『鋭い眼差し』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
あの人は、私のことをどんな眼で見ているのだろう。
顔を上げればすぐにわかるけど、いつもそれができない。
あの人とは、時々学校ですれ違うだけで話したことは一度もない。
それなのに、私はいつの間にかあの人に恋をしていた。
確かに顔は整っているけど、そこを好きになったわけじゃない。
不思議だけど、あの人とすれ違うと温かい気持ちになる。
あの人のまとう空気感がきっとそうされるのだろう。
私はたぶんその優しさに恋をした。
今日もしすれ違うことがあれば、頑張って顔を上げてみよう。
あぁ、今からもうドキドキしてきた。
君を好きになったきっかけは
その先にある未来を常に見据えて
どんな逆境にも怯まず立ち向かっていく時に
ふいに見せる
その挑むような鋭い眼差しでした
【鋭い眼差し】
鋭い眼差し
その眼が、嫌なんだ。
鋭く険しい表情で、まるですべての根源が私のせいだったかのような責める眼差し。
私があなたの運をコントロールしていると信じて疑わないような、そんな目付き。
ちがうよ、そんなことしてないよ。
掠れた声は音にならず、ただその目に怖じけたように後退りすることしかできない。
その眼はいつも、私を不幸にする。
鋭い眼差しでこちらを見ている。
「そこにあるんだろ?よこしな」とでも言いたげに。
たった今差し上げたばかりです。
ちゅーる。
(鋭い眼差し)
こちらを鋭い眼差しで見てくる人間がおる
鋭い眼差しながらもその瞳の奥には
悲しみがみえる
きっとあの人間は幸せになりたいのだろう
【鋭い眼差し】
資料を見つめる君の鋭い眼差し。声をかけるにかけられず困り果てていた侍女たちの姿を思い、私は小さくため息を吐いた。まったく、配下を無駄に怯えさせないでほしいものだ。ただでさえ怜悧な顔立ちをした君が眉を寄せて目を細めていると、近づいただけで周囲の全てを切り裂く抜き身の刃のような恐ろしい印象を受ける者も多いのだから。
「ねえ、そろそろ夕飯の時間みたいだけど。いったん休憩にしたら?」
君の横から手を差し入れて、眼前でひらひらと手のひらを振る。ぱちりと一度瞳を瞬かせたあと、ゆっくりと君は私の顔を見上げた。
鋭利だった瞳の色が、柔らかくほどけていく。甘やかで優しい、いつもの君のものへ。深い夜が刹那にして明けるようなこの瞬間が、私はいっとう好きだった。
「あれ? もうそんな時間?」
「そうだよ。集中すると本当に周りが見えなくなるんだから」
朗らかな軽口を叩き合いながら、君の背を叩いて立ち上がるように促した。
がらんとした街並に
落ち葉だけが舞う
夕暮れ
風の向こうから
忍び寄る冬の足音
この寒空に似合うのは
祈りうたひとつ
祈りうたは
あのひとへの想いの
安らかな眠りだけを願う
わたしの恋の挽歌
寒さに震える唇で
呟くようにうたえば
秋はいよいよ
白さを増しながら
季節を変えていく
☆ 祈りうた (304)
優しい 優しい
あなたの瞳が好き
私を叱ってくれる時
鋭い眼差しで
真剣に語ってくれる
あなたの瞳は
もっと好き
【鋭い眼差し】#20
#鋭い眼差し
君はキッと鋭い眼差しで僕を睨みつけた。
こんなことして良いと思っているの?
どうにかこうにか、激情を表に出さないように怒りを押し殺した声で君は僕に問う。
良いとなんか思ってない。
だけど、君に僕の傍から離れないで貰うにはこうするしかなくて…。
普段から老若男女問わず、人気者の彼女。
僕が、君の彼氏の僕が、君に見て欲しいと思うのは、イケナイこと?
