『言葉にできない』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
お題「言葉にできない」
この感情を教えてよ。
殺意、憎しみとかのネガティブな感情があるのに
楽しい、嬉しいとかのポジティブな感情があるの。
この言葉にできない感情を知りたいの。
ねぇ…
会いたい。
声が聴きたい。
好きだよ、
大好きだよ。
全部が簡単な言葉なのに、
伝える勇気すら出なくて。
こんなにも
心から溢れて止まらないのに、
口に出したら壊れそうで
遠ざかってしまいそうで
怖くて、怖くて、
とても言えない。
見つめるだけで、
想いがそのまま
伝わってくれたら良いのに。
- 言葉にできない -
今日もいつも通りの朝が来る
いつもの景色
いつものチャイム
いつもの先生
いつもの授業
そして、いつもの仲間で、いつもの時間を過ごす
口に出せば全てが崩れ去ってしまう気がしたから
きっと明日も、いつも通りだ
「言葉に出来ない」
言葉にできない
この気持ちだけが
いつもあるけど
どうやって君に伝えよう?
もどかしいな。
もどかしいね。
だけど。
必ず
この気持ちを
たったひとつの
掛け替えのない この気持ちを
…言葉にするから。
だから。
あなたはいつも笑顔でいて。
#言葉にできない
言葉にできない
どう考えたらいいんだろう。
ひとから言われた。
「悩み、なさそうでいいよね」
えぇ……?
そう見えるの?
言わないだけで、悩みだらけよ。
だって、一つの言葉にしちゃったら、そこで「固定」されちゃうでしょう?
ひとは大抵、よほどでない限り「長所と短所」がある。
例えば
「あの子、ウザい」
と一言言えば、きっと周りは
「あ、あの子のこと嫌いなんだな」
と解釈される。
でもよく聞いて。
「あの子「いつでも元気なのマネ出来ないから」ウザい」
だったら?
一つは肯定して、一つは否定している。
矛盾だと、言われてしまうかもしれないけれど。
元来。人間の感情は「矛盾だらけ」だと思うの。
でも、それは周りを困惑させる。
だから私は、あまりオーバーには感情を言い過ぎないようにしてるの。
不確かなことは、言葉にできないだけで。
これでも、実はいろいろ考えてるんだからね。
この頃耳が遠くなって
なかなか意思疎通が難しく
なったけど
おかしな言動までも
増えて来たけど
昔むかしから針仕事が好きで
手先だけは器用で
職人だなぁと
いつもそれだけは尊敬してたよ
子育てにはそこまで器用な人では
なかったから
かなり衝突もして来たし
いまだに関係性は変わらないけど
そんな人の子供として
選んで生まれてきたのも
私自身なんだよな
今思えば
なんであんなに嫌いだったのかなぁ
なんて
私も年とったんだよな
照れくさくて言葉にはできないけど
まだ言葉になる前のもちょもちょした何か、あれは楽しいものだ。
何か言葉をあててしまえば、他のあらゆる可能性が閉じていく。
型抜きしてお出ししないと他者には(ときには自分にすらも)伝わらないけれど、生地のときどんな様子のものだったか、余った端切れはなんなのか、それを知っているのは型抜く直前の自分だけだ。
言葉にできない、があまり許容されない世の中で、せめて休憩時間には、型抜きされる前の何かをもちょたもちょしていたい。
「言葉にできない」。某CMソングが聞こえてきそうなお題ですが、こういうおはなしはどうでしょう。
最近最近の都内某所、某稲荷神社敷地内の一軒家に、人に化ける妙技を持つ化け狐の末裔が、家族で仲良く暮らしておりました。
稲荷神社は森の中。草が花が山菜が、いつか昔の過去を留めて、芽吹き、咲き、顔を出します。
時折シマエナガコスの白鳥が、「待ってくれ!俺だって来たくて来たんじゃねえ!」と、完璧な日本語に平均的な北東北アクセントで鳴いたりしますが、
