『部屋の片隅で』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ある日、甥っ子が部屋の片隅で泣いていた。
どうすることが正解なのだろう。
傍に寄り添うことしかできなかった。
甥っ子は私が近寄ると怒ってくる。
だけどそのときは抱きついてきた。
彼の手は冷たくて、微かに震えている。
暗闇に残された独りの子ども。
甥っ子の母親は出産の後息を引き取った。
甥っ子の父親、私の兄は事故で息を引き取った。
その頃の甥っ子はまだ4歳だったのに。
もう両親に会えないなんてとても辛いことだ。
私はそんな甥っ子をぎゅっと抱きしめてあげた。
甥っ子は小さく掠れた声で呟いた。
「ぼく、パパとママに会いたいよ。」
部屋の片隅で。
部屋の片隅で、また私は眠りにつく。
誰も知らない、私だけの場所で。
あの歌とは少し違うけど、部屋の片隅で毛布にくるまってまあるくなる。
ホットミルクでも作ろうかなと思ったけど、お風呂上がりに牛乳飲みきったことを思い出した。
……別に気分が落ち込むようなことがあったわけでもないし、何かに怖がっているわけでもない。
ただなんとなくこうしていたい。
毛布はぽかぽかのふわふわで、ちょっとこのまま寝落ちしてしまいそう。
まあ……今日ぐらいはいいか。明日も休みだし。
明日体がバキバキになってても運動したらきっと治るでしょう。たぶん。
それじゃあ、部屋を暗くして目を閉じて……夢の世界へ行きましょうかね。
青いタヌキと海賊の夢が見られたらいいな。
しょうもないラブソングを聴いて
散らかった部屋の片隅で
思い浮かぶのはなんであの人なんだろう
『部屋の片隅で』
「部屋の片隅で」
部屋の片隅に
ひっそりと仕舞っている写真。
未だに飾る事が出来ません。
想い出になる時は
くるのでしょうか。
今日も誰かに宛てて書きます。
部屋の片隅でこそこそすること、していたことってなにかありましたか。私は保育園や幼稚園くらい小さいころ、お母さんにかまって欲しくて部屋の隅で縮こまってみて、ほとんど毎回スルーされていました。
それよりもうすこし大きくなったころに部屋の片隅でしていたことといえば、ゲームかなあ。親に隠れて友達と通信をしたり、図鑑やアイテムをコンプリートしようと攻略本を読んだり。いまとなってはゲームを当時とおなじ熱量でプレイすることはないので、懐かしくてすこし寂しいですね。
いま部屋の片隅でしていることと言ったら、なんだろう。そういう発想をすること自体があんまりなくなってしまったような気がします。おとなになるってこういうことなのかなあ。
そういえばこの手紙も、部屋の片隅で書いているようなものかもしれないです。自己満足のかたまりで、あんまり大人数に見られたくはない。
でもそういうところに転がっているものって、なんだか味があるというか、きらきらして見えるんですよね。なんでだろう。
海岸に落ちているなんてことのない貝がらを、なぜだか拾ってとっておきたくなるような気持ちに似ています。
今日もなにか曲を書きます。
『ここから、ここから』という曲が好きです。
それこそ部屋の片隅で聞いていた曲です。
部屋の片隅でしていたことが、今の自分になるきっかけだったかもしれませんよね。
ようやく明日は日曜日ですね。今日もお疲れ様でした。終末も楽しみましょうね。
また。
「ぜったい、だいじょうぶだからね!」
小さな手が、僕の頬をはさんで強引に上を向かせた。悪意なんて微塵も感じられない無邪気な笑顔が視界いっぱいに映る。こつん、と額を合わせてもう一度同じ言葉を繰り返した。
小さな太陽みたいだと思った。
なんの根拠もないくせにその笑顔がすべて証明しているようだった。やまない雨はない、とか、そういう胡散臭いポエムとは違って目の前に完成品をぶら下げてそれ目掛けて走り出させてしまう、なんというか、パワーがある。
バイバイって小さな手を振りながら、反対の手を親に引かれて去っていく見ず知らずの子ども。僕と同じネームバンドをつけているのが不思議なくらい元気な様子だった。
いつか死んでしまうんじゃないか、もっと苦しむことになるかもしれない。尽きない不安とそれを助長する慣れない環境がつらくてしかたないのに、あの子はすごいな。
