NoName

Open App

今日も疲れたと待つ者もいない家路に向かってトボトボと歩いて帰る。

ミャ〜

どこかで猫の鳴き声が!
途端にゴルゴのような鋭い眼差しとなり、検索モードに切り替わる。
四方八方に視線を走らせながら、鳴き声の発生源を探し歩いていると。

いた!猫だ!
鳴き声から子猫をイメージしていたが、思ったより大きいぞ。
シャムの野良なんて珍しいな。

警戒させぬように腰を低くし、さもエサでもあるかのように手元をモシャモシャと動かして見せる。
しかし鳴くを止めてコチラの動向を伺うだけで、考えなしに近寄ってくる感じではない。
チッ、チッ、チッと甲高い舌打ちで興味を誘いながらジリジリと近づいて行く。
すると腰を上げ、本気(マジ)で逃げ出す5秒前、一刻の猶予もない態勢だ。
ごめん、ごめん、おどかすつもりはなく、ただ友達になりたいだけだったんだよ。

しかたなくあきらめて距離を取り、またトボトボと家路に向かって歩き出す。
遠く離れ、警戒が解けた頃に、また鳴き声が響き渡る。



鋭い眼差し

10/15/2023, 5:14:08 PM