最後に、彼から受け取った物は小さな貝殻。
彼と海に行った時偶然見つけた。
海のような色をした綺麗な貝殻。
彼は病気になって入院してるときも其れを肌見放さず持っていた。
でも、自分がそろそろ死んでしまう事をわかっていたのかはわからない。
彼が死んでしまう一週間前。
彼がその後貝殻をくれた。
「俺、どうせ先無いじゃん?だからさ、此れも一緒に燃やされる位なら君持っててよ」
「でも....死んじゃうとしてさ、一緒に燃やされた方がいいんじゃない?此れ気に入ってたじゃん」
「其れでも...其れでも、俺は此れを君に持ってて欲しいんだ....駄目、かな?」
そんな事言われたら断れないじゃん。
「いいよ」
「有難う!ニコ」
その笑顔は何処か悲しそうで、触ったら崩れてしまいそうだった。
# 114
9/5/2023, 6:34:48 PM