『行かないで』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
行かないで
声に出せない
心の叫び
気が付いてしまう
思っていた以上の
君への想い
今、手を離したら
君が、君がいなくなってしまう気がして
ぐっと力を込めた。
いたい、いたいよ、って君が言うから
僕も、僕もいたいよ、いたいよ、
ずっといたいよ、とさらに力を込めた。
どこにも行かないで欲しい。
僕だけを見ていて欲しい。どうか、君の綺麗な瞳で
僕だけを、写していて欲しい。
ずっと一緒に居たいよ。
私は誰かの特別になりたかった。
誰かに特別にして欲しかった。
そのために友達全員と
平等にフレンドリーに接した。
八方美人すぎて
自分でも気持ち悪く感じた。
裏の顔がありそう、
何をしても怒らなくて逆に怖い、
そんなことを言われて
結局誰もいない部屋で
孤独にまみれていた。
誰も違う感じがしたり、
みんないい感じがしたり、
気持ちはいつも曖昧で
境界がわからない。
いつかに読んだ
小説のセリフを思い出した。
死にたい、愛されたい、死にたい。
確か、
夫が亡くなって、絶望して、
育児放棄した女性のセリフだったかな。
私には愛する人すらいないっていうのに。
好きだとわかる、
愛してるとわかることは
誰にでもできることじゃない。
私にはできなかった。
ぼやぼやっとしていて
何も変わらなさそうな感じがした。
虚無な夜を過ごす時もあれば、
泣き叫びながら
布団を被る夜を過ごす時もあった。
人に飢えているみたいで
吐き気がした。
自己嫌悪が激しかった。
行かないで。
どこかの誰かさん。
私を置いて行かないで。
連れてって。
どこまでもついて行けるの。
私、ここじゃないどこかへ行きたいの。
"Good Midnight!"
イベントも何も無い今日。
適当に漫画を買って
ラッピングして
深夜に適当な家の窓に投げ込んでいく。
漫画で人が幸せになれるかって言ったら
そんな事あるはずないけど、
きっといる。
この変なプレゼントを喜んでくれる人が。
朝方、
適当に散歩していると、
うええおぉうおあああ!!!
という声と
あ、これ好きいいい!!という叫び声が
私が漫画を投げ込んだ一軒家から
聞こえてきた。
ああ、
私、まだ大丈夫かも。
朝日が眩しくて
目を細めた。
《※フィクションです》
突然だが私の父は消防隊員。母はとある企業のOLだ。
私がふらふらと目を擦りながらリビングに行く頃には既に父の姿はなく、母が私のお弁当を作ってくれているのが当たり前の日常だった。
私がおはようと言えば、母がお弁当作っておいたから食べてねと言う。
私が今日は雨だねと言えば、母が傘を忘れないようにねと言う。
タオルを持っていくことにしよう。
それが日常。当たり前の光景。
先月の誕生日で、父が私に買ってくれた白を基調としたシンプルなデザインの傘をさして家を出た。
学校に着くと、何人かの生徒が制服が濡れたと嘆いているのが聞こえた。
私も靴下が濡れた。
仕方なく靴下を脱ぎ、鞄の何も入れていない小さいポケットにそれを突っ込む。
帰ったら鞄も洗わないといけなくなった。少し面倒。
雨の日の教室は、どこか不思議な感覚。孤独感に近い、何もかもが空っぽになったような感覚。
でもその感覚が心地よかったりもする。何故だろう。
学校が終わる頃には、先程まで降り注いでいた雨なんてまるで夢だったとでもいうような快晴に変わっており、あまりの眩しさに目を閉じる。
正門をくぐるタイミングで、カンカンカンと耳を劈くようなサイレン音を鳴らしながら消防車が数台、通り過ぎて行くのが見えた。
