『踊りませんか?』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
咲き乱れる花々の上で美しい蝶が飛び回るように
蜜という歓喜に震えて踊りませんか?
あなたとだから踊りたい
あなたとこそ喜びあえる
優雅でなくとも踊り始めれば
ほら、怖くないでしょう?
#踊りませんか?
いいですよ、踊りましょう。と返せたら
自分も少しは変われるんじゃないかと思うけれど、恥ずかしくて出来ないです。だから他の方法を考えます。でも別に変わる必要もないのかな。個性ってことにします。
『踊りませんか?』
テレビの画面の中で、王子様がヒロインに、吹き替えられたイケボでダンスに誘っていた。
たまたまそのタイミングで口を付けていた缶ビールが、タプンと揺れる。はあぁ、とため息をついた。
金ローで、私の好きな声優さんが昔の洋画に吹き替えをするというニュースを見て録画してみたが、ストーリーも良いし、声も良い。いつの間にか感情移入してしまって、健気なヒロインを応援していた。
一人の女として、いわゆるシンデレラストーリーというものは、幼い頃から憧れてきた。ただ大きくなってくると、自分は恋愛物語の中でいう主人公の恋敵にすらなれない友達役なのだと思うようになった。異性から愛されたことなんて一度もないし、臆病だから積極的に行動するのを恐れる。気弱だから、ずっと動けないで結局主人公の良い友達ポジションでとまってしまう。そのくせ性根はあまり良くない。
私もいつか、こんな風に迎えに来てくれる王子様と出会えるのだろうか。
10/4「踊りませんか?」
「伯父さんも踊ろ!」
姪が手を伸ばしてくる。
ディスコは人でごった返し、チカチカと色とりどりの明かりに照らされ、大音声で曲が流れている。
「馬鹿馬鹿しい。こんな大人を捕まえて何を言ってるんだ」
「あたし、知ってるよ。伯父さんて昔、踊る人だったんでしょ?」
言葉に詰まる。
「楽しんだもの勝ちだよ! 踊ろ! ほら!」
姪に手を引かれてホールの中央に出る。
「…馬鹿馬鹿しい」
呟きながら、30年ぶりのステップを踏み始めた。
(所要時間:6分)
10/3「巡り会えたら」
「どうしても、行くんですか?」
「何言ってんだ。依頼が解決したら次の土地に行くのが冒険者ってやつのあり方だろ」
マントを羽織り、荷物を持つ。宿を出た所だけでなく、村のはずれまで、その小僧は見送りについてきた。
ここまででいい、と言うと、小僧は思い切ったように声を張り上げた。
「あの、僕、冒険者になります!」
思わずきょとんとする。小僧は続けた。
「冒険者になって、お姉さんの助けになります。…いつか、必ず!」
ははっ、と口から笑いが出た。こんなひょろっとした小僧が何言ってるんだか。
「そうかい。精々鍛えな」
「はい!」
嬉しそうに答える小僧。悪くない表情だ。期待しないで待っておこう。
まあ、この広い世界でもしまた巡り会えたら、な。
(所要時間:10分)
『踊りませんか?』
「邪武、踊りませんか?」
沙織お嬢様からその言葉を聞いた時は聞き間違いかと思ったが、こちらに微笑み手を伸ばすその姿は幻覚ではなく、オレは内心舞い上がりながらも努めて冷静に「喜んで」とその手を取った。
遂に! オレの時代が来た!
