『鏡』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
氷面鏡 テキーラロックでカッコつけ
映る姿は 下戸そのもので
不機嫌で 態度が悪い 怒られた
これは鏡だ お前の姿
【鏡】
貴女の目に映る私がホントの私で
私の中にある私はニセモノです
貴女に送る熱光線が反射して
私に返ってきた時
どうしようもない不快感におそわれるのです。
落とした鏡のようにこの恋が
歪に、細かく、割れてしまえば
私は躊躇いもなくすぐ捨ててみせます。
捨ててみせるから
『お題:鏡』
僕には鏡のような友人がいた。
友人と呼んで良いものか、少々疑問には思っているのだけど。
彼は他人のはずなのに、僕に瓜二つの顔立ちで妙に親近感を覚え、毎日会っては何気ない話をするのがお決まりになっていた。
ただ、今日はダメだった。
少しだけ話す内容を間違えてしまったのだ。
「今日は暑いね」
僕が話題を振る。
すると彼は、
「今日は暑いね」
と、共感の意を言葉にしてくれる。
「最近は全然雨とか降らないね」
「そうだね。最近は全然雨とか降らないね」
「隣のクラスの菅沼くん、期末試験の現代文、満点だったらしいね」
「そうだね。隣のクラスの菅沼くん、期末試験の現代文、満点だったらしいね」
「それにしても、自分に取り柄がないと生きるのがつらいよね」
「そうだね。自分に取り柄がないと生きるのがつらいよね」
「何のために生きてるのかわからなくなるよね」
「そうだね。何のために生きてるのかわからなくなるよね」
「いっそのこと、死んじゃえばいいのかな」
「そうだね。いっそのこと死んじゃえばいいよ」
「……?」
お前、誰だ?
鏡を見れば、いつもの自分がいる。しかし、指を重ね、瞳を合わせて
「あなたはだあれ」
と問いかけると、何故か別人が向こうにいる様に感じる。いつもの自分とは。自分が自分であると証明するのは、自分が自分でないと証明することより、遥かに難しい。
そうは思わないかい、キミ。
そう、そこのキミ。不思議そうな顔を浮かべているね。いや、興味深いものを見るような顔かな。
キミは私で、僕はキミ。
なんだかおかしい?そんなひどいや。俺はオレだよ。キミはひどい顔をしているね。どうしたんだい。話を聞かせてよ。無言じゃ何もわからないよ。そんなにアタシに話したくないのかい。悲しいなあ。
ところで、キミの名前は?
今日も鏡に映る誰かに話す。
2024/08/19 #鏡
一昨日は昼寝昨日は一日中寝て今日は一振の雨と来て明日は何が起こるのか皆にも分からない☆
鏡…それは無くてはならない
大切な友と言っても過言ではない
私のすべてを知っている
ボサボサ頭のノーメイクの顔も
メイクが上手く仕上がった顔も
新しい洋服を買ってファッションショー
独りでブツブツ言いながら…
答えてはくれないけれど
ありのままを映し出してくれる
鏡よこれからもよろしくね
✴️123✴️鏡
わたしとか見えるそれは本当に私なのか遅く動いたり早く動いたりしても真似してくる鏡の中のあなたは本当に私なのかな?
