leikenessa

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 僕は少しずつ、とても限られたものではあるけれど、食べるという行為ができるようになってきていた。歯を磨きに洗面台の前に立つ。鏡に映る、未だに青白い顔。美容室に行くはずもなく、伸びっぱなしの茶色の髪。自分ではさみを持って、ざっくり切ってしまっても良かった。でも、やっぱりできなかった。こんなになるまで伸ばしてしまった、大嫌いだった茶色の髪。彼女が、彼女だけが、好きだと言ってくれた色の髪。
 僕は、母のヘアゴムを一本、手に取った。





          自作小説『感情喰い』より

8/18/2023, 6:55:39 PM