『誰よりも、ずっと』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
あの人の放つ言葉は、良くも悪くも辛口な評価が目立つ。
きちんと相手を敬う姿勢を持ちながらも、年上にだって物怖じしない口振り。
そこから繰り出される発言力とくれば、いっそ清々しいまでの棘が突き刺さるレベルだ。
けれど、それらが口だけで終わる人物ならまだしも、彼と近しい者は皆が「その裏」を知っている。
他の人たちへ向ける指摘以上に、まずなによりも自らへ課すあれこれが多いのだと。
日常は厳しい向上心で埋め尽くされ、頑ななまでに管理されきった上で、彼の全てが成り立っているということを。
目指す対象とするには正直ハードルが高すぎるなと、割と早いうちから思ったことだってある。
しかし例え無理無謀であろうとも、弱く甘えがちな己にとっては、恐れ多くも憧れの先輩なのだ。
【誰よりも、ずっと】
「誰よりも、ずっと」
彼は私の兄で、弟だった。
そばにいるだけで安心した。
こんな日が続くと、そう思っていた。
温もりが消えていく体は、思ったより小さい。
君は、虹の橋を、元気いっぱいに駆けていくのだ。
そして、大好きだったぬいぐるみと一緒に、
ゆっくり過ごす。それは、しあわせなことなんだ。
『ドライフラワー 』
頑張れと大丈夫が苦手な
死んだ花をぶら下げている女
一言で全てを済まそうと
どうしようもない事実と鉢合わせ
そのあとに続ける
一人で唱える大丈夫よりも
支えがあるゴンドラに乗りなよ
僕「まぁ家も死んだ木だよね」
そう、誰も終焉からは逃れられない
【誰よりも、ずっと】
誰よりも、ずっと
きみは頑張ってきた
誰よりも、ずっと
きみは努力した
そうしてきみは、
努力しても届かないものがあると
知っている
ぼくはそんなきみの在り方が
誰よりも、ずっと
美しいと思っている
誰よりもずっと、
君のことを応援してる
違う道を歩んでても
君の幸せを願って
今日も君想ふ
#4『誰よりも、ずっと』
誰よりも、ずっと
ふとした時、頼りたい時、誰かに会いたい時…想い浮かぶのは、いつも、あの人の姿…色んな友達がいるのに、あの人しか、思い出せない…いつも穏やかな微笑みで、優しく包んでくれるから…
初めて会ったあの日、一人雨宿りしていた私に、傘を貸してくれたね…たまにはすれ違うから、何となく顔は知っていたけれど、言葉も交わしたことも無いのに、これ使ってください、って…あの瞬間から、あの人しか見えなくなって…誰よりも…あの人…
私は、誰よりもずっと、未知に憧れている。
誰も見たことのない海の底や、誰も知らない宇宙の果て、大昔にいた古代生物に、古代文明の謎。
そこに何があるのか、どんな世界が広がっているのか。
自分の手で解き明かして、自分の目で見て確かめたい。
そんな憧れが、止まらなかった。
止まらない憧れを現実にしたいけれど、未知を解き明かすなんて、やっぱり夢物語のようで、嘘っぽい。
だから私は、夢の中にいるようにだらだらと、平凡な生活を送るのみ。
そんな私だが、今年、人生のターニングポイントに立ってしまった。
現実をみる生徒だらけのこの教室で、私だけが、子供のように、まだ夢を見ていた。
でも私に普通なんて無理だった。未知への憧れを捨てきれなかった。
私は、知りたかった。
それだけでなく、同じような志を持つ仲間と共に、未知を解き明かしてみたい。
だから私は、自分の夢へ進むことにした。
数年後の自分の姿なんて、わからないし、知る理由もない。
未知への憧れは、まだ始まったばかりなのだから。
私たちがいつから一緒にいたのか
もう貴方は覚えていないのかもしれませんね
否、知りもしないのかもしれません
それでも
私たちは貴方の健やかな成長を見守ってきました
「ただいまー!っと、もう、お邪魔します、か」
「はい、おかえりなさい。別にいいんじゃない、ただいまで」
「嫁に行ったって感じも、3ヶ月じゃそんなにないしねぇ…って、あれ、ひな人形、今年も出してたの?」
「あぁ、お母さん好きなのよ、おひなさま」
「いや、それは知ってるけどさぁ…」
「なによー、文句あるなら嫁入り道具に持っていく?2体だけなんだし」
「そ、それは置き場所が…あー、まぁ、いっか。…君たちもずっと仕舞われてるよりいいよね。けど、母さん、4月まで出してるのはどうかと思うよ?」
「そうねぇ、今度は兜を出さないとねぇ」