「鏡」と呼ぶことで反応するように設定した
ChatGPT搭載型のアレクサに質問する王妃
#現代版白雪姫
〜鏡〜
「俺がこの世で一番嫌いなものって鏡なんだよね。」
高校の時に友達が言っていた印象的な言葉だ。
彼は決して顔が悪くなく、むしろ整っていた。スタイルも良かったため、私は疑問に思い、「別に見た目悪くないのに、なんでそんなこと思うの?」と素直に聞いてみた。
すると、「いや、別に見た目の良し悪しじゃなくて、自分の姿をそのまま映されると、その自分の姿に見合う言動を無意識のうちにしようとしちゃうんだよね。自由度が無くなるというか、小さく収まるというか……。別に鏡に悪意はないことは分かっているんだけど、それもモヤモヤするんだよね。怒り、とまではいかないけど……そういった感情の矛先を鏡に向けようと思っても、鏡はただそこに存在しているだけだし。だから俺はなるべく鏡を見ないようにすることにしたんだ、」
彼がそんなことで悩んでいたことに対して、どこかかわいさを感じた。気持ちは分からなくもないが、そんなことで鏡のことをこの世で一番嫌いになれるエネルギーに、ある種の子どもらしさを感じたからかもしれない。
また、そんな彼の話を聞きながら、鏡に縛り付けられる彼を想像して思わず吹き出しそうになった。
彼がそんな私を見て不思議そうな表情でこちらをのぞいてくる。
私は再びかわいいと思った。その表情はもちろん、鼻の穴からピョンと出ている毛がマヌケだったからだ。
「どうしたの?」と彼は戸惑いを隠せない様子で私に聞いた。
「いや、別に何ともない」と私は答えた。続けて、「でも、鏡は多少見たほうがいいかもよ。悪いことは言わないから。」と言った。
「だからさー、俺は鏡が嫌いなの。」
そう真面目に答える彼をからかうように伸びている鼻毛を見て、どこかいじらしい気持ちになる。
「じゃあ、やっぱり鏡は見なくてもいいかも!」
鼻毛が伸びているマヌケな様子がとても可笑しいから、もうしばらくこのままにしておくことにした。彼には悪いが。
夏が終われば綺麗な紅葉が咲く。
そうなれば艶やかな紅と美しい黄色が織り成すグラデーションが光と共に照らされ
まるで鏡みたいな池に映されきっと皆を魅了するんだろう。
鏡を眺めて笑顔になれるなら悲しい思いはしないかもね?少なくとも一人の心が楽になる魔法なら意味はあるかもね。Mirror mirror on the wall, who's the stupidest of them all?この問いに意味があるって思うなら真意は不幸だろうね。
(ほんとうのことはほんとうすぎるから、無意味なものとかわらないのかも?)
「Q.水面に映した自分の心は恥ずかしいものじゃないですか?」A.恥ずかしいものだったとして今更それをどう変えたらいいんですか?
ああ、仲良しこよしが平和ならばきっとイジメが消えることはないな。真実なんて力を持たないし、虚像をずっと信じていられたらいいなあ。みんなのためにが正義ならばきっと戦争が終わることはないな。どこに汚れぬ雪などあろう。他を汚さないのなら。
鏡
鏡は不思議
不思議な現象が起きるから面白いのだ
2019年頃に洗面所の鏡に小学1〜3学生くらいな
オカッパ頭の女の子を私を見ていた。
鏡を見た当時の私は、幽霊?と、
戸惑ったけど、鏡に映る女の子を見ていたら
不思議と、私は微笑んで、女の子も
ジッと私のことを呆然と見ていたけれど
笑顔になって消えた
着物を着ていたので、オカッパ頭の女の子は、
座敷童子かも?と、思う瞬間だった
今では、良い思い出
鏡
鏡を見てしっくりくる服を今日のデートでは着よう
そう心に決めて服を決めて外に出た
時間をかけて決めた服に貴方はなんて言った?
「いつもとなんか違うね、」
「いつもの方がいい」
嬉しいけど、聞いてみることにした
「いつもの自分を好んでくれるのは嬉しいけど
今日の自分も好き?」
「んーまぁ、好きだけど微妙かな」
「…え?」
好きって言ってくれるのかと思ったら、好きだけど微妙かな?
びっくりしすぎて声が出た
いつもの服装に戻そうかな
帰ってからいつもの服を着て鏡を見た
鏡だけは今日の服装を好んでいるのかもしれない
いつもの服を着た時は鏡が曇って見えたから、
鏡を味方につけて次のデートも服を決めよう。
#鏡
(この世に鏡なんてなければよかったのに)
洗面所で毎朝そう思う。鏡がなければ、自分の姿が見えなければ、人々は—特に女の子は—こんなに苦しむことはなかったのに。そう、娘が苦しむ姿を見て思う。
