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蝶よ花よと可愛がられた兄とは対照的な育て方をされたと自覚している私。言葉のイメージからすれば『蝶よ花よ』とくれば可愛らしく育てられた女の子が連想されるだろうが、我が家ではそうではなかった。
生まれたときから見目麗しく、しかし身体が丈夫でなかった兄。それこそ古い時代の「女の子の格好をさせておけば男の子を長生きさせられる」との言い伝えを忠実に守らせて、その格好が本来女として生を受けた私よりも愛らしかったようで。可愛い子を可愛がる、大人の庇護欲は大層満たされることであろう。
数年後に生まれた私は兎角平凡。健康上の問題もなく、見た目も美しくないかわりに不細工でもないと言われた。放置して自由にさせたほうが手がかからず、というか大人の負担面が軽かったのだろう。
そういうわけなので、私はこのように育ってしまった。




【蝶よ花よ】

8/9/2023, 5:44:58 AM