『貝殻』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
浜辺に打ち上げられた貝殻を拾い上げ
穴に耳を当ててみる
どこかしこかの波の音が聞こえた後に
「たすけて」
という声が鼓膜を貫いた
びっくりして貝殻を離し
浜辺に落とす
最近は海での事故が多いときく
この貝殻はいったいどこの波間から
この浜に流れ着いて来たのだろう
【貝殻】
~貝殻~
海で拾った貝殻に耳をあてる
遠くの方でさざ波が聞こえる
そんな詩的なこと
人生で一度くらいしか
やったことないよ
「貝殻」
夏休み最後の週末、クラスの仲良しグループ30人で海に遊びに来ている
私はリーダーの前で披露したウミガメの産卵シーンがウケてグループの仲間入りを果たせた
どうしても仲間入りしたかった理由がある
そう、三年間想い続けた彼へ告白するためである
クラスで2軍の彼と接触できるチャンスは今日が最初で最後だと思い、恥を忍んでナミダを流して卵をたくさん産んだのだ
彼の水着姿が見られるなんて…私は体の芯を熱くした
これで満足してはいけない…今宵、彼と一つになるのだ
私以外、みんな海で楽しんでいる
チャンスがきたっ…ここでジャージを脱ぎ捨てこの大胆な水着で彼のもとへ駆け寄ればイチコロのはず!
貝殻を拾い耳にあてる…波の音が私を落ち着かせた
「セックス」
貝殻がそう呟いてくれた
恥を捨てろ、私は新人グラビアアイドルだ、どんな仕事でもやるんだ
私は満点の笑顔と貝殻ビキニで彼のもとへ駆けだした
今日の嫁いびりは、アサリのお味噌汁のアサリは貝殻だけでした。
ほぐすの手間かかってて、お疲れさん。
年金暮らしの義理の両親、結婚してすぐ同居の為仕事辞めたまま働かない夫。三人の生活費を稼ぐ私。
離婚準備、整いました!
私がいなくなったあとは夫の不倫相手の風俗嬢にたんと稼いでもらってくださいねー!
子供の頃、海に連れてってもらった。
その時に集めてた貝殻は、いまだに実家の押し入れに眠っている、かな?流石にもう捨てられてるかな。
もしあったとしたら。何の回なのかもよくわからないその貝は、化石のように家のどこかを漂っているのだろうか。
堆積する、海のかけら。
小学生の頃に母とクラフト教室で作った貝殻のフォトフレームに入れるポストカードを変えようと思い、美術館に向かった。
みたい展示があるとか、年間パスポートの元を取りたいとかではなく、貝殻のフォトフレームのために美術館に行くのはわたしにとっては珍しいことではない。
貝殻のフォトフレームには今はゴーギャンのタヒチの女を入れている。次は何のポストカードにしようか。クールベの波なんかどうだろう。うざったい残暑にぴったりの色合いだ。
イタリア暮らしの収穫は?
スポーツ紙の記者に聞かれて
ムール貝を食べるのが上手くなりました
と答えた
ご自分で料理もされるんですか?
モテたいですから。
そっけなく答えて、空港からあいつの部屋へ急ぐ
ムール貝の貝殻が積み重なるたびに
あいつに会いたい気持ちも積み重なっていたんだ
「貝殻」
「貝殻」
海へ行けば 必ず集めた貝殻
どこから来て どうしてこの形?
