『踊るように』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『踊るように』
踊るように桜が舞った。
それを追いかけて子犬が舞った。
ワルツ、ワルツ、子犬のワルツ。
せっかくだからShall we dance?
僕と一緒に踊りましょう。
拙くたって良いのです。
だってこれは子犬のワルツ。
主役は僕らじゃなくて彼ですからね。
さぁ、子犬くん。桜はまだまだ舞ってるぞ。
踊るようにひらひらと。
踊るように
「おい。あんまり走ると転ぶぞ。」
「分かってるよー!」
淡い水色の空にかかるわたあめみたいな雲。
視線を落とせば視界を埋めるほどの燃えるような桃色の花々が。
俺は、年の離れた妹と、この花畑へ来ていた。
日々仕事で忙しく、中々妹と話す機会が無く、きょう休みを取ってここまで来た。
妹も遊びたがりな年頃だろうに、いつも俺を気遣ってくれて、なにか欲しいものはないかと聞いても、いつも遠慮する。
しかし、今日の事は喜んでくれたみたいだ。俺は花畑で駆け回る妹の姿を見てほっと胸を撫で下ろした。
せっかくここに来たんだ。俺もゆっくりしよう。妹の姿をゆっくり追いながら、花達に目を向けた。
確か、アザレアという花だった気がしたな。妹が花に関する本を借りてきて、期限のギリギリまで読んでいた。その中に同じような花を見た。
図鑑で見るより、すごく生き生きしていて、綺麗だ。
俺は、そっとしゃがんで1つの花を手に取る。ふわふわとした花びらが壊れないように、そっと触る。
風に吹かれ、花が左右にゆらゆらと揺れた。
「お兄ちゃん!何してるのー?」
妹は、あまりにおれが追ってこないのを気付いたのか、俺の前に戻ってきた。
目線を上げると、首を傾げている妹がいた。
俺は跪いた膝を上げ、「いや、なんでもない」と立ち上がった。
「もー、せっかく来たんだから、ちゃんと見ようよ!」
「あぁ、そうだな。」
自分より小さな妹の姿を見る。妹は俺の手を引くように前へ走った。
「転ばないように、気をつけ――!」
突風が吹く。俺は目を覆った。びゅおおおっと音を立て、髪がなびく。
やがて、うっすらと目を開けていくと、さほど離れた距離に居ない妹が、くるっと回って、こちらへ走ってきた。
たった一瞬。その一瞬。
花と揺れる妹の長い髪。ふわりと広がるスカート。
穢れを知らぬ真っ直ぐな瞳。
小さな足取りで、俺の元へ来る。
息を飲んだ。妹が、あまりにも儚くて。
綺麗で。
まるで、1つのダンスを見ているようだった。
「お兄ちゃん?」
近くへ寄った妹は、心配そうに俺を見る。
この子に、こんな顔を見せてはいけない。俺は目元を雑に腕の袖で吹いた。
「泣いてたの?」
「いや……目にゴミが入っただけだ。」
本当は、あまりにもあの光景が儚くて。
風とともに、姿が消えてしまいそうだったから。そんなこと、言い出せるはずもない。
俺は、妹と目を合わせ、微笑んだ。
「行こうか。」
「うん!」
今度は、手を離さないように。俺は小さな妹の手を取って、横に並んだ。
「なあ、兄ちゃんお前はどこかのお姫様だったと思うんだ。」
「え!?本当!?」
「ああ。きっと、ダンスが上手なお姫様だったと思うよ。」
「どうして?」
どうして?それは……
「お前の一つ一つの行動が、全部綺麗に見えるんだ。」
私のお兄ちゃんは、とっても優しい人。
とっても、不器用な人。
パパとママはお仕事が忙しくて中々お家に帰って来ない。でもお兄ちゃんはずっと私のそばに居てくれる。
私は、そんなお兄ちゃんが大好き。
でも、この間お兄ちゃんと出かけていた時、「ダンスが上手なお姫様」みたいって言われた。
すごく嬉しくって。私、その日は自分の持っているアクセサリーを身に付けたっけ。
でもね、私もお兄ちゃんは「ダンスが得意な王子様」だと思うんだ。
「そっちにまわったぞ!」
「ああ。今行く!」
お店で買い物していたある日、アクセサリー屋さんに泥棒が入ったことがあった。
私は、何も出来なくて店から出ていった泥棒のことを横にいたお兄ちゃんと、そのお友達に伝えることしかできなかった。
私は、泥棒のあとを追ったお兄ちゃんをバレないように見ていた。
