『言葉にできない』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
言葉にできない/2023.04.12
言葉にならない直感が私を支配する
もちろん理由なんてない
得体の知れない不安が私の首に手をかける
分からない、分かりたくない
考えるなと言われた数だけ言葉にしょうとする恐怖
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きみのことが痛いくらい好きで
一言で表せられないほどきみが好きだった
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Theme:言葉にできない
「言葉にできない」
あなたに会えると思うと
胸が苦しくなるし、
鼓動が早くなる
言葉にできないくらい
幸せだと感じるよ
今日何してた?
誰といたの?
あなたと一緒にいた子は友達?
寂しいな
声が聞きたい
言葉にできない、言葉にならない想い達が
涙となって溢れ出る
「何があったの?」
そう尋ねると太郎は唇を噛み締めた。そして目を泳がせながら何か言おうと口を開きかけ、目を伏せてしまった。
「言わないとわからないよ」
さっと太郎の目に悲哀が広がる。
その時、私の脳裏に昔のことがよぎった。子供の頃、自分は口下手で言いたいことが言いたくても言葉にならなくず同じような経験をしたのだ。
「今は、言えないかもしれないけど大人になれば言えるようになるよ。」
への字になりそうな唇を引き締め、私は告げる。
「君たち子供はこれから沢山の経験をして、沢山のことを知る。そしたら言葉が湧いてくるようになる。今の経験も大切なものを守る力になるんだ。」
太郎は唇をへの字に曲げていかにも不服そうだ。
「いま困ってるんだよ」
しかしその目にはもう迷いも悲哀もなかった。
祖父が亡くなった、と連絡が来たのは夜中の3時をまわった頃だった。枕元に置かれたスマホから軽快な音楽が鳴り、画面の眩しさに目を顰めながら出た私の耳に飛び込んできた内容に、それまで停止していた脳が一気に動き出した。ベッドから降りながら電話の相手に『始発で帰る』と伝え通話を終了し、ほとんど使っていないスーツケースに目につくものを詰め込んだ。
あれから一睡もせずに最寄りのバス停から駅、そして駅から始発の電車に乗るまで私は何も考えられなかった。正確に言えば『考えて手が止まる』のを避けるため、ただ機械のように準備と行動をしていた。空いている席を見つけて腰を落ち着けた瞬間、どっと疲れに身が沈んだ気がした。動き出した電車の振動に、ふわふわと睡魔が寄ってきたが、これから乗り継ぎがあるため何とか意識を繋いでおくため、リュックからイヤホンを取り出し音楽プレーヤーを起動させた。レポート作成、散歩、読書、、、と自分で作ったプレイリストたちの中に見覚えのないリスト名を見つけた。いつか酔った勢いで作ったのか、はたまたリスト名を変えたきり忘れていたのか。再び襲ってきた眠気を頭を振って、【私の思い出】と書かれたリストを再生させた。
最初の曲は子どもの頃に好きだったアニメの歌だった。しゃもじやお玉をマイク代わりにして両親や祖父母の前でよく歌っていたのを思い出す。音を外しても、歌詞を間違えても誰もそれを指摘せず、可愛がってくれていた。
次の曲は中学か高校生か、とにかく友達との話題に入れるようにと聴いていたアイドルグループの曲たち。当時興味もないドラマや音楽番組に、話題のアイドルが出るとなると慣れない夜更かしをしたものだった。次の日には観たドラマや歌の感想を言い合い、友達との関係を壊さんと努力した。それでもアニメや漫画は好きだったので、家族には学校では話さない自分の好きなものをひたすら話した。
流れていた曲が終わり、次は最近の曲かなと思っていたところで音が消えた。というより、何も再生されない。さっきの曲で終わりだったのか、と思って再び音楽プレーヤーのリストを確認しようと画面を見た瞬間、曲が流れ始めた。それは私が大学に進学するために地元を離れる、と祖父に伝えに行った時に流れていた曲だった。題名は知らない、でも母に聞くとそれは祖父が唯一好きでよく1人で流していた、とのことだった曲。題名を知らない私が、この曲をリストに入れることはできるはずがない。そしてリスト内の曲を見返してみて私は気づいた。これは『私』の思い出の曲ではなく、祖父の『私の思い出』である。
それに気づいた時、私は言葉にできない想いに息が詰まった気がした。そして息苦しさに慌てて深く息を吸った。鼻先がツンとして、熱い息が漏れる。祖父の顔を見るまでに涙を少し流しておこう。彼の思い出は、笑顔の私のまま終わって欲しいから。
真っ暗な夜空に打ち上げられた
君が総てを注ぎ込んで作った花火
それはカメラのフレームを飛び出して
人々の水晶体に焼き付いた
其れを称賛している者の
総てが私は気に喰わない
私達が持つその大辞典に
与えられたフレームに
映し出された君の総ては
ちょっとそこには入らない
「−言葉にできない−」
『言葉にできない』
君を想うこの気持ちを友愛と呼ぶにはもう相応しい形を超えてて、恋と呼ぶには少し軽々しく、愛と呼ぶには仰々しい……そんな気持ちを何と呼ぶのだろうか?
