鏡に手をかざす。右手を上げているはずなのに、鏡の世界では左手を上げているように見える。不思議。鏡の世界では何が行われているんだろう。鏡に手をもっと近づける。───その瞬間、私の意識は途絶えた。目が覚めると、鏡の世界に居た。鏡の前で、私が髪を整えている。鏡の世界は、何もない真っ暗な世界。無の中に存在する、「私」という人間。この世の世界はもしかしたら、「鏡の向こう側」ではなく、「こっち側」の世界なのかもしれない。
8/18/2023, 9:31:37 PM