『過ぎ去った日々』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『過ぎ去った日々』
今でもたまに、日常の片隅で思い出が蘇ってくる。
特に休みの日の日が暮れ始めたあたり、感傷的な空気の中にいると恋しくなる過去がある。
目を閉じると瞼の内側で、その景色が見える。
幼い頃、祖母の家の台所。
夏の日の昼間。
白いレースのカーテンが揺れる。畑が見える。
隣には歳の近い従姉妹がいて、まだ小さかった手で野花を摘んだり、色紙(いろがみ)を切ったりした。
あの時、私は世界で一番幸せ者だった。
何も知らなかった。知ろうとする心すら知らず。
心は穏やかだった。
そこには憂鬱や劣等も無く、ただ無垢だけあった。
私の今までの人生で、最も毎日が楽しかったのは、あの時だろうと思う。
私はずっとあそこに居たかった。
今は、もう祖母はいない。
祖母の家も気軽に行ける場所では無くなってしまった。あの頃の無垢な心も、もうない。あの夏の日々は二度と感じられない。いくら涙を流しても。
きっとこの記憶には、死ぬまで囚われ続ける。
そんな粗末なものいるようで要らないわ。
過ぎ去ったのなら、友人と思い出話する時だけ話せばいいのよ。
過ぎ去ったのなら、辛い時に同じような体験をしていないか、思い出せばいいのよ。
そんな大事なもの要らないようでいるわ。
高校3年生の時、親友が急に学校に来なくなった。
私は親友にとって1番近い存在だと思っていた。なのに親友が学校に来られなくなってしまった理由も、何があったのかも、何も知らないことが悔しかった。
人知れず涙を流した夜があったのかもしれない。そう思うと自分が情けなくて胸が張り裂けそうだった。
「話したくなかったら無理に話さなくていいからね」精一杯の言葉だった。きっと話してくれると信じて。
でも、私が本当の理由を聞くことはできなかった。
きっと苦しいことがあったんだろう。辛いことがあったんだろう。だから深堀はせずに、変わらない態度で今まで通りにしよう。そう思うことしかできなかった。
何の力にもなれない現実を、受け入れたくなかった。
結局、親友は高校を辞めた。私の中には何もできなかった心残りと親友と過ごした楽しかった思い出だけが残って高校生活は幕を閉じた。
春から私は地元を出て、親友は地元に残った。本当に離れ離れになってしまった。
次に会った時、私は上手く笑えるだろうか。あの過ぎ去った日々を上手く笑い話に変えられるだろうか。
その時まだ親友が暗い暗い闇の中にいたとしても、次は私がその手を引いて明るい未来へ導いてみせる。
そう、きっともう大丈夫だ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
お題『過ぎ去った日々』
昨日 ”今日” 明日 ”
過ぎ去っていく時間の中でかけがえのない毎日を送っている
ただ平凡と暮らしてる毎日もみんなそれぞれ悩みや葛藤を抱え、
時に苦しみ 死を感じながら必死に足掻いたりもするだろう。
そんな中で普通と言う言葉は存在するのだろうか…
普通って物を世の中の基準としズレてしまった物は使い捨ての雑巾のような扱いを受ける。無価値な人間として生きていく。
そんな世の中に耐えられなくなったものはその必死さを尽き
静かに深い眠りへと消えていく。 それを人は悲しいと叫ぶが、
きっとこの世の基準を作っているのは人間 「人」 そのものだと思う
私たちは生きている この先も未来も 生 と 死 は みな平等。
人間 動物 全ての生き物に共通している生と死がある限り
生き方、やり方 、基準は人それぞれで誰も絶対に否定できない
だからそんな世界の殻なんて自分で破ってしまえばいい。
1人でもそんな人が居たのならそれを起こせる人が居たのなら…
この世の中の明日は確実に一歩づつ変わっていくだろう。
私はその普通とか生きていくレールはとっくに壊れている
だからもう自由に飛べばいい
失敗しても自分が成功だと感じたならそれは成功なのだから。
過ぎ去っていく日々の中で私達は前に進もうと足を伸ばしている
だから後は1歩踏み出すだけだ。怖くない。大丈夫 未来は明るい。
過ぎ去った日々を振り返ると、
どれも充実した思い出ばかりで、
戻りたくなっちゃう。
けど、過ぎ去った日々を越えたから、
今の毎日があってそれがまた過去になるんだよね。
過ぎ去った日々には戻れないけど、
今を大切に生きて過ごしたいな。
#過ぎ去った日々
凍りついた心も
枯れてしまった花も
過ぎ去ってしまった日々も
散ってしまった木の葉たちも
私は一生愛そうと思いました
【過ぎ去った日々】
【創作】【宵(よい)と暁(あかとき)】
3/9 PM 5:00
「お金より大事なものなんて、
この世にあると思う?」
部活が終わって、ボールを整理カゴに
片付けながら、綾音(あやね)が言う。
昨日、晩ごはんを一緒に食べながら、
真夜(よる)と暁もそんな会話を
していたことを思い出した。
「それはまぁ、あるでしょ。夢とか」
「愛とか?」
「健康とか」
「信用とかかしらねぇ」
バスケ部のメンバーやマネージャーの
暦(こよみ)先輩が口々に答える。
「あ、宵は言わなくていいわよ。
どうせ真夜くんと古結(こゆい)っち
だろうから」
「(決め付けが強いわね……)」
否定はしないけれど。
「……そういえばさぁ、宵。
サッカー部の槇(まき)くんとは、
どういう関係なの?」
「あっ、それ、私もずっと気になってた!