貴方が嫁に行こうと、
お題「誰よりも、ずっと」
誰よりもずっと生きてきた。
とある少年がいた。
少年はある時、自分が無限の命を持っていることを知った。歳も老いる。体だって弱る。だが、死ぬことは無いらしいのだ。
少年は周りにこのことを伝えようとしたが、周りは「厨二病」だと笑った。
家族も友達も、誰一人信じるものはいなかった。
少年は独り、自分の部屋で自分の似た境遇のSF漫画や小説を読んだ。結末はそれぞれで異なり、死ぬことを発見出来たもの、結局生きることにしたもの、色々あった。
少年は恐怖を抱いた。読んだ漫画全てに1つ、共通点があった。
それは、「周りが死ぬ事」だった。
少年は自分の話を信じてくれない周りでも、
「家族」や「友達」と呼び、彼らに愛を捨てることは無かった。そんな周りが消えてしまうという恐怖。
少年はいつしか、周りに対してもっと心を閉ざしてしまった。
二度と部屋から出てこず、一日中泣く日もあれば暴れ回る日もあったらしい。精神を安定させるための腕のいい医者や他の人も試したが、少年の暴力による怪我人が続出し、打つ手はなしと考えられた。
【誰よりもずっと】
僕は空想癖がある。
クラスメイトの誰よりもずっと空想している。
「もしも」が僕は好きなのだ。
僕は僕のことが嫌いだ。
声が嫌いだ。足が太ってて嫌いだ。
思った事を口に出せなくて嫌いだ。
だから「もしも」の世界に逃げる。
もしも声が声優さんみたいにカッコ良かったら。
もしもモデルみたいに足が痩せてたら。
もしも、もしも、もしも。
「ありもしない偽物の僕」を゙作る。
ほんの数秒、数分だけ僕だけの世界に行く。
誰よりもずっと現実世界から目を背けたい。
『誰よりも、ずっと』
「努力」が嫌いです。
嫌いですが、いつの間にか努力していることがあります。
例えば、この投稿が318回目とか。
とはいえ、誰よりも、ずっと努力しなければ、成果にはならないと思うので、いつの間にかしている努力なんて、努力のうちには入らないのかもしれませんね。
今でもこの時期に思い出すのは。
新しい生活が始まる
初めての一人暮らし
憧れの東京
不安より期待に胸躍らせながら
目を輝かせる私に
「じゃあね」と一言、
声をふるわせて言葉を詰まらせて
さっと改札に向かって遠ざかった母の
震えた肩の後ろ姿。
「ばいばい」と一言、
明るい未来への決意をこめて
喉の奥の痛みは飲み込んだ私の
覚悟を持って握りしめた手。
#誰よりも、ずっと
君は知らないだろうが、僕は君をずっと好いていた。
友達としてではなく、恋愛対象として。
そんなことを言ったら君はどんな顔で僕を見るだろうか。それが怖いから、「好きだ」の3文字は一生懸命口にだせない。
怖いくせにこの気持ちを知って欲しい。自分を恋愛対象として欲しい。あわよくば、結ばれたい。なんて、
たった3文字も言えない人間が言えることじゃないと自分でも思う。それでも、やっぱり知って欲しいから「好きだ」と言わずに君に好きだと伝える方法を試してみる。
好きなことを君に知られた瞬間、僕はここにはいられなくなるけど。それでもいいから。
今日は君の好きなジュースを買ってきたんだ。それから、不自然じゃないように距離も縮めたい。
これで君が気づいたら、僕の負けだ。
僕が負けたら僕のいない毎日を送って、僕の要らない昼に気づいて、僕の知らない夜を過ごしてくれよ。
じゃないと、僕はずっと君を思ってしまう。
「好きだ。」を言えないけれど、
君に僕は必要ないかもしれないけれど、
誰よりもずっと、君を想ってる。
俺が目を閉じる時、なんでそんなに悲しそうな顔をするんだ。
せっかくの光り始めのやわらかな光が、ぎゅっと1つに集まって、あまりにも強く光るものだから。
俺は眩しくて、眩しくて。
今日もあんたが輝いていることに嬉しくなって。
誰よりも、ずっと前から、
誰よりも、一番最初に、あんたの光りを感じて。
その光りを最後に、今日も目を閉じる。
誰よりも、ずっと
そばに居てくれていたのに
いまになって気づく
その優しさに、あたたかさに…
貴女が好きよ。
誰よりも、ずっと世界で一番好き!!
同性だからとか、貴女に婚約者がいるとか
些細な問題よ?
さぁロープとナイフを買って、レンタカーを借りて
貴女の家まで向かうわ!
窓を開けて、寝ている貴女を縛り上げて
私の家へ向かいましょう?
大丈夫、貴女の婚約者はもう何も言わないわ!
