『逆さま』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
落ちる、落ちる、落ちていく。
重力が私を包み込んで、勢いのまま引き摺り落とす。
抗うこともできずただ、加速する空気に肌を切られて、果ての見えぬ世界の底へと吸い込まれていく。
はじめは、やがて来たる終焉を恐れた。けれど、落ちるばかり。いつまで経っても果ては来ない。
次第に落ちていることが当たり前になって、刃のような風の音、凍える寒さに慣れていく。逆さまの世界が、私の生きる世界に変わっていく。
ああ、落ちる前。私はどうやって生きてきたんだっけ?
考えてももう、思い出せない。どのくらい落ちているのか、どのくらい時が経ったのか、全てが溶けて曖昧になっていく。
落ちる、落ちる、落ちていく。
果てへの恐怖はもうない。ただ、終わりの来ない永劫の落下が、まるで罰のように退屈だった。
【逆さま】
「あんたにとっては、生きやすくも生きにくくもあった世界だったんだ?」
ああ、今、この世界で息をしていることが、息ができることが、とても心地いい。
この地に、広大な草原に、仲間に、全てに、
感謝を伝えたい。
地上よりも動きにくい深海の水中で、私は自由に舞う。
踠いてもどうにもならない。
地上での生活は飽きた。
真っ逆さまにおちゆく私は、かつての故人に聞こえない独り言を返事する。
「ああ…そうだったみたいだな。」
_2023.12.6「逆さま」
真っ直ぐな人生って存在するのでしょうか。
いいえ、きっと存在しないでしょう。
何より、基準が示されていないのですから。
さかさまになったほうがいいものが
この世界にはたくさんある。
愛とは正反対のことがあふれている。
でも、さかさまにならないほうがいいものもある。
たとえば、サッカーゴールとか、はっぴーえんどのお話とか、あんぱんとか。
さかさまに絶対ならないものもある。
決められたあの砂時計はさかさまにはならない。
まさかさかさま にならないなんて。
愛は愛のまま。
朝陽が昇るのをゆっくりと眺めている。
澄んだ空気がとても心地良い。
遠い地でサッカーの試合があったようで、
その中継を見る。
どちらも良いサッカーをする。
危険なプレーは一切ない。
怪我をする選手も、怒ったりする選手も
1人もいない。
観客はサッカーを純粋に楽しむ人々で溢れている。
コートと客席に区分はない。
みんな同じ目の高さでサッカーを楽しんでいる。
空は青い。芝生も緑い。
コートのわきでピアノを弾いている人もいる。
サンドイッチ片手に声援をおくる
あの娘の頬が光っている。
風になびく髪を耳にかける。
試合の結果はどうだったか忘れたけど、
とても楽しいゲームだったな。
さて今日も早朝から1時間教える予定だ。
焼きたてのクロワッサンを食べて出かけます。
【逆さま】
もし重力が逆さまになってしまったとしたら、どうなるんだろう。
人間とか、車とか、水さえも空の方に吸い込まれていくのだろうか。
息が出来なくなって、苦しい苦しいと思いながら死ぬんだろうか。
あ、でも空を飛べるのはいいな。
だって飛んだ記憶が人生最後の記憶なんて、粋だと思わない?
ーーー
「考え直すんだ!こっちに戻ってこい!」
必死な表情をして、担任の先生が私に叫ぶ。
屋上の柵の外側にある自分の体がかつて無いほどに軽く感じられて、今すぐにでもふわりと羽のように飛んでいけそうだった。
きっと、どこまでも飛んでいける。
ふわふわと飛んで行っていた思考が、うるさい担任の声で引き戻される。
ちら、と後ろにいる担任を柵越しに見ると、絶望のような、焦りのような、悲しみのような、とにかくごちゃ混ぜな感情が読み取れた。
それが、どうにも腹立たしい。
生まれてからずっと苦しんできた人間じゃないのに、恵まれた人間なのに、一丁前に自分が1番苦しんでいますみたいな顔をする。
「お願いだ、一生のお願いだから戻ってきてくれ…」
涙を流しながら訴えかけてくる担任に感じたのは、単純に嫌悪。
今更何を言ってるんだこいつは、という思いが溢れ出てくる。
「あのさ、ちょっと黙っててよ。せっかく一人で空を飛ぼうと思ってたのに勝手に邪魔してこないでよ」
溜まったイライラをぶつけると、直ぐに静かになった。
口を開いて何かを言いたそうにしているが、肝心の言葉が出ていない。
もうこいつに構うのも時間の無駄だし、と柵に添えていた手を離す。
風を全身で受けるように手を広げると、少し冷えた風が体を撫でてくる。
制服のスカートがひらめいて、悪くなっていた気分が随分と良くなった。
前に一歩、踏み出した。
宙に放たれた体は、重力に従って下に落ちていく。
前に踏み出す瞬間にあいつが何かを叫んだ気がしたが、もうどうでも良かった。
なんて気分が良いんだろう。
まだ体は重くて下に落ちていくけど、落ちきったら羽のような軽さになれる。
どんな景色が私の目に広がっているのだろう、と無意識の内に閉じてしまっていた目を開けると、逆さまになった地球が目に飛び込んできた。
空が地面で、地面が空。
ああ綺麗だな。
そう思った瞬間に、視界は真っ黒の幕が引かれて見えなくなってしまった。
私は無事、羽になれたのだ。
逆さまは怖い
高いところから落ちたり
運が真っ逆さまに落ちたり
でも嬉しい
君が助けに来てくれるから
お題『逆さま』
異動した。
職種は同じ
なはずなのに
今まで
当たり前
だったことが
え、
何で
そうしたの?