君への気持ちを「好き」と表すには綿あめみたいに物足りなく、「愛してる」と表すには背脂ラーメンのように重い……そんな気持ちを何と表すのだろうか?
言葉にできない気持ちが、言葉にできないおもさで私の中に生まれて渦巻いて、私を形成していく。
言葉にできない気持ちを言葉にできずに奥底に隠して、幾星霜経てばいつか消えてくれればいいのに……。
もう届けることができない君への気持ちが、まだ私のなかで息づいて言葉になるのを待っている。
―言葉にできない―
言葉にできないこの思い
言葉になれないこの思い
声にならないこの思いたちが
どんどん喉に詰まり積もっていく
段々と息苦しくなって
笑っちゃうくらい弱い気持ちだけが
言葉になってスルッと喉を通り抜ける
自力では助からないのなら、と
あぁ、生き苦しいな
あぁ、救われたいな
─言葉にできない─
「言葉にできないほど愛してる。」
そう男は言った。
一人の男と、棺に眠る女が一人。
女は何も反応しない。
彼女はもう起きることはない。
「なぁ、そろそろ返事してくれよ...。」
返事が帰ってこないことをわかっていて尚、
「君はどれほど僕を愛してるんだい?」
今日も帰らぬ人となった彼女へ男は問う。
その問の答えは彼の元にはいつまでも届かないだろう。
言葉にできない想いならいくらでもあるけれど、それを伝えるる勇気はいつも足りない。
伝えられないまま10年たった。
彼は高校の生徒会長になり、立派に壇上で司会を務めている。
それに比べて私ときたら、体育館のすぐ隣に設置された生徒指導室で今日も説教を受けている。
「お前その髪、その髪何色だ?何色って言うんだその髪は」
「オックスブラッドです」
「せめて分かる色にしてくれよ。怒りづらい」
「好都合ですが」
「だろうけど。お前、なんでまた2年になって急に染め出したんだよ。1年までお前真面目だっただろ。成績も学年2位だったし」
「成績と髪色に関係が?」
「賢いやつはだいたい、破る価値のないルールは守るもんだよ。悪業見せびらかして注目される以外に、自分の存在の示し方を知ってるもんなんだよ。お前もそうだっただろ。陸上でも県でトップ取ってたし、友達も多いし、わざわざお前が髪を染めてくる理由ってなんだ?マジで説教とかじゃなく教えてくれ」
先生は掌を上に向けて、こちらに問うてくる。
毎回付き合わせているのも申し訳ないし、理由くらいは教えてあげようかな、という気分になった。
「久保先生、女子高生がオシャレをする理由なんて一つでしょう。好きな人にこちらを振り向いてほしい。それだけです」
「誰?」
「言うわけないじゃないですか」
「いいから答えろ。うちのクラス?」
「まぁ……」
久保先生は椅子をくるくると回して、逡巡しているようだった。
「じゃあ吉野、お前、来週の文化祭で告白しろ」
「ええ!?」
「髪色オックスブラッドのやつがこの程度で驚くな。要するにお前の恋愛が成就すれば、素行は落ち着くってことだよな」
「まあ、そうなりますが」
「ならさっさと決着つけろ。」
言葉に出来ない感情。
喜怒哀楽の2つが混じったもの。
今の感情は虚しい。
これはどれの感情なんだろう。
哀しいに入るのだろうか。
( 哀しい人。)
そう思ったあの人は今どうしてるだろう。
あの人を思うとただ虚しい。
#73 消化不良
言葉にできないコトバを
飲み込み続けたハートが
消化不良で悲鳴をあげている
んぐー!んんんーーーー!!!!!!
