『誰かのためになるならば』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
〚誰かのためになるならば〛
誰かの想い出に残りたい。
誰かを幸せにしてあげたい。
そんな願いが続く日々。
どれだけ、どれだけ頑張っていても叶わず終わる。
誰かのために働く時間。
それで誰かを幸せに出来るならば、想い出に残れる
ならば、自分はきっと動きます。
だけど簡単に、幸せになんて出来ない。
沢山の時間を使ったって自分も幸せにならない。
でも、誰かと何かしら想い出が出来たら自分はもう
それだけで幸せです。
誰かのためになるならば
誰かのためになるならばたとえ死んでもいいわなんて偽善は言えないし、言うとしても一生愛した人にしか言わないわ。その人が裏切りはしない限り、
誰かのためになるのなら、私は人格を捨てててわも、あなたを愛したい
けたたましい蝉の声が響く夏のある日、僕は彼女に恋をした。
彼女は大垣製薬社長、大垣裕彦の一人娘で僕達とは別世界の人だ。それに加えて才色兼備とくるんだ。
もはやラノベのヒロインかなにかなんじゃないか。
その日はクラスメイト達と夏祭りに行く予定になっていた。
「今夜、近くの神社で祭りがあるんだが大垣さんも行かない?」
と僕はいつもの様に大垣さんに声を掛ける。
彼女は
「ごめんねぇ。今日はお父さんと用事があるの。」
互いの家で遊ぶ程の仲の僕からの誘いは断らない彼女に珍しく断られてしまった。
仕方が無いので家に帰り、無意識にテレビを点ける。
ニュースでは彼女の家から煙が昇る映像が映し出された。
僕は大急ぎで自転車に跨り、彼女の家に向かった。
野次馬を掻き分け、乾いた銃声が響く敷地内に入る。
煙が充満する中、彼女を探すがどこにも居ない。
彼女の部屋から男の声がする。
僅かに開いた扉からそっと覗くと、耐火スーツに身を包み、手には小銃が握られていた。
「なんなんだアイツら……」
「誰だ!」
1人の男が気づいたのかコチラに銃口を向け近づいてくる。
僕は隣の部屋に転がり込んだ。
床には血痕が伸びている。タラリと嫌な汗が頬を伝う。覚悟を決めて血痕を視線で追う。
どうやら血痕は本棚で途切れているようだ。
辺りを見回すと赤黒い血が付いた本がある様だ。徐ろにゆっくりと前に傾ける。すると本棚がゆっくりスライドし、この部屋には似つかわしく無い白く無機質な扉が現れた。
その扉の向こうは僕を飲み込むかの様な暗闇が続いている。
創作物の中でしか見たことも無いソレに、僕は高鳴る心臓を抑える。
後ろから鈍く部屋を蹴破る音が響く。
僕は戸惑いと覚悟の混じった拳を握りしめ扉の中に走り出した。
彼等に追いつかれない様に……
無我夢中で走ると開けた場所に出た。
薄暗い中、緑色の液体が不気味に光る部屋に出た。
「なんだコレ……」
そこには彼女と瓜二つの灰色のスライムの様なモノが培養槽の中で眠っていた。
「見られちゃったね。実は私、人間じゃないの。」
後ろから静かに寂しそうな声が響く。
中央の機械では白衣が赤黒く染まった大垣裕彦の姿があった。「ようやく私の悲願が達成される。この誤った世界を滅ぼし新たなる世界に作り変えるのだ。アハハハハハハハハハハハノ ヽノ ヽノ ヽ/ \/ \/ \!」
狂気じみたその笑い声が室内に響き渡る。
突如、けたたましい破裂音が鳴り響く。
その瞬間、柔らかいスライムの様な物に呑まれる。
吸収しきれなかっただろう衝撃が彼女の体を吹き飛ばす。吹き飛ばされた肉体は這いずりながらも彼女に集まり再び体のパーツを形成していく。
「噂通りの化け物らしいな」
そう言って耐火スーツを纏った男達の中からリーダーであろう男が出てくる。
彼女は鋭く通った声で
「失せなさい!貴方々に渡す物など何もありませんわ。」
と言ったあと何かブツブツと呟き始める。
すると周りにあった培養槽の中身が不規則に動き出す。動き出したソレは培養槽を割り、這い出てくる。
這い出てきた不定形のソレは彼等の前に集まると1つの個体として体を形成しようとするが生成が不十分なのだろうか、形成しきれず崩れ落ちる。
3m程の塊になった所で彼等に襲い掛かる。
彼女は僕に向き直ると
「この技術が彼等の手に渡れば悪用されてしまう。それは阻止しなければいけない。
それに私はお父さんを止めたい。私はこの世界が好きだから、君が生きているこの世界を守りたい。
コアを失った私達は、塵になって消える。そうすれば彼等も目的を失い、お父さんも止められる。お願い、私のコアを破壊して。」
「何言ってるんだよ。そんな事僕には出来ないよ!君を殺す事なんて僕にはできない。」
彼女は透き通った真っ直ぐな瞳で僕を見つめる。
「誰かの為になるならば、私の事はいいの」
僕が聞いた彼女の最後の言葉だった。
仕事として、何らかの形で実質的な貢献している人が多いと思う。
生活の一部として、またはカタチあるモノでなかったとしても。
では家庭ではどうだろうか?
