『行かないで』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
行かないで
心で何度も叫んだ
そりゃそうだよね
君は気づけない
頭で考えずポロッと言えたらいいのに、、
ねえ、行かないで。お願いだから
行かないで
「っ…行かないで!!」なんて…こんな台詞言う資格もないのにね。
何も言わないまま
行かないで
罵ってもいいから
黙ったままで
消えないで
………行かないで
「行かないで」とかけまして
「役職は変わらない」と解きます。
その心はどちらも「移動/異動」しないでしょう。
行かないで
どこに行くの?
どうして置いて行くの?
いつ帰ってくるの?
私も連れて行って。
一緒に行きたい。
お願いだから。
行かないで。
行かないで
どこにも行かないで
何もしないで
淋しい‥
『行かないで』
行かないで、なんてすがりつくことができたのなら、今も私の隣はあなただったのだろうか。
あの時にあなたが言ったのは行かないで、なんて可愛らしいものじゃなくて、行くな、というなんとも上からの言葉だったけど、その震える手と縋りつくような瞳は確かに行かないで、という色を宿していた。
振り払おうと思えばいくらでもそうすることができたのにしなかった理由を、あの時の俺は知らなかったけど、今ならきっとわかる。
俺だって、きっと、あなたのことが好きだったんだ。
結果的に俺はあなたを選んで、あの人を捨てたことになったが、その選択を後悔したことはない。
後悔する暇などないほどに、あなたに愛された自覚があった。あなたを愛した自覚があった。
人生の全てを捧げられるほどに、俺の今までをたった一言でひっくり返してしまったあなたが、大切で、愛おしくて、何よりも美しかったんだ。
行かないで
(お題更新のため本稿を下書きとして保管)
2023.10.25 藍
本当はいつだって言いたかった。
「あんたのせいで慰謝料貰えなかったけど、あんたがいたら再婚もできないもんね」
母が慰謝料の放棄と引き換えに、父に自分を押し付けて出て行ったときも。
「まったく、面倒なものを置いていきやがって。金だけは出してやるが、迷惑はかけるなよ」
父が自分を放置して、不倫相手と築いた新しい家族の元へ通っていくときも。
「先生はここまで。おうちでお父さんのこと待っててね」
体調不良で早退することになり、家まで送り届けてくれた保健医が帰ってしまうときも。
誰にも言うことのできなかった願いは、決して叶うことはない。
今まで彼女を幾度となく乗せた車の中。彼女にはバレてしまったけれど、彼女の前では控えていた煙草に火をつける。
「逝かないで、ほしかった」
もう届くことのない願いが弱々しく響いた。
おかえり。貴方の待つ家にずっと帰り着きたかったよ。着慣れて草臥れたエプロンを、笑って伸ばしたりしたかったよ。行かないで、って、縋ったりしたことはない。信じてるみたいに目を逸らしていたのかなあ。
跳ねるような陽射しに笑って、足音に合わせて前を向いて、大きくなった背丈を追い越さないでいたくて、自分はずっと、ここで。ここに…いつしか…いないもの…を、見なければ信じてられると思ってた。
「伝えたいことがある」
彼氏からLINEがきた。
私は大学1年から5年間付き合った彼氏がいる。
彼氏の名前は奏士。とても優しい。
ある日奏士からLINEが来た。
「伝えたいことがあるから、今からいつもの公園に来て。」
そんなLINEだった。いつもの公園とは湊公園。最初にデートしたのが湊公園だったから、思い出の場所だ。
伝えたいことがあるからって、、、。なんだか鳥肌が立った。嫌な予感しかない。そう思いながら、重い足を動かす。
「好きな人が出来た。別れよう。」
だったらどうしよう、、、。最近の奏士はどこか落ち着かないようすだった。そう思いを巡らせているうちに公園に着いてしまった。入口から50m離れたベンチに奏士が座っている。行きたくない、嫌だ。でも行かなきゃ。大丈夫!きっといい話!そう自分に言い聞かせながら、笑顔をつくって奏士に話しかけに行った。
「やっほ!奏士。話ってどーしたのー?」
「あぁ。話っていうのは、」
ドキドキと鼓動が大きくなっていく。鼓動を抑えながら奏士の次の言葉を待つ。
すると、奏士が地面に膝をついて、ポケットから小さな箱を取り出した。その中に入っていたのは指輪。
「結羽。君のことを一生幸せにし、一生一緒にいたい。だから、結婚してください!」
待ち構えていたのは、プロポーズだった。私は気が抜けた。別れ話じゃなくて良かった。答えは1つ!
「はい!お願いします!」
「いま行く」と
からりと笑い
なかよさげ
いつも僕は
でんしょばと
諦めて『名前を付けて保存』する
時計の針は止まってくれない
行かないで
たぶん、それを言ったらもうおしまいなんだと、目を合わせた時に理解した。
真っ直ぐ前だけを見ていたあいつが、オレを振り返ったことこそキセキ。
「いってらっしゃい」
「うん」
今日も変わらず、跳ねるように駆けていく背中を見つめる。
時々振り返って手を振るのが愛しくて。
まだこちらを認識しているのが嬉しくて。
できれば長く、この日々が続けばいい。
「いってらっしゃい」
「……」
「どうした?」
「んーん、いってきます」
いつも通りのはずだった。
いつも通り、送り出して、そして。
―好きなタイプ?