と
言われることばかり。
あぁ、
これは
あの職場の
独自ルール
だったんだ。
この職場には
この職場の
ルールや
価値観が
あるんだ。
あの職場の
あんなところ
こんなところ
実は
良いところ
だったんだなぁ。
#逆さま
大人になりたくなんかない
私が、いつも思うことだ
まだ、大人じゃないし、
そんなの考えるのは、早いかもしれないけど
本当になりたくないんだ
子供だったら、許されたことも
大人だったら、許されない
世の中は、大人に完璧をすごく求めてくる
大人なんだから、ときっと言われるだろう
私は、完璧な大人になんてなれない
これからのことを考えると、苦しくなる
お金がなけりゃ、生きていけないし
高卒でなけりゃ、働くところが狭くなる
そして、人付き合いもうまくこなさなきゃいけないし
この世の中は、私にとって生きにくくて、たまらない
ただの、愚痴
?︙…………どこよ、ここ。
猫︙やァヤぁ素敵なオ嬢さん♪…懐中時計を持ってイルネ
そレを直して元の世界に戻してあゲヨうか?
鼠︙ケケケケケケッネコ、カッテにシャベルな
猫︙ん゙ニゃっ…ヤぁやァ居たノカい鼠君
?︙ねぇこんなのおかしい話よ。
猫︙なニが可怪シイんだい?
鼠︙そうさ、ソウサ、オカシイ?
?︙……だって、貴方達猫と鼠じゃない、どうして猫が鼠に怖がっているの?
猫︙怖ガってナンかないさ
鼠︙ケケケケケケッ強がり、ツヨガリ、ケケッ
猫︙おマえ…少シバかリ身体がコの俺様よりでカいかラっテちょうシにノッテると身体の皮を剥イでジャムを塗っテ
タベてやル
?︙ねぇっ喧嘩なんかしてないでここから出してよ
ほら、懐中時計はあるわ。これが直ったらこのティーポットから出られるんでしょう?
鼠︙ケケケッミセテミロ、ケケッ
猫︙あぁ、本当だ。二日ばかりズレている鼠君ソレじゃあジャムを持っテきてこワレるまで直そウか♪
?︙何を言っているのよっ壊れたら元も子もないわっ!
鼠︙ケケケッオマエこそナニを言ってイルンダ?
ココデハ不思議が普通、猫も、鼠も、懐中時計だって
踊って狂って大騒ぎ。
猫︙おやオや、新シいお客サンだ♪
【131,お題:逆さま】
まるで上下逆さまで宙に浮かんでいるような、そんな感覚
じっとりと汗をかいた手のひらが気持ち悪い
頭の方にだけ集中して血が集まるから、ズンと重くなって吐き気がした
いつまでこれは続くんだろう...
