『鏡』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
~鏡~
本と同じように見事な細工入った銀の手鏡
どこにでもお供させていたが
鏡は戦場であっても割れることはなかった
56文字の黒の史書
―鏡―
「鏡よ鏡
あなたはものや人の
真似をすることでしか
個性を発揮出来ないような
在り来りで典型的なろくでなしなのね
っふふ、真に受けないでよ
冗談よ、冗談
では、鏡よ鏡
あなたや私のような
個性のない量産されたような奴は
世でどのような扱いを受けると思う?
そう、私たちは“役立たず”
というレッテルを貼られ
何も出来ず、除け者にされるの
だから、魔女狩りの対象にもされて、
狩りから逃げるために
こんな地下でひそひそと生活しなくちゃ
ならないのよ
地下にあなたを連れてきたのは
私の孤独を和らげるためよ
あなたが私の真似をしてくれるだけで
独りじゃないような気がするの
あなたも何も出来ない筈なのに
私はあなたに助けられているわ
不思議ね」
その鏡は心を映す
私の心はドス黒く醜かった
#鏡
【鏡】
鏡ば自分を映してくれる。
表面の自分を
だけどね・・・
聞いたことがある
鏡に映るのは本当の自分とは少し違って
その場所の光の加減によって本当の自分は見えないしそれに鏡は自分を反対に映してるだけだからね。
決して現実と同じではない
だから
偽りの自分を見てあれこれ言ったり思ったりするのではなく本当の自分を大切にしてほしいと私は思う。
あなたは私の鏡。
同じ顔で笑い、泣いた。
でも少しだけ、鏡の方が頭が良い気がした。完璧に私にそっくりな鏡。私を真似る、真似られることができる鏡。
それなのに、私より頭が良くちゃダメじゃない?
鏡を壊す。すると、とてもすっきりした。
紫鏡なら聞いたことがあるけれど、赤い鏡は初めて見たわ。とても綺麗ね。
『鏡』
鏡に手をかざす。
右手を上げているはずなのに、鏡の世界では左手を上げているように見える。
不思議。
鏡の世界では何が行われているんだろう。
鏡に手をもっと近づける。
───その瞬間、私の意識は途絶えた。
目が覚めると、鏡の世界に居た。
鏡の前で、私が髪を整えている。
鏡の世界は、何もない真っ暗な世界。
無の中に存在する、「私」という人間。
この世の世界はもしかしたら、「鏡の向こう側」
ではなく、「こっち側」の世界なのかもしれない。
毎回鏡を見ると思う。
なんで女に産んでくれなかったんだ。
女に生まれたら楽だったかな。
「女みたい」って、言われなくてもいいだもんね。
女性っていいよね、
グループでも楽しそうに話して、
休日、皆で遊んだりするんだよ。
可愛いねって言われても
別に嬉しくないし。
だって僕は男の子なんだよ。
女の子じゃないのに、
小さい頃から、かわいいかわいいって
みんなには女の子に見えてるの?