普段は穏やかなのに
獲物を捕らえる
その瞳は
鋭く
ナイフのように
アレを捕える──
3.2.1...
心で唱え……
襲い掛かる──
生き抜くため……
日々、戦っている生き物達
(2023.10.15/鋭い眼差し)
鋭い眼差し
怖い、人相が悪いと言われるのはこの鋭い眼差しのため。俺は決して悪い人間じゃない。至って善良なこの俺の職業は介護士。共稼ぎで親は忙しく、俺は祖父母に育てられた。祖父はいつも、人のためになる仕事につけと言い、祖母はあんたは優しいから、介護士になれば安心といつも話していた。
俺は介護士という仕事が好きだが、どうも利用者さんは俺の事が嫌いらしい。
「この人、怖い」
「いや〜やめて〜」
俺は何もやっていない。身体を支えているだけだ。この目がいけないのか?眼鏡をかけてみたりするけど効果はない。コロナでマスクをするため、笑顔でいても、見られるのはこの鋭い眼差しだけ。
でも、この仕事が大好きだ。いつか分かり合える日が来る。
皆んなが安心して生活できるよう、今日も頑張るぞ〜。
「きゃー!この人、怖〜い!怒ってる〜」
怒ってないって、、、。汗。
わたしの行いの全て
わたしの思いの全て
善に向いているのか
悪に向いているのか
欲に塗れていないか
人助けをしているか
心が清浄であるのか
いつの時も心の色が
透明であるようにと
美しくあるようにと
丁寧に導いてくれた
あなたが見ていると
恥じない生き方をと
わたしは誓うのです
心の中で誓うのです
『鋭い眼差し』
警察官って本当に違うんだよ。一般人とはなんかさ、一線を画す人っているのよマジで。会ったことあるのは過去に一回だけだけども。
昔住んでたとこ色々あって少しの間そこ警察の人が出入りしてたことあるんだけど、制服じゃなくて所謂スーツの方の人ね。エレベーターホールで、まあ吾輩は誰であろうが人とは乗りたくはないので人いたからその時ホールに入らずにスルーした。そしたらそれはもうすんごい視線が飛んできたわけだよ。
本当に一瞬ね、視線来たのは。横目でチラのやつ。それだけで針みたいというか鋭い。あれだけで多分向こうも「あいつはここの住人」ってなったと思う。こっちは「うおっ」ってビビり散らかして二度見してから気づいた。顔見て「あ、警察の人だった」ってなったけど。
ああいう人が守ってくれてんのよ、安全をさ。
鋭い眼差し
私のことを大事にしてくれた人
私のことを見てくれていた目
今は…もう見てくれない
真っ直ぐ見つめてくるその刺すような鋭い眼差しが、私の心ごと射止めてきて、とても苦しい。
それでもこっちを見てほしい。その危険な香りとどこか悲しさを纏った瞳で、私のことを見ていてほしい。
近付いてはいけないのはわかっていた。
あなたのその瞳が怯えたようにこちらを見ていた。ずっと見ていたくて近付き過ぎた。そして私は殺された。
あの一瞬、安心した表情を浮かべた。それがもしあなたの本心だったのなら、それでもいい。私がいない世界でなら笑うことができるなら、その世界で幸せになってほしい。
死んでも忘れない。
研ぎ澄まされた細い刃のような、とても痛々しい、全てを貫こうと見つめてきた。私の心を捉えて離さないあの眼差し。
『鋭い眼差し』
マイクのハウリングが無駄に広い体育館に響き、いよいよ自分の番が来てしまったことを悟った。
肌寒い日になるので羽織るものを忘れずに、なんて言っていたのは、今朝の情報番組のアナウンサーだったか。
十月も終盤に差し掛かった今日は、確かにブラウス1枚では些か過ごし辛いようだ。暖房のない会場に集まった同級生たちも時々肌を擦り合わせては不満を囁いていた。緊張で寒さどころではない私を除いて。
原稿用紙に手の震えが伝わり、マイクが紙特有の音を拾う。それだけで臆病な私の心は羞恥心でいっぱいになって、いっそ気絶でもしてしまいたいと思った。
集団になった人間は怖い。
自分がマジョリティだと分かった途端、群れから外れた人間を嬉々としてねじ伏せてくるから。
個人では鬱陶しいくらいに身を低くしてやり過ごすくせに、仲間を見つけた途端に自分が強くなったと勘違いする。馬鹿で愚かなことだ。
獲物を狙う肉食獣のような眼が、壇上に上がった私を貫いた。
(大丈夫、私ならできる、大丈夫……)
効果も分からない「人」をさり気なく飲んで、大きく息を吸って。
「読書感想文、1にぇんA組……」
ああ。
────これだから!
