『踊りませんか?』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
踊りませんか?
踊り…たいねえ。
ダンスが中学校で必修になったのは
2012年だそうだ。小学校では 表現運動 と
名前こそ違えど、
今の子たちは9年もダンスを習う。
私が小学生だったのははるか以前なので
とても踊れない。
やっぱり若い頃にかじっておいた 何か は、年取ってから、
効く。
お嬢さん、踊りませんか?
喜んで!
このワンピースなら、ちょっとしたパーティにも着て行けますよ
と同じで、
(踊るような)ちょっとしたパーティなんて
ありゃしないけど、
そんなワンピースもないけど、
憧れるねえ。
はあ、踊りたい。
踊りませんか?
一緒に踊りませんか?と言われても、踊れない。
完璧に踊らないといけないのではないか?と不安がある。
相手に身を任せれば良いと言うが、それはそれで申し訳ない気持ちと難しい気持ちがある。
踊れる人が羨ましい。心からそう思う――
#踊りませんか?
月が綺麗ですね
と同じくらい
踊りませんか?と言うタイミングは難しい
何度も自分に矢が刺さっても
ずっと馬鹿なふりをして
傷つかないようにしていたけれど
その傷はやがて膿んで跡になり
そこからどんどん腐ってゆく
その痛みに耐えられなくなってきて
どうしようもなく辛い
わたしにもそんな時が訪れる
その時にどうすべきなのか
爆発して本音を漏らそうものなら
また誰かを傷付ける
そしてわたしは完全なる悪となる
静かに目を閉じ
そっと心に蓋をして
何も言わない言ってはダメ
完全に閉ざそう
そうすれば誰も傷つかない
腐りゆくわたし
それでいい
踊りませんか?
どこか遠くの世界で
君が眠ってる 夜空のしたで
目まぐるしく動く 町の片隅
あぁ あなたが夢で 私を待ってる
ダンスホールのピアノ
シャンペンのタワー
ガラスのパンプスをはいて
深夜2時の都会のネオン
ライトをバックに 踊りませんか?
あぁ シャワーが音たてる
冷たい空気と混ざる 部屋の空気に
明日も私と夢の中で 踊りませんか?
踊りませんか?
いつもはきらびやかなホールはどこか妖艶な空気を漂わせて、舞踏会に来た者たちを歓迎する。
目元に仮面を着けて行われるその舞踏会は、いつもとは違う刺激に誘惑され、魅了される。
「踊りませんか?」
そう声をかけてきたあなたに誘われる形で、一曲だけ踊った。内緒話をするように囁かれた言葉は魅力的だが、お生憎様、こちらはあなたのことを知っている。
仮面に隠されているから、気づかないとでも思ったのか。本当に、愚かな人。
ぽそり、と彼の婚約者の名前を呟けば、明らかに動揺して慌て出す。
誘う相手を間違えたわね、と優雅に微笑み、その場を後にした。もちろん、彼の婚約者にはうっかりと口を滑らした体で、このことを話しておいた。
「 踊りませんか? 」No.31
プリンセスの物語で王子様がプリンセスに「一緒に踊りませんか?」と誘う絵本を小さいときに読んだ。私も王子様と一緒に踊りたいと思っていた。
大人になってふと小さい時の記憶が頭に思い浮かんだ。王子様は私の前には現れてくれなかったなと少し寂しさを感じた。
#105【踊りませんか?】
踊りませんか?と聞いて
ピーン!と思い出したのが
「夢の中へ」の歌詞だった。
あまり深く考えてはいけないタイプの
歌詞だとわかってはいるけれど
どうにも気になるストーリー。
きっと私だけではないはず。
とても素敵な曲で、ふふっふ~♪したくなる
キャッチーなメロディーだけど
歌詞がどうしても気になる。
探し物は何なのか、と尋ね
見つけにくい物なのか、と確認し
あちこち探しても見つからないのに
まだ探すのか、と問いただした挙げ句
「それより僕と踊りませんか?」と
すっとんぴょんな事を言い出し
夢の中へ行ってみたくない?と言い出す…
こわいねぇ…涙
何が怖いかって「それより」と言う接続よ!
「それより」って
「そんなことより」って事ですよねぇ…?
いや、こっちは探してんねん!
そんなことって何やねん。
踊ってる場合ちゃうし
てか、何で踊らなあかんのよぉ!!