少し大きい貝殻を耳に当てたら波の音
小さなバケツにたくさん持ち帰る
あの日の眩しい砂浜 乾いた素肌
たくさんの思い出が詰まったあの貝殻入りバケツ
いつの間にかどこかへいってしまった
子供だった頃の自分と共に 無くしてしまった
「貝殻」
私のうたかたの恋
この掌にある
ひしゃげた貝殻と重ねる
貝殻。子供の頃なんの貝殻か知らないけど耳に当てると海の音がするってのをやったことあるな。あれなんの貝殻だったんだろ。
貝って例外なく美味しいし好きだけど俺のような貧乏人にはとても食えない高級食材だ。食えてあさりしじみ、後はおつまみコーナーにあるホタテ系か。
そもそもそれ以外の貝ってあまり売ってないんだよな。近くのスーパーは鮮魚コーナーちっちゃいから貝の取り扱いが少ない。それともあれくらいが普通なのかな。
まぁ鮮魚コーナーが大きくて貝の取り扱いが豊富でも金がないから買えないんだけどな。貝は好きだけど食卓への貢献度が値段ほどないし。貝って嗜好品というか贅沢品だよな。
貝で時々買うのは牡蠣だな。なんか食べたくなる時がある。といっても本当に時々で年に数回かな。それで食べてこんなもんかってなる。スーパーのしかもパックの牡蠣じゃそんなもんだよな。
一度牡蠣とかあわびとかを専門店で食べまくってみたいものだ。たまの贅沢にそのくらいする金はあるんだけど遠出するのめんどくさいし金かかるしで結局一度もそういうことしたことがない。
貝殻
自分好みの貝殻探し
大きさや形
色も大切です
やっと
見つけたと思ったら
波にさらわれて海の中へ
素敵な貝殻めぐる 戦い勃発
せっせ せっせと
ヤドカリ達の貝殻探し
貝殻
九月になってもまだ暑さは厳しい。
少し水遊びでもさせるつもりで海辺に娘を連れ出した。彼女は少し足を濡らすと、後は波打ち際でうずくまっている。
「暑くないの?」
「うん、貝殻集めてる」
小さなバケツの中には、角が取れた淡い緑色のガラス片に黒い小石と小さな白っぽい二枚貝の貝殻がいくつか入っていた。
「たくさん集めたねー」
「いっぱい見つけた。ねえお母さん、手出して」
彼女は握った砂だらけの手を打ち寄せる波で濯いだ。濡れた手から滴が光って落ちる。
彼女の言う通りに私が手を出すと、薄いピンク色をした小さな貝殻がそっと手のひらに乗せられた。
「一番きれいなのをお母さんにあげる」
緩やかに寄せてきた波が足元を濡らした。きらきらした黒い瞳が私を見上げている。差し出してくれる何かとてもピュアなもの。胸の奥がじわりと熱くなった。
「ありがとう。嬉しいな」
「うん!」
波に洗われた小さな手の爪が、桜貝を連ねたように美しく見えた。
貝殻
20分も車を走らせればそこは海
子供たちは“純粋”に貝殻拾いに夢中
私はシーグラス拾いに夢中
心の中…(メルカリで売れそうな綺麗なやつないかな…)
純粋な心 どこいった…
貝殻。貝殻ね。貝殻にまつわる、よるのはなしをしよっか。おれはねぇ、あの本がすき。入学したてのころ、昼寝する場所をさがしててた折。図書室の深窓で、ひとりでに落ちてきやがった本。むかぁしの本だったかなぁ。
オンナが「もう死にます」って言った。傍らにいたオトコが、ソイツの遺体を埋めて、百年、オンナがかえってくんのを待つはなし。
あんなに、よると月魄がにあう、ふしぎなゆめのはなしが、おれのこころに居座ってる。オトコはやくそくをまもるんだよね。真珠貝で穴を掘って、オンナの遺骸を埋めて。それから星の欠片を供えて。苔むした石の上で、いちにちを数え待つ。つめたいよるに、自然のあたたかさが手に添えてくれる感覚がすんの。なんとなく、これがニンゲンなんだって、オレはおもった。
でもさぁ、おれには「対価」が必要なの。だから、オトコが百年待つ理由は、ない。…オレがオトコだったら。オンナのためにはまいにち待たない。めんどくせぇじゃん。オンナに言われたから待つんじゃなくて、おれが「待ちたい」っておもったら。それはただの、おれの、エゴ。あは、おもしろ。
アイとかコイとか、そんなものは要らない。おれとおまえが、てきとうにたのしければ、それでいい。もしおまえがしんだら、おれはおれなりの方法で、かえってくるのを、気長にまったげる。かも。やっぱりおれのことだから、飽きるんじゃね?アハ。其れもまた、人間臭くて良いんじゃねぇの。
貝殻/それから 約束の話