練習試合、見に来てくれてたよね?」
美羽(みわ)が話題を急変させる。
それに興味津々の様子で心愛(ここあ)が
乗ってきた。
「話、逸れたわよ、綾音」
「自分で話振っといてなんだけど、
もう正直どうでもいいわ。
あたしもあんたとイケメンの
関係の方が気になるし」
「関係、と言われても……」
――槇くんと知り合ったのは去年の12月。
それから今日までの過ぎ去った日々を
思い返せば、いつの間にか一緒にいる
ことが多くなった人、という印象で。
でも、どういう関係なのかは、
よく分からない気がした。
何しろ今まで、アタシたち3人と
ここまで近しく……親しく?
なった人はいなかったから。
「……恩人?」
「なにそれ、どういうこと?」
「暁を助けてくれた人なのよ。
だからアタシも真夜も、槇くんには
感謝しているし、話をしたり一緒に
行動することが多くなったというか……」
「要は付き合ってるとか、
恋バナ出来そうな関係じゃなく、
今の所ただの友達ってこと?」
瑠宇依(るうい)が簡潔にまとめてくれた。
「友達かぁ。それでも羨ましいかも。
あんなイケメンと仲良く話せるって」
「そうだよね! 槇くんてイケメン過ぎて、
気軽に話しかけにくいもんね。
だからバレンタインにここぞとばかり
女子が群がったんだろうねー。
話をするチャンス! みたいな」
「推しとして、遠くから眺める位で
ちょーどいいタイプじゃないの?
あのイケメンは」
「はい、今日はこの辺でおしまい。
片付け終わったら体育館出るわよ~」
====================
女子バスケ部員
巽 綾音(たつみ あやね) → PG
有澤 美羽(ありさわ みわ) → SG
岩崎 心愛(いわさき ここあ) → PF
荻原 瑠宇依(おぎはら るうい) → C
暦 優花(こよみ ゆうか) → マネージャー
私たちに時間は平等だけど
どう生きてきたか
何を聞いて、何を感じたか
誰と出会ったか
その違いによって生じるベクトルの差
その中で自分を見つけようと足掻く
長い長い物語を描きながら
過去を無かったことにする者
逆に誇らしげに語る者
記憶に始まりも終わりも無いのなら
どうして振り返り、微笑まないでいられようか
少し道を外れて、地面の音を聞き
考えを巡らせることだってできるだろうに
#過ぎ去った日々
『過ぎ去った日々』
過去はもう戻ってこない。
どれだけ足掻いて、抗っても。
時間だけが過ぎていくんだ。
だからせめて僕は遅れないように。
振り落とされないように。
今日も一生懸命、惨めに縋り付くんだ。
「尾壺根係長の過去?」
そんなもの聞いてどうする。カップから唇を離した先輩は、「素っ頓狂」がピッタリ当てはまる顔だった。
「いや、新人時代、どんなだったんだろって」
尾壺根係長。ネット検索で「おつぼね とは」と検索すれば出てくるであろう性質を、全部鍋にブチ込んで12時間以上煮詰めて、新人いびりを隠し味に仕込んだような、名字まんまのオツボネさま。
「あそこに異動になった新人は1年経たずに全員やめる」のギネシー記録保持者。
今日も今年異動してきた新人ちゃんの、背後に突っ立ち監視して、ミスした瞬間ネチネチ心を刺していた。
なんでこんなヤツばっかり生き残るんだろ(不条理)
「オツボネ係長の、イジメ癖のことか」
大きなため息ひとつ吐いて、新人ちゃんへの同情ともとれる額のシワと一緒に、先輩が淡々と話す。
「ただ脳の発達過程の結果として、前頭葉が変容して、頭のブレーキが効きづらくなってるだけ……と言いたいが、彼女は昔から既にアレだったからな……」
私もよくグチグチ難癖つけられたものだ。