家族に家事として、お手伝いとして関わって生活していることが多いはず。
学生ではどうだろうか?
行動としてではなく、家族、友達に人として当たり前に関わっている。そして言葉を交わしていることが、それだけで誰かの救い、願い、慰め、支えにもなる。
何も出来てない、出来ることが出来ない、そういうときは生きて存在しているだけでいい。
そういうときは忘れてしまうが、それも誰かの支えになっている。
だから大丈夫、あなたらしく笑っていればいいよ。
『誰かの為になるならば』
双子の弟が死に、私は「それ」をつくりだした。
朽ちかけた死体を繋ぎあわせ、微量な電流を少しずつ心臓に流せば神経が動き出す。はじめは弱った魚が跳ねるようだったのが、少しずつ人間らしい動きを取り戻していった。私と瓜二つの顔で眠るそれを眺め、私は感慨深い気持ちに落ち着いていた。
これが成功すれば、死人に口なしなどとはもう言わせない。近頃めっきり増えた、凶悪な犯罪やおびただしい数奇な事件にも牽制をかけることができるかもしれない。
狂人といわれたって構わない。誰かのためになるならば、研究者冥利に尽きるというものだ。
そのためになら私は、実の弟の死体だって利用できる。
やがて瞼をあけたそれは、特別驚きもしていないようだった。腐敗がはじまっているが、私のしたことをすべて見透かしているかのような瞳まで、生前のままだ。
「どうして、僕を死なせてくれなかった?」
流暢に喋りだしたそれに、私は内心おののいた。
が、感情なくつとめてこたえる。
「人類への貢献だ。私の実験が誰かのためになるならば─」
「違うね、兄さん。自分でわからない?なら僕がふたつほど説明してあげようか。」
途端に言葉を遮り、それは今にも崩れ落ちそうな身体を起こした。腐った体液が私の頬に飛び散る。
恐ろしい予感がした。
「ひとつは、僕を激しく憎んでいるから。幼い頃から、僕と兄さんにたいする周囲の扱いの差は歴然としていたものね。四六時中研究に明け暮れる兄さんより、婚約者がいて、普通に優等生の僕の方が優れてみえたみたい。父さんや母さんからの愛を独占した僕を、殺したいほど憎んでいたんだろう。だから墓を掘り起こしてまでして、僕の尊厳を踏みにじったんだ。」
「──もうひとつは、何だ。」
全身に冷たいマグマが流れている。爆発することもできず、私の身体を蝕みつづけた、愚かな劣情。
血に濡れたその唇が、赤い三日月に歪んだ。
「そんな禁忌を犯してしまうほど、僕を愛しているからさ。僕を見るその目をみればわかるよ。」
ずるりと顔が溶けてゆく。私と同じその顔が。
皮膚が流れ落ち、瞳が濁る。それはもう死体に戻ろうとしていた。
暗がりの研究室に、悪魔の声を永遠にこだまさせて。
「僕のためだとお言いよ。自分のためだと。」
ポットに満ちた珈琲の香り
「誰かのためになるならば」
そう言い聞かせて
わたしはわたしをいびつに型どっていないかな
一杯のあたたかさに心を満たして
ふっと窓辺を見上げた
#誰かのためになるならば
じぶんの番が来た
声が震える
いつか貰った優しさの
姿形を思い出す
手に取りやすいように
差し出すのは技術だ
負担にならないくらいだけ
気持ちをのせた指を
恐々 君の前に晒すよ
「あのぅ…夏休み1週間お休みしたいんですけど」
「お店に1人しかいない時間がありますけど、お腹痛くなったらどうすればいいんですか?(怒)」
「連勤は無理です」
「飛び休みはやめて下さい」
「夜遅くまでは勤務できません」
雇われ店長が言われる言葉たち。
無論、現場に理解のない会社は
人員の補充などしてくれない。
自分が犠牲になって
私の働きが誰かのためになるならば
スタッフのお望みをなるべく聞こう。
そう思って
朝早くから夜まで残って
休日返上して
なんて事をやっていたらメンタル壊して
働けなくなった。
誰かのためになるならばなんて言葉は
今の私にはいらない。
自分のために治さなきゃ。
#誰かのためになるならば -25-
お題『誰かのためになるならば』
主様のためになるなら、何でもしたいと思っている。誰かと争うことは好きじゃないけど、それが主様のためなら俺は戦おう。
俺が誰かのためにそう思うのは、もしかしたら初めてのことかもしれない。みんなの手伝いをするのは、自分のためにやっていることだ。承認欲求を満たすために感謝されるようなことをしてきた。
本当の俺はとても身勝手で感情的な、どうしようもない奴なんだ。
そのどうしようもない俺を救ってくださったのは前の主様と今の主様だと思っている。