貝殻と聞くと、6年前に5歳の息子を連れて家族3人で、江ノ島に行った時のこと思い出す。息子はその日以来行方不明になった。息子は貝殻拾いに夢中だった。「僕海になりたい」それが息子から聞いた最後の言葉だ。本当に海になるなんて思わなかったの。
貝殻
鎌倉の由比ヶ浜で見つけた桜貝の貝殻。淡いピンク色のその貝殻は、私達夫婦にとって素敵な思い出である。
10年前、付き合っていた私達はお互いに結婚を意識し始めていた。しかし、小さな町工場で働く彼はお金もなく、デートはいつもこの由比ヶ浜。私が握ったおにぎりと、ポットにいれたお茶を飲みながら、いろいろなことを話した。
「ごめんな、どこにも連れて行ってあげられなくて、でも、社長、優しい人でいい人なんだ。作っている物には自信があるんだけど、人が良いから、あっちの言い値で請け負っちゃうんだよなぁ。だからいつも儲からない。だけど、ああいう職人堅気な人好きなんだよなぁ」
私はあなたも充分優しい人よって思っていた。
そんなある日、突然プロポーズを受けた。
「うちの工場で何年も前から製造、実験していた物がやっと特許を取ることができた。銀行もこれには期待していて、お金も貸してくれるみたいなんだ。そしたら社長がお前、結婚しろって。これが売れなくてもお前だけは守ってやるから彼女と結婚しろって、、。
今は指輪も買ってやれないけど、ユキ、俺と結婚してくれるか?」
私は泣きながら頷く。
そして、私の左手をそっととって、淡いピンクの桜貝を指に乗せてくれた。
あれから10年。特許を取った製品が見事に当たり、工場も大きくなった。
春に産まれた女の子の名前は「さくら」。
あの時もらった桜貝は大切に取ってある。
私達の淡いピンクの思い出である。
双子のように、しかし他人のように
どこか欠けている完成しないパズルを
たった一つのピースでうめて
作り上げたい 繋ぎ合わせたい
貝合わせのように
僕だけの半身 僕だけの唯一
きみとつくりあげた大作はその日貝の中に閉じ込めた
#貝殻
海底で静かに潜んでいるのは、今にも壊れそうな貝殻。
『貝殻』
海を見ると、いつも胸が押し潰されそうになる。
理由は分からない。あの世界的な水害が起こった時、自らの資産をなげうってまで被災者を助けなければいけないと思ったことと関係があるのだろうか。いくら考えても答えは出ないので、とにかく一人でも多くの被災者を救うため、私は世界中を回った。
時折こうして浜辺に来て自問してみるが一向にその理由は分からない。
私は海岸線に沿って浜辺を歩く。寄せては返す波の音が私の心を鎮める。不思議と、海は嫌いではなかった。
ふと足元を見ると、貝殻が落ちていた。私は屈み込みそれを拾い上げる。虹色の美しい巻貝だった。それを見て、ある魚を思い出した。浜辺で傷だらけになって息絶えていた、虹色にまばゆく光る美しい魚を。
貝殻を耳に当ててみる。波の音と共に、少女の笑い声が聞こえた気がした。私は理由もなく悲しくなり、その場にうずくまって泣き続けた。
#70 貝殻
好きな人にピンク色の貝殻を渡すと、恋が叶う-
海が近い、この学校の女子の間で密かに流行っているおまじない。
ちなみに四つ葉のクローバー探しは人気がない。潮風の影響なのかシロツメクサの生育が悪くて、なんというか、そそられない。
貝殻の方は、濃い色であるほど効果が上がるとか、欠けたものを渡すと長続きしないだの、噂はつきない。
その割りに、恋が実った実例に関する内容は、あまり聞かない。代わりに卒業生の実話という名の都市伝説はあるけど、つまりそういうこと。
「とにかく、ヤローに渡すのはいただけない」
桜貝を翳せば、青空とよく映える。
ピンク色に光が透けてきれい。
「この綺麗さを分かってくれる人にならあげたいけど」
見ているだけで、どこか幸せな気分になれる。
うん、見ているだけでいい。
それで充分なんだ。
疲れた腕を引っ込めて、貝殻をポケットに突っ込んだ。
割れていたら、
そういう運命なんだって思うことにしよう。
桜貝のように淡い色した想いを、壊れやすい繊細さに託して帰途についた。
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きっと親や先生との約束を守って海には入らないと思う。思いたい。
まじないと言っても子供のすること。効果があるわけないとしつつも、それでも。