「気持ちいい天気ね」
「今年の梅雨は雨が多かったから、洗濯物が溜まっちゃって」
「子ども達も大きくなったから、着物も作り直さないとね」
そう賑やかにおしゃべりをしながら洗濯を干しているのは寧々のお母さんとお母さんのお姉さん、寧音のおばさんだ。
真っ青な空の下に干された家族の衣類たち。
お父さんやおじいさんの大きな着物の下に潜り込んでかくれんぼ。
赤ちゃんの小さい着物を干すお手伝い。
お姉さんたちの着物はもうじき私が着ることになるのかな。
「洗濯完了」とお母さん。
香具山の新緑を背に真っ白な着物たちが風に吹かれて揺れている。
寧音は間も無くやってくる本格的な夏が待ちきれず、洗濯物の周りをぴょんぴょんと飛び跳ねている。
『春過ぎて 夏来にけらし 白妙の 衣干すてふ 天の香具山』
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お題:衣替え
百人一首の中で大好きな持統天皇の句です。
「衣替え」というとなぜかこの句を思い出します。
この時代に「衣替え」という文化があったかは知りませんが、夏を迎える前のわくわくを昔の人も感じていたんじゃないかと思います。
10/22/2024, 7:16:17 PM