『遠い日の記憶』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
遠い日の記憶
うちの母は保育関係の仕事をしていた。
その仕事がどんなものかは当時の私は知らなくて、でもいろんな子どもがそこにいることだけはなぜか知っていた。
だから私は悲しかった。
私のそばにはいてくれないのに、他のコのそばにはいるんだ。
私といっぱい遊んでくれないのに、他のコとは遊ぶんだ。
他のコはお母さんが保育所まで迎えにきてくれるのに、私はおばあちゃんしか迎えに来ない。
母は夜勤もある保育関係の仕事だったからたまに夜いないこともあった。
そんなときは悲しくて泣いてしまっていた。
お母さんは私が嫌いなんだ。
そう思うこともあった。
でも今あらためてふりかえれば母は全然私を嫌ってもいないし、むしろちゃんと休みの日は私のお母さんをしていた。
私も成長して、それがどんな仕事で、どんなに大変な仕事なのか分かるようになって、今となっては仕事と家庭を両立していた母にたいして尊敬しかない。
でもそれは「大人」の私の話だ。
私の中の奥底にはまだ、「子ども」の私がふて腐れているようだ。
もう30年以上も前の話なのに、未だに当時の気持ちを鮮明に思い出せてしまう。
お母さんは私より他のコの方が大事なんだ!!
「ははは、楽しいな!」「えぇ!楽しい!」「はは、また来ような!」「ふふ、もちろんよ!」
あぁ、またこの記憶、貴方が亡くなってから10年か、近いようで遠い記憶、不思議だわ
「つっかれたあー…」
家にあった、白いファイルに目が止まった。
それを開くと、中には小学校の思い出の写真や、みんなで作った映画の台本が入っていた。
あの頃は楽しかったなぁ。
自由に、思いのまま過ごせて良かったんだろうなぁ。
今じゃ社会の不条理に晒されて、自由奔放になんてできない。
「今」を考えたくなくて、イヤホンをつけて、音を遮断する。
もう少し、予定が落ち着いたら……。
たまには羽を伸ばして、だらーっと過ごすのもいいかもしれない。
お題 遠い日の記憶
僕がまだ小学生だった頃。
僕の家は、毎年夏休みになったらおばあちゃんの
家に行っていた。
おばあちゃんは僕がイタズラをしても、
にこにこと笑って「こらこら」と一言云うだけ。
でも、僕が本当に悪いことをしたら本気で叱ってくれる優しいおばあちゃん。
よくスイカを切ってくれたっけな。
そんなおばあちゃんも段々と弱っていき、
そして、寝たきりに。
そして、
亡くなった。
とても穏やかで寝ているかの様だった。
でも、もう確かに呼吸は止まっていて。
体も冷たくて。
そして、今日は葬式。
僕は1人、思い出していたんだ。
あの夏を。
遠い日の思い出を。
遠い日の記憶
黒く濁った後悔が私を覆う
私の紡いだ私だけの歴史が、脳裏に焼き付く
"黒歴史"
世間の人々は、初々し昔の自分をこう自虐するらしい
思い出したくもない気持ちだと。
死にたくなった早朝も、偽善を振り撒いた白昼も、否定された夕方も、涙を流した深夜も
全て"黒歴史"だと否定されてしまうなら
私の全てが崩れ落ちてしまう
ねね遠い日の記憶ってある?
何いきなり笑
いや少し気になったの!教えてよ
お前に出会えたことかな?だってこんな
年齢も10歳離れてて、住んでるところも違うのに
出会えたって奇跡じゃない?なのにそれを気にしないように話すし、
ほんとに俺はこれを忘れないんだと思う、
だって君は俺の原動力だから!
