「それにしても可哀想ですね...自分の両親と祖父母に
虐待されて精神を病んでしまうだなんて...
こんなに幼い子が...亡くなってしまうだなんて...」
「話によると具合が悪くなった息子を見て危機感を
覚えて病院に行ったけど精神的なものだと言われて
精神科に行ったらしいな...どこまで自己中なんだか...」
「本当にな...この子のような思いをする子を
増やしたくない俺達も仕事頑張るか...」
「そうですね次の事件現場はこちらです」
「よし行くか...」
ほーーーーーーーーんとうに日記って続かないんだよなあ。長音の間に眼球をぐるりとひとまわりさせ、はーあ、という感じ。
行動の習慣化には2ヶ月ほどかかるって、そうなんです?もう10年以上8時台始業の仕事をしていますが、それじゃあいつになったら6時にオートマティック起床できるようになるんですかね。
楽することはすぐ身についちゃうのにね。
書こうと思って買った日記帳(になるはずだった素敵な装丁の分厚いノートたち)が、きれいな硬い表紙とパリッとした美しい白紙を保って、何冊も本棚にまぎれている。それでも書くことは好きで、ときどきこうして思い出したように筆をとる。いや、親指を滑らせる。だからやっぱりノートは閉ざされたままで、そのうち気まぐれでウィッシュリストを書き込まれたりなんだりするのだろう。
背表紙の金の箔押しが、咎めるようにきらりと光る。
いつか、今よりずっと老いた先で、もっと色々と書き残しておけばよかったと、後悔するだろうか。ひとりになって、話し相手が自分しかいないとき、過去の自分が雄弁であればと、うらめしく思う日が来るだろうか。
だとしたらわたしは、もっと書いておかなければならない。
きのうディズニーシーでピーターパンのアトラクションに乗って、いつまでも子どものままでいられたらと泣いたこと。今日食べた冷凍のフライドポテトが美味しくて、同じ店に追加で3袋買いに行ったこと。気になるフランス製のバターがあること。週末は台湾に行きたいこと。いくらとサワークリームのクレープが食べたいこと。やりたいことも行きたい場所もいっぱいある中で、毎日毎日推しを眺めながら、なんとか正気を保って頑張って仕事に行っていること。
そんな物語にもならない、くだらない日常でも、まあ、白紙のノートよりちょっとは面白いでしょう。ね。油性のマジックペンでサインも添えておくから。
「閉ざされた日記」
閉ざされた日記
ブラック企業を退職した日
私は退職記念日にした。
最近友人からどう言う流れで退職出来たか
相談を受けた。
日記を見れば一目瞭然の私は
誰かの役に立てて嬉しいと思った。
蘇るあの日の出来事。
よく頑張ったな自分。
いや自分一人じゃ言えなかった。
友人が
自分の人生を自分で決めれなかったことが1番後悔するって言ってくれたんだっけな…。
今度は自分が誰かの為に。
日記を振り返るのも悪くない。
「閉ざされた日記」
今日あったことを記すもの。
昨日あったことを見返すもの。
何年も前にあったことを思い出せるもの。
思い出して不思議な気持ちになったもの。
日記帳 既に資源ごみとはいえ
再生紙にも念は残れり
メルヘン風鍵をなくした日記帳
写真も取り出せず引き出し奥
#閉ざされた日記
『閉ざされた日記』
数十年後、この日記を見返す日は来るだろうか
その時私はどう思うだろう
こんなこともあった、あんなこともあった
沢山蘇ってくるはず
きっと忘れ去った、思い出したくもないことも
私が死んだ後はどうなるだろうか
塵となって、いつかは私がこの世に存在した事実ごと
消えてなくなってしまうだろうか
今日を振り返り、今日は20行も文字を綴った
止まらない日もあれば、
一向に文字が浮かばない日もあり、
それらも全て私の人生の1部すなわち日記である
また、何千年も後のことを考えて、
それをまた日記に綴る
何千年後の人類か、はたまた違う生物か
私の日記を見て嘲笑するだろうか
未来はこんなに稚拙ではないぞ、と
私の思い描いた未来ほど単純ではない、と
まだまだ続く私の物語すなわち日記
今日は読了してしまった2冊の本について綴り、
気づいたら枠をはみ出してしまったのである
日記に限らず毎日何かしらの継続を行える人を尊敬している。
日記を書いていた時期が私にもあったのだが、自分の感情や行動を誤魔化さずに記すことは自分には難しかった。
誰に読ませるわけでもない日記を取り繕って格好つけてしまう。
それを、私自身が間違っていると認識した時に日記を書くことはやめた。
自分を偽らず、日々と向き合い日記を綴ること。
それを継続すること。
それはとてもすごいことだと私は思う。
自分と向き合うことは、なんでこんなにも難しいのだろう?
