七雪*

Open App

 傘の小窓から、雨に染まった街を眺めた。

水で出来た礫がぴんと張られた生地の上で跳ねる。

テレビの中から聞こえる万雷の拍手のごとく

雨は弾けるような音を奏でて

音もなく流れ落ちた。

これは誰に向かっての賛美だ?

声の形になり損ねた白い息は

冷たい空気の中へと

一つ、静かに溶け込んだ。

4/11/2023, 1:41:42 PM