ミミッキュ

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"踊りませんか?"

「フ〜ンフンフンフ〜ン…♪」
 スマホからいつもの曲をループで流しながら、雑務を片していく。こうやって曲を聞きながら作業するのも、実は好きだったりする。無音の中での作業も好きだけど、曲を聞きながらやるのも良い。心做しか早く終わる気がするから、早く終わらせたい時は曲を流しながら作業をする。
 いつも流してる曲は歌詞の無い曲だしアップテンポだから、良い感じに集中できる。壮大な曲調で曲名も壮大だから、不釣り合いなんだけど。
「これで…、っし。いっちょ上がり」
 そうこうしている内に雑務を終わらせる。やっぱりこの曲を聞きながらやると、早く片付く。さて、この後はどうすっかなぁ…。
「……」
 曲が終わる。そして数秒後には再び始まる。
 椅子から立ち上がり部屋の中央に立つと、左足を前に、重ねるように右足を左足の後ろに。つま先は左足が右に、右足が左に向くように置くと、一歩分の間を開ける── 一言でいうと4番ポジション──。腕で円を作り、手の側面を股関節の前に持っていって構える── 一言でいうとアン・バー──と曲に合わせて踊る。完全に真似っこだからめちゃくちゃ。それと室内だから、クルリと一回転とか、ちょいちょいポーズを取るぐらい。だけど、楽しむのならこの位がいいのかもしれない。勿論プロにはとても見せられない踊りだけど、楽しい。曲と自分の体が一体となる感覚は悪くない。
 曲が終わると、デスクの上のスマホを弄って曲の再生を止める。
「はっ……。…さ、準備」
 スマホをポケットに仕舞い、受け入れの準備を始めようと、部屋を出た。

10/4/2023, 1:33:37 PM