『言葉にできない』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
『言葉にできない』
言葉にできないほどの感情は
心臓の波形と一体化し、息苦しささえ感じる
喜びも悲しみも含めて、処置が必要な一過性の精神疾患
本心と違う言葉がからまわり想いは指をすり抜けるだけ
題目「言葉にできない」
本当に強い気持ちは言葉にできない。
表す言葉はある。
表現は不可能ではない。
けれども、心が拒んでしまう。
溢れるほど
苦しいほど
抱えきれないほど
慟哭するほど
溺れるほど
それほどの激しい感情。それほどの確かで、無限の感情。
その無限に限りをつけることを、心が拒む。
「あなたの愛はそれほどのもの?」
「あなたの憎しみはそれほどのもの?」
「あなたの幸せはそれほどのもの?」
「あなたの悲しみはそれほどのもの?」
「あなたの絶望はそれほどのもの?」
「あなたの・・・はそれほどのもの?」
そう、問われてる気がして。
お題「言葉にできない」
言葉にできない
少年期にいわれのない差別があることを知った。
周囲の人々は心の中ではこんな風に自分たちを見ていたのか。
怒りや悲しみが入り混じった感情が芽生え、他人を見る目は変わった。
高校で知り合った友人は私の過去は知らない。
ある時私の幼馴染から私のことを詳しく聞かされたらしい。
よくあることだ。
何か言いたそうな顔をした友人に、
「そういうことだよ」
と一言だけ言った。
彼は頭を掻きながら、
「どうでもいいわ。それより腹減った。飯食いにいこうぜ」
と肩を叩いた。
喜びや安堵、いろんな言葉か浮かんだが違う気もする
言葉にできない感情を抱きながら私は、
「おう」
とだけ答えた。
「例の保険会社のCMソングしか思い浮かばねぇんだわ。ラ〜ラ〜ラァーって」
去年何書いたっけ。「『それ』を示す、『それ』に該当する単語・言葉を『知らない』ので、言葉にできない」だったか?
某所在住物書きはスマホから、その「ラ〜ラ〜ラァーではない方」の楽曲を再生しながら、過去投稿分を参照していた――肝心の「言葉にできない」が音楽ライブラリ内に無かったのだ。
ダウンロードしてなかった。そのうっかりたるや、まさしく言葉にできぬモヤモヤ、悶々である。
「『該当語句を知らないから』言葉にできない、
『口外禁止令が出てるから』言葉にできない、
『人間の言語を持たない狐だから』言葉にできない」
考え得る言葉化不可の理由を、物書きは列挙した。
「……他には?『口がテープで塞がれてる』とか?」
――――――
最近最近の都内某所、某職場の本店、朝。
男性のような女声、あるいは女性のような男声の持ち主の、名前を加元というが、
珍しく不機嫌な風をして、デスクに座り、ノートとタブレットの電源を入れてコーヒーを飲んでいる。
「珍しいな」
3月から加元の上司をしている宇曽野は半分興味津々で、半分社交辞令。不機嫌の理由を知っているのだ。
「何かあったのか」
加元はただ、別になんでも、と一言だけ。
宇曽野のモーニングトークに応じる気になれず、ただ、今日の業務の準備をしている。
加元がここに転職してきてから、はや1ヶ月。
明確な目的を持ち、確固たる意志のもと、前職よりずっと少ない給料に甘んじて仕事をしているのに、
肝心の目的に関して、進展が無い。
(本っッ当、あたまおかしい)
加元の攻撃的な胸中が音声として言葉になることは、勿論なかった。
恋に恋して、恋人をアクセサリーかスタンドミラーと見なす加元。
3月からここに転職してきたのは、自分のところから勝手に逃げて、勝手に縁を切ったミラーピアスを探し出すため。
すなわち元恋人を追いかけてきたのだ。
加元から逃げた元恋人は名前を附子山といった。