沙織お嬢様がとある企業のパーティーに出席することになった時、お供にオレを選んでくださった。星矢ではなくこのオレを! そして今、オレをダンスのパートナーに選ばれた。オレは諸手を挙げて万歳三唱したい気分になった。
しかし、浮かれ気分もそれまでだった。オレは社交ダンスなど踊ったことはなく、悲しいことに踊りのセンスも持ち合わせていなかったようで、沙織お嬢様の足は踏むわ、他の客にぶつかって舌打ちされるわで散々だった。オレだけならまだしも、一緒に踊っていた沙織お嬢様まで物笑いの種にされ、オレは情けなさと申し訳無さでダンスが終わった後、顔を上げられなかった。
「申し訳ありませんでした、お嬢様」
帰りのリムジンの中で、オレは沙織お嬢様に頭を下げた。
「あら、何がですか?」
一方沙織お嬢様は、まるで何事もなかったかのような返事をする。いや、むしろ上機嫌に見えた。
「ダンスの件です。オレのせいで、沙織お嬢様にまで恥をかかせてしまって……」
「その事ですか。人の噂も七十五日、言わせておきなさいな」
沙織お嬢様はオレに気を遣っているのではなく、本心からそう言っているようだった。訝しむオレに、沙織お嬢様は続ける。
「むしろ、あなたは期待通りでした」
「あの、無様な姿がですか」
「ええ」
沙織お嬢様はやんわりと微笑む。
「実はあの企業の会長のお祖父様が、自分の息子と私を結婚させたがっていて困っていたのです。でも今日の姿を見て、厳格なあの方のこと、『ダンスも碌に踊れない者など息子には相応しくない』と思ってくれることでしょう」
「そんな理由が……じゃあ、ダンスの相手にオレを指名したのも、オレが踊れないと分かっていてですか」
「だってあなた、社交ダンスなんて踊ったことないでしょう?」
そう言って沙織お嬢様は悪戯めいた笑みを向けた。その顔を見て、オレは言葉を詰まらせた。体よく利用されたわけだが、嫌な気分ではなかった。どんな形であれ、沙織お嬢様のお役に立てたのであれば喜ぶべきなのかもしれない。オレは沙織お嬢様に笑い返した。
「いつでもお呼びください。貴女のためならこの邪武、いくらでも道化になりますよ」
人は目的の為に身体を動かす
もしその手段を目的としたら?
身体の動きの為の身体の動き
動きは流れを生み 生まれた流れは動きを生む
常に満たされる目的は常に満たすための手段に変わる
踊りの為の踊り
それは踊る理由を閉じ込めた円の上で行われる
満たされることで満たされた円
そこで一緒にそんな踊りを踊りませんか?
誰かがその誘いに乗ったとする
しかしそこに円はない
踊りの為の踊りを踊ること
それを目的としたものには円は現れない
行きたくもないパーティーでダンスを踊る
私はそんなパーティーが大嫌い
私は話しかけられないように下を向いて
話しかけないでオーラを出していた。
そんな時
「踊りませんか?」
そう声をかけてきた人がいた。
彼は若い男性だった。
どこかの社長の息子だろうか
とても綺麗な顔をして私の顔を伺ってきた。
私は彼の手を取って踊った。
今までで1番の笑顔を見せて
─────『踊りませんか?』
・踊りませんか?
「僕と、一曲踊ってください」
魔法使いに懇願してまでやってきた、舞踏会。外にはカボチャの馬車。
それなのに…
王子様の顔が、全くタイプじゃなかったら、どうすればいいんだろう…
ごめんなさい?いやいや、じゃあ何のために苦労してここに来たんだよ。
みんな見てるし。
「よ、喜んで…」
分かっていた。ここに乗り込んだとき、その答えは確定していたって。
十二時の鐘に乗じて、理由をつけて抜け出した。
硝子の靴を落としたけど、構っていられない。魔法で作った靴だもの、足なんてつかないでしょ。
その夜、私は泣いた。ナルシストな雰囲気も、高飛車な物言いも、全部受け付けなかった。
やっと、私にも春がきたと思ったのに。なのにこんなのってない。
そんなことより金?もっともだけど、私はヤダ。
ああもう、救いなんてないのね。側には川が流れていた。飛び込んでしまおうかしら…
「やめてください」
え?振り返ると、息を切らした男性の姿があった。王子様が追いかけてきたのかしら。
来ないで、と叫ぼうとして、驚いた。見覚えがあった。私を美女に仕立て上げてくれた、魔法使いさん。
「何か、不具合がありましたか?ぼくの力不足です。お願いですから、早まらないでくださいっ…」
はあはあ息を切らしながら、彼は懇願する。その様子を見ていたら、何だか笑えてきた。なんて見当違い。なんて真っ直ぐ。魔法の効果は切れてしまったけど。
魔法使いさんに、一歩近づく。できる限り、色っぽく。
「ねえ。それなら責任とって、私と逃げてくれない?」
「踊りませんか?」
踊りたいけど踊れないの
臆病者の少女はまるで大地に根がはってしまったかのように足が一歩も動きません
少女は自分に自信がないのです
そのうち痺れを切らした少女の影がハサミを手に持ちチョキチョキチョキ
少女と影は離れ離れになりました
影は自由自在にステップを踏みます
とても愉しそうです
少女は羨ましそうに影を見つめています
そんな少女に声をかけてきた影がいました
その影の持ち主は少年です
少年も少女と同じように臆病者でした
少年は少女に恋心を抱いていましたが
声をかけられずにいたのです
少年の影が少女に耳打ちしました
「君は美しい、自信をもって」
影が少年の元に戻りました
少年は勇気を振りしぼって少女に歩み寄りました
「僕と踊りませんか?」
少女は恐る恐る少年が差し出した手に自分の手を重ねました
音楽にのせて身体と心を躍らせます
ふたりは音楽が鳴り終わってもずっとステップを踏んでいました
少年と少女はとても幸福でした
踊りませんか?
