『踊りませんか?』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
「こんばんは。麗しいお嬢さん。」
「……こんばんは…?」
「こんなに素敵な夜を貴方様と過ごせるだなんて、俺は贅沢者ですね。」
月に照らされる大きな人影。黒い髪に黒い瞳。夜の光を反射して輝く。
「わ、わたし…が…?」
「?ええ。」
目の前にいる人とは!比べのものにならないぐらいの私。こんな、醜い私?太ってて可愛い子も居るけれど、あれは顔が元々可愛いから。
「こんなに、暗くなるまでお勉強されてたのですか?」
「え、あ、はい。塾に通ってて…」
「ふふ、そうですよね。」
「…?」
信号が青になってしまう。こんなにカッコいい方…きっと誰かと勘違いでもしているのだろう。暗くて、顔が良く見えていないのだろう。きっと。
でも、勘違いじゃなかったら?多分、私は一生後悔する。見た目だけで判断してほしくない、と思うが私も今同様にこの方の見た目に惚れてしまったようなものだ。
でも、弁解したい。それだけではない。柔らかい物腰、ミステリアスな雰囲気…なんだか、全てが浮世離れしている感覚。
「もう、行ってしまわれるのですか?」
「…私に何が御用があったのではないですか?良ければ、聞かせてください。」
「やはり素敵な方ですね。何を隠そう、私めは貴方様をお助けに参りました。お父上のことでお悩みになっているのでしょう?」
「…は、い。」
何でそれを?どこで知ったんですか?聞きたいことは沢山あった。たった2文字、返事をするので精一杯だった。
「さあ、行きましょう。お姫様。もうあんな愚者に悩まされる必要はないのですよ。」
「それは、魅力的です。…でも母と弟を残しては…躊躇してしまいます。」
「それはそれは、貴方様のお優しいに感銘ですね。では、今夜だけでも…」
「私と共に踊りませんか?」
あは、あははは。ははっ。はっ…あは…はぁ……。また、切れちゃった。もっともっと欲しい。欲しいの。辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛い。もっと気持ち良く。踊りたいから。踊りっ、おどっ…はぁはぁ、ふふふ、あはは…ふへっ。
「踊りませんか?」
いいえ 踊りません。
私は私の踊りたい時に
踊りますし
踊る相手も選びます。
タイミングが
合いませんでしたね。
そうして縁を切っていく。
早朝
肌にひりつく寒さ
早起きをしない私にとっては
少々堪えるものがあるが
踊りませんかと
自然の誘いを受けて
私は今踊っている
風が吹き、葉が舞い、光を浴びる
足をならして
私は踊っている
みんなで一緒に踊りませんか?
え、ダンス経験がない?
踊れる自信なんてない?
いえいえ、問題ありませんよ
ダンス経験は関係ありませんから
自信がなくても大丈夫
気付いたときには、あなたは踊りだしています
特別、何かをする必要はありません
みんな、ただ椅子に座って観ているだけでいいのです
今日のショーはとても楽しいですよ
そう、踊るのは体ではなく心です
心踊るショーを観て、今日は存分に楽しんでください
靴を響かせろ。手を叩け。
服が靡く。髪が舞う。
肢体が雅やかに空を撫でる。
酒を飲め。歌を唄え。
影が回る。景色が回る。
どんちゃん騒ぎで夜を明かせ。
俺たちが踊りゃあ、
恥ずかしがり屋な月だって踊り出すさ!