「…ぜったい、大丈夫だよね」
【題:部屋の片隅で】
部屋の片隅に、あなたが居た。
繰り返す日常の中、突然のことだった。
「どこから来たの?」と聞いても何も答えない。
とにかくご飯を食べさせて、お風呂に入れると、あなたは「ありがとう」と言うように「ニャー」と鳴いた。
それからの毎日は、一人暮らしの私に家族が増えて大変だったけど、なぜか、すごく楽しかった。
楽しいなんて思うのはいつぶりだろう。
そう思いながら、サラサラな毛並みを撫でる。
艶のある真っ黒なあなたは、鏡になりそうなほど綺麗だった。その鏡に私が映ると汚れてしまいそうで、目を逸らす。
あなたのご飯を作っているとき、玄関の呼び鈴が鳴り、私は急いでドアを開ける。見知らぬ女性が立っていた。
「黒色の猫を知りませんか?」
私はあなたの飼い主を見つけた。あなたの元へ女性を連れていこうとしてやめたのは、部屋の片隅に居たから。
「ごめんなさい、私が飼っているのは白黒の猫でした」
そう嘘をついて怪訝な顔をする女性に帰ってもらうと、あなたはまた「ありがとう」と言うように「ニャー」と鳴いた。
怯えていた。あの女性に。
猫の気持ちなんて、わからない。でもなぜか、あの日と同じ、怯えた表情をしていたから。
でも、それだけじゃない。
私はあなたに居て欲しかった。あなたが偶然あの日に私のところへ現れたとは思えなかった。
私はあの日死のうとしていた。
ロープも買った。準備はできていたのに、あなたが邪魔するように現れた。
あなたは私を助けてくれた。猫の気持ちなんてわからない。でも絶対に、絶対にそうだと思う。
_さっきから連続する呼び鈴がうるさい。
次は私があなたを助け、そして守る番だと、世界でいちばん大切な存在を部屋の片隅に隠して、
ドアを開けた___。
テーマ「部屋の片隅で」
鳴り響く雷雨に囲まれて
明かりが灯らないボロ部屋の片隅。
ひどく臭う土の香りと剥がれ落ちた木の板が
私を安心させてくれる。
突如開いた扉から
見知らぬ人の影
こちらへと進んでくるなり
「どちら様ですか?」
と聞いても答えてはくれず、
そのまま私の唇を奪って行った。
私は、お母さんが、私のことを、愛してないとわかった。生きるかちがないとわかりました。
私は、しんだほうがいいとおもいました。
ごめ
んなさい。声もかけたくないです。
生んでくれて、ありがとうございました。
あれは…1年の夏
3年の先輩方が引退後
部室を片付けていた
3段ボックスのような棚を
動かして掃除をしていた
黒いマジック?
点々と落書き?
近づいて見ると
部屋の片隅で
Gの赤ちゃんが沢山
蠢いていた
キャ〰〰〰❕
✴️234✴️部屋の片隅で
押し入れの小部屋の片隅では、フローラの匂いが満ちている。
それは隠れ家。狭く暗い所が落ち着く。入った者の心情である。
そこには時計はあるが針は止まっている。電池切れであるゆえに。交換する予定は無い。ただのインテリアとなっている。
人が独り入るだけで精一杯の小部屋。そこで紡がれるのは、部屋の片隅でをテーマにした物、
息を吸い、息を吐く。ただの呼吸。けれども、思考を切り替えるにはちょうど良い。
ランタンの明かり。それが小部屋を照らし出す。片隅に置かれたランタンは影を作り出す。
飾られた造花の蔦はラティスに絡みついて、緑の色彩を与えている。
ペンを走らせ、物語を紡ぎ出す。それはどんな物語なのか。
それは誰にも分からない。筆者でさえ考えていない。
ただ思うがままにペンを走らせゆく。物語の息吹に導かれるようにして。
秒針を刻まない時計は何を思っているのだろうか。
造花の蔦や花たちは何を思っているのだろうか。
ただ、小部屋の片隅では、ペンを走らせる音だけが鳴り響くのみーー。
ーー隠れ家小部屋にはどんな物語が眠っているのか。
それは誰にも分からない。ただ、紡がれる時を待つしか無いのだからーー。
部屋の片隅で
微かに残るモノがあった
消える事のないモノ
飽和した痛みと情報の中で
自分を立たすモノ
想い出の数々が
果てしなく追いかけ、咎める
責苦の様に続いたソレは
物語の末路に相応しいかった
……相応しかった?