今日もかが見に問う。
「僕、女の子に見えますか」
1人で「男の子だろ?」と返事をして納得する。
1つため息をつく。
自分の姿をうつすのは表面だけで内面の自分を映し出す事は出来ない
内面を映し出す時は自分の本性を晒すことになるだろう
母の胎を出たときから
喜びにあふれるときも
悲しみにくれるときも
怒りにまかせるときも
愛するときも
愛されるときも
傷つけるときも
傷つけられるときも
病めるときも
健やかなるときも
日照りにうだるときも
嵐うずまくときも
なんでもないときも
もし私が死んでしまったときでも
あなたのやさしい光を映す鏡に
私はなれているだろうか
【21,お題:鏡】
人は人を鏡のようにして自分を見るんだって
だから、可愛いって言われたら「自分は可愛いんだ」って思うし
逆に、不細工とかキモいって言われると「自分は不細工でキモい奴なんだ」って思ってしまう
どんなに見ないようにしても、そこら中鏡で囲まれたら嫌でも目に入るし
必死で目を瞑っても、それはそれで不安になって結局見てしまう
そんなときは、自分で鏡を持てばいい
周りの鏡に映った自分じゃなくて、自分の鏡に映る自分を信じてあげよう
そしたら、ほんの少しでも自分を好きになれるかもしれない。
これは私が小学3年生の夏休みに、実際に体験した話である。
築70年になる祖母の家には開かずの間があった。
今でいう古民家だろうか。作りは古いがその分丈夫で風通しも良かった。家には中庭があり、それを取り囲むように廊下がついている。
その開かずの間は、中庭に面していて陽当たりも良く、居間も水回りも近い。住むのにはうってつけの部屋なのだが、祖母はその部屋を決して使わなかった。
その部屋に通ずる襖にはつっかえ棒をしており、部屋を開けている所も見た事は無い。丁度居間に面した部屋なので、開かずの間より奥の部屋に行きたい時は一度中庭に出ないといけなく、とても不便だった。
「なんでその部屋使わないの?」と尋ねた事がある。祖母は「悪い物を閉じ込めているんだよ。だから決して近づいたり開けたりしてはいけないよ」と言い、私が遊びに来る度にその部屋に入るなと念を押された物だ。
だが昔から好奇心が旺盛で落ち着かない子どもだった私はらその部屋が気になって仕方なかった。
祖母の家に遊びに行っていた時だ。両親は集まった親戚達と騒ぎ、子供の私は退屈していた。同じ様に暇を持て余した歳上の従兄弟達と家の中でかくれんぼをする事になり、従兄弟の1人な鬼で私とその他の従兄弟が隠れる。何処に隠れても、何度やってもすぐに見つけられてしまうのが悔しく、私は絶対に見つからない場所として開かずの間に隠れる事にした。
部屋を開けると、6畳一間の正方形部屋になっていた。入って目の前に中には一段高くなった床間があり、掛け軸が掛けられ日本人形が置かれていた。その日本人形と向かい合う位置――入り口の襖を半分塞ぐ形で、三面鏡の古びたドレッサーが1つあるだけだった。
中は普段開けてないとは思えない程に綺麗でカビ臭さなどは無い。知らないだけで祖母が普段から掃除をしているのだろうか。
まだ従兄弟が数を数えているのが聞こえる。他の従兄弟も見ていない。隠れるなら今だ。私は慎重に扉を閉めてからキチンとつっかえ棒が作用しているのを確認し、襖に耳を近付けて外の様子を伺った。
しばらくして、数を数え終わったらしい従兄弟の足音が聞こえて来た。私の名前を呼びながら探し回っている。まさか私が開かずの間に隠れている何て夢にも思わない筈だ。私は足音が通り過ぎるのを確認してから、気になっていたドレッサーに近づいた。
三面鏡のドレッサーは閉じられた状態になっていた。引き出しを全て開けてみたが中身は無い。座面が開いて箱となっている椅子の中にも何も入っていなかった。
「つまんないの」
てっきり何か出てくるのではと期待していたのだが、特に何も無い。私は椅子に腰掛け閉じられた鏡に手を掛けた。