『鋭い眼差し』
いつも私を刺していた
世界中の人間が多数決をして
何となく出来上がったその当たり前だとか
常識だとか普通なんてものさしに計られた
突き刺さるような、
馬鹿にするような
そんな視線を
いつもいつも心にぶっ刺したまま
誰かと同じように歩きたくて
でも歩けなくて
また明日も私は刺される
今日も疲れたと待つ者もいない家路に向かってトボトボと歩いて帰る。
ミャ〜
どこかで猫の鳴き声が!
途端にゴルゴのような鋭い眼差しとなり、検索モードに切り替わる。
四方八方に視線を走らせながら、鳴き声の発生源を探し歩いていると。
いた!猫だ!
鳴き声から子猫をイメージしていたが、思ったより大きいぞ。
シャムの野良なんて珍しいな。
警戒させぬように腰を低くし、さもエサでもあるかのように手元をモシャモシャと動かして見せる。
しかし鳴くを止めてコチラの動向を伺うだけで、考えなしに近寄ってくる感じではない。
チッ、チッ、チッと甲高い舌打ちで興味を誘いながらジリジリと近づいて行く。
すると腰を上げ、本気(マジ)で逃げ出す5秒前、一刻の猶予もない態勢だ。
ごめん、ごめん、おどかすつもりはなく、ただ友達になりたいだけだったんだよ。
しかたなくあきらめて距離を取り、またトボトボと家路に向かって歩き出す。
遠く離れ、警戒が解けた頃に、また鳴き声が響き渡る。
鋭い眼差し
※ポケモン剣盾二次創作 マクワとセキタンザン
※ポケモンが人体に悪影響を及ぼす設定
それは怒りだ。燃え盛る熱が両頬を掌で掴むようにじりじりと焦がし、マクワは立ち上る空気が揺れているのを見た。
普段白い眼が黒目を残しじんわりと赤く染まっていて、彼が今感情を抑える瀬戸儀に立っているのがわかる。セキタンザンと対峙してきたポケモンは、直接これを見てきたのだな。
胸の奥に燻るものとともに、鋭利な角度で出来たサングラスを抑える。目に届く光が少しだけ弱まって、口の中に唾がたまっていたことに気が付いた。
マクワとともにいるとき、いつだってセキタンザンはマクワを肯定し続けてきた。優しく温厚な性質の彼がその秘めた攻撃性を向けるのは、マクワの前に立ちはだかる障壁に対してだけだった。
「……実は今も視界がずいぶん狭くなっています」
マクワは言う。
「ぼくの肺……塵だらけで真っ黒なのです。一切喫煙はしていませんが、喫煙者の何倍も……。塵肺というそうです。つぎの試合が……最後です。その先はもう……あまり長くない」
セキタンザンの目が赤い炎を帯びる。背中の火炎が強まって、ふたりの狭間を高い熱が埋めていく。そうしてゴオ、と大きくひと鳴きすれば、口から音とともに火が漏れ出ていった。
大きな黒岩の太ももが動き、どすん、どすんと重たい足音が響いた。さらに天井に向けて猛々しく叫んだ。マクワは思わず目を瞑った。
ごつごつした、けれども馴染みのある感触が背中に触れて、それからぎゅうと前引っ張られ、胸の岩に圧しつけられる。視界が真っ暗になって、鼻孔を埃のような古馴染みのある香りが満たしていく。
「ボオオ……」
纏わりついていた熱は少しだけ遠ざかって、代わりに硬くてざらざらした石炭がマクワを包んでいた。セキタンザンはマクワをゆっくり抱きしめて、今の今まで火炎の光に充てられていた頬に頬ずりをする。
