リル

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遠くの空へ

 空へと消えていった真っ白なボール。青天の空にボールの色がとても映える。しかし、それは一瞬の出来事。ほんの三秒だけの景色だ。
「ホームラーン!」
 その言葉が球場に響き渡ると同時に、大きな歓声が起こる。しかし不思議なもので、誰もが打った瞬間にこれは入ると確信をする。打者はいつも急いで走るくせに、ホームランの時だけはゆっくりと余裕を持って走っている。
 もしかしたら、入らないかもしれないのに、どうしてそんなにも堂々と走れるのだ。観客でさえもまだホームランと決まっていないのに大きな歓声や拍手が飛び交う。
 バスケやサッカーは点が入るギリギリまで分からないものなのに、野球はそれが分かってしまう。普通は分からないほうが面白いと思うのだが。
 私は野球についてあまり良く分からない。分からないなりに、色々な疑問が生まれるのだ。ホームランは珍しいものなのか、最近は一人の天才的な野球選手によって分からなくなってきた。しかしそれだけ、彼が強いということだろうけど。
 ホームランで空高く飛んでいくボールは、何だか気持ち良さそうに見えて仕方ない。全てを吹っ飛ばしてくれるような、感覚的にしか言えないが本当にスカッとする。だからあんなにも観客は喜ぶのだろうと、野球をあまり知らない私はそう思う。

8/17/2025, 12:33:04 AM