『言葉にできない』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
真っ暗な夜空に打ち上げられた
君が総てを注ぎ込んで作った花火
それはカメラのフレームを飛び出して
人々の水晶体に焼き付いた
其れを称賛している者の
総てが私は気に喰わない
私達が持つその大辞典に
与えられたフレームに
映し出された君の総ては
ちょっとそこには入らない
「−言葉にできない−」
『言葉にできない』
君を想うこの気持ちを友愛と呼ぶにはもう相応しい形を超えてて、恋と呼ぶには少し軽々しく、愛と呼ぶには仰々しい……そんな気持ちを何と呼ぶのだろうか?
君への気持ちを「好き」と表すには綿あめみたいに物足りなく、「愛してる」と表すには背脂ラーメンのように重い……そんな気持ちを何と表すのだろうか?
言葉にできない気持ちが、言葉にできないおもさで私の中に生まれて渦巻いて、私を形成していく。
言葉にできない気持ちを言葉にできずに奥底に隠して、幾星霜経てばいつか消えてくれればいいのに……。
もう届けることができない君への気持ちが、まだ私のなかで息づいて言葉になるのを待っている。
―言葉にできない―
言葉にできないこの思い
言葉になれないこの思い
声にならないこの思いたちが
どんどん喉に詰まり積もっていく
段々と息苦しくなって
笑っちゃうくらい弱い気持ちだけが
言葉になってスルッと喉を通り抜ける
自力では助からないのなら、と
あぁ、生き苦しいな
あぁ、救われたいな
─言葉にできない─
「言葉にできないほど愛してる。」
そう男は言った。
一人の男と、棺に眠る女が一人。
女は何も反応しない。
彼女はもう起きることはない。
「なぁ、そろそろ返事してくれよ...。」
返事が帰ってこないことをわかっていて尚、
「君はどれほど僕を愛してるんだい?」
今日も帰らぬ人となった彼女へ男は問う。
その問の答えは彼の元にはいつまでも届かないだろう。
言葉にできない想いならいくらでもあるけれど、それを伝えるる勇気はいつも足りない。
伝えられないまま10年たった。
彼は高校の生徒会長になり、立派に壇上で司会を務めている。
それに比べて私ときたら、体育館のすぐ隣に設置された生徒指導室で今日も説教を受けている。
「お前その髪、その髪何色だ?何色って言うんだその髪は」
「オックスブラッドです」
「せめて分かる色にしてくれよ。怒りづらい」
「好都合ですが」
「だろうけど。お前、なんでまた2年になって急に染め出したんだよ。1年までお前真面目だっただろ。成績も学年2位だったし」
「成績と髪色に関係が?」
「賢いやつはだいたい、破る価値のないルールは守るもんだよ。悪業見せびらかして注目される以外に、自分の存在の示し方を知ってるもんなんだよ。お前もそうだっただろ。陸上でも県でトップ取ってたし、友達も多いし、わざわざお前が髪を染めてくる理由ってなんだ?マジで説教とかじゃなく教えてくれ」
先生は掌を上に向けて、こちらに問うてくる。
毎回付き合わせているのも申し訳ないし、理由くらいは教えてあげようかな、という気分になった。
「久保先生、女子高生がオシャレをする理由なんて一つでしょう。好きな人にこちらを振り向いてほしい。それだけです」
「誰?」
「言うわけないじゃないですか」
「いいから答えろ。うちのクラス?」
「まぁ……」
久保先生は椅子をくるくると回して、逡巡しているようだった。
「じゃあ吉野、お前、来週の文化祭で告白しろ」
「ええ!?」
「髪色オックスブラッドのやつがこの程度で驚くな。要するにお前の恋愛が成就すれば、素行は落ち着くってことだよな」
「まあ、そうなりますが」
「ならさっさと決着つけろ。」
言葉に出来ない感情。
喜怒哀楽の2つが混じったもの。
今の感情は虚しい。
これはどれの感情なんだろう。
哀しいに入るのだろうか。
( 哀しい人。)
そう思ったあの人は今どうしてるだろう。
あの人を思うとただ虚しい。
#73 消化不良
言葉にできないコトバを
飲み込み続けたハートが
消化不良で悲鳴をあげている
んぐー!んんんーーーー!!!!!!