足の小指をぶつけた、、、
言葉にできない痛みが脳を突き抜ける
言葉にならない。
中学三年生の冬。そろそろ中学生にとっての一大イベントでもある受験が近付いている。
俺は深夜遅くまで入試の過去問を解きながら二月に行われる公立入試に備えていた。
そんな、俺でも彼女が居る。名前を神崎 浪華と言い。俺と違って高スペックのお嬢様だった。
彼女の家は、ある程度発言権が強い家柄であり、どうしても娘である浪華に重いプレッシャーを掛けられている。
正直、人の家柄のやり方に文句は言わない。本人としても、あまり触れてほしくない話題でもあり、俺は目を光らせつつも手を出さないようにしていた。
そしてある日。
いつものように、深夜遅くまで過去問を解いていると、突然スマホが鳴った。
スマホを見ると、そこには浪華と付き合うキッカケを作って貰ったり、浪華と共に一緒に遊んで貰った近所の兄ちゃん的存在の宮下 蓮から電話が掛かってきていた。
珍しいなと思いながら電話に出ると、何時もの明るい声じゃなくて折半詰まっている声で俺にひとつの事を聞いてきた。
「お前……浪華に何があったか聞いてるか?」
「何も聞いてないけど……」
「分かった。心して聞け」
浪華に何かあったのか? 何かに事件にでも巻き込まれてしまったのだろうか?
しかし、そんな淡い考えは兄ちゃんから告げられた事で完全に壊された。
「浪華が自殺した」
文字通り、声が出なかった。口を動かそうにも言葉が一切出てこない。
なんで? なんでなんで?
なんで浪華は自殺なんてしたの?
「今からバイクでそっちに向かう。病院に行くぞ」
「……はい」
俺は、返事だけを残して直ぐに電話を切り、クローゼットから普段から来ている黒のジャケットを羽織、父さんの声を無視して外に出る。
「ホレっ! これ被って行くぞ」
「ありがとう!」
外に出ると丁度良く着いた兄ちゃんからヘルメットを貰って兄ちゃんの後ろへと乗る。
普段ならバイクなんて怖い乗り物として恐怖の対象になっていたのに、この日は気が気じゃ無かったのか、特に恐怖心無く乗れていた。
数十分後、近くの総合病院に着いた。
ヘルメットをバイクの上に落ちないように置いて、走って病院の中へと入る。
「ちょっと! 病院の中は走らないでください!」
後ろから看護師の声が聞こえるが、そんなのどうでもいい。まずは浪華が第一だ。
「失礼します」
兄ちゃんが四回ノックし中に入ると、そこには涙一つも流してない浪華の両親と白い布が被っている人がいる。
信じたくない。
けど、頭では完全に理解している。
両親が何か言っている様に聞こえるけど、兄ちゃんが止めてくれてる。
ありがとう兄ちゃん。何が何まで。
俺はそっと顔辺りにある白い布を静かに取る。
白い布を取ると、そこには生を感じられない浪華の顔があった。
俺はしばらく浪華の姿を見て、直ぐに白い布を被せた。
「怜くんかな? 今すぐに出ていってもらえないかな?」
俺は固まる。両親と話すら出来ないの?
