『貝殻』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
貝殻
幼稚園の頃、「皆んなで何かをする」「周りのお友達と仲良く遊ぶ」のが苦手だった私にとって、好きだった時間は、教室に置かれた絵本を読む時間。その時間は、心が躍るように幸せだった。今も覚えている一冊がある。貝殻が描かれた、とても素敵な絵本。内容もあらすじも覚えていないのだけれど、鮮やかな絵本で、主人公の女の子が、大きな貝殻の中に入っていく場面がとても印象的だったことは覚えている。私はこの絵本が大好きで、お昼ご飯の時間や、ことあるたびに、何度も何度も読み返していた。何というタイトルの絵本だったろう…。その絵本を読んでいる時の、あのときの幸せな気持ちは、今も、心の片隅にずっと残っている。読まれた本は、今も何処かで、誰かに読まれ、記憶を紡いでいるのだろう。貝殻という言葉に触れるたび、今も蘇る幼いあの日の記憶と心。
ソンへ
『貝殻』
ふと中身が詰まった瓶を見つけた。
あの、青い春の出来事。
今では再現できないこと。
イツメンで海に行って、
貝殻を集めて、アクセサリーにしようって。
でも、そんなことができるほど
器用な人はいないなって笑いながら集めた。
瓶につめて、また集まろうと約束した。
でも、叶わなかった。
貝殻と言えば夕日の沈む海辺でその日の思い出に貝殻を持ち帰る、そんなシーンを思い浮かべる。
海に友人と行く機会もない私には、食卓の上で見るホタテやアサリ、シジミの貝殻の方がよく目に浮かぶ。
そこでシジミのエピソードを書いていこうかと思います。シジミは先ほどあげた貝でも小さく食べにくいと感じる人もいるのかなと思います。五年ほど前ご飯、キャベツ、みそ汁がおかわり自由のとんかつ屋に行った時にそんな食べにくいシジミを一粒も食べないお客がいたのを強烈に覚えています。その時は食べにくいからそんなお客もいるか程度だったのです。
たまたまみたアニメあたしンちにてみそ汁を作る時に味噌がないからカレーを入れてシジミカレーにしたエピソードがありました。そのエピソードでもアサリカレーはありでもシジミはないという話になりましたが、カレールーにまみれたシジミは相当食べにくいなと色々納得できました。
貝殻
貝殻
北海道に小旅行に行っていた叔父さんに、幼い頃貝のお土産を貰った。
「これは何という貝?」と聞くと、「イシダタミだよ。耳に当ててご覧。」と言われた。
貝の口の様な部分をそっと耳に被せた。遠くで波の音が聞こえた。
私は嬉しくなって、「ひろしおじちゃん、何で波の音がするの?」とはしゃいだ。
「あきよちゃんの為に、おじさんが海の音を貝殻に閉じ込めて帰ってきたのさ。」
「すごーい。ねぇどうやって?」何度も問いかける私に叔父さんは「それは秘密だよ。大人になれば分かるよ。」と笑った。
今年の春、優しかったひろしおじちゃんは、病気で帰らぬ人となってしまった。
貝殻が何故なみの音がするのか、大人になって謎は解けた。
私は貝殻を目にするたびに、いたずらっ子のような、あのひろしおじちゃんを思い出すのだろう。
貝殻
昔は貝殻をよく拾った。
きれいな桜色のものを集めたり、日に透かしていつまでも眺めていたり。
まだ家にある。
大きなもの、小さなもの。
様々なものがある。
だけどいつからだろう、海に足を伸ばさなくなった。
海に行くということは、祖母の家に行くということだから。
体調を崩してから遠出ができなくなり、浜から遠ざかる。
塩ゆでしてもらった貝が恋しい。
久しぶりに貝殻を取り出して、浜を懐かしみたい気分だ。
【貝殻】
巻き貝を耳にあてれば、ざぷんざぷんと波の音が響く。この音色はいつだって私に、故郷の海を思い起こさせた。
深い青色の美しくも雄大な海だけが取り柄の、何もない田舎町。それが私の生まれ故郷だ。忙しなく働く両親になかなか構ってもらえず、同世代の子供も周囲に少なかった幼い頃の私は、いつも浜辺に座って寄せては返す波の音を聞きながら、学校の図書館で片っ端から借りた本を読んでいた。
君に出会ったのは、雪のちらつく寒い寒い冬の日。マフラーに顔の下半分を埋めながら本のページをめくる私に、声をかけてきたのが君だった。
「いつもそこにいるよね。本が好きなの?」
咄嗟に顔を上げる。真冬の暗い色合いの海の中に、人影が立っていた。明らかに異様で不可思議なその存在を、だけど私は恐ろしいとは思わなかった。
少年とも少女ともつかないその子供は、私の話し相手になってくれた。それでも海から出れば良いのにという私の提案にだけは、決して頷かなかった。
気がつけば日が暮れていて、名残惜しむ私へと君は帰宅を促した。
「ねえ、また会える?」
私の問いかけに、君の纏う空気が少しだけ寂しそうなものに変わる。訪れる夜の気配に包み込まれてその表情は見えないけれど、きっと悲しそうな顔をしているのだろうと想像がついた。
「……うん、きっとまた会えるよ」
それは嘘だった。あれから何度通っても、君が私の前に姿を見せることはなかった。だけど私が大学進学を機に故郷を離れる最後の日、浜辺にひとつだけ貝殻が置いてあった。私がいつも座っていた特等席に、まるで見つけてくれと言わんばかりに。
きっとこれは、君からの餞別。今でも君はあの海で、静かに人々を見守っているのだと、そう私は信じている。
貝殻から響く波の音が、君の涼やかな声のようで。懐かしさを胸に抱いて、私はそっと瞳を閉じた。
お兄ちゃんは海に帰った。
私のためにきれいな貝殻を見つけてくると言って。
お母さんとお父さんにこのこと言ったら、
ずっと怖い顔で私を見てくる。
あなたのせいよ!!