先日その附子山が住んでいる筈のアパートと、部屋番号を知ったのだが、
エントランスにオートロックシステムを有するハイセキュリティなアパートに入るために要したコストに対して、得た成果はほぼゼロ。
落胆であった。 激怒であった。
「ハラワタの煮えくり返る」とはこのことである。
附子山が例のアパートに入るのを見たのが12月。
オートロックに阻まれ約3ヶ月。
転職先であるこの職場に「附子山って名前かどうかは知らないけど、そいつと同じ階に住んでるよ」という助け舟を見つけたのが先週末。
自分の好みと完全にかけ離れた助け舟、その部屋に遊びに行く名目でゲストキーを受け取り、
さぁ今日こそ勝手に縁切った相手との再会をと、
附子山が住むという部屋のインターホンを、
『こ〜んば〜んわっ!』
押そうとしたところ、突然大声で、見知らぬ男に挨拶を投げられた。
『その部屋に、何か用ですか〜?』
『いえ、何でもないですッ』
驚いた加元は上擦った声で逃走、もとい逃歩。
加元が出会った男は加元と同じ職場、違う支店に勤務しており、名前を付烏月、ツウキといった。
『いや、明らかにあなた、ドアの前に立ってたよね?ご用事?訪問販売?何か恋愛のドス黒い云々?』
『何でもないですって』
『伝言なら預かるよ〜?』
『いりません!』
ああ、あと一歩、あと少しだったのに! 当時の加元の感情の嵐たるや、言葉にできぬ荒れ様であった。
ところで、後出し情報の完全な蛇足であるが、
今回投稿分でちっとも姿を見せない「附子山」という人物、実は加元と縁切ってすぐ改姓しており、
現在の名前を「藤森」という。
この旧姓附子山、現藤森が加元から逃げた理由については、今回投稿分で語るには長過ぎる諸事情が横たわっており、それこそ文量過多になるため「文章(ことば)にできない」ところであるが、
その一端については、前回と前々回投稿分で少しだけ、ご紹介している次第。
なおスワイプが面倒なので参照はオススメしない。
「……はぁ」
ため息ひとつ吐いて、加元は先日の付烏月との遭遇を頭から振り払い、今日の仕事に集中する。
「職場で附子山さんと会えれば、わざわざアパートに行く必要も無いのに」
本当に、どこに居るんだろう。
再度息を吐く加元が「附子山」の真実を知るのは、まだまだ先のハナシである。
辛い時代があった。
辛かったから、がむしゃらに頑張った。
誰かに寄り添いたくて、がむしゃらに頑張った。
さよならをした人の面影に背を向けて、新たな幸せを求めて前に進もうとしていた。
そして、あなたに出会った。
あなたに会えて、本当に良かった。
嬉しくて、嬉しくて、言葉にできない。
会えたのは奇跡なんかじゃなくて、きっとがむしゃらに頑張ったことと偶然のコラボ。
きっと奇跡は、そこから今までの何十年という年月をあなたと過ごせたこと。
そして、新しい命が生まれたこと。
君達に会えて、本当に良かった。
嬉しくて、嬉しくて、言葉にできない。
この先、言葉にできないほどの喜びに、何度出会うことができるだろう。
濃密な時代は過ぎた。
それでも、思い出せば笑顔がこぼれるような出来事をたくさん持ち合わせてる。
そしてきっとこれからも、心打ち震えるような幸せな瞬間に立ち会えるかもしれない。
この世界に生まれて、本当に良かった。
嬉しくて、嬉しくて、言葉にできない。
…いや、あえて言葉にするなら、ただ一言。
「ありがとう」
言葉にできない
静寂の奥へ思い渦巻き
色彩消えて響き失くす。
言葉にできぬ痛み、闇に沈む
心の声、奏でながら。
言葉にできない
ごめんなさい
すみません
クセのように無意識に出る言葉
ありがとう
たった一言
言葉にできない
臆病者
そんな私にも笑える場所がある