…
何踊るつもりだったんだろ。
蓄積した人生の頬に
柔らかな風が吹き抜けた
きっと
いつだって踊れるんだね
✳︎踊りませんか?✳︎
「僕と一緒に踊りませんか?」
「なにそれ、何いきなり…」
最初の感想はこれだった。
「さあ、早く!」
そう言って、僕の答えは全く聞かずに、彼は僕の手を取って踊り出した。
「はっ?!ちょっと?!僕、まだ何も言ってないんだけど?!」
「いいから!僕に合わせて!」
なんて自由人。
僕は困惑しながらも、彼の動きに合わせて、なんとなく踊ってみる。
「うん、思った通り上手だ。」
「なにそれ、ただ合わせてるだけなんだけど。」
「あははっ!つれないな~」
まあ、たまには悪くないかもだけど。
「もう1杯くださぁい」
「ダメですよ、そんなに酔ってしまっては」
酒を飲みたいと駄々をこね始めた彼女は、酔いが完全に回っているのにもかかわらず、お酒を飲む手は止まらなかった。いつもに増して緊張感がなく無防備な姿を見せるあなたに他の男にも酔ったら同じ態度をとるのか、と少し嫌な気持ちになる。
口を開けば、今お付き合いしている男の話ばかり。これが不満だとか、このように言ってきて腹が立った、などである。
私なら嫌な思いなんかさせないのに。そう言いたくなる私がなんだか薄っぺらい人間のように思われて、吐露しそうになる口を噤む。その話を聞きながらにこやかにいつも通りの私を演じた。
あんな男なんて捨てて、今宵、私で上書きしませんか。
辛かったこと、苦しかったこと全て、私との記憶で塗り替えましょう。
肩をとんとんと軽く叩き、眠りにつきそうだった彼女は振り向く。
私は左手を胸に当て、軽く頭を下げながら彼女の目の前に右手を差し伸べた。今夜、あなたが忘れられるほど楽しいひとときを過ごすために。
『踊りませんか?』
授業
緊張を通り越して
順番が来る
声を掛けずとも始まる儀式
でも、キッカケが欲しい僕は言う
※踊りませんか?
"踊りませんか?"
「フ〜ンフンフンフ〜ン…♪」
スマホからいつもの曲をループで流しながら、雑務を片していく。こうやって曲を聞きながら作業するのも、実は好きだったりする。無音の中での作業も好きだけど、曲を聞きながらやるのも良い。心做しか早く終わる気がするから、早く終わらせたい時は曲を流しながら作業をする。
いつも流してる曲は歌詞の無い曲だしアップテンポだから、良い感じに集中できる。壮大な曲調で曲名も壮大だから、不釣り合いなんだけど。
「これで…、っし。いっちょ上がり」
そうこうしている内に雑務を終わらせる。やっぱりこの曲を聞きながらやると、早く片付く。さて、この後はどうすっかなぁ…。
「……」
曲が終わる。そして数秒後には再び始まる。
椅子から立ち上がり部屋の中央に立つと、左足を前に、重ねるように右足を左足の後ろに。つま先は左足が右に、右足が左に向くように置くと、一歩分の間を開ける── 一言でいうと4番ポジション──。腕で円を作り、手の側面を股関節の前に持っていって構える── 一言でいうとアン・バー──と曲に合わせて踊る。完全に真似っこだからめちゃくちゃ。それと室内だから、クルリと一回転とか、ちょいちょいポーズを取るぐらい。だけど、楽しむのならこの位がいいのかもしれない。勿論プロにはとても見せられない踊りだけど、楽しい。曲と自分の体が一体となる感覚は悪くない。
曲が終わると、デスクの上のスマホを弄って曲の再生を止める。
「はっ……。…さ、準備」
スマホをポケットに仕舞い、受け入れの準備を始めようと、部屋を出た。
【踊りませんか?】
いつもの天井、鳴り響く介護士の足音に目を覚ます。
食堂にはもうみんな集まっているようで、少し急ぎながら歩行器を進ませる。
いつもの席に座ると、新聞を読んでいた貴方が
「おはよう」と挨拶してくれた。
「おはよう」と返事をして朝食を待つ。
しばらくの沈黙の後に、
神妙な面持ちで貴方はとある提案をしてきた。
「一緒に踊ってくれないか?出会った時のように。」
寝ぼけているのだろうかと疑う発言であったが、
彼のあまりに真剣な表情に、承諾してしまった。
踊るという言葉に、出会った時を思い出す。
