『遠くの空へ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『見て』
部屋の勉強机に座って動画を眺めている時だった。画面にメッセージがポップアップされて半ば反射的にタッチすると、それと同時にもう一度通知音が鳴った。
二度目の通知音は写真だったようで、夕焼けの美しい橙色が雲を染めている写真が届いていた。見たところ、高校の帰り道に撮られたものらしかった。
『綺麗だね』
端的に感想を送ると、
『そうだけど そうじゃない』
とすぐに返事が来た。そうじゃないらしい。畳みかけてこないのは回答を催促されているのだろう。
『雲の形がいい感じだね』
いまいち意図するところが分からなかったので、それとなく探りを入れてみる。
既読がついてから少しして、眉間に皺を寄せて口を結んだ顔文字が返ってきた。
『雲の形は合ってる 何に見える?』
言われてみてみるけれど、インスピレーションに訴えかける何かはなかった。強いていえばゴジラとかに見えなくもない。
『降参です』
メッセージを送ると、電話がかかってきた。ついていた肘をなおしてから、スマホを持って耳にあてる。
『いちいち文字打つの面倒だから電話かけた』
まだ下校途中なのだろうか、息が乱れているような感じがした。
『まず、まんなか下くらいのの膨らんでる……』
彼女の説明は要領を得ないものだった。何故なら僕はそれを知らなかった。
『チーバくん知らないの!?』
どうやら、千葉県の形をモチーフにしたご当地キャラクターのようだった。スピーカーにしてから検索をかけると、写真の雲とたしかによく似ている形の、赤いお茶目な犬が出てきた。
『知らないのなら仕方ないなぁ』
『ごめんね』
なんとなくの癖で謝罪の意を口にしておく。儀式的な言葉であるので、彼女も気にせずに受け取るようになった。
それから十分ほどは、彼女がいかにチーバくんやその他ご当地キャラクターが好きかの話をした。僕でも知っている名前もあれば、当然知らない名前もあった。
『チーバくんいなくなっちゃった』
『千葉に帰ったんじゃない?』
『面白くない』
面白くない。
『近くに来てくれただけ良かったんじゃない?』
チーバくんだって忙しいだろうに。
少しの沈黙があった。
『空は遠いよ。』
何を伝えたいのかは分からなかった。
一つ、大きな息を吐く音が耳に残る。
『ねぇ、ご飯食べいかない? それか本屋でもいいよ』
『すぐに準備する』
わかったと、彼女は言った。待ち合わせ場所と大まかな時間を話して、通話を切った。
服装を整えながら、会ったら何を話そうか考える。
「よし」
洗面台の鏡で軽く髪を確認してから、靴紐を丁寧に結ぶ。
開けた玄関から目に飛び込む空は、いつもより高く感じた。
「遠くの空へ」
お前以上の女にはまだ出会えてないよ
どいつもこいつも金目的
可愛くねぇやつしか居ない
お前にたかられても俺は出しちまう
あいつらは怒りが湧いてくる
本当に金出してやりたいやつは
もう会うことも叶わないのに
ゴミみたいな奴らは平気な顔して寄ってくる
でもそれももういいんだ
もうすぐ君に会える
君のもとへ行ける
来ないでなんて言わないで
まだ来ちゃダメなんて言わないで
俺はこっちにいたくない
君がいないと始まらない
だから行くよ
『遠くの空へ』
あの空の向こうには何があるんだろうって考えているんだ。
ずーっと。ずっと。
人間は地に足をつく生物だ。鳥のように自由に空を飛び回ることも出来ないし、魚のように素早く深く永遠に水の中を泳ぐことも出来ない。
そう考えた時、自分はなんて不自由なんだろうと思い込んでいた時期があった。
もっと色々なことができたらなと思っていた。特に、空を飛ぶという夢は、昔から僕の憧れだった。
パイロットになりたいわけじゃない。僕自身が空を飛んで、あの雲の上を超えて綺麗な青空を見あげり、夜だったら美しい星達を眺めていたいと思った。
でも、そんなこと出来るわけが無い。当たり前だ。馬鹿馬鹿しい。
そう思いつつ、僕は今日も会社でせっせと仕事をしていた。
