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「ひどい顔してる…」

涙が枯れるまで泣き続けた目元は赤く腫れて、流れる涙を何度も拭ってせいで頬も赤くなっている。

「…」

あれだけ泣き続けても、あのことを思い出すと涙がまた出てくる。付き合って3年になる彼が知らない女の人に笑いかけては、腕を組んでいるところを見てしまった。

彼の職業柄、何かしらの捜査かと思った。それだけだったら、まだ良かったんだ。jnpiはその女の人にキスをし女の目を見ながら微笑んでは耳元で何かを言っていた。

腕を組むならまだわかる。キスって、なに?
そして、何で私はソレを見たの?なんで??
知らなかったらよかったのに…分からなかければよかったのに…っ

「jnpi」


悲しみから徐々に心の奥が火種ができた。その種は徐々に大きくなり、私の中で憎悪が生まれた瞬間

あぁ……朦朧とする意識の中で鏡が割れる音が、した。



*•*•*・*•*•*・*•*•*・*•*•*・

風呂から上がって髪の毛をタオルで乾かしながら、鏡を見る
疲れ切った顔してるな

「…やっと、終わったな」

やっと終わった。
異世界から来たと騒いでいた頭のおかしい奴をzeroの所で捕まえることが出来た。アイツがいたせいで夢主にも会えなかった。

zeroの彼女も危険に晒されるわ。本当に厄介だった。あまつさえあんなクズに、キスまでするハメになった。

最悪だ。

「……チッ」

俯き手で顔を覆う。あぁ、気持ち悪りぃ。

アイツにキスした所が…ここは夢主だけの場所だったのに

夢主に会いたい。会って抱きしめたい。あの女のせいで、夢主に気軽に会いにも行けなかった。危険に晒したくなかった。


「会いたいな…」
「だれに?」
「は…ゆめ、」

夢主の声がして顔を上げると夢主が鏡に映っていた。後ろを振り向こうとした瞬間頭に衝撃がはしり、気づいたら俺は床に倒れていた。

声が出ない。意識が遠のく
視界が霞む…

「大丈夫だよ。私も直ぐにいくから」

夢主の声がした。

なんで…泣きながら笑ってるんだよ
お前…な、んで…

8/19/2024, 7:01:05 AM