たあさん

Open App

言葉にできない



少年期にいわれのない差別があることを知った。
周囲の人々は心の中ではこんな風に自分たちを見ていたのか。
怒りや悲しみが入り混じった感情が芽生え、他人を見る目は変わった。

高校で知り合った友人は私の過去は知らない。
ある時私の幼馴染から私のことを詳しく聞かされたらしい。
よくあることだ。
何か言いたそうな顔をした友人に、
「そういうことだよ」
と一言だけ言った。
彼は頭を掻きながら、
「どうでもいいわ。それより腹減った。飯食いにいこうぜ」
と肩を叩いた。

喜びや安堵、いろんな言葉か浮かんだが違う気もする
言葉にできない感情を抱きながら私は、
「おう」
とだけ答えた。

4/12/2024, 3:44:00 AM