小さいころは踊っていた。クラシックバレエを習っていたのだ。
レオタードを着てバレエシューズで基礎練習。
しばらく踊ったらトウ・シューズを履いて振り付けをさらう。
正直、あまりうまくはなかったと思う。でも、ただ踊ると不思議と気分が高揚した。
上手に踊れるお姉さんの振りをみながら真似して足をあげたり回ったりするだけで楽しかった。
今からでも踊れるのだろうか。
まだ靴は置いてある。足のサイズは変わっていない。
定説通り2センチ小さめの19.5センチのバレエシューズ。
踊ろうか。不恰好でも不器用でも、ただ楽しく。
お題:踊りませんか?
「踊りませんか?」
手をすくい取って、引っ張って、引き寄せる
ぶち、ぶち、ちぎれてぶら下がった片手。
あれもだめ、これもだめ、全部千切れた。
ぽい、ぽい、積み重なって異臭を放つかたまり。
着飾ったタキシードもドレスもベトベトですね。
あなたも一緒に、お一ついかが。
もうこの際なので踊りましょ
踊りませんか?人生で言ってみたいセリフのひとつである。踊りませんか?ということは、多少自身も覚えがあるということである。その上で踊りませんか?と誘うのである。人生で踊ったことなどあるか?小学生のマイムマイムくらいしかない。無論、ダンス部などに入る人は別にしても、たいがいの人は踊ったことなどないのではないか?
否応無しに踊らされるなら
いっそ自分から踊りませんか?
ある夜、私は夢の中で不思議な光景を目にした。小雨が降る中、誰かと一緒に踊っている自分がいた。周りは広がる野原で、空は徐々に暗くなり、夜空になっていた。
私は、その踊り相手が誰なのか気になって、その人の顔を見ようとしたが、どうしても見えなかった。しかしながら、私はその人と一緒に踊っているとき、とても幸せな気持ちになっていた。
やがて夢は終わり、私は目を覚ました。あの踊り相手が誰だったのか、それは分からなかったが、その夢の中で感じた幸せな気持ちを忘れることはできなかった。
そして、私はその日以降、何度もその夢を見るようになった。小雨の降る野原で、誰かと踊る自分。その夢の中で感じた幸せな気持ちが、私の心を包み込んでいた。
♪*゚夢を見て/踊りませんか?♪*゚
#踊りませんか?
それは大きい満月の夜だった。
ふと思い立って夜の散歩をしてた時、君に出会った。
君は1人で踊っていた。
クルクルと楽しそうに回りながら踊っていた。
それがとても楽しそうに見えて、僕も踊ってみたいと思ったんだ。
そう思ったら何故かするりと口から「踊りませんか?」と声が出てて、自分が1番ビックリしたよ。
だけど、あの時声を掛けて本当に良かった。
だってあれが最愛の君との出会いだったんだから。
修学旅行で焚き火の周りで好きな人とダンスを踊る私の学校。
女子女子でもいいし男子男子でもいいこのダンスは私は女子の友達と踊ろうとしていた。
そんな時、密かに思いを寄せているだんしからこんなお願いがあったら断れないでしょ?