未読のメールが溜まる音、タスク管理アプリの通知音、電話の呼び出し音。
それらが交錯する中で、僕は一枚のエクセルファイルにしがみつくように、視線を這わせていた。
肩は凝り、背中は張り、心はどこか遠くへ行きたがっている。それでも締切は、待ってはくれない。
「頑張れ…自分を応援してくれる人は自分しかいない…」
そう呟きながら画面に向かい続けていると、上司がやって来た。
「あ、おつかれさ」
僕がそういう前に、デスクの上に書類の束が音を立てて置かれた。
「これ、急ぎで」
そう言って上司は去っていく。
頭が変になりそうだった。その書類の山を見て、自分は本当に何してるんだろうという気持ちで埋め尽くされる。
学校の友達は全員彼女もいてラブラブで今日も熱い夜を過ごすだとか僕にほざくし、皆休日はバーベキューとかドライブとか遊びに行ったりして…何がマイナスイオンだよ。僕はマイナスな空気しか吸えてない。こんなクソみたいなオフィスで彼女もいないし休日も少ないし給料も虫けら。
頑張ってる人間が馬鹿を見る時代だと、僕はつくづく思ってしまう。
結局その日も定時退勤できず、サービス残業で画面と向かい合っていた。
そして、終電を逃して駅で途方に暮れる。まぁ、こんなこと何回もあるから慣れてるんだけどさ。
生きてる意味がない。生きる気力も湧かない。疲労でやつれた顔を公衆トイレの鏡で見つつ、ため息を吐く。
「…空を飛びたい」
ここから家に帰るのも時間がかかる。いつもはタクシーで帰って高額な運賃を払ってるけれど、給料日前で金もないし、今は物凄く眠くてしんどくて頭も体もだるくてクラクラする。
公園のベンチで僕は座り、そのまま自分の体ズルズルと崩れ倒れる感覚がした。
「あー………………………………もうやだ」
そう呟いて目を閉じた時だった。
目を開けると、そこは空の上だった。
「…………は?」
理解できずに辺りを見渡してみるが、やはりここは雲の上。時間帯は夜で、星々はとても美しく輝いていた。
真っ黒に近い青色の画面に砂糖をばらまいたような、そんな細かい星達が僕を見つめてるような気がした。
僕はふわふわ浮いていて、なぜかその時の僕はそれが当たり前のような感じでバランスも上手く取れていた。
瞬時にわかった。
雲の下を覗こうとしたが、なぜか覗けない。街を見たわしたかったけれど、別に嫌な思い出しかないあんな人間が作り上げた構造物を見るより、自然の空を眺めようと僕は空を舞いながら星達を見つめた。
特にすごいと思ったのが月だった。あんなにも綺麗で美しい月を見ることになるとは思わなかった。しかもめちゃくちゃ月明りが凄くて、僕の体を包み込むような、太陽とは違う光が心地よくて気分が良い。
永遠にここでこうやって飛んでいたい。
僕は腕を頭の後ろで組み、雲の柔らかな布団に身を委ねるように寝そべった。
夜の空気はひんやりと静かで、風はまるで眠りを邪魔しないようにそっと吹き抜ける。
眼を開ければ、無数の星々が漆黒の天幕に散りばめられていた。
光は遠く、冷たく、しかし確かに温もりを持って瞬いている。
雲の上に浮かぶだけのこの瞬間、時間は緩やかに溶け、世界は僕だけのような気がしていた。
しかし、空を見ていると、僕の脇腹近くになにかの生き物がいたような気がして起き上がると、そこには一羽の鳥がいた。
シマエナガのように真っ白な小鳥で、とても可愛らしかった。僕が撫でようと手を触ろうとすると、その鳥が僕に喋りかけてきた。
「ねぇ」
鳥が喋った!!!!と驚くも、これが現実ではなく夢であるということを理解し、一気に冷静になる。
僕が深呼吸をして鳥に話しかける。
「どうしたの」
「ここにいたら、ダメだよ」
「……え?」
小鳥の表情は分からないが、その声色はどこか聞いたことがあるようなものだった。
この声、どこかで。
「ここにいたら、ダメだよ」
そう言って、彼女は入っちゃいけない屋上で横になる僕に注意を施す。屋上の扉は鍵をかけられてはいるものの、施錠されてないのに気付いた僕は屋上で時間を潰すようになった。