この疑問には内心では答えが既に出ていて、それを自分が嫌でもわかっているから苦しくなるのだ。
自分には日記を書く勇気がない。
#閉ざされた日記
しっくりこない展開を
軌道修正できずに
書き終えた恋物語を
二度と読むことはない
これ以上 よくも悪くもならなくていい
だから わたしの心に 踏み入らないで
踏み躙らないで
-閉ざされた日記
祖父が亡くなって
祖母のために買った猫が
17年生きて、永眠した
その1週間後
祖母が脳梗塞で倒れて
要介護4に
施設に行くことになって
色々片付けをしていたとき
一冊のノートを見つけた
祖母は67さいで
美しい人だった
病を得て、かつらをしても
綺麗だった
だけど、認知症になってからは
目についた目やにさえ
きづかない
字も書けない
そんな祖母の最後の日記には
迷惑かけてごめん
兄貴ごめん
と書いてあった
娘でも
孫でもなく
兄貴
施設に会いに行くと
祖母は最近
しっかりしてきて
私のこともわかるし
少しずつ話ができるように
なって元気
だから
たくさん会いに行くよ
閉ざされた日記
私がいま書いている日記
最後はどう処分するのかと
たまに考える
予測できるケースも
できないケースもあるだろうが
赤裸々に書いているぶん
あまり人には見せたくない
書いたあと
1年後に白くなって見えなくる手帳でもあれば
と思ったが
それこそ
クラウド上で良いわけだよな
今だって
スマホでこの言葉を打っているわけだから
そういえば
あの頃の文豪たちが赤裸々に書いていた
日記帳。
堂々と博物館に飾られていたりするけれど
あれはいたたまれない。
恋人に宛てた手紙を公開しているもの、あれも心が痛む。
見たほうが成仏するのか、成仏という考えでなんとでもなるのか、死人に口なしなだけなのか。
しかし、日記帳や手紙については
法で守られるべきとも思う。
恥ずかしい言葉は、目の黒いうちに消しておこう。
心のなかに閉まって。
俺が何回死にたいと言っても
じゃあ死んでみろよと、もう
誰にも言って欲しくない。
・閉ざされた日記
126.『20歳』『寒さが身に沁みて』『ずっとこのまま』
20歳になった。
なにか特別なことが起こると思ったが、特に何も起こらなかった。
別に今日に限った話じゃない。
私の人生で、異国の王子様にプロポーズされたこともなければ、勇者しか抜けない聖剣を抜いて魔王討伐の旅に出かけることもないし、異世界転生して女神様からチートをもらえるとかもなかった……
特に特筆すべきものはない、ありふれた人生。
自分が特別な人間であると本気で思ってたわけじゃないけれど、実際に『何者でもない自分』を突き付けられると、それはそれで悲しいものだ。
私はまだ、心のどこかでロマンスを求めている。
20歳になっても、諦めは悪いままだった。
「そうは言ってもだ」
別に自分の人生に不満があるわけではない。
素晴らしい家族に愛され、良き友人にも出会い、お互いを高め合うライバルと火花を散らした。
大学も希望のところに入れたし、サークルでも友人関係は良好だ。
驚くようなドラマはないけど、これと言って不幸もない。
平穏で、満ち足りた良い人生だった。
「あとは恋人がいれば満点だけど……
ま、そのうちいい人見つかるでしょ」
「子供にはモテるんだけどなー」、そう呟いた時だった。
「それはどうかしら?」
「誰っ!?」
誰もいないはずの部屋から声がする。
声のしたほうを振り向くと、部屋の入り口に見知らぬ女性が立っていた。
「ここは私の部屋よ!