「……なんでママに似なかったんだろう」
それが中学2年生の娘の口癖だ。前々から鏡をじーっと見ていたが、この夏休みに入ってからはその行動がより酷くなった。暇さえあればずっと洗面台の前にいて、鏡で自分の顔を見続けている。
確かに娘は父親似で、それでも私からみれば可愛いのだけれど、客観的に描写するなら目は奥二重だし、眉の長さが短くて麻呂眉っぽいし、鼻が少し幅広だし、口は小さめで、丸顔で、背も低めだが、だからと言って悲観するほどの顔でもスタイルでもないし、そもそも人生、容姿で悲観する必要は特にない。気にすべきは表情であり、身だしなみであり、所作振る舞いであり、教養であり……とりあえず言いたいこととしては、顔の造りやスタイルではない。
そう言い聞かせ続けているのだが、娘には「ママは生まれつき美人だからわからないよ」と言われてしまい、ここ最近はもう黙るしかない。娘が言うには二重の大きな目、長いまつ毛、形の良い左右対称の眉、鼻は特別高くも低くもなく顔の中心にあれど主張せず、唇は程よい厚みで口は大きすぎず、顎は小さすぎず丸身を帯びていて卵形の輪郭というのを私の顔は兼ね備えており、それは美人の顔なのだと言う。顔面偏差値アプリだってS評価だと証拠のようにスマホの画面を見せてくる。そして背も平均より高く、ほぼ8頭身で、足の長さは身体の約47%と長いし、腕もそれに比例して長い、しっかりした肩とくびれのあるウエストの対比ゆえにエックス型の女性らしい体型でスタイルだって良い、と何やら私の身体をメジャーで測りながら主張していた。
「でもね、小雪ちゃん」
私は諦めつつ声をかけた。娘が洗面所に立ち続けて2時間が経つ。別に洗面所に用があるわけではないので邪魔ではないのだが、さすがに病的だ。
「私だって肌の色が浅黒く年中小麦色で、それが昔はコンプレックスだった。でも、陽菜乃ちゃんと同じくらいの歳の頃に、小麦色の肌だって健康的で素敵だと思うようになった。そもそも肌なんて歳を取れば黒ずみ、シワシワになり、シミが湧いてくるものだしね。こだわったところで仕方がないって思うようになったのよ。ありのままの自分で満足するようになったの。とはいえ、小雪ちゃんが色白に生まれた時はよかったなって思ったけど。何色の服を着せても似合うし」
「そりゃ、肌はパパに似て良かったかなって思った。でも、そのプラスをマイナスにするくらいそれ以外の要素が嫌い」
「小雪ちゃん、どうせ見た目は衰えるのよ。最終的にはどうでも良くなるの」
肌はともかく容姿全体、どんなに美人に生まれたとしても歳を取ればおばあさんにはなるし、どんなにスタイルが良くても歳を取れば縮むのだから、こだわったところでどうしようもない、と私が思うようになったのは娘に言ったように中学生の頃だった。確か女優のマギー・スミスの若い時を見た時に思ったのだったか。若い時は美人でも、歳を取ればどうしたってバランスは崩れる。肌はシワシワに、目は落ち凹むか飛び出るか、口元は間延びするし、輪郭だって変わる。それでも総合力があれば「美しい」のだと思った。
だから私は、人を見るときも容姿は気にしなくなった。どうせ生きている限り、容姿は移り変わるものなのだ。だから、文学という趣味が合い、会話を楽しめる夫を選んだ。初めて写真を見せたとき、両親には「……へぇ」と言われた。夫はイケメンとは言えない、背も高くない、と言うか私の方が高いので男性にしてはかなり低い。男性平均より10cmは低い。職業が医者でなければ、両親からはもっと酷い反応をされただろう。
それでも、いくら本を買っても怒らない、同人活動に参加するのを茶化さない、旅行の際に作家の聖地巡礼を組み込んでも嫌がらない人、というのを条件にして選んだ夫は私にとっては最高の人だ。夫婦で読書会ができるし、新刊のために書いた一次創作小説の原稿も楽しそうに読んでくれるし、頼めば本棚を増設してくれるし、旅行で観光地でもなんでもない場所に立ち寄るのも許してくれる、というか夫も乗り気でついてきてくれる。娘に対してだって、忙しくても一日一回は何かしら会話しようとしてくれるし、学校行事にはなんとか都合をつけて出てきてくれるのだから良い父親のはずなのだ—見た目を受け継いだと言う一点を除いては。
「はぁ……ママは本当にわかってない。歳をとった時のことは考えてないの。大事なのはこれから謳歌する青春、若者でいられる期間においてなの」
「仮に私が美人だとしても、若い頃に特に恩恵なんてなかったけれど……ノリの良い明るい子たちの方が断然楽しんでいたわ」