そういう妙な連中は大抵、都内で漢方医として労働し納税する父狐に見つかって、羽ごと体をふん縛られ、『世界線管理局 密入出・難民保護担当行き』と書かれた黒穴に、ドンドと放り込まれていました。
多分気にしちゃいけません。きっと別の世界のおはなしです。「ここ」ではないどこかのおはなしです。
「お星さま、なくなっちゃう!」
さて。「こちら」の世界に話を戻すと、稲荷神社に住む子狐が、敷地内の明るい原っぱで、キバナノアマナの小さな小さな花畑のまわりを、キャンキャン泣きながらぐるぐる走りまわっておりました。
「お星さま、お星さま!いかないで!」
キバナノアマナは絶滅危惧種。小ちゃな小ちゃなユリの形の、まるで星のような花を春咲かせ、夏来る前に地中に帰る。「春の妖精」のひとつです。
前々からぽつりぽつり、花を終えて実をつけ始めた、キバナノアマナの花畑。今ではほんの少ししか、花が残っていません。その少し残った花も、そろそろ色あせ、実をつけそうなのです。
子狐はそこそこ賢いので、花が今消えても、「次」があることは知っています。また次の春にこの場所で、黄色のお星様を咲かせるのは分かっています。
だけど子狐は狐なので、どうしても「今」が悲しいのです。大好きなお星様の形の、お気に入りの花畑が、今消えていくのが寂しいのです。
次の春の待ち遠しさと、今消える花の寂しさが、ごっちゃになって暴れ回る、その気持ちの名前を知らないので、子狐は自分の心を、うまく言葉にできません。
ただただ泣いて、吠えて、願って、叫ぶばかり。
「やだ!やだっ!お星さま、いなくならないで!」
キャンキャンキャン、キャンキャンキャン。
母狐が泣き声に気付いてやって来て、それじゃあ押し花作りましょうねと、花のひとつを摘み取って、泣きじゃくる我が子を優しく愛おしく抱きしめるまで、
子狐はずっと、ずっと、キバナノアマナの花畑のまわりを、ぐるぐるぐるぐる走り回り続けました。
【言葉にできない】
付き合う、っていうのが久しぶりだった。一晩遊んでそれっきり。そういう関係がずっとあった。何度か会って、可愛いなって思った。本当、それだけだったのに、気が付いたら食事に誘ってた。
食べながら喋らないし、美味しいものは美味しいって言うし、苦手なものを残したくないんだけど、ってこっちの皿に移してくるし、愛着が湧いた。
ヤッて、食べて、その繰り返しのあとに、休みの日がいつか聞かれた。その日休むから、って一緒に出かけた。美術館に行くのが好きなのを知った、家電量販店のカメラコーナーを見るのが好きなのを知った、靴は拘ってるブランドがあるのを知った。
誕生日を知った、血液型を知った、最後に本名を知った。
待ち合わせして、手を繋ぐなんて目立つなぁなんて笑いながらテーマパークにも水族館にも旅行にも行った。
今は俺の腕の中で眠ってる。安心しきった顔で静かな寝息だけが聞こえる。
愛しいなんて言葉では足りない。日々好きだとは言っている。くすぐったそうな顔を思い出すだけで胸が熱くなる。どうしたらもっと笑わせてやれるだろうと考える。好きなもので満たしてやりたい、それを隣で見つめていたい。こんな気持ちをなんと言えばいいんだろう、そんな関係を持ち続けたいことをなんと表せばいいんだろう。
頬をくすぐると、子供のように指を掴んできた。
「もう貴方とは会えなくなるの」
ティーカップを皿に置きながら彼女はそう呟いた。僕も思わず、かじりつこうとしたチーズケーキから口を離す。
俯いて表情は見えないが、背筋をしゃんと伸ばし凛とした声色で呟く姿は、まるで荒れ野に咲く一輪の白百合のごとき気高さを感じさせた。フォークからケーキの欠片がこぼれ落ち我に返る。そして、動揺を悟られない様にゆっくりと口を開いた。
