『言葉にできない』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
傘の小窓から、雨に染まった街を眺めた。
水で出来た礫がぴんと張られた生地の上で跳ねる。
テレビの中から聞こえる万雷の拍手のごとく
雨は弾けるような音を奏でて
音もなく流れ落ちた。
これは誰に向かっての賛美だ?
声の形になり損ねた白い息は
冷たい空気の中へと
一つ、静かに溶け込んだ。
題.言葉にできない
「またオフコース、聴いてるの?」と聞くと
「別にいいじゃん」とそっぽを向かれた。
言葉にできないことなんて、僕のほうが多いのに。
言葉にできないこの思いをどう伝えよう。文章にも表せない触れても伝えることのできないこの思い。笑いかけてきた君を見て固まるだけの私を君がどう思っているのか何て分からないし。自分のこの胸に溢れる君に向けた感情も何か分からない。だけど君に向けた柔らかい感情を触られたくない。それだけは分かるんだ、言葉にできないこの私だけの思いをどう君に伝えれば良いんだろう。
自分は昔から自分をコントロールしていた
涙なんて悲しくなくても出せるし
今まで感じてきた感情は全て言葉で片付けられた
だからこんな事は初めてなんだ
こんな
言葉で表せない感情は
今も言葉にできない感情は心の中を渦待っている
ずっと心に秘めていた
あなたへの想い
いざ伝えようとしても
あなたを目の前にすると
言葉にできない
もどかしいこの気持ち
何気ない散歩道、ふと右手に見える海に目をやると、そこには太陽の光を受け煌めく水面が見えた。
遠い地平線に浮かぶ船。空との境界さえ曖昧で、青く染め上げられた海に白い波が寄せ、はっきりとした美しいコントラストを魅せている。
その景色を今こうして書き留めているが、私自身あの光景をどう表現すべきか、言葉が見つからない。
ただあの美しい海だけが、私の網膜に張り付いているだけだ。
きょうのおだい『言葉にできない』
言葉にできない
心の中のイデアは理想の世界。形而上にあるもの。これを表現するとなるといろいろな制限が加わる。言葉ならどれだけの単語を知っているのか?絵画ならばどれだけの色を作り出せるのか?音楽ならばどれだけの楽器を知っているのか?常に枠を気にしなければならない。そしてその枠を大きくしていく。そうすれば世界は広がる。宇宙は膨張する。エントロピーは増大する。理想に向けて努力しなければいけないと思う。
「言葉にできない」
言葉にできないほどの体験。
炭火焼き鳥のお店に行ったとき、メニューにホルモンがあった。ホルモンは苦手だったけど、人気なのでぜひ食べてと強くすすめられ頼んでみた。
しばらくして端がちょっと焦げた香ばしいホルモンがやってきた。
口に入れた瞬間衝撃的な体験をした。
味は濃厚な霜降りカルビなのに、口の中で液体になった。比喩ではなく言葉通り液体。串に刺さってるときはプルプルとしっかり刺さってるのに、口に入れたら溶ける。角煮のトロトロになった豚の脂身よりもトロトロ。
香ばしい炭火と焼き鳥の甘辛いタレの味、それと牛肉の脂の味、全部最高。
衝撃すぎて言葉にできなかった。
もう好きじゃない。
嫌いではないけれど、
無関心でもない。
数日前まで俺の彼女だったのに、
いつの間にやらあの男と一緒に笑うようになって。
彼女にすら満足させてやれない俺に
知らぬ間に知らぬ男のもとへ行く彼女。
失望したのに目で追う俺と
もう俺の事なんて視界にすら入らぬ彼女。
何でこんなにも違うんだろうかと
考えてもぐちゃぐちゃとするばかり。
「言葉にできない」
『言葉にできない』
僕の母はとても優しい。
毎朝僕より1時間早く起きて、
僕のために美味しいお弁当を作ってくれる
365日いつだって優しい声と笑顔で
「いってらっしゃい」「おかえり」
と言ってくれる
疲れて帰ったら、
美味しい料理を作って待っていてくれる
そんな母に、僕は心から感謝している
でも僕は現在思春期真っ只中
母相手だと、どうしても素直になれない
「ありがとう」その一言が、言葉にできない
ダメな息子でごめん。
でもいつか絶対、貴方に伝えるからね
今はまだ言葉にできない僕の思いを。
『言葉にできない』
懐かしい夢をみた
朝6時30分、台所からの母の声に起こされる
寝ぼけ眼の私は、緩慢とした足取りで洗面台へと歩いて行く
冷っこい水で顔を洗えば、それが気付けとなっ
て意識がハッキリとした
そのまま歯を磨いたら台所へと向かう
歩く度に少しギシギシと軋む廊下を、美味しそうな匂いに釣られるようにフラフラと進んだ
台所の扉を開ければテーブルには既に朝食が用意されていて、母が私を見ながら『おはよう』と笑う
私も何だか嬉しくて、笑いながら『おはよう!』と返して席に着く
毎朝交わす『おはよう』の挨拶が、私は何故か大好きだった
1回言っただけじゃもの足りなくて、意味も無く2回3回と『おはよう!』『おはよう!』と繰り返す
