『逆さま』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
理想と現実は逆さま。
現実の逆さまに理想があって、理想の逆さまには現実がある。
理想は友達と本音で話し合えて、笑顔の絶えない日々。
現実は友達に本音をこぼすことができず、少しの笑顔しかない日々。
理想は戦争のない世界。
現実は争いのある世界。
理想は友達に囲まれる学校生活。
現実はクラスで孤独に生きる学校生活。
理想はあるけど、結局現実は厳しいもので、現実が理想の世界と同じようにはなれないけど、理想に近づけもしないの。
現実の逆さまには理想の世界があるんだろうなあ。
わたしは、現実の逆さまにある、理想の世界で生きていたかった。
よく見慣れた逆さまの景色。
私は縄で縛られた上に高い木から吊るされているところだ。
「師匠ーーー」
ぶらぶら揺れつつ呼んでみても返事はない。
何でこんなことになっているかって?そりゃあ勿論お仕置きだ。言いつけを守らないとたまにこうなる。
そろそろ限界かもしれない……そんな私を見かねてか、師匠が姿を現した。手に雉を持ってるから今日は鍋かな?なーんて。
へらりと笑ったのが気に入らなかったのか、師匠は苦無で私を吊るしていた縄を切った。
「わっ!」
頭から落ちる!
と思ったけど抱き止められていて。ホッとした次の瞬間には地面に投げられていたけど。
「何をしている、縄抜けくらいできるだろう」
「んまぁ、できるけど」
師匠に教わった縄抜けでするすると自由を手に入れた。しっかり縛られていたから全身痛いんですけど……
「雉も撃たれて落ちる時に逆さまになるのかな?」
「雉は高くは飛ばん、逆さまにはならんだろうな」
「あっ、そうですか……」
「なるのはお前くらいだ」
「はい……」
師匠が雉を捌くのを手伝う。
実は逆さまもちょっと面白いんだよ、と言おうとしたけどやめておいた。次のお仕置きがもっときつくなるような予感がするから、ね。
【逆さま】
価値観が逆さまになった。世界が一転した。
勉強できる人が馬鹿で、勉強できない奴が天才になった。
努力してる人が蔑まれるようになって、努力しない人間が褒められるようになった。
それでも、頑張り続ける人がいた。
[なぜ、君は頑張るんだ?]
俺が問いかけると、そいつは微笑を浮かべて、
[努力しか、僕にはできないからです。努力をしなければ、僕はただの屑人間ですから。僕は僕の価値をたかめるために、努力を続けます。例え馬鹿にされようと、絶対]
俺は心に強い尊敬を持った。
[なら、俺も努力するしかねぇな。屑人間同士頑張ろうぜ。で、名前は?]
[ルカです!あなたは?]
[俺はゴウだ!よろしくな!]
価値観が逆さまになった世界でも、努力する人間は強い。
君の世界は逆さまになってないだろう?ならば何故努力をしない?
もちろん、これを読んでる人の中には努力をしてる人間もいることは承知さ。それは素直に敬愛も尊敬もするが。
努力をする人間ほど強いものはないと、個人的な意見では思うね。もちろん戦力の意味ではないよ?
さあ、一歩だけ前へ進め。
逆さま
世界が逆さまだった
頭上に川が流れ
足元を見ると木々の間から青空が見える
うむ
逆さまなのは世界ではなく
どうやら自分らしい
登山に出かけた記憶はあるのだが
どうしてこんなことになってしまったのか
幸いにも
足元から自分を呼ぶ声が聞こえる
できる限り声を振り絞って
居場所は伝えた
はてさて
いつまでこの状態が続くのやら
いっつも逆さまなんだよね
やらなきゃなんないこととやってることが
だから孤立しちゃうんだろうな
気を遣ってるふりして
実はあたしに無関心で
なんにも言われないのが
一番きついんだよ
気づいたときに
もうここには居られないって思っちゃうんだよ
大人だってしんどい
メンタル崩壊寸前
反省しても
やり直しても
逆さま
落ちてゆく
この詩も反応なんて
どこの誰かも
知らない人に
意味不明な謝罪
そして、スルー
逆さま
逆さま
どこまでも
人は他人に厳しい
楽しかったネットライフは
あの時代は
いつの日か 消えていた
私の前からは
逆さま
逆さま
どこまでも
泣きそうな本音も
誰にも響かない
「ねぇ、焦ってるの?」
「な、何でだよ」
「いや、本」
「本?何時も通りじゃねぇか」
「はぁ、だから逆さま!!君が何かに焦ってる証拠!」
「あ、やべ」
「で?ちゃんと言おうね?」
「....はい」
# 14
PM. 逆さま
明日世界が逆さまになっても、
私は誰にも教えない...
