『蝶よ花よ』をテーマに書かれた作文集
小説・日記・エッセーなど
#116 愛されし蝶々
今日も舞う
華やかなライト
栄光の喝采
やまないアンコール
愛の紙ふぶき
休むことはありえない
私はみんなの私
いつの日か
舞えなくなる日が
来たならば
広げた羽をピンで留め
美しくおさまったガラスケースの中から
蝶よ花よと
愛されることになるのでしょう
「蝶よ花よ」
海の近くに旅行に来た。
海水浴を楽しんでから旅館のチェックインまで時間がある、私はお地蔵さんの絵が描かれたカフェに立ち寄った。
引き戸を開けると、瞬間にコーヒーの香り。人当たりの良い中年の男性が出迎えてくれた。ジャズピアノのbgmが程よく流れ、間接照明が暖かく照らす店内。お客は3組ほど。入った瞬間確信した、アタリだ。我ながらよく見つけた。ふふん。
深く沈んで思わず眠ってしまうのではないかと思うほど柔らかい椅子で、頼んだ抹茶ラテと珈琲ゼリーわらび餅を食べる。抹茶ラテは抹茶が濃く、程よく甘かった。ミルクが60度に設定されているそうで、冷たすぎることも無くとても飲みやすい。珈琲ゼリーわらび餅は、口に入れた瞬間きな粉の甘いさりっとした口当たり、噛めば噛むほど広がって、やがて餅の奥からゆっくりとコーヒーの香りが広がってくる。なんと贅沢なことか。
海水浴で疲れた体が糖分で癒されていくのを感じる。人にはやっぱり、ゆっくり寛ぐ時間が必要なのだ。あぁ、チェックインをもう少し遅くして、ミステリ小説でも持ってくればよかった。そうすれば、もう少しここに居れるのに。
家族と、友達と、華やかな時間を過ごすのも悪くない。だが、私にとってはこういうゆっくりと流れる時間が、蝶や花と同じくらい、大切なのだ。
#蝶よ花よ
蝶よ花よ、そう言って人を愛でるのは、
蝶が花の周りを舞っている様を
美しいと感じるからだ。
電気屋のテレビに写っているような花畑なんかは
その例だろう。
では、蛾よ草よ、と言うとどうだろう。
似た形をしていても、全くの別物になる。
手入れのされていない林などを思い浮かべてしまう。
「少年の日の思い出」に出てくる
クジャクヤママユは珍しい蝶だと名高いが、
その実、蛾である。
そう聞くと途端に美しくなくなったような気がする。
私の頭の中の蝶は、リアルな生物の姿ではなく、
"美しい"の象徴として存在しているのかもしれない。
蝶も花も、容易く壊れる
愛そうと思えば思うほど、それが出来なくなる
愛されるのが怖い私だって同じだ
愛すのも、愛されるのも、怖い
失うのに、何故か愛してしまう
どうせ私を置いていく癖に
君のせいだ
蝶よ花よ、私はきみたちに問いたい。
なぜ今日も変わらずきみたちは綺麗な色を身に宿し、今日も変わらず笑っていられるのか。
【蝶よ花よ】
カナコは蝶よ花よと甘やかされて育った。
両親は揃って晩婚で、歳を重ねてからカナコというひとり娘を授かったので、それも無理はない。
幼い頃から可愛らしかったカナコは、母に連れられてキッズモデルとなり、それ以降、「可愛い」だの「綺麗」だのとチヤホヤされる毎日だった。幸い、大学教授をしていた父の遺伝子も受け継ぎ、勉強もできる方だったので、学校では皆から憧れられ、いつでも注目の的だった。欲しいものはなんでも手に入ったし、多少のわがままも許された。
大学に入ってからもモデルの仕事は続けていたが、持って生まれた資質だけでは立ち行かないという事を思い知らされるようになった。可愛い子は掃いて捨てるほどいる。その中でも食事に気を遣い、欠かすことなく運動し、自分の長所短所を知り尽くした上で上手く個性をアピールする子だけが成功する。カナコなりに努力はしたものの、自分がトップクラスに食い込む程のものは持っていないということに、やがて気づいた。