勉強もろくにせず、授業中スマホいじったり、漫画読んだりで散々なことしかしてない僕は、よく幼馴染の茉莉(まり)にしっかりしなきゃと言われていた。
茉莉は真面目で優しい性格で、よく妹や親戚の小さい子供の面倒を見ていたためか、少しお節介焼きな所がある。
親切心なんだろうけど、少しウザイというのが僕の本音だった。
「バレたらやばいよ。先生達に沢山怒られるよ」
「別にいいよ…どーでもいい。漫画読んでスマホ読んでれば僕は幸せかな」
本当に何を頑張ったって意味が無いと感じた。習い事で必死に課題をこなしても褒められない、上達を感じられない…親には見限られる始末だし。
だから僕も誰からも期待されたいとは思わなくなったし、応援されても余計なお世話だと思い込むようになった。
ただ、茉莉だけはずっと、僕のことを励ましてくれてはいた。余計なお世話だと思い込んでたとしても、心の縁では彼女の励ましは少しだけ生きる活力になっていたんじゃないかと思う。
だって、授業をサボっていても、一度も休むことなく毎日出席してるくらいだし。
茉莉の優しくて可愛い顔を見るために、茉莉と話すために、俺はこんな学校に来ていたんだということを、茉莉が死んでから気づいた。
茉莉は、最期まで素晴らしかった。飛び出した子供を庇うようにして車に衝突。子供の頭を手で抑えながら吹き飛ばされて、茉莉がクッションになったおかげで子供は軽い軽症で済んだらしい。
最後まで、本当に素晴らしい人間だったと、茉莉の葬式で僕は何度も何度も泣いて謝った。
たくさん、世話を焼かせて本当にごめん。茉莉のいうこと、全部無視して勝手なことばっかして困らせて本当にごめん。
泣いたって、どれだけ謝ったって、茉莉は戻ってくるはずがない。ボロボロと流す涙を拭いきれず、その場で崩れ落ちる。
大切な人を失ったあとは無我夢中で勉強もなにもかも頑張った。結果的に、まともな高校に入学することが出来て、そこでたくさんの友達と出会って、会社にも就職して…茉莉の分まで必死に生きようと思っていた。
でも。
結局。
自分の人生は充実なんかしていない。
クソみたいな会社で。
クソみたいな環境で。
クソみたいな生活で。
クソみたいな人間関係。
ほんと、全部。
意味がわからない。
空を飛べば、君に会えるかな…なんて、小学生の頃に夢見てた空を飛びたいたというものを、いい歳して思い込むようになるなんて、本当におかしくて笑ってしまう。
でも、会いたいんだ。茉莉に。
「……私も、凪斗(なぎと)が大好きだよ」
ポロポロと涙を流し、僕が小鳥に触れようとした時、足元の雲が沼の中に落ちるようにどんどん沈んでいく。
直感で、僕は夢から覚めてしまうのだと分かった。
「ま、茉莉っ!!!!」
もがきながら、僕は茉莉に何度も何度も伝えた。
「茉莉の事が大好きだ!!!そ、それなのに僕は…!!ごめん!!!本当にごめん…なさい…!!茉莉……!!沢山僕に手を差し伸べてくれたのに……!!」
ボロボロと涙を流しながら僕は茉莉に何度も謝った。
「凪斗君」
「……!!!」
「ありがとう」
目が覚めると、見慣れない天井が視界に入った。
白い光と、無機質な機械音。心臓の鼓動がまだ荒く、体が鉛のように重い。
「ここは……病院………?」
思い出す。昨日の午後、公園のベンチで、ただ疲れ果てて目を閉じたことを。
肩にかかる重み、胸の奥の空虚。体を起こす力もなく、ただ日差しを浴びながら瞼を閉じていた。
どれほどの時間が過ぎたのか。
遠くで声がする。看護師だろうか、慌ただしい足音と優しい声。
思い出すのは、あの夢で出会った小鳥。あれは……茉莉だった。茉莉は白い小鳥のキーホルダーを持っていて、それにピピと名前をつけるほど気に入っていた。
そのピピの姿に似ていると、今になって僕は気付いた。僕が呆然としていると、看護師が少し驚きつつ優しい表情で話しかけてきた。
「あら、起きていたんですね」
柔らかな声が耳に届く。
「公園のベンチで倒れていた所を、通りかかった人が救急車を呼んでくれたんです」
言葉がゆっくりと胸に落ちてくる。思い出す、あの午後のベンチ、疲れ果てて目を閉じていた自分を。
看護師は微笑みながら、テーブルの上に小さな物を置いた。
