「行かないで」左腕を引かれて、私はすっぽりと彼の胸の中へと包まれてしまった。長くて大きなその腕は震えていて、押し返せばすぐに解放されそうだ。「行かないで、というわりにはずいぶんと弱々しいのね」彼の顔は見なかった。きっと見られたくないだろうと思ったから。
10/24/2024, 12:26:33 PM