モデル業を辞めて就職活動に専念するかどうか悩んでいる時に、自動車整備士の男性に出会い、恋に落ちた。彼はそれまでに出会ったどの男性とも違い、とても不器用で、一生懸命にカナコを愛してくれた。照れくさそうにしながらも毎日カナコの事を綺麗だと言い、真摯に向き合ってくれた。それで、モデルも就活も辞めて、彼と結婚した。
結婚する、と話した時、初めて親から反対された。すぐに結婚しなくても、どこかに就職して、しばらくしてから考えても良いんじゃないか、モデルの仕事だって、もう少し続けても良いんじゃないか、相手の男性の稼ぎだけで本当に生活できるのか、などと言われた。今思えば、彼との結婚に反対されたのではなく、カナコの行動が軽率に見えて、それを指摘されたのだろう。
カナコは反対を押し切って結婚した。二人の息子を授かり、贅沢はできないものの、幸せだった。夫は相変わらずカナコを溺愛していた。
息子が乳離れした頃、モデル時代の友人がアパレルブランドを立ち上げ、そのモデルをやらないかと誘われた。久しぶりに華々しい世界でまた働ける、とワクワクし、二つ返事でOKした。
そこで、あるカメラマンと出会ってしまった。あとはもう、どうにも説明がつかない。「惹かれ合ってしまった」としか言いようがない。彼はファッションやモデルの世界をよく知っていて、話が合った。カメラを通して彼から見つめられるたびに背筋がゾクゾクしたし、彼が撮ってくれる自分は今までで一番美しく見えた。若かった頃よりもだ。
しばらくして、彼の子を妊娠し、夫とは別れた。
家を出る最後の日、息子たちの寝顔を見た時は、さすがに胸が痛んだ。それでも、夫を裏切った自分が引き取るよりも、夫に託した方が良いだろう、と思った。夫は息子たちをとても愛してくれていたし、夫の実家も近いので、そう困ることはないだろう。夫に不満など何一つなかった。とても優しくて、良い人だった。自分に落ち度がある事は分かっていたが、自分の気持ちにも嘘は吐けないと、本気でそう思っていた。
今、40を過ぎてもなおそのスタイルを保っているカナコは、疲れた顔で深いため息をついた。両手には、栄養バランスを考えて作った料理をのせたお盆がある。子供部屋に向かう階段の前で、今一歩、足が進まない。
あれからカメラマンの彼と再婚し、息子一人、娘一人を授かった。今の夫が浮気をしていないなんて断言はできないが、なんとか結婚生活は続いている。生活レベルは随分と上がった。不自由なことはない。
娘が産まれた時は本当に嬉しかった。両親がしてくれた事を娘にもしてあげようと心に決めた。
13歳になった娘は今、心を固く閉ざし、もう何ヶ月も自分の部屋から出て来ない。
なぜだろう。あんなに、蝶よ花よとかわいがったのに――――。
柔い頬、大きな目、ほんのり赤い唇
ふにゃりと微笑む顔は天使のよう
この子が、これからの人生幸せであるように。
『蝶よ花よ』
花はただそこにある。
どんな時も一歩も引かず、凛と咲く。
蝶は素敵なものを探して、どこまでも羽ばたく。
羽を広げ、軽やかにステップを踏む
蝶よ花よ
両者共に美しい。
それぞれの花鳥風月を穏やかに見つめる。
[テーマ 蝶よ花よ]
「蝶よ花よ」8/9(水)
いつも美しく柔らかな愛情を注がれている
あなたを見るのが辛かった。
蝶よ花よと呼ばれることが私には無かったから
酷く羨ましかった。
一度も不幸が降りかかったことのない彼女が
とても穏やかな顔で私の頬を包み込んだ
「あなたはひとりじゃない」と
ひらりはらりと川沿いを歩いていると、煌々と怪しげに光る一軒の屋台を見つけた。
花に誘われる蝶のようにフラフラとその光に歩を向ける。
「いらっしゃいませ。何になさいますか。」
柔らかな声の方を向くと、バーテンダー姿の女性が立っていた。
