君は一張羅で良いねえ。
日当たりの良い縁側で寝っ転がって寛ぐ君にそう言えば、庭を眺めていた綺麗な緑色の目が此方に向けられた。
こんな面倒臭いこと、しないで良いんだからさあ。
山と積まれた夏向けの衣類を一つ一つ畳んで収納ケースへと入れていきながら、眠そうに目を細めている君を横目で見る。
少々不服そうに鼻を鳴らした君が、大きな欠伸をしたかと思ったら、自分の後頭部を後ろ足でガガガッと掻きむしった。
ああっ、なんてことをするんだ。
風に乗って此方へ押し寄せてきた大量の抜け毛が収納ケースの中へ吸い込まれていくのが見えて、盛大な溜息を一つ、畳んだTシャツを毛塗れのケースの中に押し込んだ。
テーマ「衣替え」
10/22/2024, 7:56:03 PM