―ソクバクしてくるのはあんまり……
「……っ」
気付かれたのかな。
敏いあいつのことだから。
感じ取ってしまったのかな。
口に出してしまいそうだった気持ちを封じ込めて、大きく深呼吸した。
〜♪
聴こえてきた電子音は、着信を告げるもの。
誰からの着信なのか確認すると、さっき出掛けていったはずの人間だった。
忘れ物でもしたんだろうか。
軽い気持ちで耳に当てる。
「どうした?」
『何か言う事ないの?』
「…………え?」
『オレ、そこまで薄情じゃないつもりなんだけど?』
「え、と……なに……?」
『言ってよ、あなたの思ってることそのまま』
「……」
だって、それはさ。
おまえが一番嫌うことだろ。
面倒くさい奴だって、思われたくないじゃん。
『あなたなら良いよ』
「……は?」
『知ってるよ。あなたがメンドクサイのも、カッコつけなのも、全部。それもひっくるめて全部好きなオレを信じてよ』
「……な、なっ」
頬が熱い。
変な汗が出る。
どうしよう。
今絶対顔緩んでる。
こんなトコ見られたくない。
「だから、ほら。ね?」
「〜〜〜〜ッッ」
いつの間にか奴は後ろにいて、催促するように首を傾げている。
びっくりして振り返ったら、何故か楽しそうに笑う。
かわいい。
そんな声が聞こえて、身体が跳ねる。
なんて面で、なんて声出しやがる。
「ほらほら、言って言って」
「……」
「ちょっと聞いてる?」
ぐるぐる周りを動き回りだすから、だんだん腹立ってきた。
ぐい。
胸ぐらを掴んで、睨みつける。
「……っ」
けれど、ずっと口に出さないようにしていたことを今更口にするのは普通に喋るよりずっと緊張する。
きゅっと唇を噛んだオレに、奴は笑顔で待ち望んでいる。
胸ぐらを掴む手に力を入れて、大きく息を吸い込んだ。
「ッ行くなよ!今日は、今日ぐらい……オレといて……」
「はい!!」
伸びてきた腕に抱き締められて、目を瞬く。
顔を見られなくて良かった。
絶対見せられない赤さになっている。
頬が擦り付けられた。
「でも今日……誕生日パーティあいつらが開いてくれるんじゃ」
「ああ、それ嘘です」
「は!?」
「どうすれば素直になってくれるか皆で考えたんですよー」
褒めてー、みたいな顔をされて、ぶん殴ったオレは悪くないと思う。
お題「行かないで」
行かないで(2023.10.24)
『お話したいことがあります』
そんな文面で始まるLINEの通知を見て、一瞬ぎょっとした。相手によっては、なんだかこちらに都合の悪い話をされそうな書き出し。しかし、送り主は最も親しい友人で、最近喧嘩などしたわけでもない。どうしてこんな改まったような語り口なのだろう、と訝しむ気持ちと、薄々何の話題かを察したような気持ちのまま、LINEを開く。
『あの人と、お付き合いすることになりました』
「あ、やっぱり」思わず声に出して納得してしまった。最近ずっと友人の恋愛相談もどきのようなものを聞いていたので、それほど大きな驚きはなかった。とはいえ、やはりおめでたいことなので、言葉を尽くして祝福のメッセージを送る。
そうしてしばらく会話が続いた後、一息つくと、俄かに猛烈な寂寞が胸に湧き起こった。
いやいや私よ、あの子に恋人ができたところで、私たちが友達であることには変わりないじゃあないか。それとも、構ってもらえる機会が減るのが寂しいのか?友人より恋人を優先するのなんて当たり前だし、きっとこれからも無下にはされまい。何をそんなに悲しむことがあるものか。そう自分に言い聞かせても、やっぱりわだかまりは残る。
意味もなく友人とのLINEの会話の跡を眺めながらしばらく考えて、あぁ、と得心した。きっと私は、置いていかれるのが寂しいのだ。いつまでも子供っぽい私と、青年期の複雑な感情を抱えたあの子。「恋人」という、私自身には想像もつかないような関係性を持ったあの子。それが、なんだか私だけ取り残されているようで、置いていかれたようで、どうしようもなく寂しいのだろう。
気づいてしまえば、なんとも子供っぽい、誰かに話すのも憚るような、くだらない心情だ。こういう気持ちに区切りをつけなければ、いつまで経っても置いていかれたままだと。そう、わかってはいるのだけど。
私を置いて行かないで。今日だけは、そう思ってもいいだろうか。
「行かないで!」
あの頃はとても幼かった。久しぶりに遊びに来てくれたおばあちゃんが、実家に帰ってしまうのが悲しくて、泣きながら言っていた。
今では従兄弟の○○ちゃんが、私が帰るたびに泣きわめきながら言ってくれる言葉。でも、多分あとちょっと時が経つと、私のために言ってくれなくなるだろう。