三面鏡を開き中を覗き込む。当然だが、正面には自分の顔左右を見ると、合わせ鏡になって自分が複数居るように映るのが面白い。右を見たり左を見たり、鏡の角度を変えて遊んでいた時だった。覗き込んだ奥の方に映った私の顔が歪んだような気がした。私は目を擦ってもう一度確認する。そこに映っているのは間違いなく私だ。歪んだ顔などしていない。気のせいだったのだろうか。不思議に思いながら正面に向くと、左右に映る自分の顔が歪んだ。
「え!?」
私は思わず声を出してしまう。左右の鏡を確認すると、やはり歪んだ顔が写っていた。私は正面を見ていた筈なのに、正面の鏡もと左右の鏡も全部が私が正面を向いた姿で映っている。合わせ鏡なのに、合わせた姿が映っていない。
「ど、どういうこと……?」
左右の鏡に映った顔は歪み続け私では無い誰かを写した。左の鏡にはまだ若い…2歳児位だろうか、赤ん坊とも呼べそうな幼い子どもの顔に変わる。
右の鏡には自分よりかなり歳上だ。20…いや30歳位か。親戚のお姉さんと同い年位に見える。確か歳は28歳だったはずだ。
左右それぞれ違う顔がこちらを見つめている。正面には自分の顔。そしてその自分の顔も段々歪んでいく。歪んでいる…というよりは溶けているという方が正しいだろうか。
皮膚が爛れ肉が削げ骨が見え始める。目玉が溶けて落ちた。なのに表情は笑ったまま変わらない。よく見ると、左右の顔も同じ様になっていた。それぞれ笑ったまま顔が溶けていく。
私は恐怖のあまり言葉にならず、腰を抜かし椅子から落っこちてしまった。鏡に映った顔は尚溶け続けていく。
その時、息苦しい事に気がついた。息をいくら吸っても酸素が入らない。周りを見ると辺りが煙で充満していた。
「何これ!?煙がいっぱい…どうしよう。どうしよう、逃げなきゃ」
私は慌てて襖に近づき開けようとするが、つっかえ棒のせいで襖は開かない。
部屋はどんどん熱を帯び、あっという間に炎で囲まれた。湧き出るように汗が出て、暑さのせいだろうか、皮膚が痛い。全身を針で刺されているような感覚だ。
「助けて!!火事!!私ここに居るの!!お願い!!」
必死に大声を上げて助けを求めるが、周りは火事に気が付いてないのか外は静かである。それどころか、遠くから親戚達の笑い声すら聞こえてきた。
襖を叩いて声を出し続けるが、一向に助けは来ない。部屋は真っ赤に燃え上がり煙で充満していく。
「確か火事の時は姿勢を低くするって言ってた……」
小学校の防災訓練を思い出し、床にしゃがみポケットのハンカチを口に当てた。大分煙を吸ってしまい、もう息が出来ない。
「苦しい……。なんで誰も助けに来てくれないの………」
朦朧とする意識の中鏡に映っているのは燃え盛る部屋と、苦しみながら悶える3人の顔だった。真ん中に映る私も、既に私では無い何かだ。
何故こんな事になってしまったのだろう。興味範囲でこの部屋に入ったのが悪かった。ちょっとした出来心と、対抗心だった。祖母が頑なに開けないこの部屋に何を隠しているのか、歳上だからと何をやっても勝てない従兄弟を悔しがらせたかった。それだけの事で、私は今死んでしまうのか。そう思うと、次第に涙が溢れてきた。
「ごめんなさい、ごめんなさい。謝ります、神様。助けて下さい。もうしませんから…許して下さい」
泣きじゃくりながら、私は必死に謝り続けた。助けが来ないのは私が悪い子だからだ。ちゃんと謝れば神様は許してくれると、祖母は言っていた。私は手を合わせて、謝り続けた。
「その心を忘れてはいけないよ」
後ろから声が聞こえた気がした。部屋には私1人だけのはずだ。振り向いてみるが、あるのは日本人形と掛け軸だけ。
「今のは……?」
その瞬間急に息が出来るようになり、辺りの炎は消えていた。暑かった部屋も涼しく、掻いていたはずの汗もひいている。一体何があったのだろうか。
恐る恐る三面鏡に近付くが、そこには私の姿が映るだけだった。私はそっと鏡を閉じる。その時、襖が開いた。血相を変えた祖母が飛んで入ってくる。
「ここには入っちゃダメって言ったでしょ!」
普段温厚な祖母の強い怒鳴り声と、部屋から出られた安心感で、私は再び泣きながら「ごめんなさい。もうしません」と繰り返し謝った。後にも先にも、祖母があんなに大きな声を出したのはその時だけだった。