「……どうして、ですか」
「パパがもう会っちゃいけないって」
「だから、どうして」
「私ね、来週結婚するの」
想像しなかった——違う。想像したくなかった現実を彼女は口にする。彼女に婚約者がいる事は、何となく分かっていた。街いちばんの大きなお屋敷の大事な大事なひとり娘。ぼろ切れを纏ったこんな僕と話して、ましてやテーブルを共にしてくれるのも夢の様なことなのだ。でも、だからって。
「シンシア……様はまだ十六になったばかりでは」
「〝様〟はつけないでジャック。むしろ遅いくらいなの。周りのお友達はみんな、お嫁に行ってしまったもの」
「どんな方、なんですか」
「知らないわ。会ったこともないもの。でもきっと悪い人じゃない。写真で見た笑顔がとても、穏やかだもの」
隠しきれない戸惑いを、言葉に載せる僕とは違って、シンシアは詩を読むように語る。誰とも知らない伴侶について。
歳の頃はほとんど変わらないというのにこんなにも落ち着いている。生まれの違い、というものを改めて感じてしまう。言葉に詰まる僕をよそに、彼女は続けて語り出す。
「彼ね、遠いお国の人なの。三年前にこの国に船でやってきた人達と同じ、赤い髪の素敵な人。だからパパが許してくれたとしても、きっと会えなくなっちゃうわ。海の向こうの遠い国、だもの」
「なら、手紙……出す、から」
ありがとう、とシンシアは花が綻ぶ様に笑う。どうしても祝福の言葉は出てこなかった。
期待をしていたわけではない。ただ、このままごと遊びの時間が、彼女と対等で居られる時間が、終わるのが嫌だった。たった数枚の紙切れだとしても、彼女との繋がりを断ちたくなかった。
そんな子供じみたわがままを察したのか、シンシアは空を眺め、少しさみしそうな声色で呟く。薄紅色に染まる空にはすでに、白い月が薄く浮かんでいた。
「あちらでも同じ様に、月は登るのかしら? そうすればいつでも貴方を感じられるのに」
声は微かに震えていた。言葉には出せずとも抱く気持ちは同じなのだろう。
いっそ二人、どこか遠くに逃げられたら。そんな無理な願いを紅茶に映る月とともに飲み込む。外気に冷えて苦味を増したその味は、喉の奥に張りついてなかなか消えなかった。
【言葉にできない】
言葉にできないほどの感情はあるんだから
言葉にすることも大切だけど察することも重要だね
完
言葉にできない
なんだろう
大好きなのに言葉にできない
でもすごく好き
伝えたい伝えたい
でも伝えられない
君を想う時に襲ってくる
呼吸が浅くなるほどの
痛みや苦しみや恐怖が
日毎に増していく事が
僕は何よりも怖い
いつか僕はこの苦痛が破裂してしまう前に
君との別れを選ぶのだろうかと
嫌な想像が頭を擡げる
くだらない日々を消費している
恋人の有無や結婚願望を訊かれる時
大概僕は笑って誤魔化すが腹の中では
この見えている色をどうにかしてくれと
誰かに怒号を喚きたくなる様な
どうしようもない激情が渦巻く
こんな事知らずに堂々と
生きていけたらよかったのに
Theme.言葉にできない
また入院してあなたに会いたい
言葉にできない
何も言えなかった
あなたとうまくやりたかった
それだけだった
いつも通り仕事に行く時みたいに
私とあなたは
2人で出て行った
そして、反対方向に歩いて行った
お互い、何も言わなかった。
‐言葉にできない‐
映畫のやうに
ドラマティック
童話のやうに
可憐で優雅
素敵な人生
夢見てた
誰だつて屹度
みんな屹度さう
子供の頃は夢を描いて
夢を食べて生きてゐた
だけど現實はさうぢやない
どうして
生まれたのかしら
どうして
大人に成るのかしら
誰がこんなの樂しいのかしら
さう思ひ乍ら
珈琲を飮み干すやうに
今日を溺れ乍らも