一括りにまとめられた濡れ羽色の髪は、緩やかな弧を幾重にも重ねながら夜の闇に溶け込んでいる。
屋台でBARをやっているなんて珍しい。
そうしていると一杯のカクテルが出される。
次の日も同じ場所に向かってみたがそこに屋台は無かった。
蝶は‹不死・不滅›の象徴
花は‹愛情・美・幸せ›の象徴
蝶は美しく花の上を舞う
花は自然を美しく彩る
蝶の羽は脆い
一度破れてしまえば終わり
なのに蝶は不死・不滅の象徴
花は美しい
一度枯れてしまえば終わり
だが多くの種類を持ち、様々な顔を見せる
一つ一つに意味を持つ
お題〚蝶よ花よ〛
【蝶よ花よ】
私が笑えば、みんなも笑顔になれるんだって。
物心つくより前から、両親が何度も繰り返す言葉。
だから私は嬉しいときもそうでないときも笑う。
そうでないときなんて、ほとんど無いのだけど。
可愛いね、すごいね、って褒めるのは両親だけではない。
学校でも変わらなかった。小学校から高校まで。
みんな、きれいとか賢いとか言って私を褒める。
控えめな態度で謙遜すれば、本当だって言い募る。
家でも学校でも同じなら、バイト先でも同じだよね。
シフトの被った男の先輩に微笑んで話しかけた。
店に余裕があるときなら、少しのお喋りは許される。
でも、彼は心底鬱陶しそうに顔を歪めて無視をした。
なんなの、あの男は。帰宅後、ベッドを力任せに叩く。
私を優先しない人なんているはずがないのに。
「何を食べたい?」「何が欲しい?」すべて希望通りに。
苦手なものも嫌いなものも、私の世界にはいらないの。
だから、彼にも好きになってもらわないといけない。
私の世界からいなくならないのなら、好きになれないと。
きっと大丈夫。みんな、私を大切にしてくれるから。
可愛くて賢い私をいつまでも無視できるわけないでしょ。
シフトが被るたび、飽きずに話しかけた。
彼は冷たい目で一瞥しただけで、一言も発さない。
その頑なな態度が変わるとは思えないけど。
今さら引けなくなって、声を聞くまでやめないと決めた。
諦めずに話し続けて、どれぐらい経っただろう。
「あのさぁ」ようやく声を聞けた。
「よくそんな話すことがあるよね。暇なの?」
白い目と嘲笑。なんで笑顔になってくれないの。
【蝶よ花よ】
触れてみたいと思った。
艶やかな黒髪に、短い髭が生えて少しざらついている頬に、無骨で太い指先に、色も厚みも薄い唇に。触れてみたいと思った。思ってしまった。
「どうした?峯」
突然の声にハッとする。
おそらく無意識に観察してしまっていたのだろう。こちらを見あげている黒い瞳は少し戸惑いの色を含んでいた。
「珍しいな、峯がぼんやりしてるなんて」
「申し訳ありません」
「謝ることじゃねえよ。それより、一通り片付いたから飯でも食いに行かないか。腹がへって仕方ねえ」
「そうですね」
椅子の背もたれに身を預けて目頭を揉んでいる大吾さんの顔には疲労の色が浮かんでいる。頭の中に記憶してある飲食店のリストから今の大吾さんに合いそうな店をいくつかピックアップして伝える。
「んー。落ち着いた店もいいけどよ・・・今はハンバーガーの気分なんだよな」
「ハンバーガー?」
「ああ。スマイルバーガーが食いてえ気分」
(着地点が見つからないので途中まで。あとで編集する)
〜蝶よ花よ〜
歳を重ねる毎に綺麗になっていくあなた
あなたは私の誇りよ
あれはいくつの頃かしら
口紅がなくなっているのは
あなたの仕業だって気づいてた
お気に入りのワンピースも
あなたが気に入ったのなら持っていて
私の趣味ではないけれど
あなたが気にいると思って買ったアクセサリー
これもいずれはあなたの物ね
…こんな母を許して
あなたが輝く度に胸を痛めるこの母を
怖がりなこの母を
守る術を知らないこの母を
あなたが傷つき壊れてしまわないか怖くてたまらない
大切で愛しい私のムスメ