私は興味本位か、その消防車が走っていった方向へ流れるように足を進めた。
着く頃には野次馬ができており、撮影をしている人もいた。
野次馬を掻き分け先頭へ行くと、木造の古い一軒家が赤く燃えているのが見えた。
確か住んでいたのは、80代のおばあさんだった気がする。毎日庭の掃き掃除をしていて、何度か話したことがある。
幸せそうに笑いながら、家族の話を良くしていた。
私がおばあさんは大丈夫なんですかと聞けば、野次馬を制止していた消防隊員は救助したので無事ですよ。お知り合いですか?と聞いてきたので何度か話したことがありますと答えた。
どうやら朝から体調が悪かったらしく、何とか台所に立ってみたものの、火を消すのを忘れたまま寝てしまったのが事の発端らしい。
体調は心配だけど、無事なら良かった。
安堵していると、野次馬の中から母が出てきた。
母は焦ったように猫は?猫は?と何度も聞いてきた。
私が猫は見てないと答えると、母は無言で燃え盛る炎の中へ走り出した。
消防隊員が気づき、強く引き留めようとするも聞かず、母は業火の中に消えていった。
私は訳が分からず、止めることができなかった。
火が消し止められ、立派に建っていた一軒家は湿った木の板になっていた。
そこから発見されたのは、燃えきらなかったおばあさんの私物と、母と3匹の猫の骨だった。
それを聞いた数日後に、父は自責の念にかられた末に自殺した。
私は泣けなかった。母の葬式の時も、父の葬式の時も。
親戚中からそれを非難されたけれど、言い返す気にもならなかった。
私は同時に、大切な人を2人も亡くした。
父と最後に話したのはいつだっけ。
母と最後に話したのはいつだっけ。
どんな会話をした?
あの喧嘩、ちゃんと謝れないままだったな。
あの時母が助けようとした猫。1匹は子猫で生まれてすぐだと言っていた。思えば、こんな話をした事があった気がする。
昨日、夫婦猫を見つけたのよ。
夫婦猫?
そう。メス猫は妊娠しているみたいで、近所に住むおばあさんの家で飼ってるらしいわよ。
おばあさん、猫飼ってた?
最近になって飼い始めたんですって。1人は寂しいからって。
いいね。私も会いに行こうかな。
結局、会いに行けないままこの結果になってしまった。
という出来事があったのが、2ヶ月前だ。
私は今、施設で保護してもらいながら生活をしている。突然の環境変化に慣れてはいないけれど、生活はできているので問題は無い。
毎夜とある夢を見る。
猫を抱えながら走り去る母を、ただ立ち尽くして見ていることしかできない夢。
たった一言が言えない夢を。
後編
2024/10/24㈭日記
昨夜はハッカスプレーの匂いと
光で眠れず。
そうですよねー。
自分の浅はかさに呆れる。
でも百足に噛まれるよりマシだと
慰める。
噛まれるとあまりの痛さで
トラウマになるんだって。
2回目に噛まれるとアナフィラキシーの可能性もあるかもって。
怖い。
昨日のお昼、百足対策を調べて
「安心を得られる、もっと早くして
おけば良かった」っていう方法を
知る。
昼ご飯を取らずに何しているんだろ……と思う。
安心を得られる方法、それは蚊帳!
とりあえず、自宅近くのホムセンから攻めて(問い合わせ)行く。
ちょっと田舎だからホムセンは多い。
今回、新しいホムセンも発見した。
でも無いって。
あとは今年の春、日記に書いた
巨大ホムセンに問い合わせしたら
「どちらの使用方法ですか?」って
逆質問されて、これはあるんだと確信。
テーブルの上に置く蚊帳もあるもんね。
お店にはやっぱりあった!