そう結んでまた先輩は、コーヒーを口に含む。
なんであんなヤツばっかり生き残るんだろ(理不尽)
「ん?」
「どうした」
「そういや先輩の新人時代ってどんなだったの」
「は?」
ぴちゃり。顔を上げた拍子に、コーヒーのしずくが一滴落ちて、先輩が即座にティッシュをつかむ。
「何故私の話に飛ぶんだ」
テーブルを拭きながら聞き返す先輩の顔は、やっぱり「素っ頓狂」がピッタリだった。
「いや先輩にも新人時代あったんだよなって」
「過ぎたことだ。忘れた」
「初恋の人にズタズタ云々」
「だから。いい加減そこから離れてくれ。なくぞ」
「先輩多分泣かないもん」
「わん」
「そっち、 そっち……」
「おい、なんだ。どうした」
「ツボ、ギャップ……わんわん……」
「ん、んん?」
日々は常にそこにある
私たちが進み続けているだけ、私たちが戻れないだけ
でも、1日の出来事を咀嚼するには1日じゃ足りなすぎるから
日々が足早に過ぎ去っていくように感じてしまう
どん。鈍い音と共に突き飛ばされたことを悟る。そのまま立て付けの悪い部屋に閉じ込められた。
それ以降、ドアの軋む音がトラウマになった。
上靴が無くなったのでさがしていたら、ゴミ箱に突っ込まれていた。それを拾って履くと画鋲が入っていた。
それ以降、靴を普通に履くことが出来なくなった。
プールであそんでいた。とつぜんそいつは私の足を引っ張った。溺れた。苦しかった。死ぬんだ、と思った。
それ以降泳げなくなった。
過ぎ去った日々だけれど、わたしは囚われたまんま。
時だけが囚われることなく流れていく。
カメラロールのなか過ぎ去った日々の途中でCMみたいに何度も挟まる君の変顔写真 たまに15秒くらいの動画
お題「過ぎ去った日々」
空より降るる塵芥
雲の切れ間より注がれる
光の柱を燦々と
部屋に積もった塵芥
冷たい床と無機質に
混ざり合って石のよう
だんだん降る
だんだん降る
しんしんと
しんしんと
時を進める砂の時計
地に行き着く塵芥
掬った掌流せども
床に降ろせば唯の砂
だんだん降る
だんだん降る
しんしんと
しんしんと
「−過ぎ去った日々−」
過ぎ去った日々
青い鳥舞う電脳の海。
幾億の言の葉は、過ぎ去った日々の残像。
過ぎ去った日々
過ぎ去った日々にありがとうを告げたら
もう振り返らない
一緒に過ごしたかけがえのない日々も
いつの間にか過ぎ去ってしまった
でも今を私たちは一瞬ですごして
また過ぎていく
これを繰り返しつづけ
歩き続ける
過去にはもどれない
後悔もある
だけど
きみと今を過ごしているから
過ぎ去った日々は
宝物
大人は学生のわたしたちが羨ましいって言うけど、わたしはずっと大人になりたかった。明日からは髪も染められるしピアスも開けられる。でも、待ちわびた授業終わりのチャイムの音とか、どきどきした席替えとか、学期終わりの教科書の重さとか、もう体験できないって思うとちょっと寂しい。これが大人になるってことなのかな。
(過ぎ去った日々)
3月20日。私は上京をする。
朝早く起きて、住み慣れた街を離れる。
そこには家族が居て、友達がいて、好きだった人がいる。
たくさんの時間があって、たくさんの出会いがあって、たくさんの機会があったのに。
私は、入るだけの服と大切なカメラをスーツケースに入れ、この場所に別れを告げる。
「いってきます。またね。」
過ぎ去った日々なんて、俺は振り返りはしない。
思い返したところでどうなる?
『過去』という名の殻に閉じこもって、
それに満足して、
「もういいや」
「これくらいでいい」
ってなるよりは、
前を向いて歩いた方が、
俺は得すると思うけどな。
〜過ぎ去った日々〜