太りづらい体質のシュウが、頑張って頑張って食べて体重を増やしてでっぷり重くなったのとは対照的に、小さい頃からふっくらテプテプしていたレンがダイエットを強行。
努力が実り、スラリとスレンダーなスタイルに変貌した。
痩せたらすんごくきれいになる、そんな典型的な子だったんだ。レンは。
学校いちのモテ男だったシュウの周りからは、女の子が水が引いたようにいなくなり、代わってレンに男子が群がり始めた。
でもレンは、袖にするばかり。相手にしない。
なんで?もったいない、よりどりみどりなのに、と友達が口を揃えて言うものの、フン、と鼻を鳴らすだけ。
「あたしの見かけだけ見て、好きだなんだって騒いでる連中にキョーミない。どうせまた太ったら、目もくれなくなるんだよきっと」
昼休み。屋上でランチタイムに入っていたレンが口にすると、
「レンちゃんのそーゆーとこ、好きだっ」
物陰から急に現れたのはシュウ。ボイーンと豊満になったボディを持て余し気味にレンに近寄る。
「わ、びっくりしたあ」
「約束通り僕、太ったよ! 付き合ってよレンちゃん」
「シュウくんはいくらなんでも太りすぎだよー。身体に悪いから少し絞ったら?」
「他の子みたいに、痩せて元に戻って、元のルックスがいいとか、言わないんだね」
「まあ別に。中身はシュウくんだから同じでしょ。変わんないよ」
シュウはニコッと笑った。そして、
「……ねえレンちゃん、踊らない?」
と誘った。
「え。何急に、突然」
「ほら、放送で流れてくる曲。昔、小学校の時踊ったフォークダンスの曲だよ。男女で輪になって踊って、レンちゃんと手を繋いで踊れる、と思った矢先、曲が終わっちゃって、すんごくがっかりしたんだよー」
レンは呆れ顔をした。
「よく憶えてるね、そんな前のこと」
「そりゃあ、ね」
ふくよかな顎をたわんと揺らして、得意げにシュウはウインク。
「踊ろう、レンちゃん」
太っても痩せても、お互いスタンスが全然変わらない二人って、そういないと思わない?
特別なんだよ、僕らはやっぱり。
だから踊ろう。恋愛っていうダンスフロアで、手を繋いでさ。
シュウはレンに手を差し出す。恭しく。
レンはしょうがないなぁと笑顔になって、「一曲だけだよ?」とその手に手を重ねた。
#踊りませんか
「秋恋3」
君にうなだれて惑いながら
そっと泣くから
気がつかないふりをして…
悲しみを置いて行くから…
気がつかないふりをして…
朝が来るまで忘れるから…
そっと笑っていて…
揺れ惑いながら笑ってて…
【踊りませんか?】
僕たちと踊りませんか?
高校に入って1週間、
部活何にしようかな、って考えていたら、
ダンス部の男の子が誘ってくれた。
それから数ヶ月
私は今みんなの前で舞台に立って踊っている
部活のみんなで大会に出たのだ。
あの時男の子が誘ってくれなかったら、
今私はどうしていたのだろう、、
今私はあの子のおかげでダンスというものに
出会えた
そして今、私は2年生になり
新1年生に『私たちと一緒に踊りませんか?』
そう聞いた
幻か終わらない夜 風の盆
見えない舞い人に誘われる
♯踊りませんか?
「--Shall we dance?」
星空の下
悪魔が手を差し出す
罪に濡れた赤黒い手を
気まぐれだと分かっている
深い理由や訳は何もないのだと
それでもその手を取ってしまうのは
希望も赦しも与えられないこの現実を
忘れさせてくれるような
そんな気がしたから
ただ、それだけだった
たぶん、一生言わないだろうセリフ。
「Shall we ダンス?」だったら、映画のタイトルとして言ったことあるかな。
よく映画なんかで男女が華麗に踊るシーンとかあるけど、よくもまあ恥ずかしげもなく…とか思ってしまう。
いやだって、男の方からは下心が見え隠れしてるし、女の方からは「私キレイでしょ?」オーラが…。
いやまあ偏見でしかないことは分かってるけど、そーゆーシーンは飛ばして見ちゃうな。
あんまりストーリーに関係なかったりするし。
とか言って、中学生の頃のオクラホマミキサー。
ドキドキとワクワクだったピュアな少年はいずこへ。
当時、女の子と手をつなげるチャンスなんてそうはないからね。
つないでみたら同じ皮膚でしかないのに、
でも、少し柔らかくて、スベスベしてたかな。
…これ以上言うと、通報案件になりそーなので自粛。
相変わらずの支離滅裂文章だが、思うのは、この「お題」はホント絶妙なラインを突いてくるなってこと。
物語向きだったりエッセイ向きだったり、口語だったり文語だったり、名詞だったり動詞だったり形容詞だったり。
365種類の言葉を生み出すのは、そんなに容易なことじゃないと思う。
AIの為せる業なのだろうか。
そんなことも気になりつつ、お題にしっかり取り組もうとする真面目な私と、どなたか、一緒に踊りませんか?
Shall we ダンス?
あ、一生言わないつもりのセリフを言ってしまった。
あ…通報はしないで。
踊りませんか?