有り難い。
眠っている間に噛まれる人が
多いみたいで、1日でも早く安心を。
そして今日、無事に買えた。
ペッタンポイも、あと1本買って
別の部屋に置いておこうと(だって
百足の足は超速い)探したらなかった。
えーペッタンポイ、良いと思うのに。
変わりの商品が見本で置かれたんだけど「これって吊るしておかないと、
劣化しますよね?」って
ひろゆきさんが出た。
ペッタンポイは自立式。
クイックルワイパーと同じ。
でもペッタンポイを気にいって
オススメしているわけじゃない。
もっと大きなサイズにしてほしい。
田舎の虫大きいんだもん。
百足ってアレだけでなくダンゴムシも
追いかけて入って来るんだって。
あ……(以前の日記)
おやすみなさい(安堵)
あの人は出て行ってしまう。
「いかないで……っ!」
必死に手を伸ばすが、届くことはない。
「……はっ!?」
目覚まし時計は午前7時を指している。
「しまった、遅刻する!」
リビングの机に置いてあったスティックパンの袋を掴んで家を出た。
目尻に溜まった涙を雑に拭った。
窓の外を見つめて、ぼーっと考えごとをする。
ここ最近、何度も同じ夢を見ている。
「どうしたの? 隈できてるよ」
「ちょっと寝不足で……」
「夢ならたまに見るけど……。起きたら忘れてるからなあ」
「行かないで」とお願いするよりも、
「一緒に行ってもいい?」と言える人になりたい。
「いいよ。勝手に着いていくから」と言える域には
まだ達していないけど。
〈お題:行かないで〉
もやもやとした嫌な感じ。
なんだか、体が熱くて嫌な感じ。
スッキリとしない感じ。
行かないでと泣き喚いた。
シクシクと声を抑えるオトモダチ。
顔を下に向けて泣いている。
今世の別れ。或いは一生の思い出。
ずっとつづくとおもっていた世界の色が褪せてしまう。
私は泣いている。
でも、何に泣いているのかな。
モヤモヤとしたこの感情の正体が怖い。
私は何を悲しむのかな。
オトモダチが何処かに行ってしまう。
「…行かないでよぉ」
泣き疲れて掠れた声が嫌にピッタリだった。
あくせくする周りの人達は凄い“イイ人”。
・行かないで
お願い……行かないで
お願い……行かないで
お願い……行かないで
お願い……行かないで
お願い……行かないで
お願い……行かないで
おねがい……行かないで
おねがい…………いかない、デ
オネガィ………………イカナイデ
アハハハハハ……………………
そして私は心が壊れて、
人生というものを壊した
寝息を立ててる寝顔。
オムツでもこもこしてる後姿。
なんともいえない、もちもちのほっぺた。
私が見えないと、泣いて探してくれる声。
両手を広げて、だっことせがむ顔。
全部全部、なつかしくて。
過ぎた日々に、行かないで。と
思う事もあるけど。
少しづつ成長していく姿を見て、
これも悪くない。
あなたの未来が楽しみです。
『行かないで』
クリアケースに入れておいた心臓
アルコールなんかで踊る携帯電話
ありきたりに絡まった言葉の端々
欲しかった理解への複雑な避難経路
恍惚的に散った花びらたちの冒険譚
たしか間違っておいた先回りの確信
地獄行き
そっちじゃないよ。
行かなで
「ちょっと待ってよ!行かなで!」
「いいえ。私はもう行くわ。」
事務机から立ち上がり、鞄を手に持ち歩き出す。
「待ってよ。あなたがいなくなったら、私たちはどうしたらいいの?困るわ。」
「困る?困ればいいわ。そうすれば、自分で考えるでしょ。私は仕事をしているのよ。自分では勉強しない。人に聞くのはいいとしても覚えようとはせず、同じことを何度も聞く。覚える気はないわよね。
ああ。こんなこと言うとパワハラかしら。パワハラで訴えられる気はないから、異動を希望だしたのよ。」
「新しく異動してきたら分からないことを聞くのは当たり前でしょ。もう一人のあの子は何でも教えくれるわ。」