本当に?
分からない
分かりたくも、ない
貴方が最期にくれた
ハートのネックレス
部屋の片隅に
追いやられたモノ
私を生かす為に、
片隅に残ったのは
微かな愛だった
夢を見よう
愛を語ろう
部屋の片隅で
始まりはそこで。
部屋の片隅で
まだ昨夜の迷いが舞っている
さあ、窓を開けよう
【部屋の片隅で】
部屋の片隅で
毎年この時期になると 何を贈ろうかと
ひとりで週末に出掛けて
お店で商品とにらめっこしていた
もうすぐ クリスマスだから
喜ぶ顔が見たい 驚かせたいと日々 仕事に励んでいた
駅直結型の新しく出来たモールのエスカレーターで
ぴったりと寄り添うカップルが見えた
去年贈ったマフラーの色が同じだったから
私の目に真っ先に飛び込んできた
そこから、ワタシはどうやって帰ったのだろう
目を閉じる
視線が一瞬交わったと思った
震える声を押し殺して
ワタシから落ちる瞬間の表情(かお)は
涙が線を描く
もう 隣りに愛しそうに向けていた
脚元から凍えて
言の葉よりも鋭く突き刺さった
自らの身体を抱き締めた
あれから 半年が経つというのに
ワタシは 未だ あの過去をリフレインしている
部屋の片隅で
明けない夜はないと信じて
部屋の片隅
そこには私の勇気の跡がある
悔しい日、苦しい日、反省しかなかった日
そこで小さくなっていた私が
もう1度、もう1日頑張ろうと動いた場所だから
目に見えなくても確かに残っている
部屋の片隅には
私の辛い思いの残骸とそこから動き出した希望への跡が
「こんなに星は綺麗だったのか」
いつも見ている景色なのにどうしてだろう
きっと常識に囚われていたからだろうか
世の中の汚れを見てから苦しかった
何も信用出来なくて、嘘ばかりついていた
でも僕は大空に飛び立った
羽を広げ、希望を胸に冒険に出かけた
あぁどんな宝物を手に入れるのか
疲れたらそこの丘で少し休んでみようか
そしてこの物語を君に教えたい
そんなことを今日も部屋を片隅で考える
【部屋の片隅で】
いつも明るくて元気なあの人が
もしかしたら深刻な悩みを抱えているかもって
思った日から、私は思ってる。
あの人の親はちょっと厳しい...みたいで、
テストで満点を取らないといけなかったのか、
テストの点数を見た瞬間、
あの人の目に涙が浮かんだ。
あの人が、袖でゴシゴシ涙を拭く姿を見ると
まるで心が締め付けられるようだった。
「なんで生きてるんだろ」
あの人のそんな一言を聞いて、無意識に
涙がこぼれてしまいそうだった。
そのとき私は用事があって詳しいことは
聞けなかった。私は直球で聞いた。
「辛いの?死にたいの?」
あの人は笑って言った。
「そういうわけじゃないよ」
誤魔化して無理して言ってるみたいで、
聞かない方が良かったと思う程、
聞いてる側まで辛かった。
でも、私は何も言えなくて、「そっか。」とだけ
言って、その場を後にした。
泣いて悲しみ、笑って喜ぶ。
感情が顔に出るあの人だから、私は考えてしまう。
部屋の片隅で1人、泣いているあの人の姿を。
「部屋の片隅」
実話を文章にして書きました。
実話...というか、最近の話...というか、
今、本気で悩んでる話です。
あの人っていうのは好きな人のことです。
『部屋の片隅で』
私は弟の耳を両手で塞いで、二人で頭から布団をかぶって震えていた。弟の手も震えて私の背中に回されている。
私だって耳を塞ぎたい。父親が母を罵倒する声なんて聞きたくない。だけど私は目の前の小さな弟を守らなければならない。