「そういえば、カバンの中からこんなものが出てきたみたいです。起きたら渡してあげてと」
それは亡くなった彼女が以前、気に入っていた小鳥のキーホルダーだった。
手に取った瞬間、胸の奥で凍っていた何かが溶け、思わず涙がこぼれた。
夢の中でも会えた気がして、泣き笑いのような、どうしようもない感情が溢れる。
「……あの……どうかされましたか……?」
看護師は、涙を流す僕を前に困惑した表情を浮かべる。
それでと僕は手の中のキーホルダーをぎゅっと握りしめて沢山も涙を流した。
前より楽観的に物事を捉えれるようになった気がする。鉛のように重い体も、あの会社を辞めてから凄く楽になった。
新しいオフィスは静かで、窓から差し込む光が柔らかく、以前の慌ただしさとは比べものにならないくらい気持ちが楽になった。
同僚や上司は皆、協力的で気さくだ。
小さな確認や進捗の報告でも、丁寧に耳を傾けてくれる。以前なら焦りや苛立ちを感じることが多々あったが、今の僕は違う。
呼吸を整え、一歩ずつ進むことの価値を知った。
夕方、オフィスを出ると、街路樹の葉がゆらゆらと風に揺れている。
深呼吸をひとつ。
無理をせず、自分のペースで歩む道は、以前よりずっと穏やかで、確かなものに思えた。
遠くの空にいる茉莉へ。
君が見ていても、見ていなくても。
僕はしっかり生きていきます。
もう僕は迷わない。
君の分まで、精一杯生きていこうと思う。
「ありがとう」
色がない世界で湘南の潮風が運ぶ初夏の匂いがするような気がした。藤沢市立本町小学校は海のさわやかな雰囲気がただよう学校だ。私もこの学校に通う生徒だが最近困ったことがある。「色が見える」それは学校内だけで起こる現象で、ちらちらと桜の花びらが散るように色が地面に落ちてはまた空から振って来て、悩ましいことに授業中にも次から次へと振ってくるので全く授業に集中できないのだ。
「佐野、佐野紅葉」
「はっはい」
クラスメイト達が笑っている。
「なんだその返事は、ちゃんと授業に集中しなさい。」
「ふぃ」
ほら、いつもこの通り。この現象のせいでクラスメイトの注目の的になって
しまったものだから、本当に困ったことだと思う。色が見え始めたのは低学年の頃からだった。その頃は、少し黒板が緑色に見えるくらいの違和感で全く気にならないからよかったが、最近隣の六年四組に「松戸静矢」という名前の日焼けが良く似合う男子が転校してきたという情報を耳にしてから急にくっきりと色が見えるようになってしまい、今この状態だ。あと一時間だし頑張ろうかと身を起こし、もう一度担任の授業に耳を傾けた。
やっと終った。国語が苦手な私には地獄のような時間だった。「心の時間」の進み方というのはこのような事を表しているのだろうか。そんなくだらないことをぽかぁーっと考えている間にも突然事件は起こる。本当に突然のことだった。
『ドサッ』
急に隣の席の服部が倒れた。
「えっ...」
あたりの動きが急に時間が止まったかのようにゆっくりになった。
「はっ服部、大丈夫か」
慌ただしさのよそに大人の威厳を見せた先生は服部を保健室に連れていった。周りの生徒があわただしくしている中、私はこの状況をまだあまり深刻な問題だと思っていなかった。次は約三分後、川村が倒れた。みんなが「変な病なんじゃないか」と噂し始めた。しばらくしてからまたクラスメイトが倒れた。矢井田だ。ドサドサと次々に倒れていく生徒を見るうち次第に恐ろしく思えてきて私は教室を飛び出した。
「もっ紅葉、どうしたの」
「おいてくなよ卑怯者」
数名が私に向かって色々突っ込んでくるが、そんなことはどうでもよい。それよりも恐怖が勝ってしまい、そそくさと荷物も持たずに教室を後にした。ふいに、四組を盗み見た。
「えっ」
さすがに声を出さずにはいられなかった。四組の生徒の大半が教室の中で倒れていた。中本、田中、佐々木、星宮...全員私にとっては関係が少ない生徒だが、それだとしても同じ学年、同じ事をしている仲間だ。そういえば松戸はどこだろう...私にはどうでもいいことだろうがもしかしたら色が見える原因と松戸、そして謎の病にかかわりがあるのかもしれない。もしそうだったらどうでもよくないような気もしてきた。今日はいつもよりも色が見える。風に運ばれはらはらと舞うその残像を私は辿ってまた走り出した。
