ひらりはらりと川沿いを歩いていると、煌々と怪しげに光る一軒の屋台を見つけた。
花に誘われる蝶のようにフラフラとその光に歩を向ける。
「いらっしゃいませ。何になさいますか。」
柔らかな声の方を向くと、バーテンダー姿の女性が立っていた。
一括りにまとめられた濡れ羽色の髪は、緩やかな弧を幾重にも重ねながら夜の闇に溶け込んでいる。
屋台でBARをやっているなんて珍しい。
そうしていると一杯のカクテルが出される。
次の日も同じ場所に向かってみたがそこに屋台は無かった。
8/9/2023, 6:10:49 AM