「はっ、たかが宝石一個にキレてんだ。頭のかてぇ警官さんよぉ!」
「その宝石には、作った人の想いが込められているんだ。簡単に奪っていいものなんかじゃない!」
「うるせぇ口だなぁ!黙らせてやるよ!!」
泥棒がお兄ちゃんに襲いかかる。まずい……!と思って目をつぶった。けど……
お兄ちゃんは軽々と攻撃を避けた。でも、泥棒も攻撃をやめない。
沢山殴ってくる手を、お兄ちゃんは軽々と受け止める。最終的に体を捻って、相手を地面に叩きつけた。
「ぐぁっ!」
「お店の人に謝れ!自分のやった過ちを反省しろ!」
それだけ言うと、手錠で拘束した。
スーツの裾が、風にゆらゆらと揺れ、乱れた前髪を乱雑に掻き分けた。
(かっこいい……)
私は、その様子をずっと見て、それだけしか思えなかった。
あんな怒っているお兄ちゃん、見た事なくて怖かったのもあるけど。でもそれ以上に、かっこいいが勝った。
だって、あの時の戦っているお兄ちゃん。
まるで、踊っているみたいだったから。お兄ちゃんには言ってないけど、私は見てたからね。
「ねえお兄ちゃん。」
私は夕ご飯の準備をしている、後ろを向いた背の高いお兄ちゃんを見た。
「私もね、お兄ちゃんは『ダンスが得意な王子様』だったと思うんだ!」
いつもありがとう。そんな想いを込めて、私はにっこりと笑った。
高校入学初日、誰よりも早く学校に着きたかった私は、集合時間よりもずっと早く家を出た。
余裕のある制服に、とりあえず初日だからと折らなかったスカートは膝に当たっている。春風が気持ちよく流れた瞬間、走りたい衝動に駆られた。まだ、すべてがこれからだというのにドキドキしている。
校門をくぐり抜けて、自分のクラスを確認した私はそのまま教室へ向かった。誰もいない教室はシンと静まり返っているのに、黒板はお祝いの言葉で賑やかだった。このまま校内を探索しようと、荷物だけ置いて教室を出た。一番気になったのは屋上に入れるかどうかだった。真っ先に階段を駆け上がっていく。少しだけ息が切れて、ドアに手をかけようとしたところで気づいた。音楽が聞こえる。誰かがいるのだと気づいて、そっと覗くようにドアを開けた。
すると、その先に見えたのは踊るようにスカートをひらめかせながら、一人で激しいステップを踏んで、まるで誰かとペアがいるかのように舞っていた。その顔は凛々しくて、力強さもあるような、とても同年代とは思えない大人びた顔をしていた。
曲が終わって、その人が最後にポーズを決めるといつの間にか自分が息を止めていたことに気づいた。
「一年生?」
突然こちらを向いて、彼女は言い放った。バレてしまったことに焦ったが、今さら逃げるようなこともできず屋上に出た。
「すみません、覗いてしまって。あの、一年です」
隅に置いていたペットボトルの水を彼女は一気に飲み干した。
「気づかないと思った? これでも人の視線には人一倍敏感な踊りやってるからさ」
「やっぱりさっきの踊りだったんですか!」
「そうよ。社交ダンスって聞いたことある? その中のタンゴという種類の踊り」
初めて聞く言葉にドキドキしている。
「あの! 私にも踊れますか!」
「もちろん。学生なら無料だから、放課後ここにおいで」
そう言われてパンフレットを渡された。私も彼女のようになりたい。
踊るように揺れるひまわり畑の中
僕は君に告白をする
君が好きなこの、ひまわり畑で
幸せを誓うよ
絶対に幸せにするとね
暴風域に入った。
雨風が一層強さを増している。
危険なことは承知の上、好奇心で窓を覗く。
外は大きなダンボールが飛んでいたり、
ビニール袋が舞っていたり…。
普段勝手に動くことのない無機物が、
人の手を借りず動いている。
予測出来ない彼らのダンスに魅了されていく。
天まで召され旅立ちたい。
たとえ困難な試練が待ち受けていたとしても
私は絶対に負けないから…。
「あった!あったよ!」
そう叫ぶと、真斗はまるで、踊るようにこちらに走ってきた。
やはり青い花のそばに、それはあった。ペトログリフを見つけたのだ。
【踊るように】
踊るように
秋の日、爽やかな風が頬を撫でていく。落葉が踊るようにくるくると舞い落ちる。
君は大きく腕を広げ、落葉に手を伸ばしながら、同じようにくるくると回っている。