ありがとうを思える人がいる
お題 言葉にできない
ドアを開けて部屋に入ってくる君。
朝起きたばかりだから寝癖がついている。
4月から新生活を歩む君は眠たそうに目を擦っている。
まだこの時間に起きるのがなれていないのが目に見えてわかる。
君は朝ごはんを食べる。
最近の子は朝ごはんを食べない子もいるらしい。
食べたほうがいいと思うけど。
それから君は歯を磨きに行く。
ついでに顔も洗いに行く。
この部屋に戻ってくる頃には目がぱっちりしている君が現れる。
そして僕を手に取ってその黒髪に僕を押し当てる。
何年経っても僕は君の髪をとかし続けるよ。
君が僕をそばに置いてくれる限り。
あの時去来した何か。頭が空っぽになって、胸に空いた穴に黒が沈みこんでくる感覚。頭が働かないことは理解出来てもそれ以上考える事が出来なくて。
何があった、何を言われた、何も考えたくない。
言葉にできない
『言葉にできない』
言葉を知らないけれど世の中には便利な言葉がある。ヤバい、エモい、パない。
「桜満開でエモい」
「桜パないねぇ」
コンビニのゴミ袋を尻に敷いて片手にチューハイ缶で花見と洒落込んでいる。
「桜ヤバいけど飽きるね」
「それな〜」
花見の何が楽しいのかと周りを見るとみんなそんなに花を見ているわけではなさそうだ。外でみんなでなにか食べたりなにか飲んだりすることが楽しいのかもしれない。
「ということは野郎ふたりで外でサシ飲みは」
「楽しくない?」
「……いや楽しい」
だよね!と高く掲げた缶をかち合わせて二度目の乾杯。中身を干してからもう一缶開ける。思い返せば夜の公園で酒を片手にだべったり、夜の川沿いで酒を片手にだべったり、お互いの部屋でサシ飲みをしてはだべったりといつもと同じようなことを今もしている。
「俺らの友情ってなんなんだろうね」
「なに、急にエモいね」
恋愛、ではない。親友もこそばゆい。仲のいい友達には違いないけれどもう少し違うニュアンスな気もする。
「言葉にできないな」
それは言葉を知らないせいなのか、言葉にしたくないからか。
「……パない友達」
「それはなんかイヤ」
ゲラゲラと笑いあってまた缶を傾ける。
仕事が終わり帰宅…
玄関脇に新鮮な野菜が届いている。
あ〜、父さんが来たんだ。
3日に一度の新鮮野菜は私達の日常である
けれど…その日が最後になろうとは…
ふいの病に倒れ父は他界した。
その後、初めて父の畑に行った…
つくり手なき後も野菜はすくすく育つ。
泣きながら「ありがとう」を繰り返した。
もっともっと、「ありがとう」と言えば良かった……言葉に出来ないけれど一生感謝の気持ちを忘れず生きて行こう…
ありがとうね…お父さん。
私は、自分の気持ちやおもいを自覚するのが苦手だ。言葉に変換するなんてもってのほかだと思う
私のこれまでの十数年の人生において、両親(特に母親)が将来生活に困らない様に将来必ず役立つ、家族のためにもと言い私に家事や幼い妹の世話をまかせた。
私は、何も疑問に思わず全て受け入れた。
小学生の頃は放課後は友達と遊びたかった。
何度も何度も遊びにさそってくる友達や、近所の子供のはしゃぎ声などを聞くと無性に腹立たしいようなイライラとした気分になった。
私の家ではインターネット環境が整っていなかったし、ゲーム機は持っていたがいつの間にか型落ちしてしまった3DSだけだった。(高校生まで大切に使っていた)テレビのチャンネル数も他の家庭よりもすくなく録画も出来ない仕様のもの1台だった為、高学年や中学生になってからはクラスや友達の話題に反応できなくなることが増え、私の中を黒いモヤのようなものが渦巻くなんとも表現し難い心中に陥った。
この頃からか
自分に大丈夫、私は大丈夫、すぐ忘れる、私は何も思わない、感じていない。と