薄暗いホールにステップが響く。
まるで誰かと踊っているように
宙に手を添えてくるりと回った。
お辞儀をして、ダンスを終えたように見えた。
黒い髪が闇に呑まれて輪郭が溶けている。
赤い目がこちらを見据えた。
「Shall we dance?」
#59『踊りませんか?』
女の子だもん、豪華なパーティーにはやっぱり憧れる。女優鏡の前でキラキラのアイシャドウとツヤツヤのリップを塗って、髪もクルンと巻いて、フワッとレースが上品なドレスを着るの。
会場にはきっと大勢いて、それぞれ談笑してる。私はスイーツなんか頬張りながら1人楽しんで、後ろから声をかけられる。
咥えていたフォークをお皿に乗せて片付ければ、手を取って口づけられて、「どれがお気に召しましたか」と聞かれて答えれば、「きっと貴女との時間のほうがずっと甘いのでしょうね」なんてキザな台詞を言ってくるけれど、悪い気はしないから「試してみる?」なんて悪戯に笑いかけて、相手の反応を試してみる。
流れ始めた音楽にダンスの誘いを受ければ、断る理由もなくて、手を重ねてフロアに向かう。軽く腰に添えられる彼の左手と彼の肩にそっと触れるだけの私の右手。互いにもう一方の手は、初めての恋人同士みたいにキュッと大事に握ったままスッテプを踏む。
トキメキと楽しさとで胸が一杯になって、きっと私、世界で1番美しくて幸せな女の子なんだわ。
踊り終わって髪にキスを落とされればもう、私は彼のことを忘れられなくなるのね。
雪が降る
初雪だ
町が真っ白に
染まる
僕と君の頭も
白く染まり
真っ白だねと
君が笑う
あと少しで
一年が終わる
寒い夜から
守りたくて
君を抱き寄せ
君を暖める
部屋に行ったら
温かいココアを
飲もう
この季節
君に触れる事が
多くなる
明日は
辺り一面
雪景色
「探し物は何ですか?!
見つけにくい物ですか?!
それより僕と
踊りませんか?!」
こんなセリフを言われたら、
たとえ、大切な物が
見つからなくても
踊るでしょう。
ルンルンで…。
「星空の下で、
ワルツでも
踊りませんか?!」
「踊りませんか?」
笑顔は世界共通言語、とはよく言うが、私は世界共通言語は踊りだと思っている。
正しく言えば音楽か。
世界各地で独自の音楽が生まれ、皆がそれに合わせて身体を動かす。
踊ったり、またはそれを見ていたりすると、自然と笑顔がこぼれる、感動する、泣けてくる。
身体の動きとリズムだけで喜怒哀楽が表せるんだから、すごいものだ。
私は小さい頃、クラシックバレエを習っていた。
趣味程度の簡単なものだったが、多くのことを学んだと思う。
ところで、クラシックバレエには“バレエ語”なるものが存在する。
バレエでは言葉を発さずに物語を演じなければならない。
そのため、そこには独自言語が確立されている。
『白鳥の湖』で、白鳥にされてしまっていることを説明するシーンなどは分かりやすい。
指をさして“あそこの”、両腕を曲げて“悪魔が”、自分を抱きしめ“私を”、羽ばたいて“白鳥にしたの”、、、と先生が教えていたのをよく覚えている。
そんなバレエ語の中でも、多く使われるのが“踊りましょう”だ。
パーティーシーンがある物語はもれなくこれを使う。
両手を上にあげ頭の上でくるくると回す。
そして開けば“踊りましょう”。
私はバレエ語が大好きだ。
踊りだけで、どの国の人でも、バレエをやっていればお話ができる。
私は言語学が好きで、よく色々な国の言葉や、手話などを学んでいる。
理由を聞かれることもあるが、“かっこいいから”ただそれだけだ。
道端で英語の喋れない外国人に声をかけられる。
意味がわからず慌ててる横で、さらっと答える。
かっこいい。
中学生の頃英語研修で観光地に行くことになった時に、各国の“良い旅を!”を調べまくったのはいい思い出だ。
話は飛んだが、やはり私は世界共通言語は踊りだと思う。
この後の人生で使うことがあるかどうかは分からないが、どこかの公園で広場で踊っている人がいた日には、“踊りませんか?”と踊りかけてみたいものだ。