あふれる光、色とりどりの落葉、なびく髪、広がるスカート。そして最高の笑顔。
僕はこの瞬間を留めたくて、何度もくり返しシャッターボタンを押した。
#20
踊るよう
槍のような言葉を浴びせられ
背中の傷が増える
これ以上
誰かの弱さを背負ってはいけない
もう十分だよ
開演
背中にはライトが照らされ
傷が背中を押してくれる
ありがとう
足取りは踊るように軽い
ケラケラと笑い、談笑するのを離れたところからみている。今も昔も変わらない自分がとても情けなくて目を伏せ時間が過ぎるのを静かに待った。
当人らにそんな気はないのだろう。もしあったとしても仕方のないことだ。僕には口出しできないことである。
兄が帰省するたびに僕の存在感は薄くなり、ほぼ透明になる。話しかけても返事はなく、話しかけられるのは用事を頼むときだけ。食事こそ同じ場所で同じものを食べるけど僕がいることで話題に気を遣うのかイマイチ盛り上がらない。はやく食事をすませて出ていけばそれまでの静けさが嘘のように大きな声で話して笑い声まで聞こえる。
また気を遣わせてしまった。このあとまた兄が僕の話しを聞きにくるのだろう。優しさが息苦しいなんて僕は我儘すぎる。
―パキンッ
まただ。最近やたらとこの音が聞こえる。
周りを確認しても誰もいないし何も壊れていない。
―タンッ、タタタンッ
なんだろう、軽快な足音がする。ダンスでもしているかのようだ。
でも、大丈夫なのだろうか。足音に合わせて何がひび割れるような音が聞こえるのに、そんなに力強く踏み込んだりしたら壊れてしまいそう。
「おい、お前大丈夫か?」
ザワザワと騒がしい食卓を囲む家族と唯一僕をみつめる兄がいた。僕の手は血塗れでなんだか足の裏も痛い。
そうか、そうだったのか。
僕は割れたマグカップや食器の上で飛び跳ねた。パキンパキンと割れる音と床を思い切り蹴ってめちゃくちゃなステップを踏む音しか聞こえない。
なんて楽しいのだろう。こんなに心躍る日がくるなんて幸せすぎてどうにかなりそうだ。
誰かの「狂っている」という呟きが妙に耳について癪に障るけど今は許してあげよう。だって僕は幸せだから。
可哀想な誰かさんに慈悲を与えるなんて僕は優しいな。
「そうでしょう、兄さん」
【題:踊るように】
小さな桶の中で金魚2匹が踊っている。赤いのと黒いのがふよふよ浮いて遊んでるみたいだ。なんて言ったっけ、確かおじさんが、“和金”とか言ってた気がする。私が1匹もとれなかったから、呆れて笑った先輩の手が横から伸びてきてこの2匹を掬ってくれた。お前みたいなトロいやつに捕まる金魚なんていないよな、って言われた。今からちょうど1週間前の、夏の最後のお祭りの日のことだった。
ふらふら水の中を漂う金魚。2匹だけの、直径30センチあまりの小さな世界。そろそろちゃんとした水槽を買ってあげなくちゃ。そう思ってはいるんだけど何となく、気が進まない。正直、金魚のことに意識がいかないでいる。
あの日の帰り、金魚を揺らして帰った家までの道の途中で。私は先輩に好きですって言った。だけど、勇気をふりしぼって伝えた思いは先輩には受け取ってもらえなかった。ごめん、とそれだけ言って私の頭を撫でてきた。視線を落として手元に目が行った時、今と同じように2匹の金魚が水の中で踊っていたのを覚えている。
「あーあ」
ごろんと寝転がって仰向けになった。フローリングの床はひんやり冷たい。そこからテーブルのほうに目を移す。踊る金魚たち、の隣に鳴らない携帯。もうこれ以上待っても無駄なのに、1%くらいは、と期待をしてしまっている自分がいる。
その時、部屋の中にふわりと風が入り込んできた。もう最近は、夜ならクーラーをつけなくても過ごせるようになったから窓を開けていた。夏のような生温くなく涼しくて心地よい風。もう秋なんだと感じる。むくりと起き上がってテーブルまで近づく。相変わらず揺れている金魚。横にあった携帯を手にして操作した。先輩の連絡先を呼び出し、数秒間見つめ、そして、消去した。
「さよなら」
1つの恋と1つの季節が終わった。でも新しい季節はもう始まっている。新しい恋も、またそのうちいつか始まるんじゃないかな。始まるといいな。
