『衣替え』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
毎年の恒例行事の方は多いのかな
でも、断捨離し着る枚数が少ないと、衣替えの概念がなく焦る事もない
そう、ある一定の時期を過ぎると着るものも大切だけど、それよりも大切なものがあるんだね
と、話を少し逸らしてみました。
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「衣替え」
私はこの季節が大好きだ。
クローゼットに並ぶ数々の宝物を一斉に処分して新しい宝物を探すこの季節。
美しい紅葉を見に人気のない山奥に行く人や、美味しいものを食べにカフェに行く人々。私はその人にひっそりと着いていく。
そしてその人が1人になった瞬間、私は鎌を振り下ろす。
欲しいのは貴方の瞳だけ。
それをからになったクローゼットにしまう。
次の衣替え、桜の咲く季節まで。
私はこの季節が大好きだ。
今年の夏は随分働いたなあと我ながら思う。
「暑いです」「寒いです」
大きな箱から聞こえる声で、人間たちは身の振りを考えているようだ。
擦り切れそうになるほどよく着てもらった。
やおら僕にハンガーを差し入れ、ぴんぴんと皺を伸ばす人間。
「そろそろ片付けなきゃなあ」
そっか、今年はもうこれで仕舞いか。
爽やかな風が僕を揺らす。秋の匂いがした。
衣替え
私はいつも忘れてる
衣替えのことを
お正月とお盆とクリスマスは
一生懸命なのに
季節を楽しむファッション
健康を守る鎧のアイテム
自己主張か恋のかけ引きか
服は大事な守護霊だ
私は今日も同じ服
衣替えもしないまま
それでもハートは違うのです
衣替えして、冬支度
半袖から長袖に
サンダル片付けてスニーカー
季節の変わり目、衣替え
だけど私の気持ちは追いつかない
そう簡単には替えられない
#衣替え
季節が変わっていく。
毎日進んでいるから急激変化ってことは実はないのかもしれないけど、気づいたら変わってて、あれ?突然変わっちゃったなって思う。
人との関係もそういうものかも。
また一年、時かたった
君と衣替えをしている、
小さかった服がどんどん大きくなっている
毎年この季節にこの気持ちになると思うと
どこか複雑な気持ちだ
おおきく、そして、つよく、
今日はここまで、
衣替え
9月の中旬になると娘の高校の制服をクリーニングに出さなければならない。
10月は衣替えだ。
私が高校のときはセーラ服だったため、衣替えは白い薄手のセーラから黒い厚手のセーラに変わる。衣替えの時期とは言え、暑くて暑くて大変だったのを覚えている。
娘はブレザーのため衣替えの時はカーディガンを着て学校に行っており、それほど暑くはないようだ。
10月の晴れた朝、衣替えの済んだ子供たちが家の横を通り過ぎ、楽しそうに話しながら登校して行く。
ふと見ると手に赤切れができていた。赤切れができる季節になってきたのだ。季節の移り変わりは早く、家で父の介護を始めてもう2年になる。炊事に洗濯、掃除に寝たきりとなってしまった父の介護、全てを1人でやっている訳ではないけれど、時々どうしょうもなく暗い気持ちになる。
聡明で優しかった父も今は人が変わったように怒鳴りちらす。私だけならまだしも、介護に来てくださるヘルパーさんたちにもだ。
ヘルパーさんたちは仕事ととは言え、優しくニコニコしながら受け流してくれるが、私は全てを受け流すことはできない。
「娘さんたがら甘えてるのよ。」
ケアマネジャーさんはそんな言葉をかけてくれくが、怒鳴り散らす父を怒鳴る私がいる。
あ〜。辛い。
介護を辛いと思ったら長く続けるのは難しいと言われた。全くその通りだ。もう、無理かもしれない。
「ただいま〜。お腹すいた。ご飯!」
呑気な娘の声がなおさら癪に障る。娘を睨みつけて小言の1つでも言ってやろうかと思った時、足元で猫のトラ吉が私の足に頭を擦りつけながら「ミィ〜」と鳴いた。
お前もご飯の催促か。なんか嫌味を言う気も失せた。
「はい。はい。ご飯ね。トラ吉の分もね」
キッチンへ向かう私。「ミィ」「ミィ」と鳴きながら後を付いてくるトラ吉。
「お母さん。顔怖いよ。ほら、トラ吉も心配してる。おじいちゃんのことで大変なら言って。私もできることはするから。」
娘からの思いがけない言葉に娘の方に振り向いたまま動けずにいた。
「何よぅ〜」
「だって〜、あんたにそんなこと言われるなんて思ってなかったから。お母さん。嬉し〜。う〜。トラ吉もありがとう〜。」
涙が溢れ出て持っていたタオルで顔を押さえた。嬉しかった。娘が私の辛さ分かっていてくれたことが、本当に嬉しかった。
自分だけではできないと思いながらも、自分の父親の介護だから私がやるのは当然だと1人で背負っていたのかもしれない。
ヘルパーさんだけでなく、家族にもっと相談していけばいい。できることを手伝ってもらえばいい。こんな簡単なことにも気がつけなくなっていたのだ。
夕食を美味しそうに食べる娘とトラ吉。優しい1人と1匹を眺めながら、心が温まる思いがした。
衣替えとともに秋が深まっていく。
季節が過ぎ
訪れる冬に
気がつくのは。
いつもあなたの白い息が出てる頃だった。