足の小指をぶつけた、、、
言葉にできない痛みが脳を突き抜ける
言葉にならない。
中学三年生の冬。そろそろ中学生にとっての一大イベントでもある受験が近付いている。
俺は深夜遅くまで入試の過去問を解きながら二月に行われる公立入試に備えていた。
そんな、俺でも彼女が居る。名前を神崎 浪華と言い。俺と違って高スペックのお嬢様だった。
彼女の家は、ある程度発言権が強い家柄であり、どうしても娘である浪華に重いプレッシャーを掛けられている。
正直、人の家柄のやり方に文句は言わない。本人としても、あまり触れてほしくない話題でもあり、俺は目を光らせつつも手を出さないようにしていた。
そしてある日。
いつものように、深夜遅くまで過去問を解いていると、突然スマホが鳴った。
スマホを見ると、そこには浪華と付き合うキッカケを作って貰ったり、浪華と共に一緒に遊んで貰った近所の兄ちゃん的存在の宮下 蓮から電話が掛かってきていた。
珍しいなと思いながら電話に出ると、何時もの明るい声じゃなくて折半詰まっている声で俺にひとつの事を聞いてきた。
「お前……浪華に何があったか聞いてるか?」
「何も聞いてないけど……」
「分かった。心して聞け」
浪華に何かあったのか? 何かに事件にでも巻き込まれてしまったのだろうか?
しかし、そんな淡い考えは兄ちゃんから告げられた事で完全に壊された。
「浪華が自殺した」
文字通り、声が出なかった。口を動かそうにも言葉が一切出てこない。
なんで? なんでなんで?
なんで浪華は自殺なんてしたの?
「今からバイクでそっちに向かう。病院に行くぞ」
「……はい」
俺は、返事だけを残して直ぐに電話を切り、クローゼットから普段から来ている黒のジャケットを羽織、父さんの声を無視して外に出る。
「ホレっ! これ被って行くぞ」
「ありがとう!」
外に出ると丁度良く着いた兄ちゃんからヘルメットを貰って兄ちゃんの後ろへと乗る。
普段ならバイクなんて怖い乗り物として恐怖の対象になっていたのに、この日は気が気じゃ無かったのか、特に恐怖心無く乗れていた。
数十分後、近くの総合病院に着いた。
ヘルメットをバイクの上に落ちないように置いて、走って病院の中へと入る。
「ちょっと! 病院の中は走らないでください!」
後ろから看護師の声が聞こえるが、そんなのどうでもいい。まずは浪華が第一だ。
「失礼します」
兄ちゃんが四回ノックし中に入ると、そこには涙一つも流してない浪華の両親と白い布が被っている人がいる。
信じたくない。
けど、頭では完全に理解している。
両親が何か言っている様に聞こえるけど、兄ちゃんが止めてくれてる。
ありがとう兄ちゃん。何が何まで。
俺はそっと顔辺りにある白い布を静かに取る。
白い布を取ると、そこには生を感じられない浪華の顔があった。
俺はしばらく浪華の姿を見て、直ぐに白い布を被せた。
「怜くんかな? 今すぐに出ていってもらえないかな?」
俺は固まる。両親と話すら出来ないの?
「はっ?」
「良いよ。兄ちゃん。分かりました。ここで失礼します」
そう言って俺は病室の外へと出た。
俺はバイクの所まで一歩一歩噛み締めるようにゆっくり歩いていく。
「ハハッ。浪華の両親にあー言われちゃ出るしか無いだろうよ。ちくしょうが……」
少しずつ視界が滲んで行く。
「なんでなの……何が君をそこまで追い込んだの? ねぇ……教えてよ。約束したじゃん。辛い事があったら相談するって。なんで相談してくれなかったの。ねぇ……教えてよ浪華」
兄ちゃんのバイクに両手を置いて地面を見ながらそう言葉を零していった。
空は星たちが過去の姿を地球に映している中、俺は一人で泣いた。中三にも関わらず泣いた。
「怜……」
俺の事を呼ぶ声がした。顔を上げると目に涙跡が残っている兄ちゃんの姿があった。
「兄ちゃん」
「これを……浪華の遺言だ」
俺は浪華の遺言を兄ちゃんから貰う。
兄ちゃんは俺を気遣ってバイクの所で待ってて貰ってる。