一種の暗示をかける様に自分に言い聞かせたのは
いつの間にか本当に何も感じなくなり、
つかの間だけでも楽になった気がした。
私は自分のこころに蓋をし傷つかないようにしてしまった。深く考えることをやめ、両親の担任の上司の言われるがまま生きている。
ことばにできない
言葉にできない
もっと他に言う事があるかもしれないのに
言葉がでて来ない 込み上げてくる涙に
邪魔されて嗚咽が喉からせり上がって
言葉を飲み込む事しか出来ない
嗚呼嬉しいのに言葉に出来ない
君の姿がだんだんと自分に近づいてくる
「あ....あっ...」1音しかでて来ない
そうして自分の姿を確認した君が
「ただいま!!」にっこりとした笑顔で
君が私に向かって両手を広げる
私は言葉に出来ない思いを振り切って
掛け出す。
そうして君の胸の中に思いっ切り
飛び込んだ。
「おかえり!!」
【言葉にできない】
換気のために開けられた窓の隙間から、暖かなそよ風が吹き込む。それは、窓際の席に座る彼女の繊細な髪をなびかせ、ヘアオイルだろうか、優しく甘い香りを私の鼻腔に行き届かせた。
「今日はお散歩日和だね」
隣に座る私に向かって彼女が微笑む。
その静かに囁くような声は、教室に充満した種々様々な談笑の中でも、私の耳にはより際立って聞こえる。
なんの変哲もない日常的な会話だというのに、細められた目や頬に浮かんだえくぼ、彼女の静かで遠慮がちな笑い声が心をくすぐった。
密かに芽生えた、決して表に出してはいけないはずの感情が、彼女と接するたびに膨らみ、自らを主張する。
『私、あなたのことが好き』
何度、そう言えたら、と夢見たか。彼女と交際をする夢想を繰り広げたか。それが叶った人生が、どれほど鮮やかに晴れ渡った世界だったか。
それでも、現実として進んでいるこの世界において、彼女への気持ちを言葉にすることはできないだろう。
スカートの裾をきゅっと摘みながら、コップ一杯に満ちた気持ちに蓋をする。
私は、拒絶に染まるあなたの顔など、望んでいないのだ。
“言葉にできない”
『ねぇ』
そう呼びかけて。
声が喉奥で魚の小骨みたいに引っかかって。
『なんでもないよ』
そう言って笑った。
言えない。
言えるわけ、ないじゃないか。
“君が好き”だとか“隣にいたい”だなんてそんな。
今日も、
言葉にできなかった。
言葉にできなくて良かった。
安堵と不安と、ほんの少しの後悔を抱えて。
言葉にできない
今回のお題はなんとも難しいな。言葉にできないって言われても、って感じでだ。大抵は言葉にできるだろ。
多少表現がオーバーになるけどどんなことでも言葉にはできるんじゃないか。なんか曖昧すぎてむかつくお題だな。というか考えてたら腹たってきたから別のこと書くか。
しかしお題が使えないと書くことないな。毎日食って寝ての繰り返しだ。たまに気分がのったら小説書くけど。
まぁ書くとしたら小説のことか。どうにも最近は、というより基本的に一日に書ける量が少ないんだよな。パソコン使ってるけど筆が遅いってやつだ。筆が速い人が心底うらやましい。
それはともかく基本的に筆が遅いわけだけど特に今は全然進まない。理由はわかっていて今書いてる場所が俺には難しいシーンなんだよな。
知的な会話をするシーンが書きたいんだけど俺は知的じゃないからそういうシーンが難しい。そんな感じ。
そのシーンは物語上まぁまぁ必要だし俺自身書きたいんだけど書くのが難しい。それで最近はずいぶんと筆が止まっている。
まぁ愚痴を書いてもしかたないか。似たようなシーンがある漫画なり動画を参考にして書くしかないな。がんばろう。
『言葉にできない』
言葉にできない色々な感情がずっと心の中でモヤモヤしてる。
誰かに言いたい。