一生懸命生きてゐる
喉の奥が詰まるようで、胸の真ん中のざわつきは、言葉にならずに腹の底に溜まっていく。そのうちパンパンに膨れ上がって、破裂してしまうのではないか。
出会ったのはいつだっけ…
窓際の席に座る君はいつも1人で、何を考えているのかよく分からない。
それでも、ふとした時に見せる笑顔とさりげなく手を差し伸べてくれる優しさがあたたかくて…君に惹かれるのに時間はかからなかった。
内気な私はアプローチなんてできなくて、陰から君を見つめる日々だった。
「あ、今あくびした。昨日よく寝てないのかな。」
「そのシャーペン見たことないやつだ。」
「いつも同じお茶飲んでる。私も飲んでみよう。」「弟いるんだ。私と一緒。」「家は学校から近い、青い屋根の家…」「アカウントは2つ。1つは学校用、もうひとつは趣味用。」「寝る時間は…」
気持ちは伝えられないままだったけど、君を観察して少しずつ知っていく…そんな毎日が、君に近づいているような気がしてどうしようもなく愛おしかった。
そんななか、ふと耳にした『彼がストーカー被害に遭っている』という噂。
その人は、彼が誰にも教えていないことまで知ってるんだって。
許せない。私の彼なのに。私だけの彼なのに。
私が彼を守らなきゃ。
その日から一層君の近くにいるようになった。
他の虫が寄り付かないように。
日課である君の尾行をしていたある日、突然誰かに腕を掴まれた。
掴まれた方を見ると、なんと追いかけていたはずの君だった。
「「なんで君が…」」
同時に発した。
ストーカーを捕まえようと思って…と誤解を解こうとすると、君は見たこともない形相で「気持ち悪いんだよ、ストーカー女」と冷たく言った。
頭が追いつかない。
どうして?私じゃない。そんなのと一緒にしないで。私が守ってるんだよ。だってこれから1人で図書館に行くんでしょ?1人でいたら危ないじゃない。
頭の中でぐるぐると回る言葉は1つとして口に出なくて。
焦れったい。悔しい。悲しい。
それでも
「私は君が……」
『言葉にできない』
買い物中、リンゴと目が合った。
3個入りで400円。お手頃価格だ。
ウサギさんが毎日食べるので、ここ7年、我が家に常備されるリンゴ。
時期によっては高いし不味い。
でも、ウサギさんの暮らしを平穏に保つ秘訣は、「変化がないこと」。昨日と同じものを食べて、昨日と同じ場所でくつろぎ、昨日と同じトイレで用を足し、昨日と同じ寝床でウトウトする(ウサギは長時間熟睡しない)。
うちの老齢ウサギを楽しませてあげてね。
朱色の三つ子を撫でる。
【言葉にできない】
入学式。
今日から中学生だ。
でも……昔っからコミュ障でぼっちだ。
友達なんてどうせできない。
まあ、友達なんて必要ない。
一人の方が気楽な時もある。
というか、その方が多い。
人付き合いはめんどくさい。
どうでもいい話でもちゃんと聞かなきゃいけない。
その癖こっちの話は聞かない。
それに話せることもない。
言葉にしたくない。引きこもっている休日がずっと続けば良い。
……皆がうるさすぎるから、私は一人でひっそり暮らしたい。
なのに世間はあーだのこーだの、偏った考えを言う。
『友達は作った方が良い』
『引きこもっていてはダメだ』
『困っているなら相談しろ』
うるさい。いや、うるせえよ。
友達はいなくても幸せ。
引きこもりだけど家で最低限運動するし、日光も浴びている。
それに栄養も不足しないよう、バランス良く食べている。
相談しろっていうのがうるさくて困る。
でも……それを言葉にできない。
後先を考えずにぺちゃくちゃ喋れりゃ楽なんだろう。
行動力なんて外で出せない。家でゲームする行動力はあるのに。
……あーもう!めんどくさいから帰ったら寝よう!!
『言葉にできない』