近くのベンチに座り、遺言を開いて読んでいく。
『怜へ。この手紙を読んだ時には私はもう生きていないでしょう。でもね。勘違いしないで? 怜が嫌いになっちゃってとかじゃないから! ただ、疲れたんだ。毎日毎日父さん母さんからのプレッシャーとかさ、上から圧されて疲れたんだ。多分、君は「相談してくれよ!」とか思ってくれてるかもしれない。自意識過剰かな? でも良いや。最期のわがままくらい聞いて欲しいな。でも、本当はもっと怜と居たかった。ずっと一緒に居たかった! 私の初めてを怜にあげて、同棲して、結婚して、子供産んで、一緒に孫を見て、一緒に老後を過ごしたかった! でも、私の事情にも怜を巻き込ませたくなかったの。これだけは知ってて欲しいよ。長くなっちゃったけど……短い間だったけどありがとう。私の大好きな初恋の篠宮 怜。神崎 浪華より』
手紙の上に大粒の涙が落ちていく。
手紙に涙が染み込んでいくのも関わらずにひたすらに泣いた。
今日だけで何回泣いたんだろ。でも、泣き止められそうに無い。
この手紙に、浪華になんて言えば良いの……。
そして、俺は月の光に……浪華の様な明るさを感じながら枯れるまで……泣き続けた。
いつも何かに心を急かされる
なんでもない日常
いつもの日常
なのに心が
“早くはやく”
と急かす
ちょっとした事で不安になり
少しのことでイライラする
突然生きるのが難しくなる
全てを投げ出したい
何かに縋りつきたい
そんな衝動に苛まれる
私は今日もまた声にならない叫び声を上げる
『言葉にできない』より
「まだかなぁ、もうすぐかなぁ」
静寂に包まれた廊下で、ポツンと長椅子に座っている。けれど、そわそわと落ち着かず、立ったり座ったり、廊下をうろうろとしていた。
「かれこれ1時間は経つなぁ。けど、もっと長く待っている気がする」
分娩室に妻が入ってからそれくらいが経つが、俺には、1分1秒がとてつもなく長く感じられた。
まだかな、まだかな。とさらに待つこと数十分。分娩室から赤ちゃんの元気な泣き声が聞こえてきた。
「やった」
長椅子から立ち上がり、思わずガッツポーズをしたりとはしゃぐ俺を
「処置が終わりましたのでこちらへどうぞ」
看護師さんが分娩室から呼んでくれる。
「ありがとうございます」
促され中に入ると、横になっている妻と生まれたばかりの赤ちゃんがいた。
「お疲れさま。頑張ってくれてありがとう」
妻の頭を撫でながら労うと
「うん、元気に生まれて来てくれて良かった」
妻はホッとした表情を見せる。
「ねえ、赤ちゃん、どっちに似てるかな?」
そう聞かれ、すやすや眠る赤ちゃんをまじまじと見つめると、妻だけじゃなく、こんなに小さいのに頑張って生まれて来てくれたんだ。と、言葉にできない感動が生まれ涙が溢れる。
「どうしたの?大丈夫?」
俺が急に泣いたので、妻が慌てて俺の手を握ってくる。俺は涙を拭い
「これから俺、頑張ってくれた二人に負けないようにもっと頑張るよ。キミも、赤ちゃんも幸せにするね」
妻の手を握り返した。
合格発表の日
昨日から緊張して、一睡も出来なかった。
受かる自信も無い
落ちて当然だ
そう言い訳を考えながら、会場へ向かう。
もう沢山の人がいる
泣いている人、周りと喜び合っている人。
もしかしたら、そう思いながら自分の名前を探す。
心臓が口から出そうなほど高鳴っている。
あった!
僕は、言葉にできないほど嬉しかった。
少し経ってもう一度、確かめる。確かにある。夢じゃない。周りをきにせず叫んだ。
「やった!!」
今までで今日程綺麗な空を見たことは無かった。
言葉にできない
言葉にできなかったことなんて数えきれないほどある
ありがとう
嬉しい
楽しい
大好きだよ
離れたくない
どうして?
本当なの?
信じていいよね?
あの子はただの友達だよね?
まだまだ沢山あるけど
ひとつでもきちんと伝えていたら未来は変わっていたのかな?