おまえのせいだ!!
私はぶるぶる震えながらお兄ちゃんが浜辺でくれた
『貝殻』をギュッと握った。
#貝殻
太陽光に反射して、キラキラと光る貝殻を見つけた。
なぜ、貝殻はこんなに綺麗なのだろう。
何も無い、空っぽなのに。
私とは大違い。
もし、私がいつか死んで、生まれ変わるなら貝殻になりたい。
ただ、そこにあるだけで、誰かを幸せにできる貝殻に。
「綺麗な貝殻だね。」
「ほんとだ。」
「はい!!これあげる」
君がくれたのは、貝殻のブレスレット。
「ありがとう、大事にするよ。」
________________
僕の腕には、君があの時くれた
ブレスレットがある。
あぁ、なんで先に居なくなっちゃうのかな
「会いたいよ…」
戻らない時
叶わない願い
水底で眠るのは
ひび割れた貝殻
#貝殻
幼い頃にあの子からもらった、砂場で拾ってきたと言うちゃちい貝殻で作ってくれたネックレス。
私の手を握ってニコリと無邪気に笑う君が、離れていても感じられるから、それがもう頭を通らなくなった今でも手放せないのだ。
貝殻
貝殻を拾った。
綺麗な透き通る海の砂浜で。
何となく来たくなって、車を走らせてやってきた海。人は少なく、とても静かで落ち着いている。時間は朝5時。
「もう少ししたら、帰ろう」
今日、用事があるわけではないけれど、居ようと思ったらずっと居続けられてしまいそうだから、取り敢えずもう少ししたら帰ろう。
サアーっサアーっと波音。
耳心地がとても良い。
「綺麗な貝殻ですね」
突然誰かから声をかけられた。
不審者だったらどうしよう…。
「あ、すみません!いきなり声をかけてしまって。俺別にあやしいもんじゃないですからっ!」
彼はそういうとサーフボードを持っている手を私側に近づけ、サーフィンしに来たんです。と言ってきた。
「サーフィン、するんですか?」
「はい。ほぼ毎日。」
「毎日ですか?凄いですね!」
「もう習慣になってしまっていて、やらないほうが気持ち悪いんです」
「あの…、少し、見学させて貰っても良いですか?」
「ええ、いいですよ!好きなだけ見てって下さい」
彼はそういうと海へと向かっていった。
私は人見知り。けれど彼とは何だが普通に喋れた。何だか不思議。
暫く彼のサーフィンを見学させて貰い、帰ろうとした時…、
「あ、あのっ!」
彼から呼び止められた。
「何ですか?」
彼は近くにあった枝を取り、砂浜に何かを書いていく。
「今、スマホもってます?」
「はい、持ってますけど…」
「これ、写真に撮っといて下さい」
私は言われたまま砂浜を写真に撮った。
よく見ると、連絡先だった。
「俺、今スマホ持ってないので、俺の連絡先です」
「何で今日初めて会った私に教えるんですか?危ないですよ、今時」
「平気です。絶対変な事はしない人だ。」
あまりにきっぱり言われたので少し驚いた私。まあ、何もしないけれど、
「俺、今ナンパしてるんですかね?勝手にそう思っただけですけど、また、お会いしたいから……、」
あまりに素直に言われたので拍子抜けしてしまった私。わかりました。連絡先保存しておきますと一言いい、私は帰宅した。
彼と会ってから数日後。朝のニュースを見ていたら彼が出てきた。今大注目のサーファーだという。
私が、彼の連絡先が記された写真を見つめながら連絡したのは昨日。
彼は嬉しそうな文面で返事をくれた。
不思議な出会いに何だが運命を感じそうな自分をいさめながら、私は朝ごはんの準備をする。
取り敢えず、彼にまた会ったら、名前を教えなければ、そう、思いながら…。
貝殻を拾ってポケットにいれて、
そこから時空が広がりますよ、
それはどこの記憶かな、
そこで何をしているのでしょうか、
たくさんの世界と繋がる窓となります。
小さなボトルに入った
ピンク色のさくら貝
子どもの指先みたいでかわいい
砂浜で見つけた
白い巻貝
耳にあてると波の音が聞こえる
テレビでみた
大きなほら貝
神秘的な音色
どれも貝殻
自然が創り出したもの
護っていかなくちゃね