私にとってあの部屋に居た時間はかなり長く感じたが、実際は10分程度だったらしい。一通り見たのに私だけ見つから無い。親戚たちに確認するが、場所を知らないという。
好奇心旺盛な私がこの部屋の事が気になっていたのは周知の事だった為、この部屋に居るのではと開けてみたところ、案の定隠れていたという訳だ。
散々叩いた襖の音も叫んだ声も誰も聞いていないらしい。私はあの時間一体何処に居たのだろうか。確かに開かずの間に居て、助けを求め続けていたはずなのに…。
後にわかった事だがこの家は戦時中に焼け落ちた所に建て直した物らしい。その家には病気がちで部屋に閉じこもって居た30過ぎの女性が居た。女性には2歳になる娘が居たが、体が弱く2人で部屋で過ごす事が多かったらしい。
戦時中、家が火事になりその女性と子供は逃げ遅れ命を落としてしまった。その時、唯一焼け残っていたのがこの三面鏡だ。酷い火事の中、女性は三面鏡の下に潜る様な姿で見つかったらしい。腕には小さい我が子を抱えた姿で。
三面鏡に映った溶ける顔は、その女性と子どもだったのでは無いだろうか。そして真ん中に映った私は、同じ目に合わせて苦しませる為だったのだろうか。
あの日聞こえ声は日本人形の物だったのかは定かでは無い。祖母は「あの子はおばあちゃんのお母さんから貰った大事なお人形さんでね、おばあちゃんのお守りだよ。あんたの事も守ってくれたんだね」と言っていた。祖母はあの三面鏡の事を知っていて、守り神の日本人形に見張らせていたのだろうか。結局詳しい事は言わないまま亡くなってしまったので詳細はわからない。
その後あの家は火事に遭い全焼した。聞くと発火の原因は開かずの間では無いかと言っていた。一番焼け方が酷かったらしい。
しかし、中庭に面して閉じられた部屋。コンセントの類もない部屋からどうして発火したのかは今も謎のままだ。
火事によりあの三面鏡も日本人形も燃えてしまったが、幸い祖母は留守にしていた為無事だった。やはり祖母を守ってくれたのだろうか。
祖母はその後数年元気に過ごした後、老衰で亡くなった。
祖母の家があった場所は火事の後新しい家が建ち別の人が住んでいる。その後あの場所がどうなったか私は知らない。
出来る事ならあの火事で燃えた三面鏡と共に、成仏していて欲しいと願うばかりだ。
#三面鏡【鏡】
ココロノナカノカガミ
自分の心は窮屈すぎて時々
わからなくなる
テーブルの上に置いた鏡に映る自分との距離感
そのくらい離れて見ててくれたらいいのにと思う。
いつもピカピカで銀色に輝くその鏡は
なりたい自分にさせてくれる
鏡の中の自分がそう言う。
僕は少しずつ、とても限られたものではあるけれど、食べるという行為ができるようになってきていた。歯を磨きに洗面台の前に立つ。鏡に映る、未だに青白い顔。美容室に行くはずもなく、伸びっぱなしの茶色の髪。自分ではさみを持って、ざっくり切ってしまっても良かった。でも、やっぱりできなかった。こんなになるまで伸ばしてしまった、大嫌いだった茶色の髪。彼女が、彼女だけが、好きだと言ってくれた色の髪。
僕は、母のヘアゴムを一本、手に取った。
自作小説『感情喰い』より
鏡に映った自分はすごく疲れて見えた
時には立ち止まって
自分と向き合うことが必要なんだと知った
ありのままの自分を受け入れることも
必要なんだと知った
本当の自分をわかってあげられるのは
自分しか居ないんだから
【鏡】
四時四十四分、別館の一階と二階の踊り場にある大きな鏡を覗き込むと、映った自分が動き出し、鏡の向こうの世界に連れて行かれる──。
夜雨と春歌が通っていた小学校では、そんな七不思議のひとつがまことしやかに囁かれていた。
あの日の夜雨は、放課後の図書室で本を読んでいた。熱中して、ふと顔を上げて見た時計の針は四時半を少し過ぎたところ、冗談みたいに図書室が、窓の外までもが夕日で真っ赤に染まっていた。元々の色が判らないくらい何もかもに赤が重なって、空気すら紅く色づいていた。
それで小学生の夜雨は、鏡を覗きに行こうと思い立った。