『Shall we dance?』
『踊りませんか?』
高い熱に魘される。
遠い意識の向こうから、カラフルな球体がいっぱい、飛び跳ねながら近付いてきた。
それは、大きくなったり小さくなったり、きのこになったりたけのこになったりした。そして戦争を始めた。
戦火から逃げ延びて、辿り着いたのは大きなお城。生垣の白いバラを色とりどりのペンキで塗る、体がペラペラな兵士。敷地内の一際高い木の上から、ピンクと紫の縞猫がニタニタとこちらを見下ろして笑っている。
あぁこれ知ってる。あれだよね。時計持ったウサギとか出てくるあの物語。
王女に首を斬られたくないので、なぜか持っていたガラスの靴をその辺に置いて、そっと城を後にした。
最寄りの湖を覗き込むと、水底にこれまた綺麗なお城が見えた。いろんな魚や亀が泳いでいる。
濡れたくはないので湖は無視して、次に辿り着いたのは小さな小屋。小屋に入ると、小さな食器に乗せられた料理がたくさん並んでいた。
特に食べる気にもならなくて、小さな椅子に座ってぼーっとしていた。顔を上げると、窓の向こうにワンピースを着たとても背の高い女性? が「ぽぽぽ」と言いながら通り過ぎていった。
怖くなって隣の部屋のベッドに入り布団を被った。すると、そのベッドが持ち上げられ、何か箱のような物の中に閉じ込められてしまった。
慌てて飛び上がり、内側から箱を叩くと、上部がぱかっと開き、光に包まれた。
光の中から、いかにも王子様な姿をした男の人が「踊りませんか?」と、置いてきたガラスの靴を差し出して尋ねてきた。
身を任せてくるくると踊ると、自分の体から黒い粒のようなものが「わー」とちっちゃく声を上げて、たくさん飛び出て弾けて消えていった。そしてくるくるくるくると回り続けて、目が回って……。
目が覚めると、熱はすっかり下がっていた。
『踊りませんか?』
【踊りませんか?】#65
最後の一段を登ると
夕焼けと金網の間に貴方がいた。
「一緒に【踊りませんか?】」
震えも感じない真っ直ぐ道を進もうとする声
と共に差し出された貴方の手をとって
私は空色を蹴って踊った。
橙色を下にした上品な踊りは
終わりを拒み、長い時間に感じた。
この道しかなかったから選んだ
というと暗く受け止めてしまうが、
この道を真っ直ぐ進もうとしたから選んだ
というと明るい雰囲気がして良い。
そう思わないか?
文化祭
男女ペアでのダンス
今の時代にいいのかと疑問に思う
しらばっくれて端で見てる
毎年そう
「あの、踊りませんか」
なんで俺なの
さすがに言えない
「練習休んでてさ、分からないから見てる。ごめんね」
適当に誤魔化す
いつもの事
「間違えてもいいから!お願い!」
無理だってば
しつこいタイプ
苦手
「ごめん、体調悪いから帰る」
めんどくさいときは帰宅
無理だから
「え!大丈夫?保健室まで着いてくよ!保健委員だし!」
めんどくさいな
言えないけど
「ありがとう」
笑顔で誤魔化す
「山田くん、一人暮らし?」
「そうだけど、」
「ご飯作ろうか!?自信ある!」
なんで
よく分からない
そんな仲良かったっけ
「大丈夫、ありがとね」
なんなの
作ってもらってどうなるの
オーバーリアクション
無理
茶色いね、とか言ったら怒られるんだろ
それも分からない
めんどくさい
感情ないの?って
言われ慣れたよもう
反応待ってるんなら
話しかけて来ないでよ
【踊りませんか?】
シャンデリアのキラキラとした明かりに、テーブルへと並べられた豪勢な料理の数々。オーケストラの奏でる音楽が荘厳に鳴り響き、華やかに着飾った人々が思い思いにダンスを楽しんでいる。あまりの場違いさに、ホールの片隅で思わず息を吐いた。
そもそも僕は市井の育ちだ。それがいきなり侯爵の隠し子だなんて言われてあれよあれよと貴族の屋敷に招き入れられただけでもキャパオーバー気味なのに、こんな上流階級の社交の場に連れてこられたらもうどうにもならない。せめて粗相のないようにと気配を殺す以外の選択肢はなかった。
「ダンスはお嫌い?」
涼やかな声が耳朶を打った。話しかけられている対象が僕だと気がつくのに一拍遅れて、慌てて声の主へと視線を向ける。不自然に空いてしまった間に怒る様子もなくニコニコと微笑んでいる可憐な少女が、そこには立っていた。
「あ、いえ。そういうわけでは……」
一応最低限のダンスは仕込まれている。相手に恥をかかせない程度には踊れるはずだ。と、彼女は優雅に一礼をして僕へと手を差し出した。
「それでは私と一曲、踊りませんか? 私、貴方とお話ししてみたかったの」
ダンスの誘いは男性からするものと習ったけれど、意外とそういうものではないのだろうか。断るのも失礼な話なので、僕は彼女の誘いに小さく頷いた。
「僕でよろしければ喜んで」
手を取り合って、次の曲の始まりを待つ。ほんの少しだけ周囲の騒めきを耳がとらえたような気もしたけれど、彼女が朗らかに話しかけてくるものだから、そんな些細な事実は意識の外へと外れてしまった。
――まさか「私と踊りませんか」なんて気軽に他人を誘ってきて、会話を重ねるうちにすっかりと意気投合した少女が、王位継承権第一位の王女殿下だったなんて気がつけるはずがないじゃないか!