出て行って!」
「あら、寂しいわね。
よく知っているはずよ」
「あなたなんて知らない……
……あれ?」
どこか見覚えがあると思った。
ぼんやりとした顔立ち、やや癖のある髪、そして微妙にダサいTシャツ。
まさか!
「お察しの通り、私はあなた。
5年後の、25歳のあなたよ」
私は開いた口が塞がらなかった。
今日まで平凡な人生を送って来た私に、突如未来の私がやってくるだって!?
ありえない。
目の前の状況を理解できず、ただ呆然とするしかなかった。
だが25歳の私は、返事も待たず話を続けた。
「警告しに来たの。
あなたはこのままだと、何も変わらない。
ずっとこのまま、特に変わり映えのない人生を送ることになるわ」
「そんなことっ!」
「そして恋人は出来ない」
「えっ……」
私は愕然とする。
私には、他の何が出来なくても、どうしても成し遂げたいことがあった。
それは恋人を作ること。
平凡でなくてもいい。
幸せじゃなくてもいい。
彼氏が、愛が欲しかった。
でも、5年後の私はそれを否定した。
冬の寒さが身に染みても、暖めてくれる恋人がいない。
どれだけ惨めなことか。
絶対に避けたかった未来を突き付けられ、私はその場で泣き崩れた。
「あなたの絶望は分かるわ……
でも大丈夫。
その未来を回避する方法がある」
「合コンよ」
5年後の私は、親指を立てながら言った。
「出会いがないなら作ればいい。
そうでしょ?」
「合コン……?」
「なんで私が、19歳じゃなくて、20歳の所に来たか分かる?
それはお酒が飲めるようになるからよ。
お酒が飲めるなら合コンに行き放題。
そうでしょ?」
「でも勇気が……」
「確かに私には勇気が無かった。
おかげでずっと独り身……
私みたいに寂しい思いをする必要はないわ。
勇気を出しなさい!」
「そうね。
やってみるよ!」
暗い未来を照らすべく、私が合コンを決意した時だった。
「それはどうかしら?」
「「誰っ!?」」
私と25歳の私は、声のしたほうに振り返る。
そこにいたのは、どこか見覚えのある女性だった。
「まずは自己紹介させてもらうわ
私は、そこで泣いている10年後の私。
30歳の私よ!」
「「な、なんだってーー」」
私と私(25)は驚きの声を上げる。
「話は分かっていると思うから、本題に入るわよ。
合コンはダメ。
諦めなさい」
「ふざけないで!
合コンをせずに、どこに出会いが落ちていると言うの!」
私(25)は私(30)に食って掛かる。
しかし私(30)は気にした様子もなく、そのまま話を続けた。
「確かに出会いはあったわ。
けど、ろくでなしばかり……
どれだけ情熱的な言葉を囁いても、男にとって全部遊びみたいなもの。
すぐに飽きるの。
合コンなんてするだけ無駄よ」
「そんな……」
私(30)の言葉を聞いて、私(25)ががっくりと膝をついた。
「じゃあ、どうすれば……」
「マッチングアプリよ」
私(30)は断言した。
「アプリには本気の人間だけが集まって来る。
遊びの人間なんていない。
どうせ恋人を作るなら、結婚前提で探すべきよ」
「なるほど」
どうやら私(30)の言っていることは正しそうだ。
すぐに行動を起こすべく、私がスマホのロックを外した時だった。
「それはどうかしら?」
「「「誰っ!?」」」
またしても声がした。
私と私(25)と私(30)が振り返ると、やはり見覚えのある女性がいた。
「前置きは無しよ。
私は31歳、よろしくね」
「そこは35歳じゃないんだ……」
思わず突っ込む。
「で、何しに来たの?