だけど言う人がいない。
例え言う人がいたとしたってこの感情をどう言葉にしていいのかもわからない。
途方にくれる心の中。
いつからこうなったのだろうか。
自分でもわからない。
今日も言葉にできないまま。
一人勝手に苦しむ。
言いたいことをそのまんま伝えようとしたって全部間違いだ。心に宿る思いはどの言葉にも代え難い。
問1、本文を100字で要約しなさい。これも嘘だ。要約するときに省かれたものが本質だからだ。
じゃあどうすればいいかというと、嘘を書けばいい。嘘を書け。マイナス掛けるマイナスがプラスなら、嘘に嘘を掛ければ本当になる。嘘で塗り固めて回り道をしまくった先に答えがある。
と言うが、これも嘘かもしれない。
勝手にどこへでも行け。
これから顔を見なくて済むと清々する。
そんな言葉を浴びせられたら、私の上京する決心はすぐに固まるってもんだ。
兄は昔から変わった人だった。口数少なくて、反応も薄くて、おまけに影も薄い。そんな兄のことを私は心の何処かで疎ましく思っていた。それでも、早くに両親を亡くした私たちは簡単には離れることはできなかった。とりあえず兄は通っていた高校を中退し働き始めた。私はその頃まだ義務教育中だったから変わらずの学生生活を送っていた。だが今思えば、あんなふうに普通に通えていたのは兄のおかげだったのだ。私には見えないところで汗水たらして稼いだお金は私のために消えていたのだ。そんな、少し考えればわかることを卒業する頃になって初めて知った。心底馬鹿だと思った。
そしてぶじに高校まで卒業させてもらい、その後の進路をどうしようかと悩んでいた。兄に相談するのは気が進まなかったが、ここまでこられたのは紛れもなく彼のお陰だ。だから、言った。東京に行ってデザインの勉強をしたいんだけど迷っていることを。そんな、叶うか分からない夢を追いかけるのはやめて地元で普通に就職したほうがいいのは分かっていた。そのほうが現実的だし、先生をはじめ周りの人もそう言うから。でも兄には本当のことを言おうと思った。もしかしたら心のどこかで何か期待をしていたのかもしれない。
だが、言い放たれたのは私を突き放す辛辣な言葉。
そんなふうに言われるだなんて全く思ってもみなかった。衝撃すぎて言葉が出なかった。と同時に、この人に少しでも弱い所を見せようとした自分が馬鹿だったと思った。
それから1週間も経たないうちに荷物をまとめ、新幹線の切符をとり、地元を出た。友達にも誰にも言わなかった。兄には、直接言わず“東京へ行きます”とだけ書き置きして家を出た。顔を見たくないのはお互い様だ。あんな愛想の欠片もない人が唯一の肉親だなんて、私はなんて可哀想なんだろうと思った。
新幹線の中で、リュックの中の整理をしていた。勢いのまま掴んで持ってきた書類の束がぐちゃぐちゃに入っている。その中に見慣れない茶封筒があった。やや乱暴に開けると中には通帳と印鑑が入っていた。名義はなんと私だった。訝しげに通帳の中を見るとぎょっとした。なかなかのまとまった金額が印字されている。これは一体、どういうことだ。通帳には小さな紙切れも挟まっていた。
『お前の人生なんだから好きなようにやれ』
その言葉を見た瞬間に、両目から涙がぶわっと溢れ出した。通帳に大きな染みが沢山できてゆく。でも、止められなかった。言葉にできないいろんな感情が頭の中を駆け巡り、私はただ泣くことしかできなかった。
今までありがとうと、言えばよかった。でもそれを言ったところであの人は笑顔で送り出してくれるような人じゃないだろう。この別れ方で良かったのか今もよく分からない。けれどきっと兄は応援してくれている。ならばそれに応えられるように頑張ろう。車窓に映る高いビルたちを見つめながら、私は1人決心した。