これが成長ということなのだろうか。少し大人になって、きっとまた会えると思ってしまうのだろうか。なんだか寂しい気がする。
もし今、誰かが言ってくれたら。または幼かった私にこう答えるだろう。
「会えなくても、想いは繋がってるよ!」
行かないで。
彼はいつもそう思っていた。
また、置いていかれてしまうと。
友達がまたいなくなってしまう。
だから、仲良くなるだけ辛くて。
ある時、彼はさよならだけが人生という言葉を知った。
そして気付いたら独りを選んでいる。
だから今日も独り。
「行くのか」
老人は声をかけられたことに驚く。
「ほう、儂に気づいておったのか」
老人は興味深そうに声の主の男を見る。
「ああ。あんた、ぬらりひょんなんだろ」
「その通り」
ぬらりひょんと呼ばれた老人はクツクツと笑う。
「なぜ分かった?」
「そうだな、この家には主人がいないって知ってるからかもな」
「なるほど。そういうこともあるか」
ぬらりひょんは仕切りに感心していた。
「どこに行くんだ」
「ちと渋谷へ。ハロウィンにな」
「さすがにハロウィンはまだ早いだろう」
「早めに行って渋谷がよく見える家に居着こうと思っておる」
「ハロウィンに思い入れがあるのか」
「思い入れはないが、仲間たちが集まると聞いてな。百鬼夜行でもしようかと思っておる」
「そうなのか」
男は老人に目をじっと見た。
「何じゃ。まさか行くなと言うつもりか」
男は肯定した。
「ああ、行かないでくれ。この家には主人が必要だ。偽物でも」
「何言っておる。自分でも言うのもなんじゃが儂は邪魔者であろう」
ぬらりひょんという妖怪は、忙しい時にその家の主人のように振る舞い、お茶と茶菓子を食べてくつろぎ、そして帰っていく。
ただそれだけの妖怪である。
何の役にも立たない。
強いて言えば、作業の邪魔である。
「もう何ヶ月もいるだろ。何ならまた帰ってきてもー」
「お前、怖いのだろう。家の主人なるのが」
ぬらりひょんは男の声を遮る。
「それはー」
「子供が生まれるのだろう。自信がなくとも、この家を支える人間に、家の主人にならねばならん」
「俺には、出来ない。怖い」
「それでもだ」
老人は若者を諭すように話す。
「自信が無いのなら、周りを頼るといい。儂を見てみろ。一人では何もできん」
男は思わず吹き出す。
「話しすぎたな」
ぬらりひょんは玄関の方へ向かう。
男は黙ってその姿を見送る。
ぬらりひょんがドアノブに手をかけ、思い出したように話はじめる。
「一つ、言い忘れたことがある。この家を出る理由だが、実はもう一つある」
男は何も言わず、続きを待つ。
「一つの家に、主人は一人だけだ。二人は多すぎる」
そう言ってぬらりひょんは出ていった。
「ただいま」
ぬらりひょんが出ていくと同時に、妻が産婦人科から帰ってきた。
「検査、問題ないって。順調に行けばあとー、ってどうかした?」
妻が顔を覗き込む。
「何にもないけど」
「ほんとに?ならいいけど」
「あのさ」
「何?」
「俺、頼りないけど、頑張るから」
妻は笑う。
「なに言ってるの。いつも頼りにしてるわよ」
自信は相変わらず無い。
だけど、もうちょっとだけ頑張ってみようと思う。
生まれてくる子供のために。
ハロウィンまであと7日
『行かないで』
待って、ちょっと待って?
違うじゃん、私たちいつも一緒って言ったじゃん。
その人誰?新しい友達?私は大学でぼっちだけど。
え?恋人?私たち同い年だよね???恋人なんてできたこと......。
え?バイト始めたの?そんなに稼いでるの?うわぁ、友達と旅行?へぇ、私保護者同伴か修学旅行しか、.........。
それに、どうしても半年以上続かないんだよね。バイトで稼いだお金?貯金だよ。月々の定期代とか、.........うん、まぁおかげで一年くらい働かなくても困らなかったよ。
不思議だよね、私たち、同じ服着て、同じ鞄持って、同じ教室で、同じ黒板で勉強してきたのにさ。
あなたはそんなに遠くに.......。
行かないで
待って?行かないで?ねぇッてばっ!!
もしも、もっと早く気づいていたら。
もっと、楽しい日々を過ごせていたんじゃないか。
ねぇ、兄弟。
ごめんなさい。
あの時もっと俺がちゃんとしてたら。
一緒にいられたかもしれない。
親が離婚しちゃって。
俺、なんもできなかった。
ごめんなさい。
本当にごめんなさい。
ごめんね?ぼくおにいちゃんなのに、しっかりしてなくて。ごめんなさい。
だからお願い。
行かないで。