「主様、ありがとうございます」
水分補給用のハーブ水をグラスに注ぎながら、つい唐突な感謝の言葉が口から溢れてしまった。
「なぁに、フェネス」
「いえ、何でも! 主様のお顔を見ていたら、つい言いたくなってしまって……」
驚いた顔をしていた主様は、ふふ、と笑っている。
「変なの、フェネス。私の方が言わなきゃいけないのに。お水、ありがとう」
ああ、この笑顔のためなら、俺は何だってしよう——そう決意を新たにした。
人に優しくしよう。
誰かのため、 自分のため、
そんな考えはなくたっていい。
優しくされる、 その度に
自分も少し、 優しくなれる。
そんな『優しさ』ってやつは、
自然と 誰かの支えになってるんだから。
#113 君も幸せになっていい
誰かのためになるならば
自分はどうでもいいなんて
かっこよさげで
かっこよくない
君にも幸せになる権利はある
耳触りのいい言葉でカッコつけて
幸せになる権利を捨てないで
「誰かのためになるならば」
誰かのためになるならば、わたしは…
何だってやってやる。
それくらいしないと…
わたしは…
#誰かのためになるならば
私は喜んで命を差し出すだろう。
誰かが、私の命を使って生き延びてくれるのなら、
それほど嬉しいことはない。
私はあなたの中で生きる。
存在意義を失った体は切り分けるかポイされて、
……あ、でも、
自分の心臓がだめなら、
あなたの中でも生きられないじゃないか。
〜誰かのためになるならば〜
「誰かのためになるならこの命くれてやる!」
いやいや、あんたは生きて愛する人のためになることしてくれ。
こういうのは誰にも想われない俺の役目だからよ。俺から最後の意地っ張りすら奪わないでくれ。
完
お題:誰かのためになるならば
誰かのためになるならば
「あっっつぅ〜い…宿題おわんなぁ〜い…」
「まだ始めて5分で何言ってんの」
わけのわからない数学の問題とにらめっこしてはや5分。ヤケになって机につっぷした私に、友人のカナは呆れたように言う。勉強の得意なカナにとってはたったの5分かもしれないが、勉強の不得意な私にとっては地獄のような5分だ…。
「そもそもさ、数学とかやる意味が見出せないよ…。だって、大人になって仕事するときに因数分解なんて使わないしさぁ」
「まぁ確かに、学校で習ったことをそのまま全部使う職業は多くはないだろうね」
「でしょ?!じゃあ今こんなに頑張る意味ないじゃん!」
食いかかるように私が言うと、カナは、んー、と顎に手を当てて少し考えた後に、こう言った。
「じゃあさ、たとえば、1+1がわからない人が総理大臣になったら、ミナはどう思う?」
唐突な例え話に面食らった。カナは時々こうやって、少し回りくどいけれどわかりやすい話から始めることがある。
「えー…それはちょっと、やめてほしいかな、って思うかなぁ」
「なんで?」
にっこりと笑って、再び私に問いかけるカナ。
「え、なんでって…そりゃ、そんな簡単なこともわかんない人に、日本を任せたくないなぁと思うから…?」
「そうだよね。じゃあ、もし弁護士の人に相談するとき、その人が織田信長を知らなかったら、信用できる?」
「うーん…ちょっと不安になるかな、ちゃんとした弁護士さんじゃないのかも、ってなる…」
「だよね、それと一緒なんだよ。別に学校で習うことが全て正しいわけでも、全て必要なわけでもない。でも、学校で習うようなことは、いろいろな学問を学ぶ基礎になることが多くて、それがちゃんとわからない人は、必ずしも信用してもらえないってこと」
「はぇ〜…」
なるほど、納得した。何にも考えてない私と違って、カナはちゃんと自分の意見を持ってるんだなぁ…。
「もっと例え話をするなら、例えばカナが花屋さんになったら、お花にまつわるいろんな話、それこそ古典とか、知ってたらいろいろなお客さんを喜ばせられるよね。だから、今学んでることは、未来の自分のためであり、いつかどこかで出会う誰かのためのことなんだよ」
だからね、と微笑みながら、カナは私のノートの既に解き終わっている問題を指差した。
「こことこことここ、間違えてるから、もっかい解き直そうか。未来の誰かのために、ね?」
「うぇ〜…はぁい…」
誰かのためになるならば
自分は死んだっていいんです
そんなことを本気で言う
キラキラと目を輝かせる若者に
そんなのは誰のためにもならねぇよと
俺は本気で言ってやった
【誰かのためになるならば】
誰かのためにあなたは生涯を終えることを、その決意をできますか?