って無邪気に笑ってくれた顔まだ忘れられないよ
私も奇跡だと思ってた、運命なんだって
なのに、急に連絡取れなくなって
最初はなくなったのかと思った、
なのにあなたは同年代の女の人と楽しそうに笑ってたね、
やっぱりとししたすぎた?きらいなったのかな、
私は運命だと思ってたよ、君が私を見つけたときの顔も忘れないけどね
幸せそうだね、ほんとは私も気づいていたのかもしれない
もう戻れないと分かっているけれど
戻りたいと思ってしまう。
一番楽しかったあの頃は
すぐに散ってしまった。
あぁ、なんて残酷で、残ったのは苦しみだけ。
*遠い日の記憶*
遠い日の記憶
「好きです」
そう告白されて、目の前にいる女性よりも、別な子を思い出していた。
まだ中学生だった頃、桜の樹の下で告白してきた少女を。
その子がポニーテールをしていたからか、それとも今告白してきている女性も、同じポニーテールだからか、そんな遠い日の記憶が蘇った。
重ね合わせているのだろう。
でも過去のあの子と、今目の前にいる子では全然違う。
「……ごめんね」
そう僕は昔と同様に断った。
あの子は今は何をしているのだろうか。
僕が医者を目指すと言った時には、それなら私は看護師になりますと言っていたな。
看護師になっているのだろうか。
僕の知らないどこかで、同じ業界で働いているのかもしれない。
たまには実家に帰ってみよう。
もしかしたら、どこかで彼女に会えるのかもしれない。
そう思った時、僕はあの時断ったことを後悔しているのかもしれないと今更ながら自覚した。
何となく会いたいと思った。
地元の友達に聞けば、誰かしら連絡先を知っているかもしれない。
心がこんなにも忙しない。
会える予感が何となくしたからだ。
あの子の笑顔にたまらなく会いたい。
「遠い」とか「長い」とか「いつか」とか。
その定義ってなんなの、っていつも思う。
友達が言う「ちょっと待ってて」が20秒なのか、5分なのか、そういう違いが、絶交に関わったりする。
だから聞いてみたんだ。
「ねえねえ」
「おー秋風。どした?」
「『遠い』ってどれくらいだと思う?」
「え〜〜〜?お前そういうやつだったっけ〜〜???」
「は?や、なに?」
「遠井は〜〜〜…ぶっちゃけd(」
「しねよおまえ」
「名津木さん…!いやごめん!そう聞きたかったんじゃないんだ!」
「あーあー分かってんよ。秋風がそんなこと言うキャラじゃないの知ってっし」
「え、え、俺は??」
「おまえは論外」
「いとかなし」
「そんな古語ないだろ」
「で、遠い日とかの"遠い"の定義だろ?」
「私何も知らんけど、それなら生まれる前とかじゃね?」
「たしかに」
「え、前?未来じゃねーの?」
「あ、そっちね」
「今日もいつか遠い日になるんだよね」
「何だ中二病」
「深い」
「もう一人いた」
#2024.7.17.「遠い日の記憶」
あー…
あれはいつだったか。
急に降ってくる記憶はいつも朧げだった。
自由に海を泳ぎ回っていた。
海の中でも息ができた。あの頃は。
今はもうできないけれど、あの頃はあの頃で良かったのかもしれない。
後戻りはできないから。この生を全うしたらいつかまた、還れるのかな。
DIVE into…
アイの過去
私は最初干潟のそばで誕生したらしい。
何故かは分からない。
オワ様に出会い、あゆちゃんと名付けられた。
オワ様との生活や仕事は色々あったけど楽しかった。
でもオワ様が引退することになり息子のナゴ様が継いだ。
私はナゴ様の直属の部下になった。
しばらくしてナゴ様がルール違反した。
ナゴ様は仕事をやめる事になった。
直属の部下だった私が跡を継ぐ事になった。
名前もあゆちゃんからアイに改名された。