...ピッ、ピーーーーッ
「もう終わりだぞー...って、誰か吉野が降りるの手伝ってやれー」
「わっ!寧音ちゃん大丈夫?」
先生の笛の音がなって、みんなそれぞれの位置に戻っていく
そんな中私は鉄棒に足をかけたまま、逆さまの姿勢で固まっていた
「大丈夫っすか吉野サン?」
「これが大丈夫に見えるなら、お前は今すぐ眼科に行った方がいい」
「寧音ちゃんは運動苦手だもんね~苦手なものは仕方ないよ」
足離していいよ~と言われ、親友の葵依に体重支えてもらいながゆっくりと鉄棒から降りる
なんとなく葵依の支え方が上手くなって来ているのが腑に落ちない
「登ったはいいが降りれない、なんて何だか猫みたいっすね」
長い間鉄棒にぶら下がったままだったので、痺れた足を引き摺りながら歩いていると
猫宮がそんなことを横から茶化してくる、実際に名字が猫であるお前に言われたくない
「お前ら早く並べー」
「「すいませーん」」
列の一番後ろに3人で固まって並ぶ、この様子だと次は短距離走か、気が重い
先生のスタート合図で、前の運動神経のいい男子達が疾風のごとく駆け出すのが見えた
あれだけ早く走れたら気持ちいいのだろうか?、なんてことをふと考える
「ねぇねぇ、今日学校終わったらカフェ行かない?」
「カフェ?近場にそんなのあった?」
「ふっふっふ、実は最近新しく出来たんだって~、あっ猫宮くんも行こうよ」
そいつは誘わなくてもいいだろ、どうせ勝手に着いてくるし
なになに?何の話しっすか~?と、近付いてきた猫宮に同じ内容を話す葵依を見て
なんとなくこの日常感溢れる光景に頬が緩んだ
「えっ俺も行っていいの?」
「もちろん!寧音ちゃんも良いって」
しれっと了承したことになっているのは置いといて
下らない日常ってこういう事なのかな、とふと思う
もう少しこの光景を見ていたい、いまはその欲に従うことにした
...そのお喋りが熱中しすぎたせいで、この後先生からの怒声が飛んだのは言うまでもない。
『逆さま』
実は逆さまだったのです。
今朝、慌てて履いた靴下の表と裏が。
だからでしょうね。
足がムズムズしていたのは。
実は逆さまだったのです。
昨日あなたに言った「大嫌い」というセリフが。
だからでしょうね。
今になってこんなに心がズキズキするのは。
実は逆さまだったから、
あなたにお願いしたいのです。
昨日の私のあのセリフ、もう一度だけ逆さまにしても、いいですか?
#逆さま
「みてみてー!」
無邪気な声に振り向くと、クラスの子どもが足を広げて
間から私の事を覗いていた。
「あはは、何やってるの?」
「せんせい、みっけ〜!」
「見つかった〜」
そういうとゲラゲラと笑い出す。
保育士になって6年。
子どもの面白いと思う物は色々あるけれど、
大人よりも面白いと思う物が多いと思う。
「せんせいもやって〜!」
「いいよ」
同じように足の間から覗いてみる。
なるほど、天と地がひっくり返っている。
「本当だ、面白いね〜」
「でしょ!」
ごめんね。面白さは分からなかったけれど、
面白いを共有して、君の得意気な顔を見る事ができて
先生は楽しいよ。
君のその顔のが何倍も面白くてかわいいけれどね。
純粋無垢に今を全力で生きる子どもたちへ。
色んな事を知ってしまって大人になった先生から。
今、面白いと思う物はきっと大人になったら
面白くなくなるかもしれない。
それでも、一歩立ち止まって世界を逆さまに見てみると
意外といいことあるかもよ。
会いたいのに遠ざけたり
伝えたかったこと言えずに
その場の温もりが冷めないように
明るい表情で
家で独り
寒い部屋と切なさは
誤魔化せなくて
本当はもっとずっと
一緒にいたかったよ
「逆さま」
旦那が
亡くなった時
長女は私に言った
パパは
ママのこと好きだったよ
私がずっと
孤独だったことを
気づいていたんだ
私が
片思いの
夫婦だと
感じでいたことを
気づいていたんだ
14歳だった娘は
23歳になる
逆に
励まされた話
「逆さま」
全てが逆さまな世界なら
あなたは私を愛してくれるだろうか
【逆さま】
世界を逆さまに考えてみよう。
全てを逆さまにしよう。
人は四足歩行で歩き、動物は人間の言葉をしゃべる。
車は空を飛び、飛行機は地底を進む。
水=火となり、火=水となる。
、、、、ちょっと意味わからないよね。
つまり、何もかもが逆になった世界を想像するということ。
そうしたら、君はどう感じる?