私たちが………
君は、とても忙しい人だ。
今朝は日の出前に、仕事だと家を出ていった。
恐らく今夜も帰りは深夜で、食事も適当な店で軽く済ませてくるんだろう。
心配だ、君はもう若くはないから。
口で言ったところで、きっと君には届かない。
「心配し過ぎ、大丈夫、ジムで鍛えてるから」
そう言って、ちょっとだけ困ったような笑みを浮かべる君の顔が、脳裏を過ぎった。
せめて君が職場で倒れないようにと、私はキッチンに立つ。
さて何を作ろうか、君は体格のわりに食が細く、その上、食わず嫌いだ。
仕事中でも簡単につまめるものが良いだろう、君の好きな紅茶に合う焼き菓子を作ろう。
マドレーヌなんて、いいんじゃないかな。
好きだろ?、君。
テーマ「貝殻」
潮騒のうた
髪を乱す風のいたずら
波が消した落書きと
二人の足跡…
手に残る
貝殻ひとつにも
想い出は輝き
君が見つけた
薄紅色の桜貝が
あの秋の日の
優しかった時間を
連れてくる
# 貝殻 (268)
毎年、夏になると田舎の祖父母の家に泊まりに行く
今年も夏休みに入り、祖父母の家に泊まり、同い年の幼なじみと海辺を歩く
大きいショッピングモールもない退屈な田舎でも、こうしてただ歩くだけで、楽しかった
ビーチサンダルを脱ぎ、海に入る幼なじみの後ろには、もう既に落ちかけてるオレンジ色に眩しい夕日
「夕飯の時間だから、そろそろ帰ろう」
目を細めながらそう言うと、え〜、と言いながらも渋々浜辺に出て、砂で汚れた足を海水で洗いサンダルを履くのを待った
家に戻ろうとすると服を軽く引っ張られ、
「ねぇ、貝殻、拾って行こうよ!」
そして2人で、誰もいない砂浜で貝殻を探した
家に着くと、帰りが遅いと、少しだけ怒られた
急いで手を洗って、2人で見つけた綺麗なピンク色の貝殻を洗って、祖母の作ったご飯を食べた
そして、大人になった今、あの時見つけたピンク色の貝殻は、2人の手首に繋がれてる
最後に、彼から受け取った物は小さな貝殻。
彼と海に行った時偶然見つけた。
海のような色をした綺麗な貝殻。
彼は病気になって入院してるときも其れを肌見放さず持っていた。
でも、自分がそろそろ死んでしまう事をわかっていたのかはわからない。
彼が死んでしまう一週間前。
彼がその後貝殻をくれた。
「俺、どうせ先無いじゃん?だからさ、此れも一緒に燃やされる位なら君持っててよ」
「でも....死んじゃうとしてさ、一緒に燃やされた方がいいんじゃない?此れ気に入ってたじゃん」
「其れでも...其れでも、俺は此れを君に持ってて欲しいんだ....駄目、かな?」
そんな事言われたら断れないじゃん。
「いいよ」
「有難う!ニコ」
その笑顔は何処か悲しそうで、触ったら崩れてしまいそうだった。
# 114
道路に大きな貝殻が落ちていた。
円くて平たい帆立のような形の貝殻だが金属光沢を持っている。
拾い上げて日にかざすと薄い部分が七色に輝いた。
海も魚屋も近くにはない。誰かが落としていったのだろうか。
珍しいので撮影したり光を反射させて遊んでいると、道路の半分に落ちていた巨大な影がゆっくりと動き出した。空を見上げてそれが建物の影ではなかったことを知る。
巨大な蛇。ヨルムンガンドだ。
海から出現したと数日前に海外ニュースで見たけれど、来日していたとは知らなかった。
高層ビルより太さのある豊かな胴を優雅にくねらせて軌道エレベータを登っていく。その鱗は日光を反射して「貝殻」と同じ色に輝いた。
昨今の宇宙開発ブームに乗ってヨルムンガンドも宇宙進出するつもりなのか。
広くなった人間世界に合わせて世界蛇も成長するつもりなのかもしれない。
固く包み込み
守り抜いてきた
命が尽きて
役目を終え
柔らかな砂に埋もれて
眠る貝殻
崩れ落ちた
廃屋のように
気にも留められず
ただ静かに
夢を見てる
時々
綺麗だと拾われて
飾られて
日の目を見るけれど
すぐに忘れられて
時々
叫んでるんだ
あの潮の匂いのする
砂のベッドへ
僕を帰してと
「貝殻」