「……きみに言うのが遅くなりましたね。本当に……すみません」
「シュボ!」
顔は見えないが、マクワには伝わる。彼はこのリーグで戦い続ける生活がずっと、もっといつまでも長く続くと思っていたのだ。唐突に、しかも病気で終わるなんて考えているはずもなかった。
マクワはタールショットで発生するコールタールやその蒸気、粉塵に、ずいぶん前から検査の結果ダメだと言われていてもほかの人間より近く居続けた。
誰よりもセキタンザンを理解して、誰よりもセキタンザンを『魅せたい』ためだった。
「……ぼくは後悔していないし、したくないのです。たとえきみがぼくの身体に……何かしら影響を及ぼしているのだとしても、ぼくは最期まできみといたい」
「ゴオ……」
「それにね。……きみに近づいている。ぼくはそう思うのです。きみがくれるものをぼくの身体が受け取って……それを溜めた……きみに近づいた証拠」
背中に回されたセキタンザンの腕に力がこもる。
「ひとの身体が限界まできみという全く違う存在に近づいたのならそれはきっと……すごいことです」
「ボオ!」
セキタンザンは改めてマクワの顔を見下ろした。自分が長い痛苦を与え続けているというのに、平気だと言い切るバディのことを許したくはなかった。
大切な存在と、一秒でも長く居たい。それはひとやほかのポケモンと比較しても長い年月を変わらず生き続けられるセキタンザンだからこそ、何よりの願いでもあった。
そのためなら身体を張り、極寒に震えるいのちだって守ってきたし、苦手な戦いだって克服してみせた。
マクワもセキタンザンの視線を受け止める。
「でも……でも、うん……そうですね……いまもきみの顔がうまく見えなくて……。……むかしみたいにきみといて……ただ楽しいだけじゃない。……息が苦しくなるときがあるのも……それは……さみしい……かもしれません……」
「シュポォ!」
「けれどどうか……ぼくがずっと輝かせてきたきみに……見てもらいたいのです。ぼくのいのちがすべてを賭して、いちばんの輝きを放つ刹那。その瞬間があれば……その後のぼくもぼくで居られると思うから……」
セキタンザンは知っている。彼は頑なで、決めたことはやり遂げるまで絶対に曲げることはない。それはやはりいわに連なる志の在り方に違いなく、証明になれるものこそが自分の存在であることを。
そして誰もが死にゆき、変わることが当たり前の世界のなか、マクワが彼のいる場所で、なにかをいっとう強く置いておきたいことを。
「シュポォー!」
ずいぶんとマクワに毒された。マクワはセキタンザンに近づきたいというが、セキタンザンだってマクワに近づいてしまっていることもたくさんある。
この感情は、眼は、炎の揺れ方は、すべてマクワから受け取ったものだ。最後の試合に全力を叩きつけよう。マクワの選択と幸福を作れるのは自分しかいない自負がある。
だがしかし、それでも。
願わくば、大切なバディがバディとして変わりながらいのちを動かしていく姿を見ていたかった。
マクワと別れたその先には、はるか果てしないほど長い時間が流れ続けることを、セキタンザンはすでに見通していた。
鋭い眼差し
あなたに見つめられると、
ありきたりだけれど、
矢で射抜かれたように、
体が動かなくなる。