そう考えると、彼女はすごいですよね。
すごいなんてレベルじゃないじゃないでしょ?
なのになんであの人のこともう忘れてるの?
あれから、一年経ったけどさ
まだ一年しか経ってないんだよ。
彼女は彼を庇って亡くなったんだよね、
でも、その庇った彼のどこかが悪かったわけじゃないじゃん
何があったか覚えてない?
ありえない。
怖いわ
誰かのためになるならば
このお水差し上げましょう
誰かのためになるならば
1切れのパンを差し上げましょう
誰かのためになるならば
このお金を差し上げましょう
誰かのためになるならば
金属片も差し上げましょう
誰かのためになるならば
喜んでこの命差し出しましょう
こうして誰かのためになるならばと
投げ捨てられた命があったことを
僕達は忘れてはならない
遠い昔
僕らはまだ生まれてすらない
戦争時代
『誰かのためになるならば』
誰かのためになるならば、僕は自分の意見なんて必要ないと思っていた。
僕はレオンハルト·モルガダンテ。モルガダンテ伯爵家の三男だ。家は長兄が継ぎ、次兄はその補佐となる。妾腹である僕などこの家に必要ないのだ。だから漠然と僕は大きくなったら市井に下るのだと思っていた。
ある日、父が書斎に僕を呼び出した。いつもは僕なんて呼ばないくせに。重い足取りで僕は書斎に向かった。
「喜べレオンハルト、お前の特殊能力が買われ、王家に献上することになった!」
僕は父の言っている意味がわからなかった。固まったまま動かない僕になど目もくれずに父は続けた。
「妾腹の三男など使い物にならぬと思っておったが、お前の特殊能力は使い勝手がよい。王家に行き、その力、大いに役立ててこい。出発は明朝、今夜のうちに荷物をまとめておけ」
僕の特殊能力は変化だ。自分が望む姿に変身できる。王家に献上されるということは、大方、王様か王太子の替え玉になるためだろう。
「お兄様!」
部屋に戻り荷造りをしていた僕のところに、トテトテと可愛らしい音を立ててやってきたのは妹のアマリリスだ。
「アマリリス、こんな遅い時間にどうしたんだい?もう寝る時間はとっくに過ぎているはずだろう?」
「お兄様が王家に行くと聞いて眠れなかったのです。明日の朝なんて急すぎです…リリ、お兄様と離れるのイヤなのです」
うるうると瞳を潤ませて俯くアマリリスは今にも泣き出しそうだった。
領地経営の手伝いで忙しい兄達や仕事で王都に行く父について行く彼女の母親に代わり、僕が幼いアマリリスの遊び相手をしていた。だからだろうか、アマリリスは僕にとても懐いていた。
「大丈夫だよ、アマリリス。僕はこの家ではずっと役立たずだったけれど、これでやっと父上やこの家の役にたてるんだ。誰かのためになれるならば、誰かの役にたてるなら、それは喜ばしいことさ」
「お兄様!」
アマリリスは僕に抱きつき、僕の服を瞳から溢れる大きな雫で濡らした。
「誰かのためになるのならば‥それならリリの遊び相手で十分じゃないですか!リリ、いつもお兄様に遊んで貰えて嬉しかったのです。リリが嬉しければ、もうリリの役にたっているじゃないですか!」
「アマリリス‥」
「お兄様‥リリは寂しいです。行ってはイヤなのです!」
「ごめん‥ごめんよアマリリス‥でもこれは王様と父上が決めたこと、僕にはどうしようも出来ないんだ。だからせめて、兄は誰かの役に立ちに行ったんだと覚えておいておくれ」
泣きじゃくる妹を部屋まで運び、僕は荷造りの続きをした。
翌朝、泣きすぎて両目を真っ赤にしたアマリリスとアマリリスの付き人に見送られ僕は家を出た。
たとえ、王や王子の影武者として死ぬ運命だとしても、誰かのためになるならば、僕はその運命を喜んで受け入れよう。
だけど、1つだけ僕のわがままが通るなら、僕のかわいい妹から離れたくはない。誰かのためになるならば、自分の意見など必要ないと思っていたのに、幼い妹の涙で僕の思想など簡単に覆ってしまうのだな、とそう思った。
-fin-