ふわりと触れた
なんのけなしの小指
このくすぐったさを忘れまいと
ときめく胸を抑え込む
【言葉にできない】
薄黄色のカーテンが風に靡く、2年4組の教室。
私と親友は17回目の夏を迎えていた。
教室にぽつん、と一人でいる私。様子を見るにもう放課後。私は眠りこけてしまっていま様だ。
グラウンドでは野球部の掛け声が聞こえる。
重い頭をゆっくりと上げ、前髪を慣れた手つきで整ええ、時計を見れば時刻はもう16時半過ぎ。誰か私を起こしてくれても良いだろうに。
帰るのが面倒臭い。と思っていた時、後ろに気配を感じた。誰だろう、と後ろを振り返ってみると、学校の制服で、背中には大きく美しい純白の羽根の生えた親友だった。普通は可笑しいと思う格好だが、私の目には何故か馴染んだ。
親友は私の方へ来る事はなく、私に向かってただ手招きをしていた。
何だろう、と疑問を浮かべながらも親友の方へと歩み寄れば、私が親友の隣へ行く前に親友は歩き出した。恐らく、親友は私と距離を取るようにしている様だ。
お互い、一定の距離を保ちながら早歩きで歩いていると、いつの間にか屋上に居て、空にはこの世界を分けるようにして飛行機雲が線を引いていた。
『天気、良いね。』
親友は私の言葉が聞こえていないのだろうか?全く答える気配が無い。風邪でも引いているのだろうか。
悲しいな、と思い少し俯いて入れば、親友が此方へと歩み寄って来た。私は少しの喜びを噛み締めては親友と目を合わせる。そして親友が私の手を取れば一言、
『横で見ててね。』
私は何を見せられるのだろう。そう思いながらも親友が屋上フェンスの方へ行くので、着いて行った。
『ねぇ、横で見ててってどういう事?』
『言葉の通り。見てれば良いから。』
親友は純白…否、半透明の翼をぱたぱたとさせ、そう言った。あの翼で何かをするのだろうか。何か悪い予感がする。
次の瞬間、親友はフェンスを登り始めた。私は慌てて止めようとした。けれど何故か声が出ない、体が動かない。代わりに脂汗がとめどなく出てきている。
『ねぇ、アンタはこっちに来ないでね。』
現実では数秒間だろうが、自分の中では何分もの時間、金縛りの様な状況下、藻掻いていたら、急に体がふわっ、と軽くなった。話せるし、体も動かせる。だが脂汗は止まらない。
『みなみ!!!』
悪い予感が当たってしまった。もっと早くみなみに近付けば良かった。止めればよかった。
私の親友の名を呼ぶ声は儚く空に響いだけ。親友の事は止められなかった。親友がフェンスを登って、屋上から飛び降りたのだ。屋上には数枚の羽のみ、残されていた。
悲しい気持ちになっていたのも束の間、自分の真上からは物凄い量の水が降ってきた。水がばっしゃん、と音を立てて私の服や体を濡らせば、背筋が凍った。
水が降ってきたと同時に閉じてしまっていた目をゆっくり開ければ、辺りから水が無くなっていた。だが、自分だけはずぶ濡れだった。
生暖かい風が吹く。
すると私の体が目の前に落ちていた羽と一緒に持ち上がり、フェンスを超えて行く。私はまた藻掻くが、足は地につかない。恐る恐る下を見ると、案の定みなみは倒れていた。けれど血は出ていない様だった。
みなみを視界に入れた瞬間、風が止み、私も下へと落ちて行った。
目が覚めるとそこは自分の布団の上だった。
目を徐に触ってみれば、生暖かい水。これは涙だろう。
体がふわっ、と落ちた感覚で目が覚めた様だ。
時刻は朝の8時。そして土曜日だ。
私は夢の内容を察しては、静かに制服へと着替えた。
ふらつく足で階段を降り、リビングへと行けばスーツ姿の両親が居た。
『おはよう。今日は辛いかもだけど、頑張ってね。』
『お父さん、車、出すから先行くな。』
『うん。ありがとう、』
辛い、お疲れ様、今までありがとう。
言葉にできない。心の中でぐるぐると感情が渦巻いていて、色々な思い出が頭の中を駆け巡る。
今日は親友のお葬式。
貴方が
二人の全てが
あまりにも
遠すぎて
きっと
どこかで
いつからか
諦めてた
言えば
悲しくなるだけ
もう
この想いは
言葉に出来ない
してはいけない
「言葉に出来ない」
【言葉にできない】
世の中には、たくさんの事柄を表す言葉がある。
けれど、時々どうしようもなくなるほど言葉にできない事柄もある。
言葉にできない想い。
言葉にできない感情。
言葉にできない関係。
そうやって、言葉にできない事を「言葉にできない」と言葉にすることも、きっと大切なのだろう。
美しさに耐えられず
言葉にならない声で
話しかけるのは
小さなけもののたましい
通じない言葉を
どうやって変換して
見えないかたちのままで
きみに伝たらいいのだろう
教えてください
声も言葉も失ったぼくに
#言葉にできない
今日も言えなかった。
口に出来ないなら、手紙にしようと思ったけど書き直し枚数が100を超えたあたりで諦めた。
なんて言えば良いのだろうか。
「あなたが好きです」
ただその一言を言いたいのに、できない。
あなたを目の前にすると、思考は停止して動かなくなってしまうから。
だから、今日も言えなかった。
お題「言葉にできない」
心臓が口から出るとはまさにこの事だ。
ドキドキよりバクバクして手まで震えだしてきた。
彼から告白された時はすべてバレバレで思わず笑ってしまったほどだ。
けど、今は人生の転換期。
まだこの先どうなるのかもわからない。
緊張が頂点の私の手をそっと彼が握ってくれた。
大丈夫。
未知の扉が開いて私を待っている。
言葉にできないぐらい幸せになってやる。