わざと長めのマフラーを
あなたにプレゼントして。
それも一頻りのことで
春が来ればまた違う。
『衣替え』 RISU
君は一張羅で良いねえ。
日当たりの良い縁側で寝っ転がって寛ぐ君にそう言えば、庭を眺めていた綺麗な緑色の目が此方に向けられた。
こんな面倒臭いこと、しないで良いんだからさあ。
山と積まれた夏向けの衣類を一つ一つ畳んで収納ケースへと入れていきながら、眠そうに目を細めている君を横目で見る。
少々不服そうに鼻を鳴らした君が、大きな欠伸をしたかと思ったら、自分の後頭部を後ろ足でガガガッと掻きむしった。
ああっ、なんてことをするんだ。
風に乗って此方へ押し寄せてきた大量の抜け毛が収納ケースの中へ吸い込まれていくのが見えて、盛大な溜息を一つ、畳んだTシャツを毛塗れのケースの中に押し込んだ。
テーマ「衣替え」
『心で思った本音をオブラートしてみた』
久しぶりに聞いた声に振り向いて
目線を下げない癖も変わらず
私は弱さを見せられる人と一緒にいて
うまく言えないけど貴方は強く在らないと
いけない立場からこちらを見ているのね
私の苦労まで背負い込まなくていい。
泣いてる顔も愛おしいと思えた時に別れを告げて
ありがとう
普通になりたい。
目が覚めたら普通になっていますように。
「気持ちいい天気ね」
「今年の梅雨は雨が多かったから、洗濯物が溜まっちゃって」
「子ども達も大きくなったから、着物も作り直さないとね」
そう賑やかにおしゃべりをしながら洗濯を干しているのは寧々のお母さんとお母さんのお姉さん、寧音のおばさんだ。
真っ青な空の下に干された家族の衣類たち。
お父さんやおじいさんの大きな着物の下に潜り込んでかくれんぼ。
赤ちゃんの小さい着物を干すお手伝い。
お姉さんたちの着物はもうじき私が着ることになるのかな。
「洗濯完了」とお母さん。
香具山の新緑を背に真っ白な着物たちが風に吹かれて揺れている。
寧音は間も無くやってくる本格的な夏が待ちきれず、洗濯物の周りをぴょんぴょんと飛び跳ねている。
『春過ぎて 夏来にけらし 白妙の 衣干すてふ 天の香具山』
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お題:衣替え
百人一首の中で大好きな持統天皇の句です。
「衣替え」というとなぜかこの句を思い出します。
この時代に「衣替え」という文化があったかは知りませんが、夏を迎える前のわくわくを昔の人も感じていたんじゃないかと思います。
衣替え
押し込まれた跡が残る
少し毛羽立ちが気になるセーター
広げると
ふわり
懐かしいような
真新しいような
甘ったるい花が咲く
はて、こんなもんだったか
記憶と照合を繰り返しつつ
ひとつ
ひとつ
あるべき場所へ
いらっしゃい
おかえりなさい
今年もよろしくね
捨てる
毎年この時期になると憂鬱になっていた
誰がこんなに着るんだと思う物量
捨てるとわかる 自分がなにを何が好きなのか
衣替え
半年前には、
当たり前に袖を通していた服も、
今は少しだけ、新鮮に映る。
爽やかな色のシャツや、
お気に入りのTシャツを、
仕舞い込むのは、
どこか寂しいけれど。
柔らかくて、温かな、
セーターに顔を埋めると、
懐かしい、あの冬の日の、
柔軟剤の香りが、ふわりと漂った。
鏡の前で、
ひとり、ファッションショー。
マフラーや手袋を手に、
少しだけ気の早い、
冬の装いを思い描いてみる。
だけど。
全然進まない、衣替え。
気が付けば、ボクは、
どんどん楽しくなっていた。
コートの出番は、もう少し先かな。
そう思いながら、
少しだけ、羽織ってみて、
鏡の前でくるりと回ってみる。
「遊んでばかりいないで、
さっさと作業を済ませなさい。」
いつものように、
彼奴のお説教が、
飛んできたけれど、
今のボクには、その声さえ、
不思議と、心地良かったんだ。
冬は、もうそこまで、
やって来ているんだ。
クリスマス、大晦日、お正月。
楽しい冬が、きっと、
ボク達を待っているから。
この言葉を見て最初に浮かんだのは、服の衣替えではなく、季節によって色彩を変える山だ。桜色とか緑色とか紅葉色に染まったり、雪を纏ったりと、山も季節に合わせて着こなしている。
今日は私の衣替え
朝から忙しい
昨日は抜け殻の中で眠りこけた
何もかも捨て去って
今日から新しい私を着る
何もなかった。何も苦しくなかった
誰かに抱きしめて支えてほしいような
いつもより寒い冬も凍えたような心もなかった
そんな元気な明るい私を着て生きる
いつもより暖かい花の匂いを纏って
明るい色の服を着てるんるんでおうちをでる。
今日もまた行ってきます。
同じことの繰り返しだけど違う
ありがとう衣替え
『クローゼットに想いを』
過ぎる季節に忘れものがないかと 畳むTシャツ
思い出すのは 花火とピアノ まるで眠る気配の無い夜だ 想いに耽って お腹が鳴るよ 食事を摂って
今を暮らすよ
衣替え。早すぎた冬服。
なんだか張り切ってるみたいで自分が馬鹿みたい。
薄着だと肌寒くて、でもその方があなたの温かさを
感じられていいかもなんて、考えたりして、
でも結局溢れるほどの思いは、
オーバーサイズのパーカーの中じゃないと
おさまらない。