『逆光』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
ステージ上の光へ進んでいくあなたの後ろ姿は暗かった
表で輝くには影の努力と苦悩の積み重ねが大事なのだろう
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「逆光」
あなたが放つ光は
目映く
私のは
虚ろで
決して
同じステージには並べず
交わることのない
対極
煌めく光が
私を彼方へと追いやる
それでも
あなたしか見えなくて
砕けても
背中を追いかけ
光の断片に
すがるように
手を伸ばす
誰?
あなたは誰なの?
人影に向かって問いを投げる。
影は何を言わずに、ただじっとそこに立っている。
ねぇ、いい加減教えてよ!
ずっとあたしの夢の中に出てきてさ!
一体何がしたいわけ……?
影の背後には、真っ白な光。直視できないほど眩しい。あたしは俯き、ひたすらに言葉を続けた。
すると、その思い伝わったのか、最初に出てきた言葉は――
『前を見て、歩んでいきなさい』
そう言われた途端、急にあの光に、影ごと包み込まれた。あたしは思いっきり目を瞑る。
そして、目を開けたならば、見慣れた天井。
あれ以来、あたしはあの人影の夢を一切見なくなった。
あれは一体誰だったのだろうか。
〜逆光〜
……もう、思い出せないあの姿。
俺を、俺らを救ってくれた大きな背中と優しさに溢れた声。笑うと一気に幼くなって案外可愛い顔立ち。でももう思い出せない。もう、笑いかけてくれることも声をきけることもない。唯一残った写真は逆光で影しか見えない。でも、それでも、彼は俺の光だ。
僕をあの日暗闇の底から救ってくれた貴方
あの日はとても晴れていたが
僕のところだけ曇っているようだった
あなたは僕の手を掴み走り出す。
顔はよく見えなかったが
貴方は太陽のように暖かかった。
【逆光】
ー逆光ー
眩しいと目を瞑ってしまいたくなる
自分の恥ずかしさが浮き彫りになるようだ
どうにか隠そうと必死になればなる程
光が私を呑み込み
消してしまうだろう
このままだと
いつまで経っても
光が私を追いかけることはないのだろう
反転した世界はいつも安心する。
見えるものが見えなくなって、見えないものが見えてくるから。
それが怖くもあり、楽しくもあり。
反転するのが世界だけで良かった。
自分が反転したら、二度と元になんて戻れないし、戻りたくないと解っているから。
逆光
いつも僕は真っ黒になっている。
人々のレンズには僕という被写体だけが暗く、色彩が失われた状態で写るらしい。
見られたくない僕にとっては都合がいい。
だけどいつも僕のそばに来て逆光をつくる君のレンズにだけは鮮明に写っているみたいだ。
そんな君は今日も僕を写して笑う。
君の眩しい光を一番近くで浴びて、君の暖かい光を一番近くで感じることができるこの場所は…
やっぱり僕にとって都合がいい。
おかしい。
何かがおかしい。
世界がとても、色褪せている。
色褪せているどころか、モノクロと言ってもいいくらい、世界から色が消えていた。
一体いつからこんな世界になった?
昨日?
わからない。
一昨日?
わからない。
気がついたら、世界から色が消えていた。
正直、色なんて、気にする余裕もなかった。
日々いっぱいいっぱいで、一生懸命で、目の前の色なんて気にする余裕はなかったんだ。
「どうした?ぼーっとして。」
『いや、世界から色が…、消えたんだ…。』
「色が消えた?色が認識できなくなったか?」
『……なんというべきか。たぶん色は、見えてるんだと思う…。色鮮やかさがなくなったというか…。』
「そうか…。極端にいうと白黒の世界?」
『うん、まぁ…。極端に言えばね。』
「そりゃあれだけ毎日、頑張ってればな。
休めって俺が言ったって、どうせ聞きゃしねぇんだから、俺がありがた~い話をしてやろう!」
『いや、いらな…』
「なぜ世界が白黒なのか!
それはな、お前が真っ正面に光を見据えて突き進んでるからだよ。
カメラで写真を撮るとき、ギラッギラ輝いてる太陽に向かって写真を撮ったらどうなるよ?手前の物は真っ黒に写っちまう!逆光って言えばすぐイメージつくだろ?
つまり、逆光状態になってるから、白黒なのさ!」
『はぁ…』
「だから!今お前の見えてる世界が白黒なのは、自分の目指してる光を真っ直ぐにとらえて頑張ってきたって証拠なの。頑張ってきたんだよ。むしろ、頑張りすぎてるってことさ。
世界が白黒に見えるなんて、ヤバいってことは分かるだろ?」
『…うん。まぁ…。』
「まぁ…、じゃない!やばいんだ。
頑張りすぎて、やばいんだよ。今のお前は。
普段、世界はカラフルだろ?他の人だってそうだ。世界ってのは元々色鮮やかなんだよ。
どうすれば色鮮やかな世界になるか。光に向かって真っ直ぐ進まなきゃいいんだ。斜めから見るんだよ。何なら後ろから光に照らしてもらえ!光に背中を押してもらいながら進むんだ。
真っ直ぐに進まなきゃいけないなんてことないんだから。
光だけ見て真っ直ぐ進んでたら、断崖絶壁まで克服しなきゃなんねぇじゃねえか。まわり道も必要なのさ。斜めから見た方がより世界は見えるんだよ。より簡単になることもある。
そんなに頑張りすぎるな。手を抜くぐらいでちょうどいいんだから。
それじゃ!光に背中を照らしてもらうために、反対向くぞ!」
『反対向く…?』
「休憩取るんだよ。
光に向かって作業してたんだから、その逆、作業の手を止めれば、背中照らしてもらえるだろ?