その瞬間までずっと┈┈┈夢だったらな。
逆さま
笹かまぼこが好きだ、という共通点で私たちは仲良くなった。それまであまり話したことがなかったのだが、飲み会で隣の席になり、会話に困ってなぜか笹かまぼこの話題を持ち出したところ、私も好きなんです!と思いがけない反応が返ってきたのだ。
笹かまぼこを皮切りに私たちは次々に好きな食べ物をあげていった。ゴボ天、チーちく、つみれ。つまりは練り物が好きなのである。
向かいの席で私たちの様子をみていた後輩は、おふたりともずいぶんしぶい趣味なんですね、と口を挟んできたので、私たちは黙れくちばしの黄色い若者よ。などと調子にのってふざけてみたりしたのだった。実際のところ後輩とは2才しか違わないのだけれど。
そして私たちは当然のように次の日一緒に晩御飯を食べる約束をし、美味と名高いおでん屋に行きたらふく食べたのだった。そして嬉しくてその話を職場で吹聴しまわったのであった。
良い食事仲間が出来て良かったと思いながら日々を過ごしていたら、ある日同期がいかにも驚いた、というように右手をおでこにあてながら話しかけてきた。
君って笹かまぼこが好きってホント?
頷くと、同期は目を丸くして言った。
まさかさ、この会社で笹かまぼこ好きに会えるとは思わなかったな。俺も大好きなんだよ。
まさか、坂さままで笹かまぼこ好きだったとは。
同期内の憧れの的である坂さんとも仲良くなれそうな気配に動揺し、私は持ちあげた鞄がさかさまであることに気づかなかったのであった。
逆さま…。
うーん。逆さま…。
暫し頭を捻るが、鏡やら裏表逆の服やらカードやら
単語が浮かぶけれど、空想が広がらない。
仕方ない。あいつに頼りますかね。
おーい、逆さまだとよ。
カードおくれ、カード。
私の呼びかけに
スッと、カードが差し出された。
早くて素晴らしい。
まぁ、でもカードを差し出すのがお仕事だからか。
さて、差し出されたカードには
「サカサマのパテマ」と書かれていた。
いや、…うん…。
確かに逆さまがテーマだね、合ってるよ。
しかしだね。これは…、映画だね。
結構前の。
調べたら2013年との事。十年前…。
えっと、ちょっと待って。
このカードに書いてあることは
作品紹介すればいいのかな?
それとも、パテマ風の話を考えろと?
設定だけで力尽きるし、
作品紹介だけでもなかなか時間かかるよ?
再びカードがやってきた。
言葉から連想して文字を差し出すのが自分の仕事、
話を広げるのはあんたの仕事。
ぐうの音も出ねえこと書いてあった。
しかも若干不機嫌な感じもする。
ごめんて。もうグダグダ言わないからたまには一緒に創作しよう?
再びのカードだ。ご機嫌治ったかな?
カードには一言。
もう、してる。
もう、してる。とはどういう事だろう?
疑問に思っているとカードの文字がグニャリと変わっていく。
あんたが考えないから、あんたの代わりにコレを打ってる。
思考と自我の逆さま。
逆さまってこういうことだろ?
逆さま
僕だけ逆さま
みんな上に登っていくのに
皆上を目指してるのに
僕だけ何も見ずに逆さまに落ちていく
1人だ
ずっと1人だった
でも、目の前に貴方がいた
貴方は、ずっと上をみてるけど
僕が横切ってすぐ
僕と一緒に逆さまになった
なんで、貴方も逆さまなの?
上を、みていたんじゃないの?
ごめんなさい、僕のせいで
「ううん、これは私がしたことだよ?」
『逆さま』
髪が風でなびいていた。
真っ逆さまに落下している。
学校の屋上から誰かに落とされた。
落ちるのは怖いけれど、家族や友達との記憶が走馬灯のように蘇ってくる。
そうだ。思い出した。『由里』だ。由里は昔から私のことを嫌っていて、いつも嫌がらせをされてきた。
「やめてよっ……」
「ダンスクラブも真面目にやらないくせに、調子乗らないでよ!」
由里とあの時は口論していたんだ。
(ああ、私は由里に負けたんだ。)
「良かったね。これでダンスクラブの邪魔が消えるよ!」
由里がにやりと笑って私を突き落としたんだ。
「じゃあね!」
そして、私の背中を押した。長い髪が揺れる。下を見てしまった。人や車が交差している。
「ああっ……助けてよっ……凛!」
あなたの瞳
私の瞳
同じものを見つめるのに
近寄る事も交わることもない
一方通行
抗っても報われない気持ち
ちょっと期待しちゃう気持ち
どんなポジションなら正解?