どうか幸せであれ
蝶よ花よと可愛がられた兄とは対照的な育て方をされたと自覚している私。言葉のイメージからすれば『蝶よ花よ』とくれば可愛らしく育てられた女の子が連想されるだろうが、我が家ではそうではなかった。
生まれたときから見目麗しく、しかし身体が丈夫でなかった兄。それこそ古い時代の「女の子の格好をさせておけば男の子を長生きさせられる」との言い伝えを忠実に守らせて、その格好が本来女として生を受けた私よりも愛らしかったようで。可愛い子を可愛がる、大人の庇護欲は大層満たされることであろう。
数年後に生まれた私は兎角平凡。健康上の問題もなく、見た目も美しくないかわりに不細工でもないと言われた。放置して自由にさせたほうが手がかからず、というか大人の負担面が軽かったのだろう。
そういうわけなので、私はこのように育ってしまった。
【蝶よ花よ】
家の掃除をしていたら、ガレージの奥にボロボロの菓子箱を見つけた。
なんだこれは、と厚く被った埃を払い、黄ばんだセロテープをピリピリと剥がしていく。
手触りの悪くなった紙製の蓋を取ると、箱一杯に大小様々なサイズの写真が入っていた。
一番上は何処かの飼い犬を写したものだった、手にとって暫く眺めていると、ああ、と思い出す。
昔、両親とよく遊びに行った公園の隣にあったカフェの看板犬。
艷やかな純白の毛色の、ほっそりとした大型犬で、生まれて初めて美しいと思った、……気がする。流石にそこまでは思い出せない。
一枚一枚捲っていって、ボロボロの写真に手が止まった。
ハサミで切られた端が折れ曲がり毛羽立ち、所々表面が剥げた、薄いセピア色の写真。
家族写真だった。
父と母の間に、まだほんの子供の私が座っている。
父も母も、私も、幸せそうな笑みを浮かべて。
ああ、あの頃は確かに幸せな時間が流れていた。
何時までも続くと信じて疑わなかった幸せな時間は、しかし、呆気なく終わってしまった。
――ねえ、パパ。
もしも、あのとき、何かしてあげられてたら、この結末は変わっていたのかな。
テーマ「蝶よ花よ」
蜘蛛のように狡猾で
蜂のように高貴な
あるいは
竹のように強かで
大樹のような貫禄を持つ
ものは山へ 隠され覆われ
蝶と花だけが大手を振ってひらひらと笑う
平易な美的印象の香りに絆される民衆
今日もそうして蚊を殺し 雑草を踏み潰す
石鹸とレースのハンカチで漂白された蚕は
コンクリートとアスファルトで固められた街並みを
何食わぬ顔で風を切って舞い歩くのだ
<苦手なもの>
題: 蝶よ花よ
─蝶よ花よ─
この世界は美しい。
とても美しくて、綺麗で、苦しい。
楽しく幸せに暮らしている人が居れば、
辛く悲しい暮らしを送っている人も居る。
有名になったあのアイドルの下には、
一緒の立場だったライバルが居る。
世界に注目される程、良いことをしたあの人の下には、
沢山の努力と、思い出がある。
良いことの下には、原因と言う名の悪行がある。
そんな悲しい世界にある、美しいもの達。
その下にも、色々なものが、思い出があるのだろう。
美しいもの達よ、美しい花よ、美しい蝶よ。
努力が認められなくても、美しいものは美しい。
この世の中で『諦める』なんてことをせず、
世界を代表するように。
色々な悪行を隠すように。
いつまでも美しく、綺麗なままで居て。
皆さん、忙しくてお話を投稿出来ませんでした。
申し訳ありません。
これからは少しづつ投稿スペース上げていきます。
ご理解よろしくお願いします。
以上、作者より
蝶よ花よ
舞いなさい
散りなさい
ズタズタになるまで
泥だらけになるまで
世界が終わっても
命のない存在となった僕と踊ってくれませんか?
蝶よ花よと育てられたといえば
かぐや姫かな。
他には、うーん。
シンデレラの義理の姉達?
何だろ、この残念感。