いつもの帰り道、通学路なのに今日に限ってものすごく長い道のりに思えた。遠くには一つの人影が見える。早くこの現実から逃げ出したい。怖い、誰か助けて...私の気持ちが伝わったのか誰かが私に声をかけてきた。
「おい、三組のヤツ、お前も逃げてきたんか」
特徴的な関西弁、見覚えのある日焼けした脚、驚くほど早く私のもとへ駆け寄ってきたのはさっきの人影。そして、転校生の松戸だ。
「へへっ...」
「なんだよ、変な笑い方してそれよりお前、これが見えるか」
松戸がそう言って指をさした方向に目をやるとさっきまで必死に追いかけていた色の残像がカーブミラーにまとわりつき、ギシギシと不気味な音を立てている。しばらく経つと妖しげな残像はたちまち消えて音を立てることもなく完全になじんだ。そして、ビックリすることにカーブミラーがたちまち鮮やかなだいだい色になり、あたりに生い茂ってる雑草までもが色を取り戻していた。
「これが...色...」
息をのんで立ち尽くしている私の隣で松戸は得意げな笑みを浮かべた。私は呆然とカーブミラーを見つめる透明の鏡面ににこれまでの世界にはなかったはずの、暖かく柔らかな光が反射していた。その光は、まるで世界を色で鮮やかにする魔法のように思えた。初夏の日差しが照り付けるどこにでもありそうなアスファルトの道路は、色を失った世界の中で、まるで生命の息吹が宿る「色のオアシス」になったかのようだった。しかし、松戸の視線はすでに遠くの空へ向けられている。「まだ、ほんの一欠片だ。次の色を探しに行こうぜ。」その言葉に、私は再び顔を上げた。
アオハルとバスケ【学校の創作作文で作ったよ!】
遠くの空へ
世界は自分の周りだけでできている。
少し離れた先は既に存在していない。
今この瞬間にも、私以外の人は存在せず、認識だけで成り立つ世界。
情報が多すぎるんだ。
自分の知りたいことだけを知っていればいい。
遠くのことなんて曖昧でも何も困らない。
全てを知るなんて無理だし、近くだけでも正確に把握などできない。
全てはなんとなく、曖昧に、だいたいそういうもの程度で回っている。
上を向く。
同じ情報がずっと続いているだけだ。
これなら疲れない。
ただひたすらに、一つだけ。
考えないのは楽だった。
遠くの空へ
性格だと責められて嫌われて
障害だと諦められて許されて。
どっちがいいのだろう。
直せるもの直らないもの。
治せないもの治そうとするもの。
正解のない答えを
遠くの空へ、問い、カケル。
きっと、貴方は同じ空の下で私の大好きだった優しい笑顔をあの子に見せているのかな。
きみが持ってる赤本、当たり前だけど私と全然違うとこで。どうなってもならなくても3月で終わり、って気付きなくなかったなー。
遠くの空へ
お題『遠くの空へ』8/16分
(仮話)
天河《てんが》の実母「私な、この子がお腹の中にいる時から思ってたんやけど、きっと私のお父さんの生まれ変わりやと思うわ」
天河を腕に抱きながら俺に向ける彼女の顔は紛れもなく母親の姿だった。
そんなは彼女も健太《けんた》の母と同じく遠くの空へ俺より先に旅立ってしまった。
End(大神の親父の過去編)
【遠くの空へ】
飛びたかった。
飛んでしまいたかった。
それでもいろいろなことが頭をよぎってしまうのは、
飛びたくないからなんだろう。
終わらせてしまいたくないからだろう。
躊躇いなく高いところに来るくせに、
ずっと飛べなかった。
生きたかった。
今よりもう少しでいいから、
楽に生きたかった。
何かに縋りつきたかった。
日記
親友と言ってもいい間柄の友達が最近多忙を極めている
大変そうなのは心配だけどふつうに八つ当たりしてくるのでどうしたもんかな
しかも予定は自分で決めた資格勉強やら発表やらバイトやらだし。何もしなければいいのではないか
「これが言ってたやつ?」