それから私は仕事や強くなる為の修行の日々だった。
しばらくしたら隣のミカ様の息子のヌカ君が引退した。
私はオワ様とミカ様の力を得た。
以来ずっと私は47人の1人として活動している。
ここまで色々あったけど、今やめる訳にはいかない。
だって私を必要としている人がいるから。
いつか日本のリーダーになるその日まで。
13.遠い日の記憶 兎黒大赤
壁を隔てた向こう側からガヤガヤとした喧騒が響いてくる。そんな活気溢れる居酒屋の個室に俺は座っている。木兎の所属しているチームの祝勝会と称して開かれたこの飲み会も酣な今、俺は顔をひきつらせていた。
少し前から酔った黒尾と赤葦の悪ノリによって木兎の黒歴史が次々暴かれていたのだが、かなり酔ってきた黒尾が自爆したことで暴露の範囲が木兎からこの場にいる4人全員に広がってしまったのだ。3人は酔いの力を借りてあくまでも楽しそうにしているが、かなり上戸な俺はこの雰囲気に飲まれ損ねてしまっていた。
「そういえば木兎さんは小六の時におねしょしちゃったらしいですよ」
「ちょっと!あかーしそれ誰から聞いたんだ!?」
赤葦は淡々と僕との黒歴史を暴露するし、木兎はいちいち大声で反応するし、黒尾は相変わらず胡散臭い笑みを浮かべながら無差別攻撃をしているし、その無差別攻撃は勿論俺にも飛んでくるしで俺のメンタルはもうブレイク寸前である。
………いや、俺は断じて酔ってなどない。
まぁ多少気分が良くなってきてはいるが。
「そういやさーむらサンは高三にもなって怖い夢のせいで寝れなくなったらしいですネー」
「ええー!意外とさーむらにも女々しいとこあんだな」
「ギャップ萌えですね。ギャップ萌え」
どうやらまた攻撃が飛んできたようだ。実際高三の初め頃部活で後輩が教頭のヅラを吹っ飛ばしたせいで夢でも教頭のヅラが吹き飛んでうなされていた時期もあったが、別に眠れなかった訳では無い。
目の前では未だ暴露大会が開かれているが俺は昔を追憶していた。あの頃は部活一筋で、生活も部活中心だった。落ちた強豪なんて不名誉な呼び名が広まるほど落ちぶれてしまった部活を建て直し、全国に行くべき意気込んでいた。その過程で個性的な1年生に悩まされたり因縁のライバルとの繋がりを取り戻したりと本当に山あり谷ありと言った感じで、さらには俺は進学コースにいたので受験勉強もしないといけなかったので三十路の見えてきた人生を振り返っても一番忙しくて、一番充実していた1年であったことは間違いない。この3人と出会ったのだってこの年だった。
俺が昔を回想して郷愁に浸っているうちに赤葦が限界を迎えたようだ。ほか2人も結構よっているのでもうお開きになった。家が居酒屋から近い木兎が赤葦と一緒に帰り、俺は黒尾を介抱することになった。木兎と赤葦はどちらもかなりよっているので不安だったがまあなんとかなるだろう。きっと。
あの頃はがむしゃらだった
今ある課題に正面からぶつかって
認めてもらうためにすべてをかけて
でもそんな日々も悪くなくて
何より充実していた
世の理不尽さも
世の厳しさも知らない
純粋無垢で無知な少女だった
いったいいつから
いつからこんなになってしまったの
夢も将来も見いだせなくなった
朝起きるのさえ憂鬱になった
すべてをかけられるものもなくなった
でも少女だったのも数年前
世からしたらたったの数年間
でも私は…。かつての少女は
数十年、数百年前のような
遠い遠い日の
数個の記憶でしかないんだ
お題「遠い日の記憶」
遠い日の記憶
ずっと変わらないと思ってたあの日々が、
そんなこともあったなと思えるようになった
とおいひのきおく。
書き途中の作品があります。とても暗くて、見せられそうにありません。