マッチングアプリも無駄とか言わないよね?」
私(30)が食って掛かる。
「無駄よ」
予想通りと言うべきか、私(31)は私(30)の言葉を否定した。
「言ってくれるわね。
じゃあ、どうしろって言うの!」
「いいえ、何もする必要はないわ」
「諦めろってこと?」
私(31)は首を横に振り、ゆっくりと左手を上げた。
綺麗な指輪をはめた、左手の薬指を見せつけるように。
「私、この度結婚しました!」
「「「えーーーーー」」」
まさかの展開に、私たちは言葉を失う。
「「「相手は誰?」」」
「親戚に、ショウタくんっていたでしょ」
「12歳年下の子だよね
だから今は8歳にだったかな。
それが?」
「あの子がずっと私の事好きだったんだって。
あの子が私にプロポーズしてくれたの。
もう、嬉しくて嬉しくて」
私(31)が頬を赤らめながら恋する乙女のように身をくねらせる。
およそ31歳のする仕草ではなく、正直直視するのが辛かった。
「おめでとう」
私(30)が祝いの言葉を述べる。
「おめでとう」
私(25)も祝いの言葉を述べる。
「お、おめでとう」
そして、私も空気を読んで祝いの言葉を述べる。
『一回りも年下だぞ』と思ったが、言える雰囲気ではなかったので、そのまま黙っている事にした。
多分、二人には私のあずかり知らぬ事情があるのだろう。
年の離れた恋人でも構わない事情が……
「言いたかったのはそれだけ。
じゃあね」
そう言って私(31)は去っていった。
「満足したから、私も帰るね」
「同じく」
そう言って、私(25)と私(30)も去っていった。
残されたのはただ一人。
20歳の私だけ。
「いったい何だったんだ」
合コンやアプリ登録の決意までしたのに、なんだったのか……
騒ぐだけ騒いで、勝手に帰っていく未来の自分たち。
あれが同じ『私』だとは思いたくなかった。
歳を取るということについて、5分くらい考えた後、私は一つの決断をした。
「とりあえず…… ショウタくんに悪い虫がつかないよう、今の内から可愛がるか」
なんだか心がざわざわして眠れなかった
まるで息をしているだけで罪を犯しているような
心当たりのない罪悪感に苛まれながら
寝返りをうってはため息を吐く
居ても立ってもいられなくなって
私は長らく閉ざされた日記を開いた
言いようのない感情を無我夢中で書き殴って
ふと読み返してみると
私は何の罪も犯していないのに
全ての人間が私を嫌っている気がして
私は誰にも愛されないんじゃないかって
貴方が遺した閉ざされた日記には、
何が書いてあるの?
…気になる。見たい。貴方を感じたいよ。
でも、でもね。――。
―…弱虫な私には、まだよめないや、ごめんね
(閉ざされた日記)
あの日。。でも、今、ここにいる。
「……あれ、これ」
母が生前使っていた机の、下から二番目の引き出しから、一冊の日記帳を見つけた。それは筆まめな母が毎晩のように書き付けていたものだった。
幼い頃から、お喋りなくせに大事なことはあまり言わない母がいったい何を思っているのか気になって、中身を見せて欲しいと何度も強請っていたが、一度たりともその願いが叶ったことはない。ある時期を過ぎた頃から強請らなくなったが、それは単に、母も一人の人間だということを認識するようになったからであって、興味が失せたわけではない。それは今も続いている。
……何が言いたいかと言えば、読みたいのだ。
気を遣るべき母はすでに亡き人となってしまった。父は一定の距離を取ることで他者と信頼関係を築く人で、さらに母の尻に敷かれていたので、彼女のもっともプライベートな部分──ここで言えば日記の中身──には無遠慮に触れようとしない。この日記帳の存在を知らない可能性すらあるような始末なので、きっと目撃されても何も言いはしないだろう。
──例えば、家族の大切なものをひとつ自由に見られるとしたら、君はどれを選ぶ?
▶︎閉ざされた日記 #17
閉ざされた日記
隠された場所に保管して
あるけれども
暗号を忘れ…
閉ざされた日記は
ずっと見ることは
できない
謎なまま…
奇跡よ起れ