「違うの、生物として一番美しくいられる期間を目一杯、自分のために楽しみたいのに見た目のせいで楽しめないの」
「そこがよくわからないのよ。別に好きな格好をして好きな場所に行けば良いじゃない。美しさが何に影響するの?鏡を見る時間を好きなことをする時間に使いなさいよ、メイクしているわけでもないんだし」
私たちは一般人である。別に娘も芸能人になりたいと主張してきたことはない。だとしたらなぜ、美しい容姿が必要なのだろう。芸能人のような容姿が評価に加わる仕事が夢というのならまだしも。そもそも大人になればメイクでいくらでも化けられるし、娘が望むなら成人後に目を二重にするくらいなら止めはしない。眼瞼下垂症の治療のようなものだ。目がぱっちり開いた方が気持ちだけでも世界が見えやすくなるというのなら安い物だと思う。
だが、娘は「天然の美人」にこだわるらしい。可愛くはなりたい、美人にはなりたい、けれど、誤魔化したくはない。本人曰くナチュラルメイク以上のメイクや、整形、厚底ブーツ、写真の加工も誤魔化しなのだと言う。雰囲気可愛いや雰囲気美人も嫌いだと言う。娘の詐欺メイクや整形、カメラのフィルターや加工アプリに向ける視線は厳しい。それらは本物の美人ではない。不自然だ。人工物だ。
「生まれながらの美人、素材からして美人であることにこそ価値があるの!」
そう言って、鏡を見てはため息を吐く。こんな生活を夏休みに入ってずっと繰り返している。自分は美人ではない。顔面偏差値アプリではどうやってもBより上にはならないし、いくらまだ成長期と言ってももうあまり背も伸びないの身体における足の長さは46%になるかどうかといったところで7頭身がやっとだし……とぶつくさ言い続けている。
(どうしたらこの状況を打開できるのだろう)
娘には私の言葉が届かない。なぜなら私は娘にとって美人だから。かと言って、夫にはさすがに言えない。娘も、夫がいる日にずーっと鏡の前に立ち続けることはない。親族間の笑い話として「パパ似なのが嫌だ」みたいに言いはするが、それはあくまでも笑い話の文脈であって、さすがの娘も「心の底からパパ似なのが嫌で仕方がありません」という姿を本人に見せるのは悪いと思うのだろう。
そもそも娘は夫の素晴らしい頭脳を受け継いでいて、その点には感謝しているはずなのだ。別に私かて偏差値60の高校および大学の出身なのだから、仮に私の頭脳を受け継いだからと言って一般的には頭が悪いことにはならないけれど、偏差値68かつ理数系に強い頭脳を受け継いだ方が学業上は楽だ。娘はその頭脳を受け継いでいるにも関わらず、容姿に過度に執着している点が本当によくわからないのだけれど。なぜこの一点だけ、物分かりが良くないのだろうか。
(ねぇ、鏡よ、鏡さん)
私はほとほと困って、鏡に向かって心の中で呼びかける。
(世界で一番じゃなくてもいいから、娘に美人だって、生まれながらに美人だって言ってあげてよ)
夜にやな予感がしたので鏡をみたら後ろにお化けがいた!
ある静かな町に、古びた鏡があった。この鏡は、町の中心にある小さな骨董品店に飾られていた。店主の老婦人は、その鏡が特別な力を持っていると信じていた。彼女は、鏡を覗くことで人々の心の奥底に隠された真実を映し出すと語っていた。
ある日、若い女性、名を美咲と言った彼女は、店に足を運んだ。美咲は自分の人生に迷いを感じており、何か新しい道を見つけたいと思っていた。店主は彼女に微笑みかけ、「この鏡を見てごらん」と言った。美咲は半信半疑で鏡の前に立った。
鏡の中に映ったのは、彼女の顔だけではなかった。美咲は、自分が本当に望んでいること、心の奥に秘めた夢が映し出されているのを見た。それは、彼女がずっと憧れていた画家になることだった。しかし、現実には安定した職に就いており、その夢を追う勇気がなかった。
「この鏡は、あなたの心の声を映し出すのよ」と店主は言った。「自分の本当の気持ちに耳を傾けなさい。」
美咲はその言葉に勇気をもらい、鏡の前で涙を流した。彼女は自分の夢を諦めることがどれほど辛いことかを実感した。そして、決意を固めた。彼女は画家としての道を歩むことを決め、町を後にした。
数ヶ月後、美咲は自分の作品を展示するための個展を開くことになった。彼女は鏡の前で見た自分の姿を思い出しながら、一つ一つの絵に心を込めて描いた。個展の日、彼女の作品は多くの人々に感動を与え、彼女はついに自分の夢を実現した。