あらすじだけ。
[沙織]
昔から得意ではなかったトマト。なぜ俺はトマトがきらいになったのか。世界でいちばん、大事にしたかった女はもういない。
暴行事件に巻き込まれた最愛の彼女は自身を責めて狂っていった。社会のどこかで人が人を傷つけあっている。そのことが許せない、けれど俺は何も守れない。
幸せそうな暖かいあの笑顔を見た時、あたしが産まれてきて嬉しいんだなと思った。
遠い遠い昔。
あたしは貴方とそんな暖かい幸せを作りたい。
貴方に抱きしめられて気づいた、暖かくて幸せでキラキラしてどこにも行かないでほしくて。
独占欲?そんなものではないと思う。
ただ、この暖かいキラキラな幸せを離したくないだけだ。
じーちゃんとの思い出
じーちゃんは、寡黙だった。
じーちゃんは、とても背が高くスラッとしていた。
じーちゃんは、白髪で頭頂部が禿げていた。
じーちゃんの顔つきは、やや強面で近づきにくい感じでもあった。
じーちゃんは、演歌やラジオを聴き、首にタオルを巻き、麦わら帽子を被り、外でタバコをよく吸っていた。
じーちゃんは、夜になるとビールをよく嗜み、顔が真っ赤になっていた。
じーちゃん家では、夏はベランダからの花火見物。冬は、クリスマス会と年越しの集まりが恒例の親族行事であった。
遊びに行くと
筍掘りに連れて行ってくれた。
自宅の池で魚を飼うため、網を持ち川に鯉やドジョウを捕りに連れて行ってくれた。
自営の小さなタバコ屋で売っているお菓子やジュースをよくくれた。
夏祭りやお酉さまでは、孫達を引き連れて露店で何でも買ってくれた。
川原で花火や凧揚げにも付き合ってくれ、早朝から保護した雀の餌となるバッタ探しにも協力してくれた。
クリスマスには、デパートで欲しいオモチャを買ってくれた。
竹で竹とんぼや竹馬を作ってくれた。
藪で笹を取り、手製の釣り竿を作ってくれた。
拾った補助輪付きの自転車にペンキを塗ってくれたものが私の初めての愛車となった。
じーちゃんは、花や野菜を作るのが好きだった。
町内会の役員や小学生の交通指導員などもやっていた。
あの頃のじーちゃんは、何でも知っていて、何でもできる私たち孫のヒーローだった。
25年前の桜の舞う3月に、じーちゃんは逝った。
最期は何も食べれず、大きかったじいちゃんが、小さく萎んでしまっていた。
二十歳を過ぎて、初めて人の死を間近に感じた。
父親になり、家族を大切にするじーちゃんの偉大さを改めて感じる。
今でも、じーちゃんは私の目標とするヒーローだ。
#遠い日の記憶(2024/07/17/Wed)
遠くから聞こえる音に心が動く
いつの事なのか思い出すには遠い音も時も
日差しを背にして座るあなたを見つけて
のはらに咲いたフランスギクを見つけて
記された思い出がゆり起こされた
憶えているかな あなたも
初めて会ったのは
ずっとずっと幼かった頃
こんな公園の片隅だった事
世界中の音を遮断するように、
ヘッドホンをして大音量でCDを流した。
ほんの少しだけでも、現実を忘れたかったのに。
逃げようとすればするほど、
頭の中で虚しく音が鳴り響くだけ。
あの時にいた自分は自分であったのか、
それとも別の誰かだったのかさえ分からない。
ただただ、痛みだけが残ったあの日。
遠い日の記憶。
記憶の中の自分は当時よりも
少しだけ背伸びをしてる
それが他人に伝わる時
さらにもう少し背伸びをする
すれ違う子ども
流行りの歌詞
恋愛ドラマのワンシーン
全てを重ね 自分を生かす
過去を改編 自分を異化す
ある日 開いたアルバムに
生かされた自分はおらず
異化された自分もおらず
記憶に残るべき
等身大の私がいた。