私たちが初めて出会ったのは、社交パーティだった。
会社が主催の親睦を深めるためのパーティで、テーブルにはたくさんのオードブルやドリンクが並んでいた。
わたしは踊りが好きだったが、相手が見つからずに壁際をさまよっていた。
(このままじゃ壁の花だわ…)なんて思っていた時、ガチガチに緊張していた可愛い彼を見つけて、「良ければ、踊りませんか?」と思わず声をかけてしまったのだった。
それがきっかけでここまで幸せにずっと共に生きることになったのだから、あの時の勇気は間違いではなかったのだろうといまでも思うのだ。
夕暮れになり、ホールに音楽がかかる。
介護士が用意してくれていたらしい。
華やかな場所が苦手で、ダンスもそこまで上手くない貴方がいきなり誘ってくれた意味。
よく考えなくても分かっていた。
明日はきっとこの幸せが半分になる日なんだろう。
初めて出会った社交パーティで踊ったワルツを、
車椅子と歩行器の老人で踊る。
それは到底踊りとは言えない代物だったが。
それでもいつまでも老人は踊った。
【踊るように】と同日の物語。妻の視点
あなたと出会ったのは
1年前の今日とあるクラブで
一目惚れしました、僕と踊ってくれませんか。
そんなことを言われて照れ臭かったけど踊ったことを今でも鮮明に覚えているよ。それからは2人で色々なところにいってたくさんの楽しいことをしたよね、
でも今日わたしは、あなたが
一目惚れしたんだけど俺と踊らない??
私たちが初めて出会った場での女に言っていた。
嘘でしょ、、、?
わたしは所詮その程度の女だったんだね、
#踊りませんか?
たそがれ
「こんばんは」
夕闇の中で声をかけられ、足を止めた。
「あ……こんばんは?」
知り合いだろうか。顔が陰になってよく見えない。男性。声の感じは中年か壮年くらい?
「今お帰りですか。お疲れ様です」
「どうも。……そちらもです?」
「ええ、まあ」
誰だろう。近所の人? 友達のお父さん? 職場関係?
「あまり無理はしないように。最近お参りもしてないでしょ」
確かにそうだ。
「って何で知って、」
気づくとその人はいなくなっていた。
きっと明日も
「虹の足元? ここが?」
息を切らした少年達が頷く。空を見上げてみるが、雲の切れ間から青空が見えるだけだ。梢から雨粒が滴り落ちた。
「虹の下にはお宝があるんだよ」
一番小さい少年が拳を握る。彼らは宝探しに来たらしい。
でも、そうか。宝物はないけれど、ここには確かに私にとってのお宝がある。
ようやく咲いた思い出の花を紹介すると、彼らもまた顔を輝かせた。
きっと明日もどこかで虹がかかる。誰かの幸せが空にかかるのだ。
手を差し出す。彼女が応えてくれる。君はその瞬間にほとんど充分になる。ダンスホールに流れている音楽は君の趣味に合わない。まっぴらだうんざりだと君はタップを刻む。彼女が笑っている。あなたと踊れるなんて夢のようだわ。間違ってない?ねえ、私初めてなの。その手に掴んだ彼女が君のほんとうになっていく。夢から醒めてもその充足を味わい続けて君はベッドを下りる。刻まれるタップに溢れた笑みを忘れるな。踊れ踊れ。踏みしめろ、軽やかに。彼女の不在に耐えられるように。
踊りませんか?
急な声に驚き、心臓が掴まれる感覚
横を見ると思った以上に近い距離に
腕と肩が
その奥に横顔が並ぶ
びくっと心臓が締め付けられ
衝撃に思わず前を向く
......えっ...?
聞き間違いだったら恥ずかしいと聞き返したが
聞き間違いではないとわかっているから
既に恥ずかしい
羞恥を噛み締めた
真剣な表情で
今度は鮮明に聞き取れた
あっ
返事をする間もなく手を取られ
ふわふわと
足は地面を踏めぬまま
身体は妙に軽くなり
ああ、私はどうなるの?
心もふわふわ、踊りだす
踊りませんか?
一緒に!
って言えたらいいけど言えないんだよな。
なんでだろう。
友達だったら言えるのに。
あと一歩で、私は自由になれる。
「せっかくなんで、最期に僕と踊りませんか?」
見知らぬ青年が穏やかに微笑んで、手を差し出した。
まるで漫画みたいな展開。
喜んで、と私は彼の手を取り……
私は自由になれたはず。
なんで、涙?
(踊りませんか?)