「教えてくれる?あの子の口ぐせは、私がやっておきます。でしよ。つまりあなたの仕事を変わりにやってくれるのよ。その時、あなたはその仕事を一緒に見に行きましたか?他にやることがあったのよね。仕方がないわ。でも、私は見に行くわ。次の時に対応できるようにね。考え方が違うから無理なのよ。この話しはおしまい。」
私はオフィスを出ようとしたが、彼女が追いかけてきた。
「待って。まだ話しは終わっていないわ。今までのことは謝るわ。仕事を覚えるように努力するわ。でもこの忙しさでは勉強する時間も丁寧に教えてもらう時間もないでしょ。」
「時間がないなら、私が手伝いにくるからその間に休憩室であの子に分からないことを教えてもらって下さい。危機感を持って欲しい。あなた、私より先輩でこの仕事も長いでしょ。持病があることを考慮しても、責任感を持って欲しい。あの子は時短勤務だから、帰ったあとはあなたが責任者になるのよ。」
「責任者って。急にそんなこと言われても困るわ。」
「困る。困るって。こっちが困るのよ。あなたが異動してきたら少しは仕事が分担できるかと思っていたのに、結局は私がやるのね。それもあなたにも教えながら。あなた、自分が何を渡しているかも分からない物をよく取り引先に渡せるわね。私にはできない。やっぱり考え方が違うのよ。歩み寄れないでしょ。」
彼女を振り切りエレベーターに乗り込む。俯いたままの彼女。もう追いかけては来なかった。
次の週明け。パワハラ委員会なるものに呼び出され、指導のあり方について幾つか尋ねられた上に厳重注意を言い渡された。
注意で済んだが、前の部署への手伝いが増やされていた。
パワハラについては匿名でのメールが届いたそうたが、誰が送ったかは明白だ。
やはり時代は私をパワハラと認定した。時代がそう決めただけで、私は仕事を真面目にやらない人、何でも丸投げにする人、仕事をしているつもりで無意識に楽な仕事を選ぶ人とは仕事はできない。
パワハラ上等だ!
こんなのパワハラだ。異動して来たばかりの頃は優しかったのに、急に厳しくなった。イヤ。意地悪になった。
通院のために休みたいと行ったからだろうか。電話に出ると誰からの電話なのか、内容がなんだったのか分からなくなることがあると言ってからだろうか。持病があるのは事実だ。大変な中で、できることをやってきた。それなのに、あんな言い方しなくてもいい。あんな言い方されたり、無視されたら誰だってパワハラだと言いたくなる。私は私の仕事をしている。仕事を覚えようともしている。
あの人は、前からこの部署にいるのだから仕事が分かっているから業務の多さに気づいていない。
あの人の指導の仕方が間違っているし、コンプライアンスも間違っている。
本当に意地悪だ。仕事の仲間に「困ればいい」なんて時代錯誤もはなはだしい。私より若いのになんて時代遅れなのか。
パワハラ委員会からの呼び出しもあったようだしあの人も変われば、この部署も良くなり仕事がしやすくなるはず。
「おはようございます」
「…」
無視された。なんで。パワハラ委員会呼ばれたのに反省してない。どう言うつもりよ。無視って。意地悪すぎ!
「行かないで」と引き止めたけれど、その必要は全くなかった。人はそんなに簡単には変われない。こちらが優しく接しても、相手には届かないこともある。こんなの意地悪ではない、イジメだ。大人のイジメは悪質で陰湿だ。
また匿名のメールを送らないと分からないらしい。
行かないで
行かないでって思う人ほど
遠くに行ってしまう
そんな気がする
あんなに大好きな人だったのにな‥
近くにずっといたかったのにな‥
思い通りにならないことたくさんあって
思い通りにいくことは少ない現実
それでも無い頭をフル回転して
思い通りにいくように事を進めて過ごしている
疲れたな‥
って感じる時もあるけれど
考える事それが人の生き方なのかもしれないな
だから頑張って頭を回転させている私は
人としてちゃんと生きているのである
僕と君は、この世界で2人だけの魔法使いだった。
僕らはふたりとも、他の人間は持たない金色の眼と銀色の髪を持って生まれた。