しかし、彼女の成功は一時的なものではなかった。美咲は次第に自分の作品が評価されることに喜びを感じる一方で、周囲の期待やプレッシャーに悩まされるようになった。彼女は再び鏡のことを思い出し、心の奥にある真実を見つめ直すことにした。
ある晩、彼女は再び骨董品店を訪れた。店主は彼女を温かく迎え入れ、「どうしたの?」と尋ねた。美咲は、自分が成功を追い求めるあまり、本当に大切なものを見失っていたことを話した。店主は静かに頷き、「鏡はあなたの心を映すだけ。あなたが何を求めているのか、何を大切にしたいのか、それを見つけるのはあなた自身よ」と言った。
美咲は鏡の前に立ち、自分の心の声を聞こうとした。すると、映し出されたのは、ただの成功ではなく、絵を描くことそのものの楽しさや、他の人々と感動を共有する喜びだった。彼女は、自分が本当に求めていたのは、名声や評価ではなく、純粋な創造の喜びであることに気づいた。
その日以来、美咲は自分の作品を通じて、人々に感動を与えることを目指すようになった。彼女は鏡の教えを胸に、心の声に従いながら、自由に絵を描き続けた。そして、彼女の作品はますます多くの人々に愛されるようになった。
美咲は、鏡が映し出した真実を忘れずに、これからも自分の道を歩んでいくのだろう。彼女の心の中には、いつもその鏡が存在しているのだから。
自惚れ鏡というように
鏡は決して真実を映し出しません
なぜなら人は自分の好きな角度でしか
鏡を見ようとしないからです
「鏡よ鏡。世界で一番美しい人は誰?」
「わからない」
「この世界でもっとも美しい人よ。本当にわからない?」
「はい」
「おかしいわね。本当に美しい人を思い浮かべている?」
「はい」
「ほら、思い浮かべているんじゃない。それは人でしょう?」
「はい」
「男性ですか?」
「部分的にそう」
「部分的にそう!? まぁ今は多様性の時代らしいから性別は問わないのかも」
「はい」
「じゃあその人は私と会ったことがある?」
「多分違う」
「会ったかどうかは把握してない、と。なら私とは似たところがある?」
「いいえ」
「私とは対極に位置する美人。それなら交わらないのも納得かも」
「はい」
「でも全然分からないわ、降参。一体誰を思い浮かべていたの?」
「あなたの想像する人物です」
「名を出せって言ってるの!!」
ガシャン
『鏡』
他人の視線をもとに、
自分の座標を確認する
他人は鏡とは
よく言われることだ
どうして人は
自分の立ち位置を
自分ひとりで
分かることが
出来ないのだろう
自分はじぶん
人と比べたくなんかないのに
鏡
「ひどい顔してる…」
涙が枯れるまで泣き続けた目元は赤く腫れて、流れる涙を何度も拭ってせいで頬も赤くなっている。
「…」
あれだけ泣き続けても、あのことを思い出すと涙がまた出てくる。付き合って3年になる彼が知らない女の人に笑いかけては、腕を組んでいるところを見てしまった。
彼の職業柄、何かしらの捜査かと思った。それだけだったら、まだ良かったんだ。jnpiはその女の人にキスをし女の目を見ながら微笑んでは耳元で何かを言っていた。
腕を組むならまだわかる。キスって、なに?
そして、何で私はソレを見たの?なんで??
知らなかったらよかったのに…分からなかければよかったのに…っ
「jnpi」
悲しみから徐々に心の奥が火種ができた。その種は徐々に大きくなり、私の中で憎悪が生まれた瞬間
あぁ……朦朧とする意識の中で鏡が割れる音が、した。
*•*•*・*•*•*・*•*•*・*•*•*・
風呂から上がって髪の毛をタオルで乾かしながら、鏡を見る
疲れ切った顔してるな
「…やっと、終わったな」
やっと終わった。
異世界から来たと騒いでいた頭のおかしい奴をzeroの所で捕まえることが出来た。アイツがいたせいで夢主にも会えなかった。
zeroの彼女も危険に晒されるわ。本当に厄介だった。あまつさえあんなクズに、キスまでするハメになった。
最悪だ。
「……チッ」
俯き手で顔を覆う。あぁ、気持ち悪りぃ。
アイツにキスした所が…ここは夢主だけの場所だったのに
夢主に会いたい。会って抱きしめたい。あの女のせいで、夢主に気軽に会いにも行けなかった。危険に晒したくなかった。
「会いたいな…」
「だれに?」
「は…ゆめ、」
夢主の声がして顔を上げると夢主が鏡に映っていた。後ろを振り向こうとした瞬間頭に衝撃がはしり、気づいたら俺は床に倒れていた。
声が出ない。意識が遠のく
視界が霞む…
「大丈夫だよ。私も直ぐにいくから」
夢主の声がした。
なんで…泣きながら笑ってるんだよ
お前…な、んで…