『裏返し』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
裏返し
好きだと言えば、嫌いが返ってきた。
好きの裏返しは嫌いか、なんてよく言うけれど、どうせその裏側とかいうものが何なのかなんて見えないし、わからないのだ。
その裏側には本当は何もないのだと、そのことを知ったら、君はどんな顔をするだろうか。
裏返し
お姉ちゃんはよく服を裏返しできてる。
裏返しもあるし、
後前が違う時もある。
飽きない。
『裏表紙の住人』
裏表紙に私の名 住民票はこちらです 私を探してみてください 気絶するほど美しい更紗をひとつもっています 裏庭には畑もあります 枝豆ばかりがよく実り トマトは水ぶくれしています あまり他人が気づかないそんなところが魅力です
これを引いても
あれを引いても
今手にしたやつを見ても
答えが出てこない
全部全部ハズレ
普通の紙を裏返しにしただけ
時間の無駄だったなぁ
# 101
ムーンサルト
固定されたものは裏返らない
まだ揺らぎ
まだ浮遊し
まだ諦めてない
力の限り裏返れ
※裏返し
110
何でも入るカバンを手に入れた。
文字通り何でも入るカバンだ。何をどれだけ詰めようと入るし、重さも変わらない。手提げかばんほどしかないので実用性はバッチリ。
豚の刺繍がややダサいが、どこに行くにもこれがあれば平気だろう。あと中古らしいのでやや古ぼけているのが気になるくらいだろうか。
取り出す時もすごく簡単だ。取りたいものを思いながら手を突っ込むだけでいい。
しかし、なんでもは誇張じゃないかって、妹に言われた。
そう思われるのは癪なので、これを引っ越しに使ってみようと思う。
まずは服。それぞれ10着以上あるコートやシャツ、ズボンに、と詰め込んでみたがまだ入る。
続いてテレビ。入るとも。
タンスに机、もちろん入るとも。
あまりにも気持ちよく入るものなので気分が良くなってきた。
そんな折にドアホンが鳴る。声から妹であることが分かると、ふと悪戯心が湧いてきた。
そうだと思いついて、鞄の中に自分がはいる。ここから飛び出して驚かせてやろうと思って。
「ちょっと、もう引っ越し終わったの?」
妹の声が聞こえてくる。にししと笑い声が漏れそうに鳴るのをこらえてじっと底で待ち続けた。
「なにこれ、鞄? だっさ。……なんにも入ってないし」
妹はカバンを裏返す。そこは裏地だけが広がっていて、ボロボロだった。裏返した拍子に左右がやや裂けてしまったが、彼女は気にも止めず、探し人を探すのであった。
テーマ:裏返し
タイトル:裏返しても荷物を溢さない、安心設計です!
#62【裏返し】
意外と気付かないし、気付かれない。
今日、私の右足の靴下は裏返しだった。
帰ってきて、ふぅ~と一息ついて
何気なく足元を見るまで気が付かなかった。
「襟が捲れてるよ」とか
「スカートの裾から糸が出てるよ」とか
こそっと教えてくれるあの子も
今日は何も言ってこなかった。
身だしなみに気遣いのあるあの子さえ
気付かなかった。
私の裏返し靴下。
黒のハイソックスだから気付かなかったのか?
いや、白も紺もいけるな。
しょーもない私の頭の中で
今日もくだらない思案が始まる。
僕の家は、とても裕福とは言えなかった。
毎日生きるのに必死で
母が夜遅くまで働いてくれる。
そのおかげで、学校に通えている。
突然、母がこんなことを言い出した。
「ごめんね…もう疲れたの」
急にどうしたんだろうか。
仕事のし過ぎで、顔がやつれている母。
僕の為に、ずっと働いてくれていたんだ。
『大丈夫だよ、お母さん』
『今までありがとう。ここからは僕が頑張るよ』
母の代わりに僕が働いて、家を守ろう。
そう決めた。
次の日、母は死んだ。
事故か事件か、自殺かは分からなかったけど
疲れたのは、人生だったのかも知れない。
ー裏返しー
『大嫌い。』この言葉を君に言ったのは好きゆえの嘘である。君を愛してる。故の。
大好きの裏返しなのだ。
愛情の裏返し、って表現があるけれど、
そんなのいらない。
ストレートに好きって言ってよ。
「裏返し」
裏返しにしてもみつけられなかったんだ…
大切にしてただんごむし
愛
の裏返しは
無関心
とか
嫉妬
とか
らしい。
うーん。
まだ
愛
が分かってないからなぁ。
その裏返しも
分かってないのかも。
愛
が分かれば
わたしにとっての
裏返しは
何なのだろう。
#裏返し
裏返し
表の裏は裏。
裏の裏は表。
裏の裏の裏は裏。
裏の裏の裏の裏は表。
裏の裏の裏の裏の裏は裏。
だんだん裏がゲシュタルト崩壊して、なんだかわかんなくなっちゃった。
裏返して見えるのは、表?裏?