まずは、休憩、取るぞ。」
変わる
どんなに馬鹿にされても
僕の背中を照らし続ける存在がある限り
君から逃げない
逆光。
レンズ越しのシルエット。
太陽の光からこちらを庇うように佇む被写体は、真っ黒に塗りつぶされる。まるで、太陽の炎で焼けすぎて丸焦げになってしまったかのよう。それでも形を保っている姿が、心に空いた穴を燻らせる。
光でありたかった。
正しく、優しく、前の存在でいたかった。
けれど眩しすぎる光は、逆に嫌煙されるものであることを誰も理解しない。太陽は直視してはいけない。目を焼かれ、視力を奪われてしまうから。
光を求め過ぎれば、盲目になる。
正しさや優しさを主張し過ぎれば、それは悪へとかわらないだろうか。悪を排除するということは、悪に優しくない。
そもそも、悪は何故生まれるのだろうか。
それは、影が生まれる理由と似ている。
あなたは脚光を浴びる。
私からみると、そんなあなたは逆光を受けた大木のようだ。
テーマ“逆光”
写真を撮るのが苦手な私は
いつも逆光だった。
それも思い出と笑っていたのに
いつの間にか
そんな逆光も綺麗に加工してくれるらしい。
だが、それは別に
撮る側の人の腕が良くなった訳ではなく
カメラアプリやらデジタルカメラの進歩(進化)ってだけで
何かなぁ………と思う。
逆光
「もう、終わりにしよう」
目の前に立つ彼女は、そう別れを告げた。
なんで、とか、どうして、だとか言いたいことはいっぱいあったけれど、どうもこの口は思い通りには動いてくれなかった。
「……わかった」
そう言えば、彼女は安心したように笑った、気がした。このときだけは、彼女の顔が逆光で見えなくてよかったと心底思う。
もし泣いていたりでもしたら、きっと終わるに終われなかったから。
逆光。朝日がとても眩しい朝。仕事の天敵である。
信号見ように日差しがそれを拒む。
まったく困ったものだ。だかこれもまた一興。この日この瞬間はその時にしか味わえないのだ。
いいのだけれど、実際はその時になって後悔する。
時が過ぎれば忘れてまたあの眩しさが恋しく想う。
またそんな日が来るといいな。
なりたいものがあった。
今の自分と正反対にある、なりたい自分。
やりたいことがあった。
今の自分がやっていることとは、ちがうこと。
手放したくないものがあった。
手放さないことを諦めてしまった、からっぽの手。
ふり返ると、今の自分には眩しくて。
光が強くて見えない、分からない。
あのとき、見えていたはずなのに。
いまは、黒く歪んでいる。滲んでいる。
あの時、自分の心を確かに灯していたあの光は
いまは遠く離れてしまった。
今の自分には、ただの逆光なんだ。
嗚呼、でも。
新しい光がここにある。
真反対の道を歩いて、手放して、手に入れたひかり。
これもいつかは、逆光になってしまうだろうか。
そしたらきっと。
あたらしい、ひかりが 。
逆光
撮れてしまった逆光の写真
補正しないでよ、
これはこれで美しいさ。
朝日を背負うあなたは神々しくて
手の届かない高嶺の花。
影がかかっていて顔はよく見えないけれど、とても美しい顔をなさって
わらっているのでしょう。
あなたの隣に並んでしまったら
わたしは光に溺れてとけてしまうの。
__逆光
今日は久しぶりに会えて良かった
私達の思い出が詰まったこの街を離れて
これは修行なんだと言って
君だけが上京してから三年
時間も無くて、お金も無くて
あと、大人になった君に会う勇気もなくて
やっとの思いで私は君との時間を拾い集めた
肌寒い季節に映える
毛先が緩く巻いた暖かな茶色の長い髪が揺れて
胸元にリボンのついた
大人っぽいグレーのブラウスが似合う君
私は少し背伸びをして買った黄色いニットを合わせるのが精一杯で
君の隣を歩くのは、ほんの少しだけ居心地が悪かったけど
さよならの時間、私は夕日に見惚れる君が振り向く瞬間を
首から提げた一眼レフで撮った
写真の中の君は、屈託のない笑顔で笑っている
笑っている
笑っている
笑っている
だけど
夕日の影に隠れた君の笑顔の半分は
笑っていたのに
泣いていたんだ
「−逆光−」
浴びてなんぼ吹いてなんぼ
惹かれ光る金と銀の
輝きを見せた楽器たち。
美しい音色を引き立たせるように
逆光が彼らと相方の楽器を照らす。