「はっ?」
「良いよ。兄ちゃん。分かりました。ここで失礼します」
そう言って俺は病室の外へと出た。
俺はバイクの所まで一歩一歩噛み締めるようにゆっくり歩いていく。
「ハハッ。浪華の両親にあー言われちゃ出るしか無いだろうよ。ちくしょうが……」
少しずつ視界が滲んで行く。
「なんでなの……何が君をそこまで追い込んだの? ねぇ……教えてよ。約束したじゃん。辛い事があったら相談するって。なんで相談してくれなかったの。ねぇ……教えてよ浪華」
兄ちゃんのバイクに両手を置いて地面を見ながらそう言葉を零していった。
空は星たちが過去の姿を地球に映している中、俺は一人で泣いた。中三にも関わらず泣いた。
「怜……」
俺の事を呼ぶ声がした。顔を上げると目に涙跡が残っている兄ちゃんの姿があった。
「兄ちゃん」
「これを……浪華の遺言だ」
俺は浪華の遺言を兄ちゃんから貰う。
兄ちゃんは俺を気遣ってバイクの所で待ってて貰ってる。
近くのベンチに座り、遺言を開いて読んでいく。
『怜へ。この手紙を読んだ時には私はもう生きていないでしょう。でもね。勘違いしないで? 怜が嫌いになっちゃってとかじゃないから! ただ、疲れたんだ。毎日毎日父さん母さんからのプレッシャーとかさ、上から圧されて疲れたんだ。多分、君は「相談してくれよ!」とか思ってくれてるかもしれない。自意識過剰かな? でも良いや。最期のわがままくらい聞いて欲しいな。でも、本当はもっと怜と居たかった。ずっと一緒に居たかった! 私の初めてを怜にあげて、同棲して、結婚して、子供産んで、一緒に孫を見て、一緒に老後を過ごしたかった! でも、私の事情にも怜を巻き込ませたくなかったの。これだけは知ってて欲しいよ。長くなっちゃったけど……短い間だったけどありがとう。私の大好きな初恋の篠宮 怜。神崎 浪華より』
手紙の上に大粒の涙が落ちていく。
手紙に涙が染み込んでいくのも関わらずにひたすらに泣いた。
今日だけで何回泣いたんだろ。でも、泣き止められそうに無い。
この手紙に、浪華になんて言えば良いの……。
そして、俺は月の光に……浪華の様な明るさを感じながら枯れるまで……泣き続けた。
いつも何かに心を急かされる
なんでもない日常
いつもの日常
なのに心が
“早くはやく”
と急かす
ちょっとした事で不安になり
少しのことでイライラする
突然生きるのが難しくなる
全てを投げ出したい
何かに縋りつきたい
そんな衝動に苛まれる
私は今日もまた声にならない叫び声を上げる
『言葉にできない』より
「まだかなぁ、もうすぐかなぁ」
静寂に包まれた廊下で、ポツンと長椅子に座っている。けれど、そわそわと落ち着かず、立ったり座ったり、廊下をうろうろとしていた。
「かれこれ1時間は経つなぁ。けど、もっと長く待っている気がする」
分娩室に妻が入ってからそれくらいが経つが、俺には、1分1秒がとてつもなく長く感じられた。
まだかな、まだかな。とさらに待つこと数十分。分娩室から赤ちゃんの元気な泣き声が聞こえてきた。
「やった」
長椅子から立ち上がり、思わずガッツポーズをしたりとはしゃぐ俺を
「処置が終わりましたのでこちらへどうぞ」
看護師さんが分娩室から呼んでくれる。
「ありがとうございます」
促され中に入ると、横になっている妻と生まれたばかりの赤ちゃんがいた。
「お疲れさま。頑張ってくれてありがとう」
妻の頭を撫でながら労うと
「うん、元気に生まれて来てくれて良かった」
妻はホッとした表情を見せる。
「ねえ、赤ちゃん、どっちに似てるかな?」
そう聞かれ、すやすや眠る赤ちゃんをまじまじと見つめると、妻だけじゃなく、こんなに小さいのに頑張って生まれて来てくれたんだ。と、言葉にできない感動が生まれ涙が溢れる。
「どうしたの?大丈夫?」
俺が急に泣いたので、妻が慌てて俺の手を握ってくる。俺は涙を拭い
「これから俺、頑張ってくれた二人に負けないようにもっと頑張るよ。キミも、赤ちゃんも幸せにするね」
妻の手を握り返した。
合格発表の日
昨日から緊張して、一睡も出来なかった。
受かる自信も無い
落ちて当然だ
そう言い訳を考えながら、会場へ向かう。
もう沢山の人がいる
泣いている人、周りと喜び合っている人。
もしかしたら、そう思いながら自分の名前を探す。
心臓が口から出そうなほど高鳴っている。
あった!
僕は、言葉にできないほど嬉しかった。
少し経ってもう一度、確かめる。確かにある。夢じゃない。周りをきにせず叫んだ。
「やった!!」
今までで今日程綺麗な空を見たことは無かった。
言葉にできない
言葉にできなかったことなんて数えきれないほどある
ありがとう
嬉しい
楽しい
大好きだよ
離れたくない
どうして?
本当なの?
信じていいよね?
あの子はただの友達だよね?
まだまだ沢山あるけど
ひとつでもきちんと伝えていたら未来は変わっていたのかな?
ふわりと触れた
なんのけなしの小指
このくすぐったさを忘れまいと
ときめく胸を抑え込む