旅立つにはおあつらえ向きな気がした。鏡の向こうの世界でもどこにでも、ここじゃなければどこでも良かった。
図書室は本館の二階にあったので、渡り廊下を通って別館へ。階段を見下ろし、これを下りて四時四十四分に鏡を覗き込めば──ごくりと唾を飲んだところで。
「ヨウ」
背後から呼びかけられて、ビクリと肩を震わせた。
「春歌。まだ残ってたのか」
振り返れば、とっくに帰ったと思っていた春歌が紅を纏いながら立っていた。紅いし薄暗いしで顔がよく見えなくて、本当に本物の春歌かな、なんて考えが頭をよぎった。
「一緒に行くよ」
何が、何を。何も話していないのに、何故か通じあっていた。春歌は夜雨が鏡の向こうに行こうとしていることを知っていたし、夜雨は春歌が少しの躊躇もなく付いてこようとしていると解っていた。
こくりと頷いて手を差し出せば、春歌がそれを握った。
そうしてふたりで、ゆっくりゆっくり、一段一段階段を下りた。
結論を言ってしまえば、鏡の向こうの世界には行けなかった。
ただの眉唾だったのかもしれないし、何しろ時計を持っていなかったので、単に四時四十四分とズレてしまっただけなのかもしれない。
夜雨と春歌はしばらく鏡を覗き込んで、手足を動かして鏡の向こうの自分が同じ動きしかしないのを確認すると、顔を見合わせて帰路についた。繋いだ手はそのままに、無言で歩いたことをよく覚えている。
あれきり夜雨は、踊り場の鏡を覗き込んだことはない。
異世界に行かずとも、世界は少しだけ変わったことに気づいていた。
あの日の四時四十四分を境に今は、ふたりで世界を捨てられることを知った世界に生きている。
私だけの鏡がある本当の姿を映す鏡があります。それはいつもの私じゃない本当の姿誰か気づいてお願い。助けて
ある朝鏡を見たいつもは見ないのに
そこには知らない顔が写っていた周りを見回しても誰もいないもう一度鏡を見ても知らない顔がある。
なぜだ?私は疑問符に埋もれた
そして数分それと見つめ合って気づいた私の顔はこんなに変わってしまったのかと、
育児の疲れ、夫への疲れ、仕事への疲れすべてが気づかないうちに私の体へ侵食してきていたのだ
➖鏡➖
毎日、日常生活を過ごす上で誰もが必ず見るし、それを欠くことはできないと思うのは鏡だろうと思う。
なぜかというと、例えば
メイクする時。
スキンケアをする時。
歯磨きをする時。
髪を整える時。
服を見繕う時。
自分という"外見"を自分で見ようと思ったなら、鏡が必要だからだ。
私はいつも、鏡の向こう側にいる自分に対して話しかけることがある。ただし、それは自分ではなく、他人に向けて何を伝えたいかを考えている。
そんな風に、シミュレーションすることもある。
鏡の中にいる自分は、少なくとも悲観的ではない。
好意的に捉えてくれている-いや、相手はこんな風に自分を見て欲しい。
そう、これは私の願望がそうさせているんだろうなと客観的に思う。
はたから見ると、鏡にむかって話しかけてる…と奇妙に思われるだろう。しかし、やめられないのだ。
他人とのコミュニケーションは、私にとっては時々難しく、思うようにならず疲れてしまう。だから、時々こうして仮想相手にして密かに練習している。
その練習が成果を出せているかは、それはまた別問題なのだが。
鏡に映る自分を信用してはいけない。
それは自分とは正反対の自分だから。
人脈も性格も個性も何もかも。
だからこそ、恐ろしいのだ。
彼らは入れ替わろうとしている。
自分という存在意義を見せつけたいがために。
本物よりも優れ、認められるために。
貴方が産まれて死んでいくまで
彼らは機会を窺っている。
誰よりも貴方のそばにいたのだ。
真似をすることなんて容易いだろう。
もし、入れ替わる事が出来たなら
それを貴方じゃないと認識する人は存在しない。
ー鏡ー
ワタシハアナタ、アナタハワタシ。
ワタシが笑えば、アナタも笑う。
ワタシが泣けば、アナタも泣く。
ワタシが怒れば、アナタも怒る。
ずっと、同じことをする。
……ワタシがこの世から消え去るまで。
〜鏡〜