小学校3年生の時の担任の先生は体育の授業に
皆の前でラジオ体操すると、必ず笑いをとっていた。
手先を柔らかく大きく動かし、優雅にジャンプし
まるで踊るようなラジオ体操だった。
思い出して再現してみたが結構しんどい、これ。
踊るように
下から鉄骨を投げ渡しながら足場を組み立てていく現場の職人さん
書店の店員さんがブックカバーをかける所作、仕上げの輪ゴムが弾ける音
植木屋さんがおしまいにかけた、庭の地面の熊手の跡
いつものお客がブチ切れた時の身振り手振り、瞬時にバリヤーを張る店長が傾けて行く頭の角度
自転車に乗ったまま信号待ちする男の子、その間よくやってる8の字走行
日が暮れるまで公園でおしゃべりしてる制服の女の子。横に揺れる二つのブランコ
どれもみな踊るよう
彼の人生は波瀾万丈の連続だった。
いくつもいくつも襲いかかってくる荒波を、彼は悠然として乗り越えてきた。
記者であるわたしは晩年の彼にインタビューをする機会を得た。その時にわたしは聞いてみたのだ。
そんなにたくさんの苦労をどのような気持ちで立ち向かってきたのかを。
彼はただわたしの質問に一瞬だけ目を丸くして、こう答えた。
「苦労ですか? よくわかりませんね。僕は楽しいことだけしかしてこなかったので、どれが皆さんの言う苦労なのかよくわからないんです。楽しく踊ってたらいつの間にか曲が終わってた。僕の感覚ではそんな感じです」
──と。
【踊るように】
踊るように
駅前のこじんまりした靴屋さんの子供の靴コーナー。
私の目がハートに輝いた。
「ママ。あれが欲しい。」
ずっと欲しかった苺色の赤いブーツ。
店員さんが棚から下ろしてくれた。
「わー。ぴったり!」
一年生の中でも体が小さな私の…。間抜けの小足ちゃんとパパにからかわれる私の足に、その真っ赤なブーツはよく馴染んだ。
シンデレラってこんな気分だったのかしら。
硝子の靴を履いた瞬間のシンデレラを思い浮かべた。
お店を出ると、チラチラと雪が舞い始めた。
駅前通りをピカピカの真っ赤なブーツを履いて、踊るように歩いて帰った。
あの冬の日。
もうすぐアナタたちに会える。
ああ、早く会いたい。
わたしが始まった時から、それだけを夢見て、温かな水の中を漂っていた。
アナタたちの声がする、とても優しい声が。
今すぐにでも私はアナタたちの居る世界に行きたいのだけれど。
あともう少しだけ、この中に居ないといけないみたい。
だから、待っててね。
今度は、ちゃんと生まれてくるから。
テーマ「踊るように」
(胎動)
フォアグラを買い
ホアグラ食って
うんこする。
うんこがご馳走なハエにフォアグラぐらいの値段でうんこを売る。
知識を入れて、クリエイトしたものを、みんなに与える。
食べるって大事。
自分のうんこの価値の上げ方を考える。
#うんこの価値
『踊るように』
キレてる!
腹斜筋で大根おろしたい!
腹筋がカニの裏!
肩にちっちゃいジープ乗せてんのかい!
肩から脚が生えてるよ!
親の大胸筋が見てみたい!
背中にクリスマスツリー!
デカすぎて固定資産税がかかりそうだな!
新元号は、筋肉です!
筋肉の品評会
踊るような筋肉
踊るように観客は熱狂する
お題:踊るように
風の隙間 折れたカードを配るよ
宛がないこと 言われなくたって今更
踊るように 跳ねるように 震える文字で潰すよ
そうだねって涙して ライトを消して
寝たふりして 頭塞いで 知らぬ顔してカーテン下ろすの
きっと忘れる きっと嵩張る だから捨てちゃっといてね
【 踊るように 。】
__宵闇の中、聞こえるは風切りの音と...
いち、に、さん、よん....。
__共に聞こえるは若人の声。
はちじゅう!いち、に、さん....。
__それは少しづつ早くなっていく。
にひゃく...ごじゅう...さんびゃく....。
__若人は一心に剣を振るう。
その剣の先には何があるのか、何が見えているのか。
若人。されども、堅実に努力をし続ける様は美しくとてつもなく輝いている。
宵闇の中にあるその姿はまさに" 月 "の様である。
__真月。
月のような輝きを放つ剣舞の名。
その光は若さゆえの輝きなのだろう。
踊るように舞うその姿が赤く塗られないことを祈るばかりである。