どこに座るのが正解?
あなたの隣?
あなたの後ろ?
気持ちは逆さま
でも
もう少しだけ
このまま
まっ逆さまに落ちていく
大好きだったおうちの玩具
ちいさく鳴いた可愛いわんこ
あなたのスベスベのおてて
風の気持ちいい帰り道
肌に触れる温もり
全部 これだけだったらよかったのに
これだけしかいらなかったのに
全部 まっ逆さまに落ちて 割れた
逆さま
この世は逆さまだらけですねぇ。
どちらがより沢山
対の逆さまを見つけられるか勝負しませんか?
貴方が勝ったなら
なんでもひとつ言うことを聞いてあげます。
ああ、そうそう。
向こう側には気をつけてくださいね。
逆さま
────深い眠りにつき
僕は不思議な夢を見た。
今日はその時の話をしよう。
夢の中で目が覚め辺りを見回すと
なんとも言えない感覚に覆われた。
窓を覗いた時僕は思わず呟く。
「なんだ…地面が上にある…?」
それに机も椅子も小物達も
全て逆さまになっていた。
もしや、夢か?と思っても
もしかしたら現実かもしれないと
不安になっていた。
更に僕の重力は反対側に引っ張られている。
家を出たら空に飛ばされてしまうと
思った僕はこの夢から抜け出す手掛かりを
探すため、家の部屋を探し回る。
不思議なことにお腹も空かないし
思っていたよりちゃんと歩ける。
とはいえ、このままだと困るので
ベッドに置いてあるスマホを取りだし
夢から目覚める方法を調べようとしたが
ネットが通じていないのか
画面はフリーズしたままだ。
どうしようという不安と
このままだったらという焦りで
いっぱいになり突然目の前が白く霞む。
───ピロロロロピロロロロ……
目を開けると青い空が見えている。
「なーんだwやっぱり夢だったのか」
僕は安心して微笑んでしまった。
けれど、なんでだろう…背中が熱いんだ。
それにピーポーピーポーと音が聞こえる。
身体も動かない。
あ…そういえばなんで空が見えるんだろう。
僕はそっと目を閉じた。
#逆さま
笹かまと空目した。
僕は仙台出身。
だからなんだと言われそうだが、“さ”二つに“か”と“ま”の四文字の単語なんて条件反射で“ささかま”になるしかないだろう。
各家庭で贈答用に使う“笹かま”にはこだわりがあって、
時にメーカーの代理戦争が勃発する。
我が家は“鐘埼”の“大漁旗”一択だ!
だが何故か“白謙”だけは許される。あれは県民からも一目置かれる存在で『白謙は美味しい。』と口を揃えて言われるのだ。
土産に買う際は、全部買って食べ比べを推奨する。
逆さま
逆さまだったかもしれねぇ。
逆じゃねぇ、逆さまだ。
加湿器は乾燥しているものの周囲に置くもので、電化製品や書類、紙の近くに置くものではない。
でも、今は逆さまだ。
上に本棚、真ん中に飾り棚、下にパソコン。
どこに置いてもアウト。軽い蒸気は上に上がるし、重い蒸気は下に下りる。
ツーアウト。
飾る場所を考慮せず買ったオレが悪い。
パーソナル加湿器は机に置くものだ。
机に置き場所がないので飾り棚に置いた。
そこには本とノパソを保管していた。
加湿器ありきで置き場を決めたじゃねぇから、因果が逆なんだ。
逆さまがこれにどんな関係があるんだって?
あー、見れば分かる。
サイズ的に、厚み的に置ける場所が限られた物を『そこ』に安置するだろ?
加湿器を置こうとするだろ?
その上下が電化製品と本だろ?
オレの趣味と部屋の収納が逆さまだったらなぁ。
なんで、人って逆さまなんだろう。
人は辛い時、周りのみんなに「大丈夫」っていう。
人は苦しい時、周りのみんなに明るく振る舞う。
人は泣きたい時、何事もないような態度をとる。
ほら、全部逆さま。なんで、逆さまにするんだろう。
ーーーそれはね、弱みを見せたくないからなんだ。人は、弱みを見せることを、恥ずかしいと思っちゃう。そんな事、あるわけないのに。
人に弱みを見せても、大丈夫だと、みんながわかることができたのなら、この世界の人々は、助け合うことができて、平和になれるのかな。
逆さま
グーっと背伸びして、背もたれから身を乗り出すと、逆さまの君が変な顔をして、
「何しているの?邪魔なんだけど」
と言ってきた。
逆さまで見る君がなかなかに新鮮で、面白く、つい休み時間ギリギリまで眺めてしまった。
とある日の教室での休み時間中の話。