僕はあらゆるものを壊す魔法を、君はあらゆるものを癒す魔法を得意とした。
僕らはまだほんの赤ん坊の頃に捨てられ、孤児院で育った。僕らの姿は、かつてこの世界を滅ぼそうとしたたった1人の魔法使いとよく似ていたからだ。
周りの奴らは、僕らを気味悪がった。食事抜きもよくあること、鞭で打たれたり、階段から突き落とされたりもしょっちゅうだった。
僕は、君以外の人間が大嫌いだった。だから、いつか必ずこの世界を壊してやると決めた。
図書館に忍び込み、文献を読み漁った。独自に理論を組み立て、世界を壊す為の知識をため込んだ。
そうして、魔力を注ぎ込むと全世界に大地震を引き起こし嵐を呼ぶことができる場所を発見した。
僕は1年前、君を連れて、そこへ行く旅に出た。
そしてついに今、そこに辿り着こうとしている。
「行かないでくれ」と、君は言った。
ずたぼろの格好で、痩せ細った身体で、僕を引き止めようと必死に僕の腕に縋った。
君はどうしてそんなになってまで、この世界を庇うんだ。僕は君がこの旅の道中、人助けをしているのを何度も見た。一時は感謝されても、結局は気味悪がられて石を投げられるのに。それがわかってても君は助けるんだ。僕が何度「行くな」と止めても、君は助けに駆け出してしまう。君は、人を助けずにはいられない人なんだ。君はあまりに優しすぎる。
僕は君のそういうところが、大好きで、大嫌いだった。
「僕は行くよ。優しい君を痛めつけるばかりのこの世界に価値なんてない。全部壊して、作り変えてやる」
僕は君の手を振りほどいた。君の周りを魔力の壁で箱型に囲う。これで、僕がこれから起こす破壊に君は巻き込まれない。
僕は踵を返して、目的地へ歩きだす。
目の前には崖。目的地はこの下の谷の底にある。
「行くなよ、やめてくれよ!おれは、今までと変わらない生活でいい。おまえとふたり一緒ならそれで充分なのに!」
魔力の壁を叩き叫ぶ君の声が聞こえた。
君は何もわかってない。今まで通りじゃ、僕が駄目なんだ。人を助けて傷つく君を、僕はこれ以上見たくないんだ。
僕は躊躇わず崖から飛び降りた。
フワリと風を纏って谷底に着地する。
目的の場所はすぐに見つかった。僕はついに辿り着いたのだ。
手をかざして、今ここに割ける全魔力を注ぎ込んだ。
大きな地鳴りがやってくる。遠くで雷が轟く。これから人をたくさん殺す災害の足音だ。
やっと、君を傷つけない世界がやってくる。
僕はひとり、口元に笑みが浮かぶのを止められなかった。
「行かないで」
左腕を引かれて、私はすっぽりと彼の胸の中へと包まれてしまった。長くて大きなその腕は震えていて、押し返せばすぐに解放されそうだ。
「行かないで、というわりにはずいぶんと弱々しいのね」
彼の顔は見なかった。きっと見られたくないだろうと思ったから。
「行かないで」
行かないで、パパ。
行かないで、ママ。
行かないで、貴方。
行かないで、みんな。
私を置いてどこへ行くの?
子供の時、迷子になったりよくある話だよね。
あの恐怖はずっと覚えてる
行かないで
: 行かないで
私はなりふり構わず走った
どこをどう走っているのかもわからない
ただ、この機会を逃してしまえば
もう二度と会えないことを知っていた
どこっ、どこへ行ったの…
微かに聞こえるあの音だけを頼りに
私は尚も走り続ける
いたっ、やっと見つけた!
なのに屋台の親父は
私の姿を見るやいなや
猛スピードで逃げようとする
お願い、待ってぇ~、行かないでぇ~
私の焼き芋~!
私はそう叫びながら
ガバッと起きた
とある休日の昼下がり
娘を眺める母の目が
悲しげに笑っていた…
桜月夜
行かないで
夢の中で…あなたに
会えるの
あなたのぬくもり…
感じて温かい
行かないで…
目が覚めたら
あなたがそばにいないの
さみしいの…
行かないで…
そばにいて…
夢の中で
また会おうね…
「行かないで」
「行かないで!」
私は君の後ろ姿を見て、手を伸ばしながら言った。
私の伸ばした手は、君には届かなかった。