その度に母も優しく『おはよう』と返してくれたんだ
そうして『おはよう』に満足した私は、目の前の朝食に意識を戻す
卵焼きにウインナー、大根のお味噌汁に焼き鮭の切り身、そして少しの漬物とご飯が並んでいた
焼き鮭の切り身は何時も母と半分こにして食べていた
母と二人、手を合わせて『いただきます!』
食べ終わった私が『ご馳走様でした!』と言ったら、母は決まって『お粗末さまでした』と返してくる
だから何時も私は『全然お粗末なんかじゃないよ!』なんて笑いながらまた言葉を返したんだ
懐かしい夢をみた
込み上げてきたものが何なのかは分からなかったが、最後に残った感情が自分に対しての怒りである事だけは確かだった
だから私は力一杯に……自分の頬を殴ってやったんだ
言葉にできない
私は芸術が好きなんです。
なんて言えばいいのかな。
私達がいるのは、表も裏もある世界じゃないですか。
物事は決して1面ではない。真実だって、拠り所がないときは虚無でしかなくて。
それってすごく自由だと思うんです。
足場がなくて不安かもしれないけど、私は思い切って飛んでみたい。そしたら案外、どこまでも行けるかもしれない。
360度が正真正銘の世界なわけですから、どこを見てもいいんです。そうして芸術作品に出会って、私の視野がまた広がっていくんです。作品が連れて行ってくれますから。
作家の皆様は本当に凄いんです。いつだって、自分の世界を叫んでいて。
感情が肌の細胞から染み入って、心臓まで浸った時、それはもう、言葉を凌駕する体験です。
言葉にしなくたっていいじゃないか
って思ってます。
言葉にできない
私は今の感情が何かわからない。
マイナスな方というのはわかるが、
辛い、悲しい、苦しい…
言葉に表現できないのが悔しい。
自分の思っていることを言葉にするって想像以上に難しいこと。
日本語だけで5万以上もの言葉があっても、言葉にできない感情がある。
感情には制限がない。さらに、感情は目に見えない。
だから面白い。
言葉にできない感情は無理に出そうとしなくていい。
「言葉」は伝えたいと思うことを人に伝える一つの手段でしかないのだから。
伝えたいのに伝わらない。もっと語彙力をつけたい
ここが鼻?
「はい、そうです」
ここが唇か。
「はい。痛い、引っ張んないで」
これが目で、まつ毛だね。
「おれ、案外かっこいいのに、気づいてくれないんだから」
手探りで彼の顔を認識していく。耳も目もうまく機能してくれないわたしはこうするしか、何かを理解できない。
彼は今も、何か言っているんだろうな。わたしには聞こえないのに、わたしと話しているように。
わたしたちは指をトントン、とつけたり離したりして会話をしている。いわばモールス信号だ。声なんていらないのに、彼はわざわざ声に出して話しながら打つんだから、不思議だ。
わたしたちは互いに対してはものすごく正直者だった。彼も年相応の初々しさなんて発揮せず、一直線に、真っ直ぐに向かってくる人だった。それはわたしがいつ死ぬが分からないと、明日死ぬかもしれないと正式に医者から判断されたときからそれは特に増した。
言葉にできない、そんなことは、普通に話すことすらできないわたしたちには縁のないこと。
それがとても大切で、愛おしいことだと知っているから。後悔なんて、わたしはしてもいいけれど、彼にはしてほしくないから。
自分の感情を
伝えたいのに
言葉にできない
言葉にならない
「また連絡するよ、って、いつ?」
そう聞けば良かった。
そうしたら、自然と離れたとしても、後々
モヤモヤを抱えることもなかったのに。
もう一緒にいなくなった人。
もう言葉にすることはできない。
「言葉にできない」
いつも美味しいごはんをありがとう。
部屋の、おトイレの掃除をしてくれて、ありがとう。
ケガをしたとき、お腹が痛くなったとき、手当てをしてくれて、撫でてくれて、ありがとう。
キライな苦いお薬も、痛い注射も、ありがとう。
つまんないとき、かまって遊んでくれて、ありがとう。
美味しいおやつ、ありがとう、ねぇもっとちょうだい。
寝るときも一緒、ちょっと暑いけど、ありがとう。
あなたと同じ言葉は喋れないけど。
伝えたいんだ。
いっぱい、いっぱい、ありがとう。
これからも、ずっと、ずっと、ありがとう。
テーマ「言葉にできない」
言葉にできない、と、甘んじていたのだろう。それに気づいたときには、もう、何もかもが遅かった。
言葉は失われて形を成さない。
過去は忘れ去られて思い出せない。
感情は塗りつぶされてごちゃ混ぜのまま。
相手すらも、もう。
今際の際に、乾いた笑いがこぼれ落ちた。来世を願ったのは、最初で最後、最期の、最後。
言葉にできない腐ったこの感情を殺したい。
いくら切り刻もうと傷が残るのは身体だけだしいくら吐こうと出てくるのは胃液だけだし腐った感情は出ていかない。
4月の時点でこんなんで1年間浪人できるんかな