放課後の教室。
辺りには気配がなく、まるで真夜中の学校のよう。
茜色の夕日がさす教室に、スラックス姿の男子が2人。
1人は椅子に座り、学級日誌を書いており、もう1人はチャラそうに机の上に座り、日誌を書いている男の子の手元を見ている。
『どうって、、別に何とも思わないよ。いいんじゃない?逆さまになっても。人間は順応する生き物だから。』
そいつはニコと笑い、机から降り日誌の俺の前に来る。
『お前、、いいやつだな!』
満面の笑みで俺を見る。
俺は無心で日誌にペンを走らせる。
昔から表情を読みにくいと言われてきたが、毎回自分でも自分の表情筋を疑う。
『、、別に、僕は自分の考えを述べたまでだし。でも、何で急にそんなこと聞いてきたの?』
途端に黙り込むそいつ。
誰もいない教室に、俺のペンが走る音だけが静かに聞こえる。
『それは、、その、、』
何か言いにくい雰囲気を感じとり、俺はペンを置いて俺を見下ろしているそいつと目を合わせる。
『あ、、え、、と、、、』
そいつは目をキョロキョロと泳がせる。
『何?』
急かすと、観念したように頭をガシガシかいて真面目な顔で俺と目を合わせた。
『俺、、ゲイなんだ。』
は、、
声こそは出なかったが、口がだらしなく開いた。
『そ、、か。』
それだけしか出てこなくて、頭が追いつかなかった。
ゲイ。
保健の授業で少しだけ習ったが、ゲイは男の人が好きな男の人のことだ。
俺はその辺に理解はあるが、自分はそうじゃないから実感というか、本当にいるんだという感情だ。
『、、、引いた?』
『、、いや。ちょっとビックリしただけ。お前はお前でいいと思う。』
そいつは嬉しそうにはにかんで、俺を見つめる。
その目は、何だが情熱的だった。
『俺、お前が好きだ。』
次は驚きはしなかった。
薄々勘づいていたから。
時々向けられるその情熱的な瞳。
俺と話すと楽しそうな声のトーン。
俺は親友の方が強かったけれど、そいつは恋愛の方が強かったらしい。
『うん。』
『俺、、これだけ言いたかった。いつも俺の話を受け止めてくれるお前が好きだ。否定もしない、肯定もしないお前が。頑張りを認めてくれるお前が。好きだ。』
でも、、さすがの俺でも自分の感情は感じ取れなかったようだ。
そいつとは、長く親友をやってきた。
親友がゲイでも、何でも俺は受け入れる。
例え、俺が親友としてそいつを好きでも。
恋愛的な感情にならなかったとしても。
これからそうなるかもしれないから。
お前とこれからも一緒にいたいと思ったから。
見た目によらず、人の細かいところまでよく見てて、良い褒め方をしてくれる。
俺の大切なやつだよ。
『こんな俺、、キモいよね。ごめん。』
立ち去ろうとするそいつの手を、咄嗟に掴む。
振り返るそいつの顔は、夕日のせいか茜色に染まっていた。
『俺、お前がゲイでも、お前が俺のこと好きでも、受け入れる。これからも、ずっと一緒な。』
『っ、、、うん。ありがとう。俺、やっぱお前好きだ。』
『少しずつ、お前のこと知って、好きになっていきたい。お前の気持ちは届いたから。』
『おう。』
その日。俺の中で世界はひっくり返った。
いとも容易く、逆さまに。
逆さまに落ちていく気分
放り出された気分
高い高い崖から真っ逆さまに
暗闇に落ちる時の恐怖は
今日は何故か感じないみたいだ
なにもかも捨てて
なにもかもから捨てられて
1人で昏い海の中を
彷徨っていくのか
何が幸せなのだろう
人に依存して過ごすことか
人との関わりを絶って1人で生きることか
期間雇用社員として
戻って来た会社
今、上司の課長は年下
もちろん承知です。
失礼の無いように接します。
とあるトラブルを
(厄介な作業だぞ)と
心引き締めて取り掛かり
なんとかソツなく終わらせたのに
「これではだめです」と言われ
すべての作業を取り消しにして
勤務時間帯が過ぎたので、と帰宅を命じられ
課長に全部渡して帰りました。
翌日、
どうしたものかと見てみると
私の考えた案で処理しているではないか
なぜ素直に
「そのやり方が良いですねそれにしましょう」
と言わないのか?
なぜどうしようかと相談しないのか?
なぜ謝らないのか?
メンツとか意地なのかな。
考えたら逆に課長が可哀想になって来た。
昨日は一人でぐちゃぐちゃのトラブルを処理して
帰宅は随分遅くなったんだろうな。
思い直して
私は課長を応援する事にした。
がんばれ!!
ーーー逆さまーーー
逆さま
いままでの人生が、自分のものではないような、
今の自分の居る場所がわからない。
深い深い穴に、真っ逆さまになって落ちていく。
真っ逆さまに落ちるのはとても恐いけど、大丈夫、それは現実じゃない
今君が見ている夢の中の出来事だよ
落ちながら、くるりと一回転してごらん
できるさ、だって夢の中にいるんだもの
ほらね、楽しいだろう?
何も心配いらないよ
全部楽しんじゃえ
だって、すべて夢なんだから