「そうだよ、送り火と言ってね。お盆で帰ってきた人らを空へ送るための火なんだよ。おうちがわかるように目印としてやる迎え火ってのもあるんだがね。」
「へぇ~……燃やしちゃって熱くないのかな?」
「う~ん…わしらにとったら熱いかもしれないけど、ばあちゃんにとっては暖かいものだといいなとじいちゃんは思うよ」
「…多分暖かいとおもう」
「そうかい?」
「だってじいちゃん、お盆の間ずっとニコニコしてたからばあちゃんも嬉しかったとおもうよ。嬉しいとポカポカするでしょ?」
「…こりゃ参ったな」
ばあちゃんとの時間を惜しむように火を見つめるじいちゃん。
寂しそうではあったけど、来年の迎え火は一緒にやりたいなって言うと「じいちゃんが帰ってくる側じゃなかったら一緒にやろうな」なんて言うもんだから、約束守んないとお酒お供えしてやんないからねって釘指して視線を上へ向ける。
もくもくと上がる煙はなんとなくゆっくり空へ向かってるように見えた。
またね、ばあちゃん。
「遠くの空へ」
(私のばあちゃん生きてるけど(笑))
遠い
吸い込まれるような
夏の終わりの高い空
寂しさと何かの終わり
遠くの空へ
遠くの空の人へ
思いがすれ違うことを
怖いと感じる
それでも私は生きていかないといけない
私は私
生きるしかない
遠くの空へ
叫びたい!
今日がダメでも
明日はきっと大丈夫!
元気をだして
『遠くの空へ』
見晴らしのよい高台
どこまでも広がる大地
どこまでも続く空
彼女がいる
その場所に立つと
わたしの悩みなど
ちっぽけなもの
弱音ばかりはく自分を
恥ずかしく思う
この場所は彼女がのぞんだ場所だと
ご主人さんから聞いた
それを伝えなければならなかった
彼女のことを想うと
胸が痛い
どんなに遠く離れている場所でも
見上げる空はみんな同じ
いつも彼女に守られている
遠くの空へ
どこか外国にいってみたいね。でも外国にいってもやることって観光しかないな。
旅行の楽しみって要は飯と景色なわけだからな。国内もいってない場所ばかりなのにわざわざ外国にいく意味ないな。
外国なんてのはよっぽどいきたい場所があるか国内に飽きた人がいく場所ってことか。
それだったら北海道で海の幸とか近場で美味しい料理のほうが圧倒的にコスパがいい。
でもコスパを突き詰めると家で取り寄せとかちょっといいもの食べるとかになって空しさがある。
家で食うとどれだけ旨くても家の食事になっちゃうからな。旅行だから、外食だからこその美味しさってあるんだよな。
だからどっか外国でもいきたいと思うけどいつも通り金と時間がないという結論になる。これが貧乏の味か。
遠くの空へ
私は、早く遠くにある空に行きたい。
なぜならもう限界が来てるから...
汽車で来た
電車でしょって笑われた
ずいぶん遠くまで来ちまった
遠くの空へ
空へと消えていった真っ白なボール。青天の空にボールの色がとても映える。しかし、それは一瞬の出来事。ほんの三秒だけの景色だ。
「ホームラーン!」
その言葉が球場に響き渡ると同時に、大きな歓声が起こる。しかし不思議なもので、誰もが打った瞬間にこれは入ると確信をする。打者はいつも急いで走るくせに、ホームランの時だけはゆっくりと余裕を持って走っている。
もしかしたら、入らないかもしれないのに、どうしてそんなにも堂々と走れるのだ。観客でさえもまだホームランと決まっていないのに大きな歓声や拍手が飛び交う。
バスケやサッカーは点が入るギリギリまで分からないものなのに、野球はそれが分かってしまう。普通は分からないほうが面白いと思うのだが。
私は野球についてあまり良く分からない。分からないなりに、色々な疑問が生まれるのだ。ホームランは珍しいものなのか、最近は一人の天才的な野球選手によって分からなくなってきた。しかしそれだけ、彼が強いということだろうけど。
ホームランで空高く飛んでいくボールは、何だか気持ち良さそうに見えて仕方ない。全てを吹っ飛ばしてくれるような、感覚的にしか言えないが本当にスカッとする。だからあんなにも観客は喜ぶのだろうと、野球をあまり知らない私はそう思う。