ガターン
大きな音が鳴った。たぶんまた父親が母に手をあげたんだろう。そんな音、聞きたくはない。
私の手もまだそんなに大きくはない。母の手より小さい私の手では、母を守ることもできない。弟の耳を必死に塞いでいても、完全にこの音を防ぐことなんてできない。
だけど私は弟の耳を塞いだこの手を放すことはできないんだ。
「ユイちゃん?」
「あ、ごめん何?」
「いや、なんかすごい魘されてたからさ」
目を開けたところにいるのは幼い弟ではない。私はあの頃のような小さく無力な存在ではないし、あんな男の庇護下になくても生きていける。
「うん。ちょっと嫌なこと思い出しただけ」
「大丈夫なの?」
「何が?」
確かに苦しい過去だけど、誰にも踏み込んでほしくはなかった。可哀想だと同情されるのも嫌だったし、大変だったねなんて何様なのか。
だから私は今日も作った笑顔で「過去のことなんで気にしてません」なんて壁を作る。
ただの客がこれ以上入ってくるな。
あの後、母はいなくなった。私たちを置いて一人だけ逃げ出したのか、それとも死んだのか、殺されたのか、まだ幼かった私と弟には、いなくなったことだけしか教えてもらえなかった。
そのまま私と弟は母の妹の家でしばらく過ごし、私が高校を出ると二人で家を借りた。叔母の家族に虐められたとかそんなことはない。たぶんいい人たちだった。
だけど私には家族だと思えなかった。弟は黙って私に従った。五歳下の弟は可愛かった。容姿とかではなく、唯一私の家族で私が守るべき存在として可愛くて仕方がなかった。私が必ず弟を守る。そう決めていた。
高卒で働けるところはあまり給料がよくなくて、探せばもっといい仕事があったのかもしれないけど、私は探し方を知らなかった。
何とかしなければと夜の仕事を始めた。初めはカウンターの中でお酒を作ってお客さんと話をするだけの店だった。
でも弟との時間がなくなって、昼間働けるところを探した。金銭感覚がおかしくなって、昼間の事務作業がとても時間の無駄に思えた私は、思い切って仕事を辞めた。
そして始めたのが昼間の風俗店だ。これなら昼間の仕事と同じような時間で働ける。弟を一人にしなくて済む。それに生活費にも余裕が出て、弟の進学の費用だって貯めることができた。
金銭感覚が狂ったといっても、ブランド品や高級なものを買ったりはしなかった。そんな物より、私にとっては家族が大事。
「姉ちゃん、俺、大学は奨学金で行くから」
「なんで? お金のことは気にすることないよ」
「それってさ、体売った金だろ?」
バレていないと思っていたけど、弟にはバレていた。そして弟は大学進学と同時に私と暮らす部屋を出て行った。
私はあの震える小さな手を守りたかっただけなのに。あの時は、私のこの手で守れる気がしたんだ。
一人になった部屋で、私は膝を抱えた。
「姉ちゃん、今までありがとう」
弟が残した最後の言葉だけは決して忘れない。私のやったことは無駄じゃなかった。
私の思い出に入ってくるな。思い出の中の私は、ちゃんと弟を守れていた。唯一の家族を守れていた。かけがえのない思い出。
それは私の誇り。だから誰にも何も言ってほしくないし、触れてほしくない。一番輝いていた頃の私なんだ。
今日も私は体を差し出して金を稼ぐ。過去の栄光じゃない。今でも私は栄光の下にいる。この体が私の家族を守った。だから私は誇りを持ってこの体で稼ぎ続けるんだ。
(完)