2人で永遠に愛し合いましょうね♡
テーマ 誰よりも、ずっと
これから先の未来を考える
それすらも怖くて何も思えないまま
こんな僕でも君のことを
誰よりも、ずっと
ザーーーっ
流し台の上、流れる水で頭を冷やす。
だらだらと水の伝う髪を持ち上げ、鏡の中の私と目を合わす。
そうだ、あの人に声をかけてみよう。
冷静に考えてみれば、私はここ最近、あの人のことを何より気にしていた。誰よりも、ずっと。
フェイスタオルを手に取って、顔を拭う。
大丈夫。このタイミングで、あの人に声をかければ、万事上手くいくはず。
内側で騒ぐ胸をそっと抑える。
緊張しすぎて、雑になってはいけない。はやる気持ちを抑えて、冷静に対処しなければ。
それさえできれば。
私の記憶が正確ならば、それで私は無事に平和な暮らしを手に入れることができるはずだ。
息を整えて、私はスマホに手を伸ばす。
トークアプリで、友人とのチャットページを立ち上げる。そこに素早くフリック入力で書き込む。
「ごめん!悪いんだけど、今日は無理そうだわ…ちょっと私もヒートアップしちゃって……樹液に閉じ込められた虫の気分よ、まったく」
この友人は、クラス内外どちらでも、私と一緒に行動している。なかなか信頼のおける種類の、単純な性格をした友人で、私と彼の事情も話してある。
だからこそ、あの人は、このトークチャットの内容を、吟味せずにはいられない。しかも、私に関する情報は、友人よりあの人の方が詳細に集めているだろう。
ここで。この場で。それとなく友人に伝えれば、あの人には確実に伝わる。私にはそんな確信があった。
こちらの処理はこんなもので良いだろう。あとは天命を待つだけだ。
…さて、次はこちらの処理だ。
私は目の前に、ぐったりと力なく倒れた彼を見つめる。誰でも抱えて連れて行けるような大きな体、人を心地よくしつこく絡めとる長い手足、罠か飴のような甘美に整った顔と、誰でも自在に手篭めにできる程度に優秀で寂しがりやの脳の入った頭。
血溜まりの中、その頭は今、首辺りから、かくん、と力なくうなだれ、瞳は白く濁って、虚に我が家の風呂場のタイルを眺めている。
…まあ、なんとかなるな。
私は右手に持ったものを握りしめて、そう思う。
魚やジビエを普段から捌いてきて本当に良かった。“捌く”という関節や体組織の分解行為は、こういう時に役立つものなのだ。家庭科もなかなか捨て難い学問だな、そう考えながら、私は彼に手をかける。
彼と一緒になってから、ずっとこんな感じだ。
最初は、誰よりも、ずっと、彼のことで頭がいっぱいで、それが愛というものだと思っていた。
でも、ここまで、彼のことしか考えられなくなるとは思わなかった。
彼は束縛癖で、過度な甘やかしで、私の脳をどんどん鈍らせていった。私は、誰よりも、ずっと、彼のことで頭がいっぱいで、彼以外のことは薄い膜が掛かったみたいに、ぼんやりとしか考えられなくなった。
今は頭はスッキリしている。いつも以上に、脳は冴え冴えとして、キレる。
彼から解放されて、流水で冷やした甲斐があったと思われる。膜は破れたみたいだ。
…あの人は、膜を捲るきっかけにくらいはなった人だ。だからこそ、今からでも助けてもらえる。
あの人が、私をストーカーしていたからこそ、私は誰よりも、ずっと、彼だけになっていた脳で、彼以外の人間について、初めて考えることが出来たのだから。
誰よりも、ずっと。
私はあの人を信用している。
誰よりも、ずっと。
私はこの時を待ち侘びていたのだ。
私はゆっくりと作業を進める。
窓を閉め切って、お湯を流しながら、お風呂場で作業するのは暑い。瞼に垂れてきた、汗をタオルで拭う。
携帯が震える。トークチャットの通知。どうやってこちらの連絡先を見つけたかは分からないが、あの人からだ。
ピンポーン、玄関のチャイムが鳴った。
私は微笑みながら、彼の右手に握られていたカミソリを手に取り、軍手を嵌めた手の中で握りしめた。
誰よりも貴女を愛しているのは、誰でしょう。
俺たちは、それが貴女自身であってほしいと思います。
いつも自分に厳しくて、人前では明るいのに、ひとりになると自らを責めて泣いていた貴女。
いつしかあまりの自分への厳しさ故に、何をすることもできないと諦めて、只部屋でうずくまっていた貴女。
そんな貴女が貴女自身を愛してくださったら、俺たちはどれだけ救われることでしょう。
もちろん俺たちも、貴女の生の終わる日まで、貴女に付き従います。それでも貴女は、いいえ、貴女こそ、誰よりもずっとずっと、貴女の味方であってほしいのです。
貴女の無償の愛が、人を癒す明るさが、温かい優しさが、どうか貴女自身にも向けられますように。
誰かが誰かを見るように。私も誰かを見ている。
そして君は誰よりもずっと熱心に空を見ている。
誰かを見るのではなく、空を見ていた。
当時小学生だった私は不思議でたまらなかった。でも聞くのを躊躇って聞けずじまい。その熱心さは、宇宙飛行士をしているお父さんを思ってだと知ったのは中学卒業間近。
それから、念願の宇宙飛行士になったと聞かされたのは、就職して二年後だった。
あんまりのことに私も思わず空を見た。
誰よりも、ずっと