それとも…
裏返しになった手袋は剥き出しの己を世界に晒して、恥に震えている。
裏返し着たTシャツ
すぐ、気がついた
伝えてもいいか迷う距離
もどかしい
「裏返し」
♯7裏返し
本屋で買う本をレジに持って行く時に表紙が見えないように裏返して持っていってしまう癖がある。(変な本を買っているわけではない)
僕の親は言い方きついところがある。
でもそれは愛情の裏返しだと。
最近になって知りました。ごめんねおかあさん。
学校ではいつもニコニコ笑顔の彼女は、僕と二人きりの時だけはポロポロ涙を流す。
どんなに笑顔でも、心では苦しがってるかもしれない…
そんな彼女を助けたい。
#裏返し
#4
「最近、変な夢を見るんです。」
愛人は唐突に話し始めた。
「❖❖(僕の彼女)と思われる人が、度々夢に出るんです。とてもきれいな姿で。ところが突然その背後から白い手が伸びてきて、彼女の髪をつかんで引きずり回すんです。それから仰向けにしたところを馬乗りになって、血だらけになるまで顔を殴るんです。彼女はとても怯えていて、これ以上ない恐怖を感じているようでした。」
彼女は暗い顔で、自分が見た夢の内容を恐れているようだった。淡々と語る言葉は重く、慎重に一つ一つ紡がれる。
「私もう見てられなくて、咄嗟に彼女から目をそらしたんですけど、彼女を痛めつけている手の主がどんな人なのか気になって、思い切って視線を上げたんです。」
彼女の言葉がふと途切れた。次の言葉を話すのを躊躇っているように見えた。しばらくの沈黙の後、彼女は言った。
「…その人の顔、私そっくりだったんです。」
その日の夜、僕は愛人の部屋から不審な物音がするのを聞いた。激しく地団駄を踏むような荒々しい足音が部屋中を駆け回っているような、普段の彼女が出すとは思えないような音だった。僕は慌てて愛人の部屋へ様子を見に行った。ドアを開けると、彼女は部屋の奥のソファーに座り込んでうたた寝をしていた。見慣れた愛らしい寝顔がスウスウと静かな寝息を立てている。こっそり部屋の中を探ったが、侵入された形跡も、これといった異常もない。何より愛人の身が無事だったことが幸いだった。
――よかった……。
ほっと胸を撫で下ろす。眺めているうち、日中彼女が言っていた言葉が思い出された。
「最近、変な夢を見るんです。」
「❖❖(僕の彼女)と思われる人が、度々夢に出るんです。――突然その背後から白い手が伸びてきて、彼女の髪をつかんで引きずり回すんです。それから仰向けにしたところを馬乗りになって、血だらけになるまで顔を殴るんです。」
「その人の顔、私そっくりだったんです。」
瞬間、ハッとした僕はすぐに愛人の部屋を飛び出し、本来の彼女のもとへ飛んで帰った。
ドアを破るようにして彼女の部屋へ飛び込むと、うなされている彼女の上に覆い被さるどす黒い闇の、血走った眼と目があった。
裏返しの欲望は、垣根を超えて同棲していた。
裏返し
なんでも映せてしまう世界
素直な気持ちも映せますか?
思いのひとつひとつを重ね集めて
出来上がっていく色彩の形
その名を心と名づけては
思いの先を見ようとしていた
それが今は何故だろう
言葉にすれば心の裏返し
違うそうじゃないって
何度もブレーキをかけた
ほんの一瞬の出来事
でも、それが全てだったりもする
今、わたしの傍にある声
少しずつ変化する気持ちに
言葉が追いつけない
いや、わざと裏返す
自分を消さない勇気を持つこと
裏返しの本音はそう語っている
わたしに向けた伝えは優しく
まだ何かへと向かって行けと
その光を遠くへ灯す
心の表側への素直さは
その光のある方へとつながる
そこへ向かっている時は
幸せな時かもしれない
その扉を叩くかは
自分自身への問いかけ
夢際で見た様々な思いが
全て表だったわけではない
そこから見えるもの
そここら考えられるもの
雲間から見える光から注ぎ込む全て
もっと見たい場所へ行けばいい
もっと伝えたいことを伝えればいい
それを乗り越えないと表はやってこない
裏返しは今のわたしの全て
思いの全てを乗り越えろと
まだ見ぬ明日から
心の真をついてくる
ここにいるのが奇跡なんだから
その色の表すところへ
それ全てがまだ見ぬ色に
彩られているのだから
なんでも映せてしまう世界
それでも表現出来ない色彩を
思いのひとつひとつを重ねて
改心と心の一部に名づけた