強気な子供が怯えて布団にくるまるような時間帯に、公園の敷地を跨いだ。目的は某キラキラフェイスブックモドキアプリで流行っているらしい新作のアイスを、とことん寒いところで食べたいなと、なんとなく思ったから。左手によっかけたコンビニの袋から感じる、ひんやりとした冷気。
「へへ」
唇の端から垂れ落ちそうになる唾液をぐい、と押し込んだ。給食前のわんぱくボーイか、俺は。いい年した成人男性が何をしているんだと正気に戻りかけたそのとき、すっかり通り過ぎた入り口の方から足音が聞こえてきた。こんな時間にランニングとはご苦労なことで、と徐々に増え始めた体重を知らんふりしている己の体に乾いた笑いをこぼして、すぐ。トタタタッ、と近づいてきたその音は、共犯か否か。
「ひっ、……〜〜〜〜〜〜ぅ"ぇ〜〜〜〜〜」
かわいらしいふんわりと下半身を覆う花柄のスカート、きらめく目元のアイシャドウ。上半身に纏っている、秋らしい半袖とカーディガンという組み合わせ。まず間違いなく、共犯ではない。そして恐らく、学生時代を三人の友人とだけで過ごした俺とは、確実に別の人種だろうと。てか泣きながら深夜の公園駆け込み寺ってなんだ、ジブリかよ。ただのアイス好きな小心者の俺がそんなことを言えるわけもなく、かといって今、コンビニの袋をわさわさとかき回すような真似すらできず。
「っく、ぅ、ひっ、っう、ぅ"〜〜〜〜〜」
ひっくひっくと子どものように泣く女性。ここまできれいにおめかししてそんな泣くことある?マジでどうしたんだと本気で心配になってきた俺が、行き場のない手のひらをくるくるとかき回していれば、まるでそこが予約席でしたよ、と言わんばかりの貫禄で、彼女はブランコの座席に腰掛ける。怪我が治って自分の足で歩けそうな風景だな、と金曜ロードショーに感化された脳でそう述べていれば、彼女はナイアガラのように流れ行く涙を留めることもなく、いきなり鉄臭い持ち手を掴み、小さな白色のパンプスをぐり、と地面に擦り付けながら、思い切りブランコを漕ぎ始めた。編み込みのやわい栗色の髪の毛が宙を舞う。
自分の腕の関節に飾られたままの袋が擦れる音は、しっとりとした水音を含んでいる。もうきっと溶け出したこれは、食べ頃なのだろう。スプーンは、入れていたっけか。そもそもこのアイス、何味なんだっけ?
随分と長引いた夏の陽気に叱られたかわいらしい秋が流した風が、包み込むような風が、真紅な頬を撫ぜる。秋だというのに。熱を持った身体とやけに耳を打つ鼓動の音に、どう言い訳をしたら良いんだろう。
たぶん、諦める他にないのだけれど。
彼女のスカートの透けた向こうで笑いを携えているお月さまに笑顔を返して、一生分の勇気と少しばかりの期待を持ちながら、左手の行く先を探しに、季節外れないちご味のアイスをかかえながら、僕は空から降ってきたような彼女の元へ駆けていった。さて、まずはどう声をかけようか。
踊りませんか?
踊りませんか?
うーんちょっと…
御飯の支度があるから
え~一緒に踊ろうよ~
踊りがわからないから
見せて~
じゃ踊るから真似して
はぃ🥹
毎年お馴染みの運動会前の会話
✴️170✴️踊りませんか?
踊りませんか?…
探し物見つけに夢の中へ連れてって♡
踊りませんか?
その誘いに乗るということは、あたしにとってはただ一度だけのこと。あなたにとっては数多くの適当なお誘いのひとつ。それくらいあたしだってわかっているわ、だけどあたしはあなたにそれを言わない。だってそんなこと言ってもこれっぽっちもいいことないし、よく考えたらあたし、あたしの身の上にいま何が起きてるかわかってないのだわ。夢かおとぎ話でないのならいま起きていることはなんなのかしら。あなたがツァーリと呼ばれているのをあたしは聞いてしまった。でもあなたにどんな立場の誰だとしても、あなたが「踊りませんか?」と言ったら断れるわけがないのよ。あなたがツァーリであっても、なくても、あたしの気持ちは偽れないのだもの。
※※※※
元ネタは映画「会議は踊る」です。よくある男爵令嬢や平民の女の子が王太子をたらしこむ話を書いたんじゃありません。そうした話の元ネタの一つとして「会議は踊る」を見てほしいかなと思いました。最近の異世界恋愛ものでは悪役になりがちな平民ヒロインの愛らしさを、たまには堪能してみてください。